放熱グリスの塗り方とその働き

重要なポイント:

  • 放熱グリスの紹介

  • いつセットするべきか?

  • 準備

  • 順を追った説明

  • 交換のタイミング

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PC の組み立ての世界を探究したことがあるなら、放熱グリスについてはご存知でしょう。この材料は、熱伝導グリス、ヒートペースト、CPU ペースト、サーマルゲル、サーマル・インターフェイス・マテリアル (TIM) などと呼ばれることもあります。呼び方が何であれ、CPU を正常に動作させるには、放熱グリスを正しく塗布することが重要です。

したがって、働きだけでなく、CPU を組むときに正しく塗布する方法も知っておくことが重要です。

いつ放熱グリスを塗布する必要がありますか?

熱伝導材は、冷却ソリューションを取り付けるときに使用します。PC の組み立ての観点から放射グリスについて考えるとき、注意を向けるのは、おそらく CPU クーラーの取り付け作業でしょう。例えばグラフィックス・カードを購入すると、サーマル・ソリューションは既に施されています。カスタム水冷などのアフターマーケット・ソリューションに関心がない限り、GPU へのクーラーの取り付けを心配する必要はありません。CPU クーラーの場合は好きなものを選べますが、同時に自分で取り付ける必要があることを意味します。

知っておくべき用語

放熱グリスの働きを正しく説明するには、使用するいくつかの用語を定義しておく必要があります。

中央演算処理装置 (CPU) - PC の情報処理センターです。すべての処理命令を実行し、コンピューター内の他のハードウェアに命令を送信します。コンピューターを身体に例えると CPU は脳であり、PC が機能するために極めて重要です。現代の CPU は 1 秒間に大量の処理を実行するため、熱が発生します。CPU を最高の効率で動作させるには、CPU を適切に冷却する必要があります。通常は、この目的のためだけに設計された冷却装置を使用します。このため放熱グリスが重要になります。CPU の製造方法にご関心がある場合は、製造プロセスの詳細を参照してください。

インテグレーテッド・ヒート・スプレッダー (IHS) - 金属製の CPU の「蓋」です。発生した熱をプロセッサー自体から CPU クーラーに伝導するヒートシンクとして機能すると同時に、内部のプロセッサーを保護します。ここがマザーボードに取り付けた後も CPU が露出している部分であり、放熱グリスを塗布する面です。

CPU クーラー - 動作中の CPU を適切な温度に保つ装置です。通常、CPU クーラーは空気または液体を使用して、CPU の動作によって生じる熱を移動させます。

ベースプレート - CPU の IHS に取り付ける空冷クーラーの金属ベースです。この設計により、熱がヒートシンクのフィンに伝わり、ファンで放散されます。

水冷ブロック - 一体型 (AIO) 水冷クーラーまたはカスタム冷却ループを使用する際に IHS に取り付ける装置です。IHS の熱を冷却液に伝導してから、ラジエーターでファンによって放散します。

放熱グリス - 冷却ソリューションを取り付ける前にプロセッサーに塗布する、銀色の物質です。プロセッサーの IHS から、熱を放散する CPU クーラーのベースプレートまたは水冷ブロックに熱を効率的に伝導できます。

放熱グリスが必要な理由

CPU クーラーの金属ベースと CPU の IHS は肉眼では滑らかに見えますが、これらの金属プレートには微細な凹凸があり、そのままでは熱伝導率が低くなります。この凹凸のため 2 つの面は完全に接触しません。放熱グリスはこの空隙を埋め、熱の伝導効率を上げます。

簡単に言うと、放熱グリスは CPU クーラーの働きを助け、CPU の温度が低くなるほど、スロットリングなどのパフォーマンスの問題が低減します。

放熱グリスを塗布する前の重要な準備工程

ほとんどのプロセッサーは、最大効率で適切に動作するために何らかのサーマル・ソリューションを必要としますが、PC に CPU クーラーを取り付ける方法には違いがあります。

CPU クーラーに放熱グリスは必ず必要ですが、取り付け作業を簡素化するために、多くの CPU には放熱グリスがあらかじめ塗布されています。放熱グリスが塗布済みかどうかを確認するには、CPU に取り付ける CPU クーラーのベースプレートまたは水冷ブロックの底を確認します。銀色のグリスが塗布済みの場合は、取り付け時に何かを追加する必要はありません。

作業前の注意事項:

  • CPU がきれいで、古い放熱グリスが付着していないことを確認します。付着している場合は、イソプロピル・アルコールと、糸くずの出ないマイクロファイバー製の布またはペーパータオルで CPU の蓋から慎重にグリスを拭き取り、乾燥させてから、作業を続けます。
  • 放熱グリスを塗布する前に、CPU クーラーの他の部品の取り付け準備が整っていることを確認してください。説明書を参照して、CPU クーラーを取り付けるまでのすべての手順が完了していることを確認し、必要な工具があることを確認します。

避けるべき状況:

  • 適正な量の放熱グリスを使用してください。おおよそ豆粒または米粒程度の大きさです。量が足りないと表面を完全に覆えず効果的に冷却できなくなる可能性があります。量が多すぎると金属面が離れすぎてグリスの効果が低下します。また、取り付け時にマザーボードにこぼれる危険があります。
  • 放熱グリスを自分で CPU にも塗りたくなるかもしれません。取り付けるベースプレートまたは水冷ブロックからかかる圧力に任せることをお勧めします。塗り方がまずいと、グリス中に気泡が形成され、熱の伝導に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • グリスを再利用しても、気泡が発生することがあります。取り付け作業中に問題が発生し、CPU クーラーを取り外す必要がある場合は、上記の手順に従ってすべてのグリスを完全に拭き取ってから、新しいグリスを塗り直してください。手元に塗り直すためのグリスがない場合など、一度塗ったグリスを再利用することは必ずしも不可能ではありませんが、短期的な解決策であることに注意してください。CPU クーラーを長期的に使用する前に、正しく塗り直すことをお勧めします。

放熱グリスの塗り方 - 作業手順

取り付け作業を開始する前に、このセクション全体をお読みになることをお勧めします。そうすれば、次に何をするかを知り、前もって計画することができます。

  1. 開始する前に、関連するすべての指示を読みます。 CPU クーラーと放熱グリスに付属する説明書などです。放熱グリスや CPU クーラーはブランドごとに多少の違いがあります。開始前に特性を把握しておくと、作業がスムーズになります。
  2. CPU の IHS の中心に放熱グリスを塗布します。 (クーラーに放熱グリスが塗布済みの場合は、この手順はスキップしてください) 必要なのはほんの少量です。インテグレーテッド・ヒート・スプレッダーの中央に、おおよそ米粒または豆粒の大きさを塗布するだけで十分です。
  3. CPU クーラーを取り付けます。クーラーのベースプレートまたは水冷ブロックを CPU の上に置き、上から軽く押さえて圧力をかけながら取り付け機構にクーラーを取り付けます。クーラーがずれず、放熱グリスを均等に広げる十分な力が必要ですが、力が強すぎればマザーボードがたわんだり、CPU が傷付いたりする可能性があります。クーラーをマザーボードの所定の位置に保持し、X を描く順番で、対角線パターンでネジを付けていきます (ネジ止めと仮定)。4 本すべてを取り付けるまでネジを完全に締めないでください。4 本のネジを付けた後、各ネジを数回ずつ回してから次のネジに移り、圧力が均等にかかるようにします。
  4. 作業を再確認します。CPU クーラーのベースプレートまたは水冷ブロックをしっかりと取り付けたら、取り付けをチェックして、すべてが正しく取り付けられていることを確認します。放熱グリスが CPU の端やマザーボードのどこにもはみ出してないことを確認します。放熱グリスがはみ出していたら塗布量が多すぎです。アルコールできれいに拭き取ってから、作業をやり直してください。汚れがなく、クーラーに触れても動かなければ完成です。この重要なステップは完了です。

放熱グリスはどのくらいの頻度で塗り直す必要がありますか?

ほとんどの場合、数年に 1 回以上塗り直す必要はありませんが、何らかの理由でクーラーを取り外した場合は、塗り直す必要があります。CPU の温度が上昇している場合は、放熱グリスの塗り直しも検討してください。

不確かな場合は、放熱グリスメーカーに問い合わせて指示に従ってください。

常に冷静に

放熱グリスは CPU や GPU のようなゲーム用ハードウェアほど話題になりませんが、これらのコンポーネントを最適な状態で機能させるためには不可欠です。放熱グリスの正しい塗り方を知ることで、CPU のパフォーマンスを最大限引き出すことができます。