インテル® Quartus® Primeプロ・エディションのユーザーガイド: タイミング・アナライザー

ID 683243
日付 1/31/2023
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ドキュメント目次

2.5.1.9. CDC Viewer レポート

タイミング・アナライザーの Reports > Clock Domain Crossings > Report CDC Viewer... コマンドを使用すると、カスタム・クロック・ドメイン・クロッシング・レポートと Clock Domain Crossing (CDC) Viewer をコンフィグレーションおよび表示することができます。CDC Viewer は、デザイン内のすべてのクロック転送のセットアップ、ホールド、リカバリー、またはリムーバルの解析をグラフィック形式で表示します。同等のスクリプトコマンドは report_cdc_viewer です。
Report Clock Domain Crossing Viewer の設定
オプション 詳細
Clocks From Clock および To Clock でレポートのパスをフィルタリングし、指定した起動クロックまたはラッチクロックのみを表示します。
Analysis type オプションには、SetupHoldRecoveryRemoval があります。タイミング・アナライザーは、選択した解析タイプの結果を報告します。
Transfers レポートに含める、またはレポートから除外するクロック転送のタイプ (Timed transfersFully cut transfersClock groupsInactive clocksNon-crossing transfers など) を指定します。レポートには、Maximum slack limit および Grid options を指定することができます。
Detail level Full では、レポートのすべての詳細が表示されます。Summary では、詳細をフィルタリングし、要約されたデータが表示されます。
Report panel name レポートパネルの名前を指定します。オプションで File name を有効にして、情報をファイルに書き込むことができます。.htm または .html をサフィックスとして追加すると、タイミング・アナライザーはレポートを HTML として生成します。File name を有効にすると、最新のデータでファイルを上書き (Overwrite) または追加 (Append) することができます。また、形式を Grid または List に指定します。
注: グリッド形式のレポートでは、非交差転送のクロックは、他のクロックとの間に転送がある場合は常に表示されます。
Tcl command 選択した GUI オプションに対応する Tcl 構文を表示します。コマンドは、Console から Tcl ファイルにコピーすることができます。

次のオプションを指定して、CDC Viewer のレポートをカスタマイズすることができます。

表 10.  CDC Viewer レポートの制御
制御 詳細
From Clock: および To Clock: 指定したクロック名に従い表示をフィルタリングします。From Clock: または To Clock: をクリックし、特定のクロック名を検索します。
Legend ステータスの色を定義します。色分けされたグリッドには、クロックの転送のステータスが示されます。クロックのヘッダーには、デザイン内の転送の各クロックがリストされます。GUI では長いクロック名が短縮されますが、ツールチップで完全な名前を表示することができます。もしくは、クロックのヘッダーのセルサイズを変更します。GUI は、生成されたクロックを親クロックの子として表示します。クロック名の横にある「+」アイコンは、生成されたクロックの存在を示します。クロックのヘッダーをクリックすると、そのクロックに関連付けられた生成クロックが表示されます。
Toggle Data 各転送セルのテキストには、各転送に固有のデータが含まれます。次のタイプのデータの表示をオンまたはオフにします。
  • (クロック間の) Number of timed endpoints - 転送内の時間指定のあるエンドポイント固有のパスの数。「時間指定のある」パスは、そのパスで解析が行われることを意味します。一意のエンドポイントをもつパスのみがこの合計にカウントされます。
  • (クロック間の) Number of cut endpoints - 時間指定のあるパスではなく、切り離されたエンドポイント固有のパスの数。このパスは、フォルスパスまたはクロックグループ割り当てによって切り離されています。タイミング解析では、このようなパスはスキップされます。
  • (クロック間の) Worst-case slack - 転送内のエンドポイント固有のすべてのパスにおけるワーストケース・スラック。
  • (クロック間の) Total negative slack - この転送のエンドポイント固有のすべてのパスにおけるすべての負のスラックの合計。
  • (クロック間の) Tightest relationship - この転送の 2 つのクロック間のセットアップ、ホールド、リカバリー、またはリムーバルの関係の最小値。
Show Filters および Show Legend フィルターおよび Legend をオンまたはオフにします。
図 54. CDC Viewer Setup Transfers レポート

グリッド内の各ブロックは転送のセルです。各転送のセルは色とテキストを使用して、転送内のパスの重要な詳細を表示します。色分けは次の状態を表します。

表 11.  転送セルの内容
セルの色 色の凡例
転送がないことを示します。このセルの送信元クロックと送信先クロックの間に交差するパスはありません。
タイミングが合格していることを示します。切り離されていないこの転送のすべてのタイミングパスは、タイミング要件を満たしています。
タイミングが不合格となっていることを示します。転送の 1 つ以上のタイミングパスがタイミング要件を満たしていません。転送が無関係なクロック間で行われている場合は、パスにシンクロナイザー・チェーンが必要な可能性があります。
クロックグループを示します。これらの転送の送信元クロックと送信先クロックは、非同期クロックグループによって切り離されています。
グレー 切り離されている転送を示します。この転送のすべてのパスは、フォルスパスによって切り離されています。したがって、タイミング解析ではこれらのパスは考慮されません。
オレンジ 非アクティブなクロックを示します。転送のクロックの 1 つが非アクティブクロックです (set_active_clocks コマンドで設定)。タイミング・アナライザーは、このような転送を無視します。

右クリックのメニューを使用すると、転送セルとクロックのヘッダーで操作を実行することができます。操作がタイミング・アナライザー・レポートまたは SDC コマンドの場合、転送セルの内容を含むダイアログボックスが開きます。

表 12.  転送セルの右クリックメニュー
コマンド 詳細
Copy 転送セルまたはクロックヘッダーの内容をクリップボードにコピーします。
Report Timing タイミングを報告します。有効なパスのない転送セル (グレーまたは黒のセル) では使用できません。
Report Endpoints エンドポイントを報告します。切断パスのない転送セル (グレーまたは黒のセル) では使用できません。
Report False Path フォルスパスを報告します。有効なパスのない転送セル (黒のセル) では使用できません。
Report Exceptions 例外を報告します。クロックグループ転送 (青のセル) でのみ使用できます。
Report Exceptions (with clock groups) クロックグループでの例外を報告します。クロックグループ転送 (青のセル) でのみ使用できます。
Set False Path フォルスパス制約を設定します。
Set Multicycle Path マルチサイクル・パス例外を設定します。
Set Min Delay 最小遅延制約を設定します。
Set Max Delay 最大遅延制約を設定します。
Set Clock Uncertainty クロックの不確実性制約を設定します。
表 13.  クロックヘッダーの右クリックメニュー
コマンド 詳細
Copy (include children) クロックのヘッダーの名前と、派生した各クロックの名前をコピーします。このオプションは、生成されたクロックをもつクロックのヘッダーに対してのみ表示されます。
Expand/Collapse All Rows/Columns グリッド内のすべての派生クロックを表示または非表示にします。
Create Slack Histogram 選択したクロックのスラック・ヒストグラム・レポートを生成します。
Report Timing From/To Clock 選択したクロックのタイミングレポートを生成します。クロックを展開して派生クロックが表示されている状態にしないと、タイミングレポートにはそのクロックから派生したすべてのクロックが含まれます。これを防ぐには、右クリックの前にクロックを展開します。
Remove Clock(s) 選択したクロックをデザインから除外します。クロックを展開しないと、タイミング解析では、そのクロックから派生したすべてのクロックが除外されます。

CDC Viewer の出力は、次の形式のいずれかで表示することができます。

  • タイミング・アナライザーのレポートパネル
  • タイミング・アナライザーの Tcl コンソールでの出力
  • プレーンテキスト・ファイル
  • ウェブブラウザーで表示可能な HTML ファイル