インテル® FPGA Power and Thermal Calculatorユーザーガイド

ID 683445
日付 4/01/2024
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ドキュメント目次

2.2. FPGAデザイン作成中の消費電力の見積もり

FPGAのデザインが部分的に完成している場合は、 Quartus® Prime開発ソフトウェアで生成される .qptc ファイル (<revision name>.qptc) を インテル® FPGA Power and Thermal Calculatorにインポートすることができます。.qptc ファイルから インテル® FPGA PTCに情報をインポートすると、 インテル® FPGA PTCのデータを編集して最終デザインにおけるデバイスリソースの見積もりを反映させることができます。

Quartus® PrimeのPower Analyzer (QPA) を実行すると、.qptc ファイルが作成されます ( Quartus® Prime開発ソフトウェアの Processing > Start > Start Power Analyzer)。

デフォルトでは、このファイルにはプロジェクトのリビジョン名と一致する名前が付けられます。.qptc ファイルにカスタム名を指定する場合は、 Quartus® Prime開発ソフトウェアを介して行う (Assignments > Settings > Power Analyzer Settings > Power and Thermal Calculator export file name)、もしくは次の割り当てを .qsf ファイルで使用します。
set_global_assignment -name POWER_AND_THERMAL_CALCULATOR_EXPORT_FILE <filename>

インテル® FPGA PTCを Quartus® Primeプロジェクトで開く際 (Tools メニューから、もしくは quartus_ptc コマンドラインでプロジェクトを指定している場合) に、PTCはこの .qptc ファイルを検索して開こうとします。.qptc ファイルが見つからない場合は、エラーメッセージが表示されます。エラーメッセージを閉じた後に、 インテル® FPGA PTCを使用してデザインの情報を手動で入力します。

表 3.  FPGAのデザインが部分的に完成している際の消費電力見積もりにおける利点と制約
利点 制約
  • FPGAのデザインサイクルの早い段階において消費電力の見積もりを行うことができます。
  • デザインのリソースとパラメーターを調整し、それらを変更することによる総消費電力への影響を確認することができます。
  • Quartus® Prime開発ソフトウェアのコンパイル結果に基づき インテル® FPGA PTCを自動的に入力する柔軟性が提供されます。
  • 精度は、入力内容およびデバイスリソースの見積もりに依存します。この情報が (設計の途中または完了後に) 変化すると 、消費電力の見積もり結果の精度は低下する可能性があります。
  • 完全なデザインの詳細にアクセスすることができるPower Analyzerとは異なり、 インテル® FPGA PTCでは、実際のデザインの実装ではなく、平均値を使用します。例えば、 インテル® FPGA PTCでは、ALMコンフィグレーションの平均値を使用しますが、Power Analyzerでは、各ALMの正確なコンフィグレーションを使用します。

ファイルのインポート

.qptc ファイルをインポートすることは、時間と労力の削減につながります。インポートしない場合は、 インテル® FPGA PTCに情報をすべて手動で入力することになります。ファイルをインポート後に、任意の値を手動で変更することも可能です。.qptc ファイルは、 Agilex™ FPGAポートフォリオ・デバイス・ベース、または Stratix® 10ベースのデザインに作成することができます。これには、 Quartus® Prime Power Analyzerを実行します ( Quartus® Prime開発ソフトウェアの Processing > Start > Start Power Analyzer メニュー)。

インテル® FPGA Power and Thermal Calculatorへのデータのインポート

情報を変更する前に、.qptc ファイルを インテル® FPGA PTCにインポートする必要があります。また、ファイルのインポート後は、情報をすべて確認する必要があります。 Quartus® Prime開発ソフトウェアからファイルをインポートすると、デザイン、および Quartus® Prime開発ソフトウェアで指定されているデザインの設定に基づき、すべての入力値が入力されます。また、 インテル® FPGA PTCの以前のバージョンからエクスポートされた値をインポートすることも可能です。

インテル® FPGA PTCにデータをインポートするには、次の手順に従います。

  1. File メニューで Open をクリックし、既存の インテル® FPGA .qptc ファイルを検索します。このファイルは、現在もしくは以前のバージョンの インテル® FPGA PTCまたは Quartus® Prime開発ソフトウェアで生成されたものです。Open をクリックします。
  2. ファイルが インテル® FPGA PTCにインポートされると、カーソルがビジーから通常のものに変化します。インポート中に問題が発生した場合は、 インテル® FPGA PTCは PTC Import Warnings ダイアログボックスを表示します。予期しない警告をそれぞれ分析し、原因を把握してください。インポートの完了後に、 インテル® FPGA PTCの対応するフィールドを手動で変更します。

Stratix® 10デバイスの .qptc データを Agilex™ FPGAポートフォリオ・デバイスに向けた インテル® FPGA Power and Thermal Calculatorにインポートする場合

Stratix® 10デバイスをターゲットにしているデザインに対して Quartus® Prime開発ソフトウェアからエクスポートされたデータファイルを、 Agilex™ FPGAポートフォリオ・デバイス・バージョンの インテル® FPGA Power and Thermal Calculatorにインポートして使用する場合は、次の手順に従います。

  1. Stratix® 10バージョンのPower and Thermal Calculatorで、 Stratix® 10デバイスをターゲットにしているデザインに基づき Quartus® Prime開発ソフトウェアで生成された既存の .qptc ファイルを開きます。
  2. ファイルを .ptc ファイルとして保存し、 Stratix® 10のPower and Thermal Calculatorを終了します。
  3. Power and Thermal Calculatorを起動し、Open an existing PTC design file を選択します。ステップ2で作成した .ptc ファイルに移動し、Override family in design file をクリックします。
    図 2. 選択デバイスのオーバーライド
  4. 適切な Agilex™ FPGAポートフォリオ・デバイスを選択し、リソースやその他の設定を変更することで、 Agilex™ FPGAポートフォリオ・デバイスをターゲットとする希望のデザインを反映します。

以前のバージョンのEarly Power Estimatorファイルを インテル® FPGA Power and Thermal Calculatorにインポートする場合 ( Stratix® 10デバイスのみ)

Stratix® 10デバイスをターゲットにしているデザインに向けて Quartus® Prime開発ソフトウェアのバージョン19.4もしくはEarly Power Estimatorスプレッドシートのバージョン19.4からエクスポートされた .csv ファイルを、 Stratix® 10バージョンのPower and Thermal Calculatorバージョン20.3以降にインポートして使用する場合は、次の手順に従います。

  1. Quartus® Prime開発ソフトウェアまたはEarly Power Estimatorスプレッドシートのバージョン19.4からエクスポートされたEarly Power Estimatorの .csv ファイルを、 Stratix® 10バージョンのPower and Thermal Calculatorで開きます。
  2. ファイルを .ptc ファイルとして保存し、 Stratix® 10のPower and Thermal Calculatorを終了します。

インポートされた .ptc または .qptc ファイルを インテル® FPGA Power and Thermal Calculatorで既存のデザインに追加する場合

PTCでデザインを開き、File > Import Design コマンドを使用して外部の .ptc または .qptc ファイルをインポートし、インポートされた内容を現在のファイルに追加することができます。

File > Open コマンドとは異なり、File > Import Design は既存の内容をオーバーライドしません。インポートされた行は、関連するテーブルに新しい行として追加されます。

複数の行を含めることができないテーブルは、インポートされたプロファイルで指定されている場合でも影響はありません。インポートされたプロファイル内の単一値の行が、Import Design 操作前のPTCの値と異なる場合、PTCは警告メッセージを表示します。

注:

インポートプロセスに関するいくつかの一般的なガイドライン

  • Agilex™ FPGAポートフォリオ・デバイスまたは Stratix® 10のデザインに作成された .qptc ファイルは常に、同じデバイスファミリーで使用する目的で、 インテル® FPGA PTCにインポートすることができます。
  • Stratix® 10のデザインに作成された .ptc ファイルは、 Agilex™ FPGAポートフォリオ・デバイスをターゲットにしている同様のデザインで使用する目的で、 インテル® FPGA PTCにインポートすることができます。
  • Agilex™ FPGAポートフォリオ・デバイスのデザインに作成された .qptc ファイルは、 Stratix® 10のデザインで使用する目的で インテル® FPGA PTCにインポートすることはできません。
  • 元の Stratix® 10デザインの電力を消費するリソースの一部 (トランシーバーなど) は、インポートプロセスを介して引き継がれない場合があります。