CPU クーラー: 液冷と空冷の比較

液冷か空冷かを選ぶときに知っておくべきことは、これら 2 つの方法の仕組み、そしてあなたに適しているのはどちらかということです。1

他の強力な PC 部品と同様に、CPU は動作中に発熱するため、最高のパフォーマンスを発揮するには適切に冷却する必要があります。

インテルの System Thermal & Mechanical Architect である Mark Gallina 氏は、「通常の動作中、CPU 内のトランジスターによって電気エネルギーが熱エネルギーに変換されます。この熱により CPU の温度が上昇します。この熱に効率的な経路が存在しなければ、CPU は安全な動作温度を超えてしまいます」と述べています。

しかし CPU を理想的な温度で動作させ続けるために最適なのは、どのような方法でしょうか?プロセッサーを冷却する方法は多数ありますが、ほとんどのデスクトップ PC やノートブック PC は空冷式や液冷式のクーラーを使用しています。

ここでは、液冷式と空冷式それぞれの仕組み、長所と短所、そしてあなたに適しているのはどちらかについての違いを説明します。

CPU クーラーの仕組み

空冷式と液冷式の CPU クーラーはどちらも同じ原理で動作します。どちらもすることは基本的に同じで、熱を CPU から吸収して循環させて、ハードウェアから逃がします。

プロセッサー自体から発生する熱は、インテグレーテッド・ヒート・スプレッダー (IHS) と呼ばれる CPU の金属製の蓋に放出されます。さらに、CPU クーラーのベースプレートに伝えられます。この熱は液体またはヒートパイプを介してファンに流れるとクーラーから吹き出されて、最後に PC から放出されます。

根本的なメカニズムは似ていますが、この 2 つの方式は熱循環を全く違った方法で行います。

まずは、空冷クーラーです。

空気を使用した冷却

空冷クーラーでは、熱は CPU の IHS から、塗布された放熱グリスを通って、通常は銅やアルミニウムでできた導電性ベースプレートへ送られます。この熱エネルギーはベースプレートから、取り付けられたヒートパイプに移動します。

ヒートパイプは、熱をある場所から別の場所へ伝えるように造られています。このとき、熱が送られるヒートシンクは、RAM など他の部品のスペースを確保できるよう、マザーボードから隆起しています。これらのパイプは、エネルギーを熱の形で、ヒートシンクを構成する薄い金属フィンに伝えます。これらのフィンは冷却空気に触れる面積が最大になる形状をしており、そこで熱が金属から吸収されます。そして、取り付けられているファンが暖かい空気をヒートシンクから押し出します。

標準的な空冷式クーラーほどは知られていませんが、理論的に似ているのが、パッシブクーラーと呼ばれるものです。これらが使用している特殊構造のヒートシンクは、熱を吸収してファンを使わずに循環させます。これらは低騒音が優先されるビルドでは役に立ちますが、ほとんどのゲーム用コンピューターでは空冷式や液冷式のクーラーを使用しています。

空冷式クーラーの効果は、使用されている素材 (例えば銅はアルミニウムより導電性が高いが、価格はアルミニウムの方が安い) や CPU ヒートシンクに取り付けられているファンのサイズと数量などの要因によって変わります。ここでは、空冷式 CPU クーラーのサイズと構造の違いについて説明します。

大型の空冷式クーラーは放熱性に優れていますが、かさばる冷却装置を取り付けできる空間がいつもあるとは限りません。小型フォームファクター PC ではなおさらです。

空気冷却の利点についてさらに詳しく説明しますが、まず、比較のために液体冷却について見ていきましょう。

液体式の冷却

空冷クーラーと同様に幅広い選択肢がありますが、ほとんどが一体型 (AIO) クーラーとカスタム冷却ループという 2 つのカテゴリーに分けられます。ここでは主に一体型 (AIO) クーラーに焦点を当てますが、液体が CPU を冷却する基本的な原理はどちらも同じです。

空冷と同様、最初はベースプレートです。ベースプレートと CPU の IHS をつないでいるのが放熱グリスの層です。このおかげで、2 つの部品の表面間の伝熱性が向上しています。金属表面のベースプレートとつながっているウォーターブロックには、クーラントが充填されます。

クーラントは、ウォーターブロックを通るときベースプレートから熱を吸収します。それからシステム内を通過し、2 本のチューブのうち 1 本を通ってラジエーターに向かって上昇します。クーラントはラジエーターで空気に触れるので冷却が進み、ラジエーターに取り付けられたファンが熱をクーラーから逃がします。クーラントは再びウォーターブロックの中に入り、サイクルは最初に戻ります。

あなたに合う PC は?

どちらの冷却方式も適切に実装すると非常に効果的ですが、状況によって優劣が出ます。どちらを選ぶか決めるときに考慮すべきいくつかの要因があります。

価格

価格は、あなたの優先する機能に応じて大きく変わります。しかし、一般的には空冷式クーラーの方が動作が簡潔なので、コスト安です。

どちらにもエントリーレベルとプレミアムバージョンがあります。プレミアム・バージョンの空冷式クーラーはヒートシンクが大きく、ファンの性能が優れており、外観のデザインも多様です。ハイエンドの一体型 (AIO) 液冷クーラーには大型のラジエーターが付いているものがあり、ソフトウェアによるファンの回転数や照明をコントロールのように、外観面と機能面を交えたカスタマイズが可能です。

空冷式と液冷式のどちらの CPU クーラーも、求める機能に応じてさまざまな価格帯があります。

設置の容易さ

一体型 (AIO) 液冷クーラーは、たいていは通常の空冷クーラーよりも取り付けが複雑ですが、それでも比較的シンプルです。ほとんどがウォーターブロック、クーラントを循環させる 2 本のホース、ラジエーターだけで構成されています。ウォーターブロックを取り付ける手順 (これは空冷クーラーを取り付けるのと同様のプロセス)、そして余分な熱が容易に PC から出るようにラジエーターとファンを取り付ける手順が加わります。クーラント、ポンプ、ラジエーターは装置に内蔵されているので (「一体型 (AIO)」と呼ぶのはこのため)、設置後の監視やメンテナンスはほとんど必要ありません。

一方、カスタムループを取り付けるには、ビルダー側の手間と知識がより多く必要になります。最初の設置プロセスには、より時間を要しますが、柔軟性が加わることでより大幅なカスタマイズが可能になり、GPU など他のコンポーネントを必要に応じてループに含めることもできます。これらのより複雑なカスタムループを適切に実装することで、あらゆる形状とサイズのビルドも対応できます。

サイズ

空冷クーラーはかさばることがありますが、システム全体に分散されるものではなく、1 カ所に限定されます。一方、一体型 (AIO) では、ラジエーターのスペースが必要になります。また、ウォーターブロックやクーラントチューブの正しい向きや位置などの課題も考慮する必要があります。

とはいえ、小型のビルドの場合、かさばる空冷クーラーは最良の選択肢といえないでしょう。薄型の空冷クーラーや小型のラジエーターによる一体型 (AIO) のほうが適しているかもしれません。アップグレードを計画するときやケースを選ぶときは、選択した冷却ソリューションに十分なスペースがあり、選択したハードウェアにケースが対応できることを確認しましょう。

サウンド

特に一体型 (AIO) を使用していると、液冷方式は傾向として CPU ヒートシンクのファンより静かです。しかしこれも状況によって変わります。特に騒音を減らすよう設計されたファンを備えた空冷クーラーがあり、ファンの設定やファンの選択が発生する騒音量に影響を与えることがあるからです。しかし総合的に、液体冷却では、小型ポンプが十分に遮音されており、ラジエーターのファンは CPU ヒートシンクのファンより少ない RPM (毎分回転数) で回転するので、傾向として発生する騒音が減ります。

温度調整

オーバークロックを本格的に検討している場合や、ビデオのレンダリングやストリーミングのように CPU 負荷の高い作業を計画している場合は、液冷方式が最適でしょう。

Mark Gallina 氏によると、液冷方式は「純粋な伝導よりも多くの対流表面積 (ラジエーター) で熱を効率的に分散するので、ファン速度を小さくしたり (防音性向上) や総出力の向上が可能になる」ということです。

つまり、より効率よく、静かになるわけです。できる限り温度を低くしたい場合や、より静かなソリューションに関心があり設置プロセスが多少複雑であっても気にしない場合は、液冷が最適でしょう。

空冷クーラーは熱を CPU から逃がすのは非常に得意です。しかし、忘れてならないのは熱がケースに放出されることです。その結果、システム全体の周囲温度が上昇する可能性があります。液冷クーラーのほうが、その熱をラジエーターのファンを使ってシステムの外へ逃がすという意味でよい仕事をします。

選択する

では、最初の議論に戻りましょう。液冷式と空冷式、どちらのほうがいいでしょう?

答えは、コンピューターをどのように使うか、そしてあなたが予想するパフォーマンスとワークロードによって変わります。

ほとんど静かな動作、最も効率的な冷却を望んでいて、価格が潜在的に高くなっても気にしないのであれば、液冷方式がぴったりでしょう。

よりエントリーレベルの価格と設置が簡単な方式を探していて、ピーク・パフォーマンスや防音性を犠牲にしてもよい場合は、空冷方式をお勧めします。

選択する際は PC をどのように使用するのか、そして将来は PC をどのように使用するつもりなのかを検討しましょう。どちらも優れた方式ですが、その目的とされる使用事例はわずかに違いがあります。あなたのコンピューターの使い方にどちらが合っているか、決めるのはあなたです。

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