衣料品店にある自動パーソナル・アシスタント・ロボット

サービスロボットとは?

ヘルスケア、小売、接客、物流などさまざまな業界において、人間の労働者を支援するためサービスロボットが有益な支援を行う様子を紹介します。

重要ポイント

  • 小売、接客、ヘルスケア、およぶ物流企業は、人間の労働者によるタスクの完了を助けるため、サービスロボットを使用しています。

  • サービスロボットの用途は、清掃や衛生維持から、在庫追跡、保安パトロール、自動駐車まで多岐にわたります。

  • サービスロボットは、経路案内や質問への回答に使用することで、顧客や患者の体験を向上させることができます。

  • インテルは、サービスロボットのタスク完了を支援する、ハードウェア、ソフトウェア、および開発ソリューションの多様なポートフォリオを提供しています。

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サービスロボットが行うこと

世界のサービス業界は、急速に変化していく消費者の動向や、人手不足、通商上の懸念、サプライチェーンの寸断など多くの外的要因に対処しています。そのため業界の一部では、その解決策としてサービスロボットなどの最先端テクノロジーを模索しています。

ビジネスにおける生産性改善と効率性向上のためにロボティクス・テクノロジーを活用することは、新しいアイデアではありません。産業用ロボットは製造業や倉庫で50年近く使用されており、現在でも使用されています。しかし、特に人間の労働者によるタスク完了の支援や、顧客に最善の体験を提供するよう役立てるためにロボットを使用するという考え方は比較的新しいもので、サービスロボットが初めて用いられたのはたった10年前の出来事です。

その目新しさにもかかわらず、ヘルスケア、接客、物流、小売といった、利益を上げつつ顧客を喜ばせる革新的な方法を求めているサービス中心の企業にとって、サービスロボットは急速に不可欠なものとなってきています。

さまざまな業界におけるサービスロボットの利用法

ロボティクス・テクノロジーは、あらゆる規模の企業や組織において、さまざまな方法で利用されています。サービスロボットの最も一般的な利用方法は、人間の従業員による日常的なタスクを支援し、最も重要である顧客や患者を中心とした仕事に注力できるようにすることです。

小売

小売会社では、顧客体験の向上とパーソナライズ、そして店舗運営の向上にサービスロボットが役立っています。

例えばアメリカ大陸、ヨーロッパ、中東、アジアのいくつかのグローバルな小売店では、Simbe 社の Tally 自律サービスロボット (AMR) を使用して、店内の販売業務を自動化しています。Using Tally はインテル® コンピューター・ビジョン・テクノロジーを利用して、およそ 10,000 品目を 30 分以内に検査し、ほぼリアルタイムで在庫情報やインサイトを店員に提供します。これにより、最終的には店舗業務を最適化し、顧客満足度を高めることにつながります。

多くの小売企業は、顧客体験の簡略化と強化をサービスロボットに期待しています。フィリピンのショッピング・モール・チェーンである SM Supermalls は、New Era AI Robotic (New Era) に依頼して、インテル® Pentium® プロセッサー N シリーズインテル® コア™ i5 プロセッサー U シリーズを搭載した音声対話可能なスマートサービス・ロボットを導入することで、来店客の体験を合理化、改善しました。来店客は AI 搭載ロボットに面白い質問をしたり、店内の行きたい場所や、店内にある映画館の次の上映時間について簡単に答えてもらったりすることができます。また、SM Supermalls はインテル® ディストリビューションの OpenVINO™ ツールキットを活用し、サービスロボットで顧客ごとにカスタマイズされたプロモーションやマーケティングを行いつつ、データの収集により、深いインテリジェンスを集めています。

ホテル

世界中のホテルにおいて、サービスロボットは顧客体験を強化しパーソナライズするために使用されています。宿泊客が到着するとインタラクティブな AI 搭載キオスクが挨拶し、サービスロボットは荷物を部屋に運ぶことで、チェックインのプロセスをシームレスで効率的にしています。AMR はルームサービスを部屋まで運び、人型ロボットはパーソナル・コンシェルジュとして振る舞います。

レストランおよび飲食サービス

飲食サービス業界も、サービスロボットを活用しています。シンガポールでは、最近 Crown Coffee バーが新入りのバリスタを迎えました。彼女の名前は Ella。完全自律型で 6 つの軸を持つロボットです。オンラインアプリにより注文を受けてから、コーヒーを入れてお客さんに出し、勘定をまとめてクレジットカードに請求するまで、Ella が行うことのすべては、インテル® Movidius™ VPUインテル® ディストリビューションの OpenVINO™ ツールキットインテル® Xeon®およびインテル® Core™ プロセッサー・ファミリーといったインテル® テクノロジーにより実現しています。

レストランにおけるサービスロボットの利用は、シンガポールだけにとどまりません。ゴーストキッチン (店内で食事するサービスを提供しない、デリバリー専用の調理場) は、食事の注文をお客さんに配送するため、自律サービスロボットを活用しています。最近まで、ゴーストキッチンはピザ屋などの配達専門の企業によって主に利用されていました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより生じた課題 (コンタクトレス・デリバリーのニーズ、コストの増加、労働力不足など) がゴーストキッチンの増殖を後押しし、より標準的なレストランビジネスのモデルとなってきています。人口密集地やキャンパスのような地域にある現代のゴーストキッチンの多くは、革新的かつ費用対効果の高いデリバリー方式として、自動運転サービスロボットの実験を行っています。インテル® ソリューションを用いている場合、この種の自律配送ロボットではリアルタイムのパフォーマンスと柔軟性を実現するためにインテル® Core™ および Intel Atom® プロセッサー搭載ソリューションが、空間認識機能にインテル® RealSense™ コンピューター・ビジョン・テクノロジーが、迅速かつ簡単なソフトウェア開発のための基本ツールとしてAMR 向けエッジインサイトなどが、またインテル® ディストリビューションの OpenVINO™ ツールキットがよく用いられます。

ヘルスケア

医療現場においてサービスロボットは、医療従事者と患者にとって安全な環境をつくるため、人間の作業員への物理的な負担を減らすため、そして最終的には患者に高レベルのケアを提供するため、幅広いタスクで用いられています。

例えば、オペレーションの効率化とより一貫した方法でプロセスが生じるよう、サービスロボットには、日常的なロジスティック業務がよく割り当てられます。

サービスロボットに割り当てられる一般的な業務としては、病室のセットアップ、在庫のトラッキングと発注、そして消耗品、医薬品、リネン類の運搬などが挙げられます。清掃・消毒ロボットは、施設を安全かつ清潔にするために役立ちます。アイルランドのスタートアップ企業である Akara が開発した、ある自律サービスロボットは、部屋や機器を衛生的に保てるよう使用されており、新型コロナウイルスのと闘いを支援しています。

医療現場におけるロボット技術や、医療用ロボットが患者の予後改善に貢献している様子について詳しく学びましょう。

物流

e コマースの売上が引き続き急増する中、現在の労働力不足を乗り越え、従業員を支援して燃え尽き症候群を防ぎ、倉庫のオートメーションを実現するため、物流企業はサービスロボットを使用しています。

ロボットアームには、物体のピッキング、配置、仕分けなどのタスクがよく割り当てられます。また、AMR は倉庫を単独で移動できるので、素材を人間の労働者に運んで受注処理の正確化と効率化を図るために用いられます。両方のタイプのサービスロボットは、ビジョンセンサーと AI テクノロジーで強化し、「見る」能力を実現できます。これにより、ロボットは物体をより正確に検知、分類、仕分け、ピッキング、梱包できるようになります。

FedEx など一部の物流会社では、ARM を使ってラストワンマイルの商品配送を実験しています。これは配達チェーン全体の中でも、しばしば最も高くつき、最も生産性が低い部分です。同日配送業務の課題に対処するため、FedEx は FedEx SameDay Bot と名付けた自律移動ロボットを製作し、現地の小売業者と協力して、顧客の注文をその家に直接届けています。このボットは、熱い食べ物や冷たい食べ物を含む荷物を運びながら、歩道や未舗装の路面、階段を移動できます。

個人用サービスロボット

あらゆるニーズに応えるためのヒューマノイド・ロボットを家庭で持つというアイデアは、未だ夢物語です。しかし、パーソナルロボットに日常の清掃作業を手伝わせるということは、世界中多くの家庭にとって今や現実となっています。

最近、Samsung Electronics はインテル® Movidius™ ビジョン・プロセシング・ユニット・テクノロジーを搭載した世界初のロボット型個人向け掃除機を発売しました。Jet Bot AI+ と名付けられたこの掃除機は、競合他社の市販ロボット型掃除機と比べて物体を認識できる数が最も多いと Samsung Electronics は述べています。Jet Bot AI+ は LiDAR センサーとアクティブステレオ・カメラ 3D センサーを搭載しているため、周囲のマップを作成でき、障害物を検知して回避できます。

サービスロボット: サービス業界の未来に不可欠な存在

絶え間なく課題に取り組み続けているサービス業界にとって、サービスロボットに投資し、ロボットを活用して従業員を解放し、最善の顧客体験提供に集中させることは、事業を成功させるカギです。

インテルのグローバルなパートナーのエコシステム、長年の経験、そしてエンドツーエンドのロボティクス・ソリューションは、企業が生産性を高め、人間の安全を確保し、顧客を喜ばせ続け、将来にわたって事業を成功させるためにお役に立てます。

よくある質問 (FAQ)

よくある質問

サービスロボットは、ヘルスケア、接客、物流、小売りなど、サービスを中心とする業界のさまざまなタスクを人間の従業員が完了できるよう支援します。

サービスロボットは、世界中のホテル、レストラン、倉庫、病院および医療施設、そして小売店やショッピングモールで利用されています。

サービスロボットに割り当てられる一般的なタスクとしては、材料輸送、道案内、サニタイジング、保安パトロール、在庫管理、医薬品の配送、ルームサービスなどが挙げられます。