Advanced Link Analyzer: ユーザーガイド

ID 683448
日付 4/27/2022
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ドキュメント目次

2.1.4.4. IBIS-AMIレシーバーのコンフィグレーション

Advanced Link Analyzerでは、IBIS-AMIレシーバーモデリングをサポートしています。IBIS-AMIレシーバーを選択すると、IBIS-AMI Receiverページが表示されます。IBIS-AMIページには、IBIS-AMIモデルの追加設定用の3つのタブがあります。
図 54. レシーバーIBIS-AMIモデルのIBISコンフィグレーション・ページ

レシーバーIBIS-AMIモデルのIBISコンフィグレーション・ページ

  • Package - すべてのIBISモデルでパッケージモデルが必要です。Advanced Link Analyzerには、デフォルトでIBISパッケージモデルがシミュレーションに含まれています。Packageの選択をCustomに変更し、外部パッケージモデル (ChannelタイプPackage) をチャネル・コンポーネントとして指定することで、他のパッケージモデルを選択できます。
    注: IBIS-AMIレシーバーのパッケージモデルが1つだけになっていることを確認してください。パッケージタイプIBIS-AMIまたはパッケージタイプCustomを、回路図の外部パッケージモデルと共に使用します。リンクに複数のレシーバーのパッケージモデルがある場合、シミュレーション・エラーが発生する可能性があります。
  • IBIS Files - IBIS Fileテキストボックスの横にあるファイル・オープン・ボタンをクリックして、IBISモデルファイルを選択します。Advanced Link AnalyzerはIBISファイルをスキャンし、使用可能なすべてのレシーバー・コンポーネントとモデルを割り当てます。Advanced Link AnalyzerでIBIS-AMIモデルを開く、または解釈する際に次の問題が発生した場合、警告メッセージが表示されます。
    • レシーバーのコンポーネントまたはモデルが見つかりません。
    • コンピューター・プラットフォームのDLLが見つかりません。IBIS-AMIモデルは、プラットフォームに依存することに注意してください。例えば、32ビットのリンク・シミュレーターでシミュレートするには32ビットDLLが必要であり、64ビットのシミュレーターでシミュレートするには64ビットDLLが必要です。32ビットDLLは、64ビットDLLシミュレーターでシミュレートできません。
    • DLLがメモリーを占有しすぎており、Advanced Link Analyzerはそれをロードできませんでした。ただし、Advanced Link Analyzer GUIとシミュレーション・エンジンのメモリー割り当ての違いによっては、Advanced Link AnalyzerはそのようなDLLを使用してシミュレーションを実行できる場合があります。
  • Component - IBISモデルから、IBISコンポーネントを選択します。

IBISタブ

  • Model - IBISモデルのコンポーネント内のデバイスモデルを選択します。
  • Model Selector - モデル・セレクター・リストからモデルを選択します。
  • Corner - デバイスモデルのコーナータイプを選択します。選択肢は、TypMin、およびMaxです。
  • AMI File - IBISモデルで指定されたAMIファイルを表示します。
    注: Advanced Link Analyzerは現在、AMIモデリング・コンポーネントを備えたデバイスモデルのみをサポートしています。
  • DLL File - IBISモデルで指定されたDLLファイルを表示します。
  • Check [R series] during model load time - IBISモデルのロード時にAdvanced Link Analyzerが [R series] の設定をスキャンする場合、このオプションをオンにします。特にIBISモデルが大きい場合、余分なロード時間がかかる可能性があります。IBIS-AMIモデルを読み出す際、ロードに時間がかかる場合は、オプションでこの機能をディスエーブルすることができます。R seriesの使用は、ほとんどのIBIS-AMIモデルでは一般的ではありません。R seriesの使用法については、IBIS-AMIモデルの説明を確認するか、またはモデルベンダーにお問い合わせください。
  • Use External Termination - シミュレーションで外部終端が使用されることを示します。外部終端 (シングルエンド) は、右側のテキストボックスで指定されます。デフォルト設定では外部終端は使用されておらず、デフォルトの外部終端 (該当する場合) は 50オーム (シングルエンド) です。
    注: Advanced Link Analyzerは、IBIS-AMIモデルが [R series] コンフィグレーションで [series pin mapping] を使用していることを検出すると、外部終端オプションを自動的にイネーブルします。
  • Automatic Jitter/Noise Update - IBIS-AMIモデルからのジッター/ノイズの自動更新を可能にします (IBIS-AMI 6.0以降に準拠するモデルで使用可能)。Automatic Jitter/Noise Updateは、デフォルトでディスエーブルになっています。
    注: IBIS AMIモデルをロードする際に予期せぬ長い遅延が発生した場合は、Automatic Jitter/Noise Updateをオフにしてディスエーブルすることができます。特定のIBIS-AMIモデルでは、ジッター/ノイズの取得中に計算集約型の機能 (イコライゼーション適応など) を実行することが確認されています。Manual Jitter/Noise Updateボタンを手動でクリックすることで、引き続きジッター/ノイズの数値を取得できます。
  • Manual Jitter/Noise Update - Automatic Jitter/Noise Updateオプションがディスエーブルになっている場合、このオプションをオンにすると、IBIS-AMIモデルからジッター/ノイズ値を手動で更新できます (IBIS-AMI 6.0以降に準拠したモデルで使用可能)。
  • DLL_Path - IBISAMIモデルのサポートファイルが保存されているフォルダーまたはパス名を指定します。詳細は、IBIS規格を参照してください。
  • CDR Type - 次の3つのオプションが使用可能です。
    • IBIS-AMI - レシーバーのIBIS-AMIモデルにCDRモデルが含まれている場合、Advanced Link AnalyzerはIBIS-AMIモデルのクロックティック出力を使用してリンク・パフォーマンスを解析します。IBIS-AMIモデルにCDRモデルが組み込まれていない場合、リンク・パフォーマンスにアクセスするために理想的なクロックが使用されます。
    • Ideal Clock - Advanced Link Analyzerは、常に理想的なクリックを使用してリンク・パフォーマンスにアクセスします。
    • Bang-Bang - Advanced Link Analyzerは、内部バンバンCDRモデルを使用してリンク・パフォーマンスにアクセスします。組み込みCDRモデルがIBIS-AMIモデルに存在する場合、無視されます。
  • Bandwidth - Bang-Bang CDRを選択すると、CDRループ帯域幅をLowMedium、またはHighに設定できます。(汎用カスタムレシーバーのCDR設定と同じです。)

AMIタブ

AMIタブには、次のAMIコンフィグレーション・パラメーターが表示されます。

図 55. レシーバーIBIS-AMIモデルのAMIコンフィグレーション・タブ
レシーバーIBIS-AMIモデルのAMIコンフィグレーション・タブ
  • Model Name - IBIS-AMIのモデル名
  • Reserved Parameters:
    • IBIS-AMI予約済みパラメーターが表示されます。予約済みパラメーターは、Advanced Link Analyzerシミュレーション・コンフィグレーション用です。
    • Advanced Link Analyzerは、IBIS-AMI Rev. 5.0および6.0のジッター・フォーマットをサポートします。IBIS-AMIレシーバーのジッター・パラメーター (Rx_Clock_PDF) が抽出され、次の表に示す解釈でReceiverのJitter/Noiseウィンドウに自動的に設定されます。
表 15.  IBIS-AMIレシーバーのジッター・パラメーター - Rx_Clock_PDFパラメーター

IBIS-AMI Rx_Clock_PDFパラメーター

Advanced Link Analyzerの解釈

(Rx_Clock_PDF (Usage Info)(Type Float)

(Format Gaussian <mean> <sigma>))

DJ = <mean> UI (pk) or ps (pk)、一様分布

RJ = <sigma> UI (RMS) or ps (RMS)

(Rx_Clock_PDF (Usage Info)(Type Float)

(Format Dual-Dirac <mean> <mean> <sigma>))

DJ = (<mean> + <mean>)/2 UI (pk) or ps (pk)、デュアルディラック分布

RJ = <sigma> UI (RMS) or ps (RMS)

(Rx_Clock_PDF (Usage Info)(Type Float)

(Format DjRj < minDj > < maxDj > <sigma>))

DJ = <maxDJ> UI (pk) or ps (pk)、一様分布

RJ = <sigma> UI (RMS) or ps (RMS)

(Rx_Clock_PDF (Usage Info)(Type Integer Float/UI Float)

(Format Table (Labels Row_No Time or UI Probability)

(-5 -5e-12 1e-10)

(- 4 - 4e-12 3e-7) … ))

レシーバーのジッターPDFを参照してください。

表 16.  IBIS-AMIレシーバーのジッター・パラメーター - Rx_Receiver_Sensitivityパラメーター

IBIS-AMI Rx_Receiver_Sensitivityパラメーター

Advanced Link Analyzerの解釈

(Rx_Receiver_Sensitivity (Usage Info)(Type Float)

(Format Value <value>))

DN = <value>*一様分布で1000 (単位はmV)

(Rx_Receiver_Sensitivity (Usage Info)(Type Float)

(Format Range < typ > <min> <max>))

DN = <typ>、<min>、or <max> *一様分布で1000 (単位はmV)

(Rx_Receiver_Sensitivity (Usage Info)(Type Float)

(Format Corner < typ > <slow> <fast>))

DN = <typ>、<slow>、or <fast> *一様分布で1000 (単位はmV)

表 17.  IBIS-AMIレシーバーのジッター・パラメーター - Rx_Noiseパラメーター

IBIS-AMI Rx_Noiseパラメーター

Advanced Link Analyzerの解釈

(Rx_Noise (Usage Info)(Type Float)

(Format Value <value>))

RN = <value>*1000 (単位はmV-rms)

(Rx_Noise (Usage Info)(Type Float)

(Format Range < typ > <min> <max>))

RN = <typ>、<min>、or <max>*1000 (単位はmV-rms)

(Rx_Noise (Usage Info)(Type Float)

(Format Corner < typ > <slow> <fast>))

RN = <typ>、<slow>、or <fast>*1000 (単位はmV-rms)

表 18.  IBIS-AMIレシーバーのジッター・パラメーター - Rx_Djパラメーター

IBIS-AMI Rx_Djパラメーター

Advanced Link Analyzerの解釈

(Rx_Dj (Usage Info)(Type Float)

(Format Value <value>))

DJ = <value>*1012 (単位はps-pk)

(Rx_Dj (Usage Info)(Type Float)

(Format Range < typ > <min> <max>))

DJ = <typ>、<min>、or <max>*1012 (単位はps-pk)

(Rx_Dj (Usage Info)(Type Float)

(Format Corner < typ > <slow> <fast>))

DJ = <typ>、<slow>、or <fast>*101212 (単位はps-pk)

(Rx_Dj (Usage Info)(Type UI)

(Format Value <value>))

DJ = <value>*1012 (単位はUI-pk)

(Rx_Dj (Usage Info)(Type UI)

(Format Range < typ > <min> <max>))

DJ = <typ>、<min>、or <max>*1012 (単位はUI-pk)

(Rx_Dj (Usage Info)(Type UI)

(Format Corner < typ > <slow> <fast>))

DJ = <typ>、<slow>、or <fast>*1012 (単位はUI-pk)

表 19.  IBIS-AMIレシーバーのジッター・パラメーター - Rx_Rjパラメーター

IBIS-AMI Rx_Rjパラメーター

Advanced Link Analyzerの解釈

(Rx_Rj (Usage Info)(Type Float)

(Format Value <value>))

RJ = <value>*1012 (単位はps-rms)

(Rx_Rj (Usage Info)(Type Float)

(Format Range < typ > <min> <max>))

RJ = <typ>、<min>、or <max>*1012 (単位はps-rms)

(Rx_Rj (Usage Info)(Type Float)

(Format Corner < typ > <slow> <fast>))

RJ = <typ>、<slow>、or <fast>*101212 (単位はps-rms)

(Rx_Rj (Usage Info)(Type UI)

(Format Value <value>))

RJ = <value> (単位はUI-rms)

(Rx_Rj (Usage Info)(Type UI)

(Format Range < typ > <min> <max>))

RJ = <typ>、<min>、or <max> (単位はUI-rms)

(Rx_Rj (Usage Info)(Type UI)

(Format Corner < typ > <slow> <fast>))

RJ = <typ>、<slow>、or <fast> (単位はUI-rms)

  • Model Specific Parameters - このセクションでは、IBIS-AMI モデルが提供するすべてのモデル固有のパラメーターを一覧表示します。それらの選択を使用するか、またはシミュレーション用のパラメーターを指定できます。
図 56. リンク最適化用のレシーバーIBIS-AMIパラメーター・タイプの指定

Advanced Link Analyzerでは、IBIS-AMIレシーバーモデルによるリンク最適化をサポートします。左側はモデル固有のパラメーターです。Advanced Link Analyzerが調整可能であると判断した各パラメーターについて、プルダウンメニューを使用してレシーバー・パラメーターを割り当てることができます。レシーバー・パラメーターのタイプは次のとおりです。

  • No Sweep - スイープまたはリンク最適化は実行されません。
  • Sweep - Advanced Link Analyzerは、IBIS-AMIモデルによって提供される使用可能なオプションを使用して、スイープまたはリンク最適化を実行します。このパラメーターは、現在のAdvanced Link Analyzerバージョンではサポートされていません。
  • CTLE Adapt Controller - このレシーバー・パラメーターは、CTLE またはアナログ・イコライザーの自動適応をイネーブルまたはディスエーブルします。このスイープ・パラメーターは、リンク最適化手法がCTLE=>FIR=>DFECTLE=>FIR=>CTLE=>DFECTLE=>FIR+DFE、またはCTLE=>FIR+DFE=>CTLE+DFEの場合に使用されます。
  • DFE Adapt Controller - このレシーバー・パラメーターは、DFEの自動適応をイネーブルまたはディスエーブルします。このスイープ・パラメーターは、リンク最適化手法がCTLE=>FIR=>DFECTLE=>FIR=>CTLE=>DFECTLE=>FIR+DFE、またはCTLE=>FIR+DFE=>CTLE+DFEの場合に使用されます。
  • Sweep as CTLE - このレシーバー・パラメーターは、使用可能なすべてのオプションを使用して、CTLEまたはアナログ・イコライザーとしてスイープされます。
  • Sweep as CTLE AC Gain - このレシーバー・パラメーターは、CTLEのACゲイン・コントローラーとしてスイープされます。このスイープ・パラメーターは通常、Sweep as CTLE DC Gainパラメーターと組み合わせて使用​​されます。
  • Sweep as CTLE DC Gain - このレシーバー・パラメーターは、CTLEのDCゲイン・コントローラーとしてスイープされます。このスイープ・パラメーターは通常、Sweep as CTLE AC Gainパラメーターと組み合わせて使用​​されます。

IBIS-AMIモデルとパラメーター・タイプの選択で提供される情報を使用して、Advanced Link Analyzerはリンク最適化アプローチを決定し、シミュレーションを実行します。モデル固有のパラメーターの性質を判断できない場合は、IBIS-AMIベンダーにご相談ください。トランスミッターのIBIS-AMIパラメーター・タイプ指定の例を上の図に示します。

インテルデバイスの場合、Advanced Link AnalyzerのIBIS-AMI Wrapper Technologyを使用することで、リンク最適化がさらに強化され、より適切にサポートされます。したがって、インテルは、サポートされているデバイスにIBIS-AMIラッパーをインストールして使用することをお勧めします。

注: Advanced Link Analyzerは、ジッター成分とノイズ成分の間に重複がないことを前提としています。Advanced Link AnalyzerにインポートされたIBIS-AMI Rx_Clock_PDFパラメーターを調べます。デバイスベンダーまたはモデル・プロバイダーに問い合わせて、IBIS-AMIモデルのDJコンポーネントおよびDCDコンポーネントの範囲または定義について確認し、それらの影響を二重にカウントしないようにしてください。

Statusタブ

Statusタブには、シミュレーション用にIBIS-AMIモデルに供給されるパラメーターが表示されます。

図 57. レシーバーIBIS-AMIモデルのStatusタブ
レシーバーIBIS-AMIモデルのStatusタブ

Advanced Link AnalyzerでのIBIS-AMIレシーバーモデリングのサポートについては、次の点を考慮してください。

  • Advanced Link Analyzerでは、AMIコンポーネントを備えたIBISモデルのみをサポートします。AMIコンポーネントのないIBISモデルはシミュレートされません。
  • レシーバーCDRは、IBIS-AMIモデル自体でサポートされています。
  • Advanced Link Analyzerでは、オンダイSパラメーター・モデル (IBIS BIRD 158.3) でIBIS-AMIレシーバーモデルをサポートします。それには、rxicTstonefile、またはTs4file IBIS-AMIキーワードを使用します。Advanced Link AnalyzerrxicTstonefile、またはTs4fileキーワードを検出すると、Channel Wizardは、IBIS規格に基づいてオンダイSパラメーター・コンフィグレーションを支援または自動的に決定します。
Clock Path IBIS-AMI Receiver - クロックパスIBIS-AMIレシーバーを選択してデザインスペースに配置すると、データパスIBIS-AMI Receiverタブページの横に、次のようなタブページのClock IBISClock AMI、およびClock Statusのグループが表示されます。ユーザー・インターフェイスの構造は、データパスIBIS-AMIレシーバーの構造と似ています。唯一の例外は、クロックパスのパッケージモデルを選択するオプションがあることです。また、Jitter/Noise設定 で説明されているように、クロックパスのジッター/ノイズのタブページを使用して、クロックパスのレシーバーのジッター/ノイズをコンフィグレーションすることもできます。
図 58. クロックパスのレシーバーIBIS-AMIモデルのIBISタブ
図 59. クロックパスのレシーバーIBIS-AMIモデルのAMIタブ
図 60. クロックパスのレシーバーIBIS-AMIモデルのStatusタブ