デバイス固有の電源供給ネットワーク (PDN) ツール2.0 ユーザーガイド

ダウンロード PDF
ID 683293
日付 12/15/2017
Public
ドキュメント目次
ドキュメント目次 x
1. デバイス固有の電源供給ネットワーク (PDN) ツール2.0 ユーザーガイド
1. デバイス固有の電源供給ネットワーク (PDN) ツール2.0 ユーザーガイド x
1.1. 概要 1.2. PDN デカップリング手法レビュー 1.3. PDN ツールのセットアップと結果の最適化 1.4. 改訂履歴
1.2. PDN デカップリング手法レビュー x
1.2.1. PDN 回路トポロジー 1.2.2. PDN ツール2.0 の主なタブ 1.2.3. PDN ツール2.0 を使用したPCB デカップリングのデザイン 1.2.4. Z EFF のトラブルシューティング
1.2.1. PDN 回路トポロジー x
1.2.1.1. ZTARGET 1.2.1.2. FEFFECTIVE
1.2.2. PDN ツール2.0 の主なタブ x
1.2.2.1. System_Decap 1.2.2.2. スタックアップ 1.2.2.3. BGA_Via 1.2.2.4. Plane_Cap 1.2.2.5. Cap_Mount 1.2.2.6. X2Y_Mount 1.2.2.7. Library 1.2.2.8. Enlarged_Graph
1.2.2.1. System_Decap x
1.2.2.1.1. Device Selection セクション 1.2.2.1.2. Power Rail Data and Configuration セクション 1.2.2.1.3. VRM Data セクション 1.2.2.1.4. Rail Group Summary セクション 1.2.2.1.5. VRM Impedance セクション 1.2.2.1.6. BGA Via セクション 1.2.2.1.7. Plane セクション 1.2.2.1.8. Spreading セクション 1.2.2.1.9. スプリットプレーンの実装 1.2.2.1.10. FEFFECTIVE セクション 1.2.2.1.11. Decoupling セクション 1.2.2.1.12. Results Summary セクション 1.2.2.1.13. System_Decap タブを使用したFPGA システムのデカップリングの導出に推奨されるフロー
1.2.2.2. スタックアップ x
1.2.2.2.1. Stackup Data 1.2.2.2.2. Full Stackup
1.2.2.7. Library x
1.2.2.7.1. 2 端子デカップリング・コンデンサー 1.2.2.7.2. バルク・コンデンサー 1.2.2.7.3. X2Y デカップリング・コンデンサー 1.2.2.7.4. BGA ビアおよびプレーン・キャパシタンス 1.2.2.7.5. VRM ライブラリー 1.2.2.7.6. スプレッディングR およびL 寄生成分 1.2.2.7.7. 誘電体材料ライブラリー 1.2.2.7.8. ユーザー設定のFEFFECTIVE
1.2.3. PDN ツール2.0 を使用したPCB デカップリングのデザイン x
1.2.3.1. 配置前の説明 1.2.3.2. 単一レールのシナリオにおけるデカップリングの導出 1.2.3.3. 電源共用のシナリオにおけるデカップリングの導出
1.2.4. Z EFF のトラブルシューティング x
1.2.4.1. 高いZEFF を修正するための戦略
1.3. PDN ツールのセットアップと結果の最適化 x
1.3.1. PCB スタックアップの設定 1.3.2. パワーグループの設定 1.3.3. プレレイアウトにおける最適化 1.3.4. より良い精度のためのさらなる最適化 1.3.5. 相互関係
1.3.1. PCB スタックアップの設定 x
1.3.1.1. デバイスの選択 1.3.1.2. スタックアップ・データの入力
1.3.1.2. スタックアップ・データの入力 x
1.3.1.2.1. カスタム誘電材料の使用
1.3.2. パワーグループの設定 x
1.3.2.1. レールの選択 1.3.2.2. Rail Group Summary 1.3.2.3. VRM Impedance 1.3.2.4. BGA Via 1.3.2.5. プレーンの計算 1.3.2.6. プレーン・スプレッディングの寄生成分 1.3.2.7. FEFFECTIVE およびデカップリング結果の要約
1.3.3. プレレイアウトにおける最適化 x
1.3.3.1. コンデンサー・モデルの確認 1.3.3.2. デキャップ数の最適化
1. デバイス固有の電源供給ネットワーク (PDN) ツール2.0 ユーザーガイド

1.2.1.1. ZTARGET

PDN 電流のダイナミック成分の変化は、PDN 内の電圧変動を引き起こし、ロジックおよびタイミングの問題を引き起こす可能性があります。PDN のインピーダンスを下げることで、過度の電圧変動を減らすことができます。1 つのデザイン・ガイドラインはターゲット・インピーダンスZTARGET です。周波数領域では、ある周波数で回路をまたいだ電圧変動は、回路を流れる電流と、オームの法則に従う周波数での回路のインピーダンスに比例します。ZTARGET は最大許容ノイズ許容値とダイナミック電流変化を使用して定義され、以下のように計算されます。

図 2. ZTARGET の方程式

たとえば、1.8 V の電源レールのダイナミック電流は2A です。最悪の場合のダイナミック電流変化はダイナミック電流の50％ です。電源レールのノイズ耐性は公称電圧の5％ です。デカップリング・デザインのための所望のPDN ターゲット・インピーダンスは、以下のように計算されます。

図 3. ZTARGET 方程式の例

ある電源レールについてZTARGET を正確に計算するには、以下の情報を知っておく必要があります。

  • FPGA の最大ダイナミック電流変化要件は検討中の電源レールによって給電されます。この情報は、それぞれのデバイスのデータシートから取得できます。最大ダイナミック電流とダイナミック電流の変化率を使用して、デバイスの最大ダイナミック電流変化を計算することができます。
    注: ダイナミック電流は、状態を変化させるCMOS トランジスターにエネルギーを供給するために必要な高周波電流の流れをパラメーター化することを意図しています。コアレールの場合、過渡電流はFPGA コア内でスイッチングすることによって生成されます。したがって、広範な論理スイッチングを伴うデザインは、静的なデザインよりも高い% の過渡電流 (ダイナミック電流変化) を生成します。ダイナミック電流変化の大きさは、ダイナミック電流が高いほど大きくなる可能性があります。主要なFPGA レールのダイナミック電流変化率のデフォルト設定については、PDN ツール2.0 のIntroduction タブの表を参照してください。
    注: PowerPlay Early Power Estimator (EPE) ツールまたは インテル® Quartus® Prime PowerPlay Power Analyzer ツールを使用して、 インテル® FPGA デバイスの最大ダイナミック電流に関する正確な見積もりを取得することができます。EPE からのデータを使用する場合は、PDN 計算のために各セクションにダイナミックパワーのみを使用してください。
  • 電源レール上の最大許容ノイズ耐量は、電源電圧のパーセンテージで示されます。

デバイスのスイッチング動作により、電源レールに過渡ノイズ (高周波スパイク) が発生します。このノイズは、高すぎると機能の問題を引き起こす可能性があります。ノイズは、電源電圧のパーセンテージとして定義された範囲内で減衰させる必要があります。最大許容ノイズ耐量の推奨値は、各デバイスのデータシートおよびPDN ツール2.0 のIntroduction タブに記載されています。異なるレールは、過渡電圧ノイズに対する感度と、電源レールでの電流の使用量が異なるため、仕様が異なります。

ZTARGET の詳細については、PDN ツール2.0 のIntroduction タブを参照してください。

表 2.   インテル® Stratix® 10 デバイスの電源レールの設定以下の情報は、 インテル® Stratix® 10 デバイス用のPDN ツール2.0 からのものです。
レール名 デフォルト電圧 (V) ノイズ耐性 (％) 1 ダイナミック電流変化 (％) 1 説明
VCC 0.8 - 0.94 2 5 30 - 50 コア (高ダイナミック電流で30％、低ダイナミック電流で50％)
VCCERAM 0.9 5 50 プログラマブル・パワーテックAux
VCCR_GXB 1.03/1.12 2 3 30 トランシーバーRX アナログ
VCCT_GXB 1.03/1.12 2 2 60 トランシーバーTX アナログ
VCCPT 1.8 5 50 プログラマブル・パワーテック
VCCA_PLL 1.8 5 10 PLL アナログ
VCCH_GXB 1.8 3 15 トランシーバーI/O バッファーブロック
VCCIO 1.2/1.25/1.35/1.5/1.8 5 100 I/O バンク
VCCP 0.8 - 0.94 2 5 33 ペリフェラル・パワーサプライ
VCCBAT 1.2/1.5/1.8 5 100 バッテリー・バックアップ・パワーサプライ
関連情報
1 これらの設定は、このドキュメントの今後のリリースで更新される予定です。
2 電源レールの機能の詳細については、選択したデバイスファミリー用のピン接続のガイドラインを参照してください。
レベル 2 の表題