インテル® Quartus® Primeプロ・エディション・ユーザーガイド: 消費電力の解析と最適化

ID 683174
日付 4/01/2019
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ドキュメント目次

1.3.2.1.3. シミュレーションのグリッチ・フィルタリング

グリッチ・フィルタリングは、サードパーティー製のシミュレーターで生成する.vcdで有効にし、消費電力解析に使用することができます。Perform glitch filtering on VCD filesオプションをオンにしてください。

図 9. VCDでのグリッチ・フィルタリングの有効化

Power Analyzerはグリッチを、間隔が非常に狭い2つの信号の遷移として定義しています。このパルス、またはグリッチは、ロジックまたは配線回路が応答するよりも早く発生します。伝播遅延モデル・シミュレーターの出力には、一部の信号のグリッチが含まれます。デバイスのロジックおよび配線構造は、デバイスファミリーに応じて、数十から数百ピコ秒の長さのグリッチをフィルタリングするローパスフィルターを形成します。

一部のサードパーティー製のシミュレーターは、デフォルトモデルとして伝播遅延モデルとは異なるモデルを使用しています。モデルが異なれば、信号アクティビティーおよび消費電力見積もりに差が生じます。ModelSimのデフォルトモデルである慣性遅延モデルは、伝播遅延モデルよりも多くのグリッチをフィルタリングし、通常、より低い消費電力見積もりを生成します。

注: インテルFPGAでは、 インテル® Quartus® Prime開発ソフトウェアのグリッチ・フィルタリング・サポートをサードパーティー製のシミュレーターで使用する場合、伝播シミュレーション・モデルを使用することを推奨しています。慣性シミュレーション・モデルを使用する場合、シミュレーションのグリッチ・フィルタリングの効果はほとんどありません。

シミュレーターでのグリッチ・フィルタリングは、1つのロジックエレメント (LE) または他の回路素子の出力上のグリッチを、ダウンストリームの回路素子へ伝播しないようにフィルタリングし、グリッチがシミュレーション結果に影響をおよぼさないようにすることもできます。グリッチ・フィルタリングは、1つの信号上のグリッチが、すべてのダウンストリームのロジックに非物理的なグリッチを生成するのを防ぎます。非物理的なグリッチが生成されると、信号のトグルレートおよび電力見積もりが過剰に高くなる可能性があります。XOR演算を実装するためにコンフィグレーションされる乗数や論理セルなど、すべての入力遷移が出力遷移を生成する回路素子では、特にグリッチが発生する傾向にあります。したがって、このような機能を備えた回路でグリッチ・フィルタリングを使用しないと、電力見積もりが過剰になる可能性があります。

注: インテルFPGAでは、最も正確な電力見積もりを得るためにグリッチ・フィルタリング機能を使用することを推奨しています。.vcdファイルの場合、Power Analyzerのフローは2つのレベルのグリッチ・フィルタリングをサポートします。

.vcdファイルリーダーは、シミュレーションのグリッチ・フィルタリングを補足するフィルタリングを実行しますが、精度はそれほど高くありません。.vcdファイルリーダーには論理ブロックのグリッチを除去する能力がありますが、特定のグリッチがダウンストリームの論理や配線に与える潜在的な影響に関しての判断はできません。シミュレーション中にグリッチをフィルタリングすると、ダウンストリームの配線と論理の自動的な切り替わりが回避されます。

注: Power Analyzerへの入力を生成するのではなく、デザイン検証のためにシミュレーションを実行する場合、インテルでは、機能性の観点からグリッチ・フィルタリング・オプションをオフにし、最も厳格で保守的なシミュレーションを生成することを推奨しています。Power Analyzerへの入力を生成するためにシミュレーションを実行する場合、インテルFPGAでは、グリッチ・フィルタリングをオンにし最も正確な電力見積もりを生成することを推奨しています。