インテル® Quartus® Primeプロ・エディションのユーザーガイド: デザイン上の推奨事項

ID 683082
日付 4/13/2020
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ドキュメント目次

2.1.2. 非同期デザインの危険

リップルカウンターやパルス・ジェネレーターなどの非同期デザイン技術は、デバイスリソースを節約するための「ショートカット」として機能します。ただし、非同期手法には固有の問題があります。たとえば、伝搬遅延は温度や電圧の変動に応じて変化するため、伝搬遅延に依存すると、不完全なタイミング制約や、グリッチやスパイクが発生する可能性があります。

相対的な伝播遅延に依存する非同期デザイン構造では、競合状態が発生する可能性があります。競合状態は、信号変更の順序がロジックの出力に影響を与える場合に発生します。同じロジックデザインでは、配置と配線に応じて、コンパイルごとに異なるタイミング遅延が発生する可能性があります。考えられるバリエーションの数により、特定のロジックブロックに関連するタイミング遅延を決定することができなくなります。プロセスの改善によりデバイスが高速になると、非同期デザインの遅延が減少し、デザインが期待どおりに機能しなくなる可能性があります。特定の遅延に依存すると、非同期デザインを他のアーキテクチャー、デバイス、またはスピードグレードに移行することも難しくなります。

非同期デザイン構造のタイミングは、多くの場合、タイミングの割り当てと制約を使用してモデル化することが困難または不可能です。完全または正確なタイミング制約がない場合、合成および配置配線ツールが使用するタイミング駆動型アルゴリズムは最適な最適化を実行できず、報告された結果が不完全になる可能性があります。

さらに、非同期デザイン構造は、クロック周期に比べて非常に短いパルスであるグリッチを生成する可能性があります。組み合わせロジックがグリッチの主な原因です。組み合わせロジックへの入力が変化すると、出力は新しい値に整定する前にいくつかのグリッチを示します。グリッチは組み合わせロジックを介して伝播する可能性があり、非同期デザインの出力に誤った値が生じる可能性があります。同期デザインでは、データ処理は次のクロックエッジまで待機するため、レジスターのデータ入力のグリッチは悪影響を及ぼしません。