インテル® Quartus® Primeプロ・エディション ユーザーガイド: PCBデザインツール

ID 683768
日付 11/04/2020
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ドキュメント目次

1.1. サードパーティー・ツールを使用したシグナル・インテグリティーの解析

従来のFPGAデザインにおいて、インターフェイスの動作速度は高速化の一途をたどり、単一のPCBを構築する前の段階で、ボード上のFPGAと他のデバイス間のタイミングおよびシグナル・インテグリティーのマージンを仕様と許容値の範囲内に収める必要があります。

ボードトレースが綿密にデザインされていない、あるいはルートの負荷が高すぎる場合、信号のノイズがデータ破壊の原因となり、オーバーシュートおよびアンダーシュートにより時間の経過とともに入力バッファーの損傷を招くことがあります。

FPGAデバイスは高速アプリケーションで使用されるため、プリント基板 (PCB) 上におけるFPGAと他のデバイス間のシグナル・インテグリティーおよびタイミングマージンは、適切なシステム動作を保証するための重要な考慮事項となります。時間を要する再デザインおよび費用がかさむボードのリスピンを回避するには、クリティカルな信号のトポロジーおよび配線をシミュレートする必要があります。現在のFPGAデバイスで使用可能な高速インターフェイスは、正確にモデル化し、かつタイミングモデルおよびボードレベルのシグナル・インテグリティー・シミュレーションに統合する必要があります。FPGAのデザインとPCBへの統合に使用されるツールは、ボード配線のプロパティーとボード上で接続されているデバイスを考慮に入れる、「ボード認識」である必要があります。

インテル® Quartus® Prime開発ソフトウェアは、ボード上のインテル® FPGAデバイスと他のコンポーネント間において良好なシグナル・インテグリティーおよびタイミングマージンを確立する方法、リソース、およびツールを提供します。 インテル® Quartus® Prime開発ソフトウェアでは、3種類の解析が可能です。

  • デフォルトまたはユーザー指定の容量性負荷によるI/Oタイミングで、シグナル・インテグリティー解析は実行しない (デフォルト)
  • ユーザー定義のボードトレース・モデルを使用する インテル® Quartus® PrimeEnable Advanced I/O Timingオプションで、精度の高い「ボード認識」シミュレーション・ツールから高度なタイミングレポートを生成する
  • インテルによって提供あるいは生成されるIBIS (Input/Output Buffer Information Specification) モデルまたはHSPICE I/Oモデルを使用するサードパーティー・ツールによるボード全体の配線シミュレーション

指定された容量性テスト負荷を使用するI/Oタイミングでは、ロードのサイズの設定以外は特別なコンフィグレーションを必要としません。 インテル® Quartus® Prime Timing Analyzerまたは インテル® Quartus® Prime Classic Timing Analyzerからのタイミングレポートは、I/Oバッファー内のポイントツーポイント遅延のみを基にして生成され、指定されたボードについてのその他の詳細情報がない場合でも容量性テスト負荷が存在すると仮定します。負荷のデフォルトのサイズは、そのピンに対して選択したI/O規格に基づきます。シグナル・インテグリティー解析の詳細がなくても、タイミングはFPGAピンに測定されます。

Enable Advanced I/O Timingオプションは、ボードトポロジーと終端コンポーネントを考慮してI/Oタイミングレポートの詳細を拡張します。完全なポイントツーポイント・ボードトレース・モデルが定義され、タイミング解析で考慮されます。このボードトレース・モデルが定義できる機能は、 インテル® Quartus® Prime開発ソフトウェアが「ボード認識」であることを示す一例です。

この場合、I/Oバッファーと定義済みの遠端負荷との間のタイミングおよびシグナル・インテグリティーのメトリクスは、 インテル® Quartus® Prime Timing Analyzerによって生成された高度なレポートで解析および報告されます。

この章でのシグナル・インテグリティーについての情報とは、グランドバウンスあるいはVCCサグとしても知られる同時スイッチング・ノイズ (SSN) ではなく、I/Oバッファーのコンフィグレーションおよびボードのパラメーターを基にしたボードレベルのシグナル・インテグリティーを指しています。SSNは複数の出力ドライバーが同時に切り替わることで生成され、チップの電源供給の電圧を全体的に低下させてしまう原因となります。このことは、指定したグランドのレベルまたはデバイスのVCCに一時的なグリッチを発生させる場合があります。

この章は、FPGAデザイン者およびボードデザイン者を対象としており、デザインをシミュレートするための概念と手順、およびボードレベルのタイミングとシグナル・インテグリティーを向上させるためのデザインの調整方法について詳しく説明しています。また、 インテル® Quartus® Prime開発ソフトウェアを使用した正確なモデルの作成方法およびこれらのモデルのシミュレーション・ソフトウェアでの使用方法についての情報も含まれています。

この章に記載されている情報は、 インテル® Quartus® Prime開発ソフトウェア、シグナル・インテグリティーの基礎的概念、および良好なPCBデザインのデザイン手法やコンポーネントについて一定の知識を持つ方を対象としています。また、シミュレーションのセットアップ方法および使用するサードパーティー・シミュレーション・ツールについての知識も必要となります。