インテル® Quartus® Primeプロ・エディション・ユーザーガイド: 消費電力の解析と最適化

ID 683174
日付 4/01/2019
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ドキュメント目次

1.4. 消費電力解析レポートの表示

Summary

電力解析が問題なく終了すれば、Power AnalyzerのReportsボタンをクリックし、Compilation ReportのPower Analysisセクションを表示します。

図 11. 消費電力解析レポート

消費電力解析レポートには、次のセクションがあります。

レポートのSummaryセクションには、デザインの総熱消費電力の見積もりが表示されます。これには、動的および静的な熱消費電力およびI/Oの熱消費電力が含まれます。I/Oの熱消費電力には、VCCIOおよびVCCPD電源から引き出されるI/O電力の総量と、I/OバッファーおよびI/OレジスターなどのI/Oサブシステム内のVCCINTから引き出される電力が含まれます。レポートには、信号アクティビティーのデータソースの全体的な質を反映する信頼度も含まれています。例えば、消費電力見積もりの信頼度の値がLowの場合、提供されたトグルレートのデータが不十分だったか、消費電力の見積もりに使用された信号アクティビティー情報のほとんどが、デフォルトまたベクタレスの見積もり設定によるものだったことを反映しています。入力データの詳細については、Power AnalyzerのConfidence Metricレポートを参照ください。

Power Savings Summary

SmartVIDによる消費電力の削減など、省電力量 (mW) や省電力方法の種類を一覧にします。

Parallel Compilation

並列コンパイルを有効にすると、Parallel Compilationレポートに電力解析中に使用したプロセッサー数が表示されます。

Settings

レポートのSettingsセクションには、デフォルトの入力トグルレート、動作条件、その他の関連する設定の情報など、デザインのPower Analyzerの設定情報が表示されます。

Simulation Files Read

レポートのSimulation Files Readセクションは、.vcdが電力見積もりに使用したシミュレーション出力ファイルを一覧表示します。このセクションはまた、ファイルID、ファイルタイプ、エンティティー、VCDの開始時間、VCDの終了時間、不明な割合、およびトグルの割合も含みます。不明な割合は、シミュレーション・ベクトルが使用していないデザインモジュール部を示しています。

Operating Conditions Used

レポートのOperating Conditions Usedセクションは、消費電力見積もり中のデバイス特性、電圧、温度、および冷却ソリューションを該当する場合に表示します。このセクションには、電力解析に入力されたジャンクション温度または自動計算されたジャンクション温度も表示されます。

Thermal Power Dissipated by Block

レポートのThermal Power Dissipated by Blockセクションは、アトム別に分類された動的熱消費電力および静的熱消費電力の見積もりを表示します。この情報は、デザイン内の各アトムの推定消費電力を提供します。

デフォルトでは、このセクションにデータは含まれていません。Power Analyzer SettingsページのWrite power dissipation by block to report fileオプションでオンにしてください。

Thermal Power Dissipation by Block Type (Device Resource Type)

レポートのThermal Power Dissipation by Block Type (Device Resource Type) セクションは、ブロックタイプ別に分類された動的熱消費電力と静的熱消費電力の見積もりを表示します。この情報は、動的電力と静的電力の見積もりにさらに分類され、ブロックタイプ別の平均トグルレートを提供します。熱消費電力は、FPGAデバイスから熱として放出される電力です。

Thermal Power Dissipation by Hierarchy

レポートのThermal Power Dissipation by Hierarchyセクションは、 デザインの階層別に分類された動的熱消費電力および静的熱消費電力を表示します。この情報は、その階層内のブロックおよび配線で使用される動的および静的電力にさらに分類されます。これは、デザイン内で高い消費電力を占めるモジュールを特定する場合に便利です。

Core Dynamic Thermal Power Dissipation by Clock Domain

レポートのCore Dynamic Thermal Power Dissipation by Clock Domainセクションは、各クロックドメイン別にコアの動的消費電力の見積もり合計を表示し、デザイン内の各クロックドメインの消費電力の見積もりを提供します。ドメインのクロック周波数が制約で指定されていない場合、クロック周波数は「未指定」と表示されます。組み合わせロジックの場合はすべて、クロックドメインは0 MHzのクロックなしと表示されます。

Current Drawn From Voltage Supplies

レポートのCurrent Drawn from Voltage Suppliesセクションは、各電源から引き出される電流を一覧にします。VCCIOおよびVCCPD電源は、I/Oバンクおよび電圧によってさらに分類されます。このセクションには、各供給電圧に対する最小安全電源サイズ (電流供給能力) も表示されます。電源にユーザーモードの要件を超える特定の始動電流要件がある場合、最小電流要件はユーザーモードの電流要件より高くなる場合があります。

SummaryページのI/Oの熱消費電力は、このレポートに記載されているVCCIOおよびVCCPD電源から引き出される電力とは直接関係ありません。これは、I/Oの熱消費電力の値には、I/O電源としてモデル化され、VCCIOおよびVCCPD電源から電力を引き出さないI/Oエレメント (IOE) レジスターなどのVCCINT電力の一部も含まれているためです。

Power Analyzerレポートで報告されるI/O電源 (ICCIOおよびICCPD) から引き出される電流には、I/Oを介しオフチップ終端抵抗に引き込まれる電流が含まれます。そのためICCIOおよびICCPDの値は、報告されるI/Oの熱消費電力よりも高くなる可能性があります。これは、オフチップ電流は他の部分で熱として消費され、デバイスの温度計算に影響しないためです。よって、I/Oの熱消費電力の総量は、各VCCIOおよびVCCPD電源から引き出される電流の合計にVCCIOおよびVCCPD電圧を乗算した値に等しくなりません。

SoCデバイスの場合、スタンドアロンのICC_AUX_SHAREDに引き出される電流に関する情報はありません。ICC_AUX_SHAREDは、ICC_AUXとともに報告されます。

Confidence Metric Details

Confidence Metricは、組み合わせ信号とレジスターされた信号の信号アクティビティー・データ・ソースの重みの合計によって定義されます。各信号にはトグルレート・ソースと静的確率ソースの2つのデータソースが割り当てられます。

Confidence Metric Detailsセクションもまた、電力見積もりを計算するための信号トグルレート・データの質を示しています。動作中に信号のトグルレート・データを、デバイス内の実際の信号トグルレートの信頼性の低い予測子から得ている場合は信頼度が低くなります。シミュレーションや、特定の信号またはエンティティーに対してユーザーが入力した割り当てから得られるトグルレート・データは信頼性があります。デフォルトのトグルレート (クロック周期の12.5%など) またはベクタレスの見積もりから得ているトグルレート・データは比較的不正確です。このセクションでは、トグルレート・データの全体的な信頼度を低から高で示します。このセクションはまた、シミュレーション、ユーザー入力、ベクタレスの見積もり、またはデフォルトのトグルレート見積もりのそれぞれからトグルレートを取得したピン、レジスター、および組み合わせノードの数もまとめます。この詳細情報を使用し、信頼度を上げる方法を理解し、トグルレート・データに対するご自身の自信を定めることができます。

Signal Activities

Signal Activitiesセクションは、ファンアウトとピンを持つすべての信号の電力解析で想定されるトグルレートと静的確率を一覧にします。このセクションではまた、トグルレートおよび静的確率の信号タイプ (ピン、レジスター済み、組み合わせ) とデータソースも表示します。デフォルトでは、このセクションにはデータが含まれていません。Power Analyzer SettingsページのWrite signal activities to report fileオプションでレポートをオンにすることができます。

大規模なデザインには多数の信号が存在するため、インテルではWrite signal activities to report fileオプションをオフにすることを推奨しています。Assignment Editorを使用し、個別にノードやエンティティーのアクティビティーが報告されるように指定できます。Power Report Signal Activities割り当てで必要なノードにオンの値を割り当ててください。

Messages

Messagesセクションは、解析中に インテル® Quartus® Prime開発ソフトウェアが生成するメッセージをリスト表示します。