Advanced Link Analyzer: ユーザーガイド

ID 683448
日付 4/27/2022
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ドキュメント目次

2.1.3. トランスミッターの設定

トランスミッターは、トランスミッター・クロックとテストパターン条件に基づいて信号を生成します。

図 15.  Advanced Link Analyzerトランスミッター設定

トランスミッター

次のトランスミッターの種類がサポートされています。

  • Stratix® V GX
  • Stratix® V GT
  • インテル® Stratix® 10 Lタイル
  • インテル® Stratix® 10 Hタイル
  • インテル® Stratix® 10 Eタイル (ラッパーサポート)
  • インテル® Stratix® 10 Pタイル (ラッパーサポート)
  • インテルAgilex Eタイル (ラッパーサポート)
  • インテルAgilex Pタイル (ラッパーサポート)
  • インテルAgilex Rタイル (ラッパーサポート)
  • インテルAgilex Fタイル汎用トランシーバー・ブロック (ラッパー サポート)
  • インテルAgilex Fタイル高速トランシーバー・ブロック (ラッパー サポート)
  • Arria® V GZ
  • インテル® Arria® 10 GX/SX
  • インテル® Arria® 10 GT
  • インテル® Cyclone® 10 GX
  • IBIS-AMI
  • Clock IBIS-AMI
  • Custom
  • PCI Express* 8 GT
  • PCI Express* 16 GT
  • PCI Express* 32 GT

トランスミッターの種類によって、選択できるその他のトランスミッター設定が決まります。トランスミッターを選択すると、Link Designerに自動的に挿入され、その他のリンク・コンポーネントに接続できるようになります。

パッケージ

トランスミッター・デバイスのパッケージタイプを選択します。インテル製品およびIBIS-AMIモデルの場合、パッケージモデルはデバイスモデルに含まれます。Customデバイスの場合、パッケージモデルはチャネル設定で指定されます。Customパッケージタイプ (任意のトランスミッター・デバイス用) を選択すると、組み込みパッケージモデル (使用可能な場合) はディスエーブルになります。その後、Link DesignerワークスペースでPackageタイプのチャネル・コンポーネント (Sパラメーターなど) を追加できます。Customパッケージモデルは、トランスミッター・モジュールに近接して配置する必要があります。これは、正しくシミュレートおよび解析できるようにするためです。Customパッケージタイプを選択しても、Packageタイプのチャネル・コンポーネントをLink Designerワークスペースに追加しない場合、トランスミッターはパッケージモデルなしでシミュレートされます。

PackageプルダウンメニューからPackage Designerを選択すると、Transmitter Package Designerが開き、パッケージモデルをデザインまたはカスタマイズできます。

図 16. Transmitter Package Designerのユーザー・インターフェイス

Advanced Link AnalyzerPackage Designerでは、3つのパッケージモデル生成方法をサポートしています。Package Designer Methodプルダウンメニューを使用して、次のいずれかを選択できます。

  • IEEE 802.3 cd/bj COM: この方法では、IEEE 802.3 50 Gbpsイーサネット (802.3cd/bjはタスクグループ名) Channel Operating Margin (COM) リファレンス・パッケージ・モデリング方法を使用して、パッケージモデルが生成されます。ダイ・キャパシタンス、パッケージ材料の特性と長さ、およびPCBバンプをコンフィグレーションできます。詳細については、IEEE 802.3 Annex 92を参照してください。Reset to 802.3cd COM ConfigurationボタンまたはReset to 802.3bj COM Configurationボタンをクリックして、すべてのパラメーターをIEEE 802.3cdまたはIEEE 802.3bjごとのデフォルト値にそれぞれリセットできます。
  • IEEE 802.3 ck COM: この方法では、IEEE 802.3ck (100 Gbpsイーサネットのタスクグループ) COMリファレンス・パッケージ・モデリング方法を使用して、パッケージモデルが生成されます (上の図を参照)。ダイ・キャパシタンス、ダイ終端ネットワーク、ダイバンプ、パッケージ材料の特性と長さ、パッケージの垂直遷移 (ビアなど) の材料特性と長さ、およびPCBバンプをコンフィグレーションできます。詳細については、IEEE 802.3 Annex 92および802.3ckを参照してください。Reset to 802.3ck COM Configurationボタンをクリックして、すべてのパラメーターをIEEE 802.3ckごとのデフォルト値にリセットできます。

Custom S-parameter: この方法では、Sパラメーターを指定してパッケージモデルを表すことができます。

Advanced Link Analyzerには、次のトランスミッターのパッケージモデルが付属しています。

  • Stratix® V GX
  • Stratix® V GT
  • Arria® V GZ
  • Arria 10 GX/SX

    オプション: インテルArria 10デバイスでは、追加のパッケージモデル (次の図に示されています) を使用できます。パッケージモデルは、パッケージ内のトレース長として指定されます。これらのモデルは、インテルArria 10トランシーバー・トランスミッターにおけるパッケージのトレース長の範囲をカバーするために選択されています。

    • Default - デフォルトのパッケージモデルは、14 mmオプションと同じです。
    • 14mm
    • 16.5mm
    • 20mm
    • 24mm

    デザインを インテル® Arria® 10パッケージ・モデル・オプションと組み合わせる方法を知りたい場合は、マイ・インテル・サポート担当者にお問い合わせください。

    図 17.  インテル® Arria® 10トランスミッター・パッケージのオプション
  • インテル® Stratix® 10 Lタイル - Typical、Minimum、およびMaximumのパッケージモデルが提供されます。
  • インテルAgilex Rタイル/Fタイル - Typical、Minimum、およびMaximumのパッケージモデルが提供されます。
  • インテル® Arria® 10 GT - インテル® Arria® 10 GX/SXと同じオプションです。
  • PCI Express* 8 GT
  • PCI Express* 16 GT (プレースホルダーのみ。シミュレーションにはカスタム・パッケージ・モデルを使用します)
  • PCI Express* 32 GT
  • インテル® Stratix® 10 Hタイル - インテル® Stratix® 10 Lタイルと同じオプションです。
  • インテル® Stratix® 10 Eタイル - インテル® Stratix® 10 Lタイルと同じオプションです。
  • インテル® Cyclone® 10 GX - Typical、Minimum、およびMaximumのパッケージモデルが提供されます。

VOD選択

トランスミッターのVOD (差動出力電圧) を選択します。VODの選択は、選択したトランスミッターに応じて、電圧レベルまたはインデックスのいずれかになります。サポートされているデバイスの場合、ターゲットVOD値はTransmitterタブページに表示されます。VOD値は、デバイスタイプ、供給電圧、およびPVTによって異なります。

スルーレート

トランスミッター出力信号のスルーレートを選択します。スルーレートのオプションは、選択したデバイスで使用可能です。詳細については、関連するトランシーバーのユーザーガイドを参照してください。

プリエンファシス

次のいずれかのモードで、トランスミッターのプリエンファシス、ディエンファシス、またはTX FIRコンフィグレーションを選択または指定します。

  • Auto - Advanced Link Analyzerでは、リンク最適化アルゴリズムを使用して、最適なトランスミッターFIR設定を見つけます。
  • Auto with Manual Starting Point - 初期TXプリエンファシスまたはFIRコンフィグレーションを指定します。Advanced Link Analyzerのリンク最適化エンジンでは、TX設定を初期条件として使用します。
  • Manual - 非インテルのデバイスの場合、タップ係数を手動で入力できます。インテルデバイスの場合は、各FIRタップのメニューから、個々のFIRレベルを選択します。インテルデバイスのFIR選択は、VODに依存します。したがって、VODまたはデバイスタイプを変更すると、TX FIRメニューの内容がリセットされる可能性があります。一般的なトランスミッター・タイプの場合、典型的なFIR係数のセットがプルダウンメニューに含まれています。
  • Off

ラッパーサポートがイネーブルになっているインテルAgilex Fタイル高速トランシーバーを選択すると、トランスミッターGUIは、高速トランスミッターのFIR設定とレジスター設定の間で変換できます。これらは、インテルQuartus Prime開発ソフトウェアで使用されます。

図 18. インテルAgilex Fタイル高速トランスミッターFIRのユーザー・インターフェイス

推定TX EQ ACゲイン

プリタップ値とポストタップ値を選択して、dBスケールでACゲインを推定します。TX EQ ACゲインは、リンクのDC (0 Hz) とナイキスト周波数の間のゲインとして計算されます。このゲインは、FIRタイプのトランスミッター・プリエンファシス方式と理想的なトランスミッター出力波形を想定しています。

注: これは、TX EQ ACゲインの大まかな解析推定値です。トランスミッターによって生成される実際のACゲインとは異なる可能性があります。

PLLタイプと帯域幅

トランスミッター・クロックを生成するために、トランスミッターで使用されるPLLのタイプと帯域幅を選択します。

  • Ideal Clock - デフォルトのPLL設定。PLLはディスエーブルになり、クロックは外部リファレンス・クロックから渡されます。
  • Intel transmittersの場合、PLLモデルとコンフィグレーションは次の設定に基づいて自動的に設定されます。
    • データレート
    • リファレンス・クロック周波数
    • オシレーター・タイプ:
      • Stratix® V GXおよび Arria® V GZ - ATX (LC) またはCMU
      • Stratix® V GT - ATX (LC)
      • インテル® Arria® 10 GX/SX/GT - ATX (LC)、Fractional PLL、またはCMU
      • インテル® Stratix® 10 Lタイル/Hタイル/Eタイル - ATX (LC)、Fractional PLL、またはCMU
      • インテル® Cyclone® 10 GX - ATX (LC)、Fractional PLL、またはCMU
      • インテルAgilex - TX PLL
    • PLL帯域幅
    • 内部分周比などのインテルのトランスミッターPLLコンフィグレーション

    インテルは、トランスミッターPLLをセットアップする際に、インテルのリファレンス・クロックの選択とPLLコンフィグレーションの推奨事項に従うことをお勧めします。リファレンス・クロックとPLLのガイドラインに従わないと、不安定なPLLを動作してシミュレートし、予期しない結果が生じる可能性があります。

  • Custom transmittersの場合、PLLモデルとコンフィグレーションはインテルPLLと同様の設定に基づいて自動的に設定されますが、より包括的なPLLコンフィグレーション機能は現在開発中です。カスタム・トランスミッターでは、VCOはLCタイプまたはリング・オシレーター (Ring) タイプのいずれかになります。カスタムPLLタイプでは、より多くのPLL対リファレンス・クロック分周比がサポートされています。予期しない結果を避けるために、トランスミッターPLLをセットアップする際は、インテルのPLLおよびリファレンス・クロックのガイドラインに従ってください。
  • PLLは現在、ネイティブIBIS-AMIトランスミッターではサポートされていません。

供給電圧

サポートされているデバイスでは、供給電圧を選択できます。

Intel Arria 10 GX/SX/GT
  • 0.95 V (インテルArria 10 GX/SX/GT)
  • 1.03 V (インテルArria 10 GX/SX/GT)
  • 1.12 V (インテルArria 10 GT)
Intel Stratix 10 L-tile
  • 1.03 V
  • 1.12 V
Intel Stratix 10 H-tile
  • 1.03 V
  • 1.12 V
Intel Cyclone 10 GX
  • 0.95 V
  • 1.03 V

Vcm

Vcm は、送信信号の共通電圧です。

スコープオプション

Advanced Link Analyzerには、TX出力スコープのエミュレーション用のオプションが4つあります。

  • Default
  • BW = Data Rate / 1667 (デフォルト値)
  • BW = 4 MHz
  • Disable

PVT

選択したトランスミッター・デバイスのプロセス、電圧、および温度 (PVT) モデルを選択します。PVTモデルのサポートは、デバイスタイプ、デバイスデータの可用性、およびモデルカバレッジによって異なります。Transmitterタブページに、PVTモデルカバレッジを示すメッセージが表示されます。次の表では、トランスミッターのPVTモデルカバレッジと条件を示します。

表 8.  トランスミッターのPVTモデルカバレッジ
トランスミッター・タイプ 波形PVTモデル ジッター/ノイズPVTモデル
Stratix® V GX Typical Process: Typical/Fast/Slow Voltage: Typical/High/Low Temperature: –40°C~100°C
Arria® V GZ Typical Process: Typical/Fast/Slow Voltage: Typical/High/Low Temperature: –40°C~100°C
Stratix® V GT Typical Process: Typical/Fast/Slow Voltage: Typical/High/Low Temperature: 0°C~100°C
インテル® Arria® 10 GX/SX Typical/Fast/Slow Slow
インテル® Arria® 10 GT Typical/Fast/Slow Slow
インテル® Stratix® 10 Lタイル Typical/Fast/Slow Slow
インテル® Stratix® 10 Hタイル Typical/Fast/Slow Slow
インテル® Cyclone® 10 GX Typical/Fast/Slow Slow
ラッパーサポートされたインテル IBIS-AMI Model IBIS-AMIモデルによる提供 IBIS-AMIモデルによる提供
IBIS-AMI IBIS-AMIモデルによる提供 IBIS-AMIモデルによる提供
Custom なし なし
PCI Express* 8GT なし なし
PCI Express* 16GT なし なし

温度範囲

インテル® Arria® 10の場合、デバイスモデルには温度範囲依存性があります。Industrial用の温度範囲は40 °Cから100 °C、Extended用は0 °Cから105 °C、Military用は-40 °Cから125 °Cです。デフォルト設定はIndustrial用の温度範囲です。サポートされている温度範囲については、デバイスのデータシートを参照してください。データシートの値は、このドキュメントの値よりも優先されます。

インテルArria 10 GX/SX/GTトランスミッター向けのAdvanced Link AnalyzerからインテルQuartus Primeパラメーターへの変換

次の表では、Advanced Link AnalyzerインテルArria 10 GX/SX/GTトランスミッターのパラメーター名から、同等のインテルQuartus Primeパラメーター名への変換を示しています。インテルQuartus Prime開発ソフトウェアを使用して、Advanced Link Analyzerシミュレーションから実際のデバイス・コンフィグレーションに最適なデバイス設定を転送します。

表 9.  インテルArria 10 GX/SX/GTおよびインテルStratix 10 L タイル・トランスミッター、インテルCyclone 10 GX向けのAdvanced Link AnalyzerからインテルQuartus Primeパラメーターへの変換
Advanced Link Analyzerでの名前 インテル® Quartus® Primeでの名前
Vod Selection Transmitter Output Swing Level
Post-Tap 1 1 Transmitter Pre-Emphasis First Post-Tap Magnitude
Post-Tap 2 1 Transmitter Pre-Emphasis Second Post-Tap Magnitude
Pre-Tap 1 1 Transmitter Pre-Emphasis First Pre-Tap Magnitude
Pre-Tap 2 1 Transmitter Pre-Emphasis Second Pre-Tap Magnitude
Sign of Post-Tap 1 1 Transmitter Pre-Emphasis First Post-Tap Polarity 2
Sign of Post-Tap 2 1 Transmitter Pre-Emphasis Second Post-Tap Polarity 2
Sign of Pre-Tap 1 1 Transmitter Pre-Emphasis First Pre-Tap Polarity 2
Sign of Pre-Tap 2 1 Transmitter Pre-Emphasis Second Pre-Tap Polarity 2
PLL Type
  • ATX(LC)
  • Fractional PLL
  • CMU
Intel Quartus Prime PLL Type
  • Intel Arria 10 Transceiver ATX PLL
  • Intel Arria 10 fPLL
  • Intel Arria 10 Transceiver CMU PLL
Slew Rate XCVR_A10_TX_SLEW_RATE_CTRL
PLL Bandwidth 選択したPLLタイプのPLL Configuration OptionsのBandwidth
1 Advanced Link Analyzerで、Pre-emphasisがManualまたはAuto with Manual Starting Pointとして選択されている場合
2 「0」 = Advanced Link Analyzerでの正のタップ選択である非反転。「1」 = Advanced Link Analyzerでの負のタップ選択である反転。