RAM (ランダム・アクセス・メモリー) はゲーム用 PC において重要なコンポーネントです。RAM を追加すると、メモリーが少ないシステムと比較して、システム応答性を高め、フレームレートを向上させることができます。
RAM の動作、互換性のあるモジュール、そしてゲーム用に本当に必要なメモリーを確認するために続きをお読みください。
RAM の仕組み
RAM の目的は、PC が適切に動作する際に必要な短期データを保存することです。しかし、データを永久に保存するハードドライブや SSD (ソリッドステート・ドライブ) と違い、RAM はシステムが再起動するたびにリセットします。
RAM は、「揮発性メモリー」であり、「不揮発性」 HDD または SSD と比較して、電源がある場合にのみ保存します。プログラムは、使用中に一時的に RAM に読み込まれますが、削除されるまでストレージ・ドライブに永久的に保存されます。
コンピューターはプログラムを動作させたり、タスクを実行するために一時データに素早くアクセスする必要があります。例えば、最新の PC ゲームでは、素材を迅速に取得する必要があります。ストレージデバイスでデータへアクセスするより桁違いに速いため、ゲームでは RAM にデータを読み書きします。
RAM にはマザーボードとの互換性はありますか?
RAM 容量と周波数について考え始める前に、RAM はマザーボードやプロセッサーと互換性があることを確認します。間違ったタイプのモジュールでは動作しません。仕様が正しくない RAM では、お使いの PC にとって十分な機能を果たしません。
モジュールタイプ
RAM はマザーボードのメモリースロットにはめ込むために、スティック状もしくはメモリーモジュール状になっています。お使いのシステムとの互換性がない RAM の場合、はめ込むことができない、あるいはうまく機能することができません。
現在のコンピューターのマザーボードは DDR4 RAM に対応しています。DDR4 は、旧世代の SDRAM の DDR3 と混同しないでください。この 2 つは互換できず、例えば 8GB の DDR3 を 16GB の DDR4 と交換することはできません。
DDR4 と SDRAM
コンピューターは SDRAM (Synchronous Dynamic Random Access Memory) と呼ばれる種類の RAM を使用します。「同期」DRAM は、プロセッサーの周波数と同期化されます。SDRAM は時間をかけて向上し、より低い電力消費、より速いデータ転送速度、より安定したデータ転送といったメリットを提供します。
DDR4 SDRAM は現代のコンピューターの基準です。DDR4 とは「ダブルデータ・レート 4」の略であり、SDR (シングルデータ・レート) SDRAM の代替となる第 4 世代の DDR テクノロジーです。DDR4 は、前世代よりも高速なデータ転送速度、大容量、低電圧を備えています。
新しい PC を構築したり、比較的最近のシステムで RAM をアップグレードする場合には、おそらく現行基準である DDR4 SDRAM を扱うことになります。
DDR4 に下位互換性がない理由 タイミング (以下を参照)、電圧、ピンカウントなどの特性が異なることが理由です。誤ってインストールしないようにするため、DDR4 モジュールの主要なノッチは DDR3 モジュールとは異なるピンの後ろに配置されており、DDR3 スロットにスライドできないようになっています。
互換性のあるメモリーを見つける簡単な方法はいくつかあります。システムまたはプロセッサーのドキュメントをチェックしたり、システム・プロファイリング・ユーティリティーを実行したり、オンラインのメモリー互換ツールを使用したりします。
フォームファクター
DIMM (デュアル・インライン・メモリー・モジュール) スティックは、デスクトップ・マザーボード用に設計された、より大きな RAM モジュールです。
SO-DIMM (スモール・アウトライン・デュアル・インライン・メモリー・モジュール) は、ノートブック PC、ミニ PC、一部の Mini ITX 小型フォームファクター (SFF) マザーボード向けの小型モジュールです。
重要な RAM の仕様
- 容量: ギガバイト (GB) 単位で測定。容量が増えるほど、アプリケーションでより多くのデータを保存できるようになります。高容量の場合、より多くのアプリケーションを同時に実行でき、ゲームではより大量の一時データを保存できます。
- 速度: メガトランファー毎秒 (MT/s) 単位で測定し、これはしばしばメガヘルツ (MHz) としても処理されます。ただし、クロック速度とは異なる測定となります。速度が速いほど、より速く要求を読み込み、書き込むことことができる、つまりパフォーマンスがそれだけ高いといえます。
ゲームに必要な RAM はどのくらいですか?
場合によります。集中セッションでゲームをプレイする予定ですか?または、ストリーミングやマルチタスクをお考えですか?
ゲームについては、AAA タイトルのベースラインは 8GB とみなされています。 しかし、RAM の需要はますます増加しています。例えば、レッド・デッド・リデンプション 2 は、最適なパフォーマンスのために 12GB のRAM を推奨していますし、Half-Life: Alyx は最低 12GB を必要としています。したがって、今後の新しいリリース作品をプレイするのにも十分なオーバーヘッドが必要な場合は、16GB の RAM を推奨します。
ゲーム以外にも楽しむ場合は 32GB を検討してください。これだけあれば、YouTube や Twitch を開いた状態でライブストリーミングや Discord でのグループチャットを行うことも可能です。
プロセッサーのメモリー仕様の「最大メモリーサイズ」を確認してください。
必要な RAM 速度はどのくらいですか?
容量と速度に適切なバランスがとれていることを確認します。32GB の遅い RAM も理想的ではない可能性が高いですが、4GB の高速 RAM も適切ではありません。
DDR4 RAM の速度はだいたい 1600MHz からスタートしますが、これは現在の基準では遅いと考えられています。
ゲームにおいて高速の RAM はメリットがあります。プロセッサーやグラフィックス・カードのアップグレードほどの目立った効果はありませんが、高速 RAM はゲームのパフォーマンスやフレームレートを向上することができます。
パフォーマンスの向上はゲームによって異なりますが、顕著なブーストが認められる場合もあれば、ほぼ影響がない場合もあります。アップグレードの価値を見るには、1 秒当たりの平均フレーム数のベンチマークを確認します。
フレームレートの向上に加え、高速 RAM はフレーム時間やフレームレートの安定性を向上することもできます。これはベンチマークで 1% と 0.1% の低値 (記録されたフレームの最低速の 1% と 0.1% の平均) として表されます。
フレームレート以外で、高速 RAM はロード時間の短縮といったゲームにおけるほかのパフォーマンスを向上することも可能です。
その他のほかで考慮すべき事項
取り付け
RAM は通常、2 つか 4 つのモジュールのセット (例えば「2x16GB」または「4x8GB」など) で購入できます。キットの購入前に、マザーボードにメモリースロットがいくつあるかを確認してください。
通常、デスクトップには 4 つのスロット、ノートブック PC には 2 つのスロットを備えています。エンスージアスト用 PC やワークステーションとなれば、8 つかそれ以上のものもありますが、ミニ PC や SFF のように独特のセットアップであればスロット数は異なってきます。
ノートブック PC で RAM をアップグレードする予定であれば、RAM がアクセス可能でありマザーボードに接合されていないことを確認してください。一部のノートブック PC では RAM の交換は推奨されていません。
デスクトップ PC のアップグレードを計画している場合、可能であれば将来拡張できるようメモリー・スロットを空けておくようにします。例えば、デスクトップ・リーブに 4x8GB キットではなく 2x16GB キットをインストールすると、将来的なアップグレードの際に 2 つのスロットが使える状態になります。
デュアルチャネル RAM が提供する帯域幅の増加を活用するには、対称スロットに 1 組以上インストールすることをお勧めします (通常は色分けされています) 。モジュールは同じ容量である必要があり、同じ速度であることが理想です。速度が一致しない場合、遅い方のモジュールに合わせて動作することになります。
デュアルチャネル RAM とは何ですか?
現在のコンピューターの多くがデュアルチャネル・メモリーを特徴としています。デュアルチャネル (またはインターリーブ) モードにより、CPU のメモリー・コントローラーが 2 チャネルを通じて RAM とデータ交換を行うことができます。2 本のメモリースティックで読み取りも書き込みも同時に可能です。これにより、利用可能な帯域幅が増加します。
デュアルチャネル・モードは、DIMM スロットが 2 つしかないほとんどのマザーボードで自動的に有効になります。しかしながらスロットが 4 つあるマザーボードで 2 本のメモリースティックを使用する場合には、同じチャネルを使用するためにメモリーは対称的にインストールする必要があります。スロットは色別に分けられていることも多いものの、交互か隣同士になっている可能性があります。具体的な取り扱い方についてはマザーボードの資料を確認してください。
理想的なパフォーマンスにするため、すべてのメモリーのスティックが同じ速度、容量、タイミングになるようにします。モジュール仕様が異なるものを混合して使うことは、可能な限り避けてください。
メモリーのタイミング
RAM 速度はパフォーマンスを判断する唯一の方法ではありません。
RAM のタイミングはレイテンシーや、RAM が所定のコマンドを実行する前の遅れを表します。メモリーのタイミングは、モジュールの工場ラベルに 16-18-18-36 などの数字で表示されています。
各数字は特定のテストに対応しています。例えば、最初の数字は CAS (Column Address Strobe) レイテンシー、つまりメモリーモジュールがメモリー・コントローラーからのリクエスト後にデータのセットを返すにあたって必要なクロックサイクルの数です。
タイミングに基づく RAM モジュールの比較は、複雑になることがあります。例えば、CAS レイテンシーは、サイクルの総数のみを示します。しかし応答性を判断する場合には各サイクルの継続期間も重要です。例えば、DDR3 メモリーは通常、DDR4 よりも低 CAS レイテンシーとなっていますが、クロック速度が遅いため、パフォーマンスは悪化します。
メモリーのタイミングは通常、ゲーム用 PC では検討事項としての優先度は高くありません。タイミングで重要なのは、BIOS で手動でタイミングを低減し、安定性をテストできるオーバークロッカーです。うまくいけば、既存の RAM から優れたパフォーマンスを発揮できます。
ほとんどのゲーム用 PC ユーザーにとって、RAM の容量と速度が最も重要な考慮事項です。
オーバークロック1 RAM
高性能 RAM を購入した場合は、オーバークロックでストック仕様を超えることが可能です。これを最も簡単にする方法は、インテル® エクストリーム・メモリー・プロファイル (インテル® XMP) を使用することです。
対応マザーボードの BIOS でインテル® XMP プロファイルが選択されている場合、電圧、タイミング、周波数が調整され、パフォーマンスを向上します。これらの事前に定義された設定は、安定性についてのテスト、認定済みです。
また、一部のマザーボード上でメモリープロファイルを調整することも、BIOS から微調整設定を手動で行うことも可能です。
開始するには、RAM をオーバークロックする方法に関するこの詳細なガイドをご覧ください。
美学と冷却
メモリー・ヒートシンクは、セットアップをきれいに見せることができます。しかし、純粋に見せかけだけというものもあります。
RAM はほかのコンポーネントと同じく熱が発生しますが、通常は高速で動作しない限り、著しく高温になることはありません。RAM を大幅にオーバークロックしていない場合は、ヒートシンクをスキップすることができます。ただし、ほかのコンポーネントと同様に、メモリーが適切なエアフローに当たっているか常に確認するとよいでしょう。
RGB ライティングを備えたメモリーモジュールもひとつのカスタマイズ要素であり、システムのビジュアルを向上させるものです。お選びの RGB メモリースティックがお使いのマザーボードの特定のブランドと互換性があることを確認してください。
ゲーム用 PC に最適な RAM はどのタイプですか?
最終的に、ゲームにどれだけの RAM が必要になるかは、お客様の予算と使用状況によって異なってきます。購入する前に RAM の仕様がお客様独自のニーズにあっていることを確認してください。
RAM とお使いのシステムのほかのコンポーネントは全体的なパフォーマンスのレベルを決定するのに大きな役割を果たしているため、それらのバランスがとれていることが重要です。
お使いのシステムのコンポーネントのバランスについての詳細は、「バランスのとれた PC」ガイドをご確認ください。