MAX 10のクロッキングおよびPLLユーザーガイド

ID 683047
日付 2/21/2017
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ドキュメント目次

2.3.14. PLLリコンフィギュレーション

PLLは、いくつかの分周カウンタと異なるVCO位相タップを使用して周波数合成と位相シフトを実行します。 MAX® 10 PLLでは、両方のカウンタ設定をリコンフィギュレーションし、PLL出力クロックをリアルタイムで位相シフトすることができます。また、チャージ・ポンプとループ・フィルタ・コンポーネントを変更することも可能ですが、PLLの帯域幅に動的に影響します。

以下のPLLコンポーネントは、リアルタイムでコンフィギュレーションすることができます。

  • プリスケール・カウンタ(N
  • フィードバック・カウンタ(M
  • ポストスケール出力カウンタ(C0C4
  • チャージ・ポンプ電流(ICP
  • ループ・フィルタ・コンポーネント(R、C)

これらのPLLコンポーネントを使用して、FPGA全体をリコンフィギュレーションすることなく、以下の設定をリアル・タイムで更新することができます。

  • 出力クロック周波数
  • PLL帯域幅
  • 位相シフト

PLLをリアルタイムでリコンフィギュレーションする機能は、複数の周波数で動作するアプリケーションにおいて便利な機能となります。また、プロトタイピング環境でも有用な機能であり、PLL出力周波数をスイープし、出力クロック位相を動的に調整することができます。

たとえば、被試験デバイスの要件に応じて、テスト・パターンを生成するシステムが75 MHzまたは150MHzでパターンを生成して送信する必要があります。PLLコンポーネントをリアルタイムでリコンフィギュレーションすることにより、このような2つの出力周波数を数マイクロ秒以内に切り換えることができます。

また、この機能は、PLL出力クロックの位相シフトを変更することによってclock-to-out(tCO)遅延をリアルタイムで調整するために使用することもできます。この手法により、新しいPLL設定でコンフィギュレーション・ファイルを再生成する必要がなくなります。

図 24. PLLリコンフィギュレーション・スキャン・チェイン次の図は、新しい設定をシリアル・シフト・レジスタ・チェインまたはスキャン・チェインにシフトすることによるPLLカウンタ設定の動的な調整を示しています。シリアル・データは、scandataポートを介してスキャン・チェインにシフトし、シフト・レジスタはscanclkによってロックされます。scanclkの最大周波数は100 MHzです。データの最後のビットをシフトした後、1scanclkクロック・サイクル以上configupdate信号をアサートすると、スキャン・レジスタのデータでPLLコンフィギュレーション・ビットを同期的に更新します。

カウンタ設定は、個々のカウンタのクロック周波数に同期して更新されます。そのため、すべてのカウンタが同時に更新されるわけではありません。

ダイナミック・リコンフィギュレーション手法では、16進形式ファイル(.hex)やメモリ初期化ファイル(.mif))といったコンフィギュレーション・ファイルを使用します。これらのファイルはALTPLL_RECONFIG IPコアと併せて使用され、ダイナミック・リコンフィギュレーションを実行します。