インテル® FPGA Power and Thermal Calculatorユーザーガイド

ID 683445
日付 4/01/2024
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ドキュメント目次

4.2. インテル® FPGA PTC - 共通のページ要素

インテル® FPGA Power and Thermal Calculator (PTC) は複数のデータ入力ページに分割されており、それぞれのページでFPGAリソースのサブセットの電力データを入力することができます。次の要素は、複数のページに共通します。

再計算モード

Recalculate mode のプルダウンは、開いているデータ入力ページに関係なく、 インテル® FPGA PTCの左上隅にあります。利用可能な設定は、Automatic モードと Manual モードです。

  • Automatic - Automatic モードでは、入力値を変更すると、システムはすべてのフィールド値を自動的に再計算します。Automatic は、デフォルトのモードです。
  • Manual - Manual モードでは、システムは自動的に計算を行ったりフィールドを更新したりしないため、出力フィールドは最後の既知の値に設定されたままになります。警告メッセージがメッセージリストに表示され、「Recalculation Needed」のステータスバーが Recalculate mode プルダウン横に表示されます。このステータスバーは結果が古いことを示し、デザインの計算を更新する方法を提供します。再計算を行うには、Recalculate mode プルダウンの右にある青いボタンをクリックする、またはキーボードの F9 キーを押す、もしくは Automatic モードに切り替えます。
ヒント: Automatic モードでは、再計算中に インテル® FPGA PTCが応答しなくなったように見える場合があります。複数の変更を行う際は、Manual モードを選択し、すべての変更を入力した後に一度だけ再計算を行うほうが効率的だと考えられます。

総熱消費電力

Total Thermal Powerフィールドは、特定のデータ入力ページのすべてのFPGAリソースで消費される総熱消費電力を見積もります。一部のデータ入力ページでは、総熱消費電力に関係しているコンポーネントの内訳も記載される場合があります。それぞれのページに表示される総熱消費電力に静的消費電力は含まれません。静的消費電力は、デバイス全体に対する Power Summary で報告されます。

熱消費電力は、デバイスで消費される電力です。各データ入力ページのTotal Thermal Powerフィールドには、デバイスで使用されているすべてのリソースの熱消費電力の合計 (動的および待機) が示されます。総熱消費電力には、I/O データ入力ページの熱コンポーネントのみが含まれており、電圧リファレンス終端抵抗などの外部の電力消費は含まれません。

リソース使用率

ほとんどのデータ入力ページには、その特定のページのモジュールのリソース使用率の見積もりを提供する1つまたは複数のフィールドが含まれています。 インテル® FPGA PTCは、選択されているデバイスの特定のリソースタイプで利用可能な最大量に基づき、この値を計算します。リソース使用率が100%を超えている場合は、現在のデバイスがデータ入力ページに入力されているリソースをサポートできない可能性があることを示しています。

電源レールの消費電流

ほとんどのデータ入力ページには、その特定のページのFPGAリソースで使用されるすべての電源レールの動的消費電流を示すテーブルが含まれています。同じ電源レールが複数のページに表示される場合があり、Report ページで報告される動的消費電流は、特定の電圧における特定のレールに対応するそれぞれのページの電流すべての合計です。Report ページには、静的消費電流も含まれます。静的消費電流は、それぞれのページでは報告されません。

注:
  • Agilex™ FPGAポートフォリオ・デバイスの場合、Power rail 概要は動的です。それぞれのデータ入力ページでは、そのページにリストされているリソースに関して、デザインで使用されているレールのみが示されます。Report ページの Power rail 概要には、選択しているデバイスのレールのみが表示されます。
  • Stratix® 10デバイスの場合、それぞれのデータ入力ページと Report ページの Power rail 概要は、利用可能なすべてのレールを示します (使用されているかいないかに関わらず)。
  • Agilex™ FPGAポートフォリオ・デバイスの場合は、Main ページの Power Characteristics フィールドを Maximum に設定していることを確認してください。 インテル® FPGA PTCは、Power CharacteristicsTypical に設定している場合に、特定の電源レールの消費電流を報告しません。

標準消費電力が最大消費電力よりも大きく見える理由 ( Stratix® 10デバイスのみ)

電力モデリングで採用されている手法により、 Stratix® 10デバイスの標準消費電力が最大消費電力よりも大きく見える場合があります。すべての Stratix® 10デバイスは、製造プロセスにおいてテストされます。このテストには、各デバイスレールに引き出される最大静的電流と、すべてのレールで消費される合計静的電力の測定が含まれます。特定のデバイスで、各レールが同時に最大電流を引き出すことはありません。そのため、動作中のデバイスで実際に消費される合計静的電力は、各レールで測定された個別の最大静的消費電力の合計よりも低くなります。

インテル® FPGA PTCの Report ページ (および Quartus® Prime Power Analyzerのレールごとのレポート) は、実際の測定に基づくレールごとの最大静的消費電流を示すため、適切な電圧レギュレーターの選択に役立ちます。ただし、合計熱消費電力と合計静的消費電力を計算する際は、すべてのレールにわたる合計静的消費電力について、より現実的な (通常は低い) 想定を行っています。

Maximum 消費電力の値は、電力供給を実現する適切なレギュレーターのサイズと、冷却のための適切な熱ソリューションを決定するのに役立ちます。これにより、公開されている仕様での動作を保証します。

Typical 消費電力の値は、平均バッテリー寿命や総所有コストの見積もりに役立ちます。Typicalの値はプロセスの変動を考慮するもので、個々のデバイスの実際の測定に基づくものではありません。つまり、これは保証値ではありません。

報告される Typical 消費電力が Maximum 消費電力よりも大きくなる場合があります。この矛盾は、使用されているモデリング手法の結果であり、エラーを示すものではありません。

Agilex™ FPGAポートフォリオ・デバイスにおけるレジスターの動的消費電力

Agilex™ FPGAポートフォリオ・デバイスにおいて、レジスターの動的消費電力には、レジスターのすべてのポート (クロックポートを含む) で消費される電力が含まれます。クロックポートは電力を消費するため、クロック周波数が0ではないレジスターでは、電力消費もまた0以外になります。これは、Toggle % 列の値を0に設定している場合にも当てはまります。

パーセントでのデバイスのリソース使用率の入力

23.3リリースまでは、PTCはすべてのリソースに関して、数値によるリソース数の入力をサポートしていました。例えば、ロジック・コンポーネントの使用率を50%にする場合は、利用可能な合計数を特定し、その数の50%を計算してその値を入力する必要がありました。これは特に、数値の四捨五入に関する点で問題になっていました。

23.3リリース以降、リソース使用率をパーセント (10%など) で入力できるようになっています。「%」文字により、リソース数を整数として適切に計算し、適用するようにPTCに指示します。この変更は、動的消費電力を見積もるプロセスの高速化に役立ちます。DSP、ロジック、およびRAMリソースページでは、リソース使用率をパーセントで入力することができます。

注: PTCは、正のパーセントの値のみ、1から100の範囲で許可します。