システムが自分の好みをすべて確実に満たせる唯一の方法はゲーミング PC を 1 から組み立てることです。電源ユニットを含め、PC に搭載するパーツをすべてを自分で決めることで、パフォーマンスを犠牲にすることなく望みのフレームレートで、お好きなゲームを自信を持ってプレイできます。さらに、技術が進化したりゲームの好みやニーズが変化しても、予算が許す限り、自作 PC はアップグレードの可能性を残します。
PC の組み立ては難しそうに思えますが、管理できる手順に細かく切り分けると思っていたより簡単に感じるでしょう。そのため、ゲーミング PC を初めて組み立てるためのステップ・バイ・ステップの総合ガイドとして、インテルのベテランビルダーのヒントとテクニックを添えてまとめました。
準備 1: PC 組み立ての道具
最初に、組み立てに必要な道具を準備しましょう。予め必要な道具を準備するとその後の組み立てを大幅にスムーズに進めることができます。
- 作業台 テーブルなどの広い作業台が必要です。(精密パーツにダメージを与えてしまう) 静電気放電をうっかり起こしてしまわないように、カーペットが敷かれていない床に立つようにしてください。
- ドライバー。ほぼ全ての手順で使うフィリップス型ドライバー No.2 が必要です。M.2 デバイスを取り付ける場合には、フィリップス型ドライバー No.0 が必要になります。
プロからのヒント: 磁気ドライバーがあれば、ケース内にネジを落としてしまうのを防げます (磁気チップの磁力は微弱で、パーツに影響を及ぼすことはありません)。
準備 2: ゲーミング PC のケース
パーツ選びを始める前に、ケースについて、少なくともケースのサイズを気に留めておく必要があります。
ケースを選択する際に最も意識することは、PC を設置する場所です。最終的に PC を多く場所によって、どれだけ大きくできるか (またはできないか) が決まるので、さまざまなプレミアム機能を搭載するケースに予算を割く価値があるのか判断する材料にもなります。例えば、パソコンを机の下に隠して設置するなら、強化ガラス・サイドパネルにお金を出したくはないでしょう。
一般的に、ケースにはフルタワー、ミドルタワー、ミニタワーの 3 つのサイズがあります。これは非常に大まかな分類ですが (メーカー間でケースのサイズは標準化されていません)、マザーボードのサイズによって分類されます。
準備 3: ゲーミング PC のパーツ
では、パーツについてまとめてみましょう。このステップにどれだけ手を入れるかはあなた次第です。自分で個々のパーツを徹底的に調べて予算やニーズに合わせて 1 からカスタムビルドを作り上げることも、組立済のマシンをオンラインで見つけて調節することもできます。
パーツを選ぶ前に、必ず予算を決める事をお勧めします (パーツを買うとき、すぐに予算オーバーになりやすいです)。いつでもパーツをアップグレードすることができるのを忘れないでください。
プロからのヒント: 購入する前にパーツのリストを作成しておきます。すべてのパーツが、ほかのすべてのパーツと互換性があることが必要です。
プロからのヒント: 特定のゲームをプレイするために今回 PC を組み立てる場合、そのゲームの推奨システム要件を確認し、それに応じて計画を立てます。
ケースに加え、ゲーミング PC の組み立てには以下のパーツを使います。
- 中央処理装置 (CPU)
- マザーボード
- メモリー (RAM)
- グラフィックス・プロセシング・ユニット (GPU)
- ストレージ
- 電源ユニット (PSU)
- システム冷却
- ゲーミング周辺機器
- オペレーティング・システム (OS)
では、それぞれのパーツの役割とその必要性、そして購入時に気をつけるポイントを見ていきましょう。
ステップ 1: CPU の取り付け
パーツ/ 道具: マザーボード、CPU
マザーボードを静電気防止パッケージから取り出し、作業台の上に置きます。保護用プラスチック・キャップが装着された CPU ソケットを見つけます。プラスチックのキャップの角の 1 箇所、またはソケットそのものに小さな矢印が印字されています。この矢印の向きを頭に入れてください。
CPU ソケットの横に、小さな金属製のレバーがあります。レバーを下方向に押し下げて、横にソケットから離すようにずらすと、ソケットトレイが開きます。
CPU をパッケージから取り出します。CPU を扱っている間は、とにかく慎重に作業を行います。CPU と CPU ソケットは、いずれも物理的ダメージを極めて受けやすい (壊れやすい) です。CPU の端を持ち、指にはホコリや油が付いている可能性があるため、チップの底面にあるピンには決して触れず、さらにチップの上部にも触れないようにします。
CPU の角の 1 つに、矢印が示されています。この矢印とソケットの矢印を揃えて、ソケットに CPU を丁寧に置きます。CPU を丁寧に装着したら、レバーを下げて、元の位置に戻します。レバーを下げるには少し力が必要ですが、CPU を置く際には力は必要ありません。
ステップ 2: (オプション) M.2 SSD の取り付け
パーツ / 道具: マザーボード、M.2 SSD、フィリップス型ドライバー No.0、マザーボードのユーザーマニュアル
M.2 SSD を取り付ける場合、このタイミングで作業を行うのが適切です。まず、マザーボード上で M.2 スロットを見つけます。小さなネジが付いた、小さな水平方向のスロットです。スロットが見つからない、複数の M.2 スロットが見つかった、または複数の M.2 SSD を取り付ける場合、マザーボード付属のユーザーマニュアルを確認してください。
フィリップス型ドライバー No.0 で小さなネジを外します。ネジはなくさないようにしてください。
M.2 SSD をスロットにそっと差し込みます。完全に差し込まれると、マザーボードに対して約 35 度の角度で斜めに立ち上がった状態になります。SSD を押し下げ、小さなネジを締め直して SSD を固定します。
ステップ 3: CPU クーラーの取り付け
パーツ / 道具: CPU が取り付けられたマザーボード、CPU クーラー、放熱グリス、CPU クーラーのマニュアル
CPU クーラーにはいくつか種類があります。正確な取り付け方法については、CPU クーラー付属のマニュアルを確認することをお勧めします。
クーラーによっては、取り付けブラケットが必要なものがあります。マザーボードには、あらかじめブラケットが取り付けられています。そのため、クーラーでブラケットを必要としない場合、あるいはクーラーが別のブラケットを使用する場合には、このブラケットを外すか取り替える必要があります。この作業は、マザーボードをケース内に格納する前に行ってください。
クーラーによっては、(CPU に触れる) 伝導体に放熱グリスがあらかじめ塗ってあるものとそうでないものがあります。クーラーにあらかじめ放熱グリスが塗ってない場合、クーラーを取り付ける前に自分で放熱グリスを塗布する必要があります。放熱グリスを塗るには、小さな粒サイズの量 (米粒よりも小さい量) を CPU の中央に絞り出します。その後、CPU の上にクーラーを配置すると、その圧力で放熱グリスは適度に広がります。
ステップ 4: メモリー (RAM) の取り付け
パーツ / 道具: マザーボード、RAM、マザーボードのユーザーマニュアル
マザーボードの RAM スロット数を確認します (通常 2 本か 4 本です)。利用可能な RAM スロットをすべて埋める場合は、単に RAM をはめ込むだけです。すべての RAM スロットを使用しない場合は、ユーザーマニュアルで正しい構成を確認して、それに応じて RAM を装着します。
ステップ 5: (オプション) ケースの外での動作テスト
パーツ / 道具: CPU と CPU クーラーを取り付けたマザーボード、RAM、GPU、PSU、ドライバー、マザーボードのユーザーマニュアル、PC モニター (GPU に接続済み)
これで CPU と CPU クーラーが取り付けられたため、すべてが動作することを確認するために、パーツの動作テストを簡単に行います。このテストは、いったんケース内にすべてを収納してからでは、実行することが (さらにトラブルシューティングも) はるかに困難になります。このテストを行うには、GPU を取り付けて、すべてを電源ユニットにつなぎます (GPU の取り付け方法が分からない場合は、以降のセクションを参照してください)。電源ユニットがマザーボード (CPU 8 ピンと 24 ピンの両方) と GPU につながっていることを確認したら、コンセントにつないで電源を入れます。
ハイエンドのマザーボードには、電源ボタンが付いているものもありますが、大半のマザーボードには付いていません。電源ボタンが見つからない場合、(カラフルなコブに突き刺さった小さな突起物が組み合わさった) 電源スイッチピンを探します。電源スイッチピンには、「PWR_ON」のようなラベルが記載されています。マザーボードのスイッチを入れるには、ドライバーを使用して両方の電源スイッチピンを同時に触れます。
これで、パーツが動かないか、正常に機能していないかが分かります。マザーボードのライトが点滅している、またはビープ音が聞こえる場合、おそらく何かを示そうとしています。マザーボードによっては (2 桁の) 通知コード・ディスプレイを装備しているものもあり、問題の特定に役立ちます。発生している状況を解明するには、ユーザーマニュアルを確認します。マザーボードに POST コード表示が装備されていない場合、GPU にディスプレイを接続して、システムが「ポスト」するか、システムが起動してマザーボードのロゴが表示されるかどうかを確認します。
動作テストが完了したら、電源ユニットの電源を切り、マザーボード上のすべての LED が消えるまで待ち、確実にシステムで残留電力がないようにします。GPU を取り外し、次のステップに進む前にすべての電源ケーブルを外します。
ステップ 6: 電源ユニットの取り付け
パーツ / 道具: 電源ユニット (PSU)、ケース、PSU ケーブル、フィリップス型ドライバー No.2
PSU を梱包から取り出し (または、動作テストを行った場合は、パーツから取り外し)、(可能であれば) そのケーブルを横に置いておきます。
ケースを確認して、PSU をどこに設置し (おそらく底の背面近く)、どのように配置するかを確認します。理想的には、(通気口を通して) 電源のファンがケースの外に向くように PSU を配置させます。ケースの通気口が底面にある場合、PC が完成したときに底面の通気口から十分なエアフローを受けられるなら PSU を上下逆に取り付けられます。
ケースに通気口がない場合、ファンが (ケース内で) 上向きになるように PSU を取り付け、十分な空間を確保します。
PSU に付属の 4 つのネジを使用して、PSU をケースに取り付けます。
非モジュラー式、またはセミモジュラー式の電源ユニットを使用している場合、直付けされているケーブルを使用する場所までケース内を通していきます (ケースにケーブル管理機能がある場合は、それを使用します)。
ステップ 7: マザーボードの取り付け
パーツ / 道具: ケース、マザーボード、I/O シールド (マザーボードに直接取り付けられていない場合)、フィリップス型ドライバー No.2、ネジ、マザーボードのユーザーマニュアル
マザーボードに、マザーボードのポートに合わせて切り抜かれた金属の長方形シートの単独の I/O シールドが付属している場合、まずケースの後ろに (正確な向きで) 正しく接続します。I/O シールドの端が鋭くなっているものが多いため、怪我をしないよう指での取扱いには気をつけてください。
I/O シールドの取り付けが終わったら、マザーボードを取り付けます。ケーブルがすべて正しい場所に通されていることを念のため確認し、その後マザーボードを取り付けます (まず、I/O シールドに合わせます)。フィリップス型ドライバー No.2 を使用して、最初のネジ (中央部のネジ) を取り付け、マザーボードを固定します。マザーボードを、シャーシ付属のスタンドオフに引っかけないように注意して作業します。
マザーボードの取り付けに必要なネジの数はボードによって異なりますが、フルサイズの ATX マザーボードでは、通常ネジ数は 9 個です。すべてのネジ穴でネジを締めます。
マザーボードに電源ユニットをつなげます。主に 2 種類の電源接続端子があります。8 ピン CPU コネクターはボードの上部にあり、24 ピン CPU コネクターはボードの端にあります。
ステップ 8: GPU の取り付け
パーツ / 道具: マザーボード、GPU、フィリップス型ドライバー No.2、ネジ、マザーボードのユーザーマニュアル
マザーボード上で PCIe* x16 スロットを探します。最も長い PCIe* スロットで、ほかのスロットと色が異なります。マザーボードに複数の PCIe* x16 スロットがある場合は、ユーザーマニュアルを確認し、1 つのスロットを優先させる必要があるかどうかを判断します。どのスロットでも使用できる場合、ほかのパーツが装着されている場所に応じて、どのスロットを使用するか判断します。GPU にはある程度の余裕スペースが必要です。
ケースによっては、I/O シールド (ケースのバックパネルを保護する小さな金属タブ) を取り除いて、GPU の I/O (HDMI、DisplayPort、DVI など) を収納し、シャーシの外からアクセスできるようにする必要があります。
GPU を静電気防止用パッケージから取り出し、慎重にケースのブラケットとスロットの両方をそろえて、PCIe* x16 スロットにゆっくり差し込みます (装着できるとカチッと音が聞こえます)。マザーボードの PCIe* タブは、固定位置に移動する事もあるので、GPUを再配置するときに注意してください。
GPU が完全に装着できたら、ネジを 1 つか 2 つ使ってケース背面に固定します。GPU に補助電源コネクターが必要な場合は、コネクターから電源ユニットにつなぎます。
ステップ 9: ストレージの取り付け
パーツ / 道具: マザーボード、SSD、HDD、フィリップス型ドライバー No.2、ネジ、ケース / シャーシのユーザーマニュアル
まずはケースを確認します。全てのケースでドライブベイの配置は少し異なります。
ケース内のどこかに、サイズの異なるベイがいくつもあることを確認してください。ツールフリーのベイの場合は、小さなプラスチックのスイッチが付いているか、単なる金属ブラケットのようにも見えます。
ストレージには、一般に 2.5 インチ (HDD および SSD) と 3.5 インチ (HDD) の 2 つのサイズがあります。ほとんどの 3.5 インチ・ベイには 2.5 インチ・ドライブを装着できますが、その逆はありません (3.5 インチ・ベイには、2.5 インチ・ドライブ用には設計されていないトレイが付いたものがありますが、それでも 2.5 インチ・ベイを搭載できます)。また、より大きなベイが備わったケースもあります。このタイプは光学式ドライブなど大型のドライブ用で、通常は前面の上部にあります。
ツールフリーのベイが搭載されている場合、それぞれのベイにはプラスチック・レバーかスイッチが付いています。レバーまたはスイッチを開くかロックを外し、トレイを取り出します。トレイにドライブを配置します。3.5 インチ・トレイには、2.5 インチ・トレイが装着できるように設計されているものもあります。その場合、動かないように固定するため、2.5 インチ・ドライブを 3.5 インチ・トレイにネジ留めする必要があります。
トレイをベイにスライドして戻します。きちんと装着しているか確認してください。
ツールフリーのベイが搭載されていない場合、薄い板がはめられているか穴が開いた (シートのような大きな) 金属ブラケットがあります。このいずれかの「ベイ」にドライブを装着するには、金属ブラケットとケースの側面の間でドライブをスライドさせ、きちんとネジで留めるだけです。シャーシのマニュアルが推奨するできるだけ多くのネジを使用しますが、十分なネジがない場合でも、ほとんどのドライブでは 2 カ所ネジ留めすれば十分です。
ドライブをすべて装着したら、(ドライブかマザーボードに付属の SATA ケーブルを使用して) マザーボードと電源ユニットにつなぎます。
ステップ 10: オペレーティング・システムのインストール
パーツ / 道具: PC、モニター、マウス、キーボード、フラッシュドライブに保存した OS
まだ USB フラッシュドライブに OS を準備していない場合、ここで準備してください。(上記の「準備 3: パーツの選択」に記載されている OS の項目を参照してください。)
OS が保存された USB フラッシュドライブを挿入し、モニター、マウス、キーボードをつないでから、PC に電源を入れます。
最初にキーを押してシステム・セットアップか BIOS に移動するように表示されます。キーを押して BIOS を開きます (画面があまりにも早く変わってキーを確認できない場合は、マザーボードのユーザーマニュアルを確認してください)。
まず、パーツがすべて取り付けられ、確実に認識されていることを確認します。PC のシステム情報が表示されている BIOS のページ (マザーボードが異なれば、BIOS のセットアップは異なりますが、この情報を表示する画面はあります) に移動し、システムがこれまで取り付けたすべてのものを確実に認識していることを確認します。
次に、「Boot Order」または「Boot Priority」と表示されるブートのページまで移動します。フラッシュドライブを 1 番に、OS をインストールするドライブ (ブートドライブとして SSD を使用している場合は、そこに OS をインストールします) を 2 番になるようにブートの順番を変更します。
PC を再起動します。PC が USB から起動し、OS のインストーラーがポップアップ表示されます。画面の指示に従って、インストールを完了させます。
まだ終わりではありません
このガイドを最後まで追ってマシンを完成した方、おめでとうございます (初めての組み立てなら特におめでとうございます)。しかし、作業をここで終了にする必要はありません。
自作のゲーミング PC を組み立てる最大の楽しみは、作業がいつまでも終わることがないということです。ハードウェアが進歩するにつれ、自作 PC のカスタマイズ性はほとんど無限です。自分のマシンをニーズと予算に合わせてお好きなように最新のものに更新できます。
新しいゲームの推奨動作環境を確認してみるときに、この可能性を頭に入れてください。今組み立てた PC は、この先のゲーミング体験の基盤となり、パーツの微調整も醍醐味です。
ゲーミング PC の組み立て方を学んだので、マシンを完全なバトルステーションの一部にすることも検討してみましょう。また、CPU のオーバークロックなどの高度なテクニックでマシンを最大限に活かせる方法を学んでみるのもよいでしょう。