近くの手術台の上方で待機している外科支援ロボットの制御を可能にするコンソールに座る外科医

ヘルスケアにおけるロボット工学: 医療におけるロボットの未来

医療ロボットは手術を支援し、臨床ワークフローと病院のロジスティクスを合理化し、患者ケアと職場の安全性を強化します。

ヘルスケアにおけるロボティクスの概要:

  • 医療ロボットは、手術支援、モジュラー、および自律型といういくつかのカテゴリーに分けられます。

  • 医療分野におけるロボットの使用は、患者のケアと結果の改善に役立つとともに、手術の効率を向上します。

  • インテルのテクノロジーを活用したロボット工学は AI 支援による手術、オートメーション、およびリアルタイムの患者データ分析でイノベーションを推進します。

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1980年代に登場した医療分野で初めてのロボットは、ロボット・アーム・テクノロジーを通じて手術での支援を提供しました。長年かけて、人工知能 (AI) を搭載したコンピューター・ビジョンとデータ分析は医療ロボットを変革し、ヘルスケアの他の多くの分野に機能を拡大しています。

現在、ロボットは手術室だけでなく臨床環境でも使用され、医療従事者をサポートし、患者ケアを強化しています。例えば、病院や診療所では、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) パンデミックの中、病原体への接触を減らすために、より広範なタスクにロボットを導入しています。

また、ロボット工学とオートメーションの使用は研究所にも拡大し、技術者や科学者が発見を早めるためにより戦略的なタスクに集中できるよう手動、繰り返し、大量のタスクを自動化するために使用されています。

医療ロボット工学が提供する合理化されたワークフローとリスク削減は、多くの分野で価値をもたらしています。例えば、ロボットは独立して患者の部屋を掃除したり、準備をしたりすることができ、感染症病棟での人と人との接触を制限するのに役立ちます。AI 対応の薬識別ソフトウェアを搭載したロボットは、病院での患者の識別、照合、薬の配布にかかる時間を短縮します。

技術の進化に伴い、ロボットはより自律的に機能するようになり、最終的には特定の作業を完全に自分で行うようになるでしょう。その結果、医師、看護士、その他の医療従事者は直接的な患者ケアの提供にもっと多くの時間を費やすことができるようになるでしょう。

ヘルスケアにおけるロボティクスの利点

医療分野でロボット工学を使用することで、レベルの高い患者ケア、臨床環境における効率的プロセス、患者や医療従事者のための安全な環境を実現できます。

高品質な患者ケア

医療ロボットは、低侵襲処置、慢性疾患患者のためにカスタマイズされた頻繁なモニタリング、インテリジェントな治療法、高齢者患者のためのソーシャル・エンゲージメントをサポートします。また、ロボットが仕事の負担を軽減することで、看護師やその他の介護者は、患者により多くの共感と人間関係を提供することができ、長期的な幸福を促進することができます。

臨床ワークフローの合理化

自律移動ロボット (AMR) は、ルーチン作業を合理化し、人間の医療従事者への身体的な要求を減らし、より一貫したプロセスを確保します。これらのロボットは人材不足や課題に対応でき、備品、機器、薬剤の在庫が必要な場所に確実にあるよう在庫確認とタイムリーな発注を行います。清掃・消毒 AMR は、病室を殺菌し、入院患者に迅速に備え、医療従事者が患者を中心とした価値主導の作業に注力できるようにします。

安全な作業環境

医療従事者の安全を維持するため、AMR は病原体への接触リスクのある病院で備品やリネンの運搬に使用されています。清掃・消毒ロボットは病原体への接触を減らし、院内感染 (HAI) を抑えます。清掃・消毒ロボットはすでに何百ものヘルスケア施設で使用されています1。また、AMR の一種のソーシャル・ロボットは、ベッドや患者を移動するなど、力のいる作業を手伝うことで、医療従事者の身体的負担を軽減します。

手術支援ロボット

モーション・コントロール技術の進歩に伴い、手術支援ロボットの精度が向上しています。これらのロボットは AI とコンピューター・ビジョン対応技術により、外科医が複雑な手術を実施する際に、これまでにないレベルのスピードと精度を実現するために役立ちます。外科用ロボットの中には、自律的に作業をこなすことができるものもあり、外科医がコンソールから手順を監督できるようになっています。

ロボット支援を用いて行われる手術は、大きく分けて 2 つのカテゴリーに分類されます。

  • 胴体の低侵襲手術。これには、ロボット子宮摘出術、ロボット前立腺摘出術、肥満手術など、主に軟部組織を中心とした手術が含まれます。小さな切開部から挿入した後、これらのロボットは自分の位置を固定し、遠隔操作で手術を行うための安定したプラットフォームを作ります。大切開を用いた開腹手術は、かつてはほとんどの内臓手術で当たり前のように行われていました。回復にかかる時間が長く、感染症やその他の合併症の可能性が高くなっていました。ボタンサイズの切開を手作業で行うのは、経験豊富な外科医であっても非常に困難です。手術ロボットは、これらの手順を簡単で正確なものとし、感染やその他の合併症の削減を目指します。
  • 整形外科手術。デバイスは、人工膝関節・股関節置換術などの一般的な整形外科手術を実施するように事前にプログラムできます。スマート・ロボット・アーム、3D イメージング、データ解析を組み合わせたこれらのロボットは、空間的に定義された境界線を使用して外科医を支援することで、より予測可能な結果をもたらします。AI モデリングでは、正確な移動方向と手順の実施方法で特定の整形外科手術用にロボットを訓練することができます。

手術室からのビデオ配信を近くや遠くのほかの場所に共有することができるため、外科医は、その分野をリードするほかの専門家とのコンサルテーションの恩恵を受けることができます。その結果、患者には最高の外科医が施術に関わることになります。

外科ロボットの分野は、AI の活用が進むように進化しています。コンピューター・ビジョンは、手術ロボットが視野内で組織の種類を区別することを可能にします。例えば現在、手術ロボットは、手術中に外科医が神経や筋肉を回避するよう支援できるようになりました2。高精細 3D コンピューター・ビジョンは、外科医に詳細な情報を提供し、手技中のパフォーマンスを向上させることができます。ロボットはいずれ、外科医の注意深い監督の下で、縫合やその他の定義されたタスクなどの小規模で基本的な手順を引き継ぐことができるようになるでしょう。

またロボット工学は外科医の教育でも重要な役割を果たしています。シミュレーション・プラットフォームは AI とバーチャル・リアリティーを使用し、手術ロボット工学のトレーニングを提供します。バーチャル環境の中で、外科医はロボット制御を使用して手順を練習したり、スキルを磨いたりすることができます。

モジュラーロボット

モジュラーロボットは、他のシステムを強化し、複数の機能を実行するように構成することができます。ヘルスケア分野では、治療用の外骨格ロボットや義手・義足などがあります。

治療ロボットは、脳卒中、麻痺、または外傷性脳損傷後のリハビリ、あるいは多発性硬化症による機能障害を助けます。現在インテルと Accenture は、脊椎損傷の患者を日常のタスクで支援する車椅子装着型ロボットアームを開発しています。ロボットに AI と深度カメラを搭載することで、患者が所定の運動を行う際にフォームを監視し、異なる体の位置における動きの度合いを測定し、人間の目よりも正確に進歩を追跡します。また、患者さんと交流して指導や励ましをすることもできます。

自律移動ロボット

AMR は消毒、テレプレゼンス、薬剤や医療用品の運搬、安全な環境の創出などの重要なニーズを支援しながら、スタッフが患者ともっと時間を過ごせるようにできるため、ヘルスケア組織はしばしば AMR を活用しています。光検出と測距 (LiDAR) システム、ビジュアル・コンピュート、またはマッピング機能を搭載することにより、AMR は診察室または病室の患者のところまでセルフナビゲートでき、遠くの医師とのやり取りを可能にします。AMR をリモート・スペシャリストまたはその他の医療従事者が制御している場合は、医師が院内を巡回する際に AMR が同行し、スペシャリストが患者の診断とケアについて画面上でコンサルテーションを提供することができます。

一部のロボットは患者がチェックインする前に医療プロフェッショナルを支援できます。例えば、スタートアップの Roomie が開発したメキシコの自律型ロボットは、高リスクの新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 患者について医療スタッフを支援するために使用されています。RoomieBot と呼ばれるこのロボットは、患者が病院に到着すると体温、血中酸素レベル、病歴を確認してトリアージを行います。RoomieBot は、インテル® Movidius™ ビジョン・プロセシング・ユニット (VPU)、第 8 世代インテル® NUC、およびインテル® RealSense™ カメラで実行する AI アルゴリズムなど、インテル® プロセッサー・ベースのテクノロジーを使用しています。

その他ヘルスケアで使用されている AMR には、サービスロボットとソーシャル・ロボットがあります。

サービスロボット

サービスロボットは、日常的なロジスティック業務を処理することで、医療従事者の日々の負担を軽減します。これらのロボットの多くは自律的に機能し、タスクを完了するとレポートを送信することができます。これらのロボットは、患者の部屋を準備し、消耗品の追跡や購入指示書のファイリング、医療用品のキャビネットの補充、ランドリー施設へのベッドリネンの運搬などを行います。サービスロボットが一部のルーチンタスクを行うことで、医療従事者は患者の急ぎのニーズに注力する時間が増え、仕事の満足度を高めることができます。Aethon の TUG ロボットは正にそのためのサービスロボットです。TUG は複雑で変化する環境をナビゲートし、リネンを定期的およびオンデマンドの両方で看護ユニットに届けることができます。

またサービスロボットは清掃と消毒を手伝うこともできます。これらの AMR は紫外線 (UV) 光、過酸化水素蒸気、または空気ろ過を使用して、感染を減らし、手が届くところを均一な方法で殺菌することができます。スタートアップの Akara が開発した自律移動ロボットのプロトタイプは、ルーチンながら重要なタスクの 1 つである、紫外線光を使用した汚染表面の殺菌について試運転を行っています。その目標は、病院が部屋や機器を衛生化させ、COVID-19 との戦いを支援することです。

ソーシャルロボット

ソーシャルロボットは、人間と直接対話します。これらの「友好的な」ロボットは、社会的な相互作用と監視を提供するために、長期介護環境で使用することができます。ロボットは患者が治療計画に従うよう励ましたり、認知的エンゲージメントを提供したりして、患者が生き生きと前向きでいられるように支援します。また病院環境内で訪問者や患者に行き先を案内することにも使用できます。一般的に、ソーシャルロボットは介護者の仕事量を減らし、患者の情緒的な幸福感を向上させるのに役立ちます。

医療ロボット向けのインテルのテクノロジー

インテルのテクノロジーは、ハードウェア・メーカーとソフトウェア・プロバイダーの多様なエコシステムにおいて、ヘルスケア・ロボット工学ソリューションを実現します。インテルは、高性能な手術支援技術や、より良い患者モニタリング、専門家の診察、強化されたソーシャル・エンゲージメントなどを可能にするモバイル・デリバリーや自律型 UV 消毒ロボットなどの設計ニーズに対応するために、コンピューター・ビジョンをサポートする幅広い計算技術を提供しています。

医療分野におけるロボット工学の未来

マシンラーニング、データ分析、コンピューター・ビジョン、その他のテクノロジーが進歩するにつれて、医療ロボット工学はタスクを自律的に、さらにより効率的かつ正確にこなすよう進化するでしょう。

インテルは、テクノロジープロバイダーや研究者と協力して、次世代のロボットソリューションを模索しています。インテルはテクノロジーと研究支援を提供することで、医療ロボット工学の分野で AI と IoT テクノロジー向けの新しいアプリケーションの発見を推進します。これらの貢献は、自動化を促進し、効率を高め、ヘルスケアの最大の課題を解決するための継続的なイノベーションを支援しています。

ロボティクスとヘルスケアの未来

ヘルスロボット工学は、機械学習、データ分析、コンピューター・ビジョンなどの技術の進歩とともに進化を続けていくでしょう。あらゆる種類のロボットが、自律的に、効率的に、そして正確にタスクを完了させるために進化し続けるでしょう。

インテルは、テクノロジープロバイダーや研究者と協力して、次世代のロボットソリューションを模索しています。例えば、インテルラボ中国は、蘇州協働イノベーション医療ロボット研究所と提携し、スタートアップのための医療ロボットインキュベーターを設立しています。インテルは技術と研究支援を提供し、医療ロボット分野における AI や IoT 技術の新たなアプリケーションの発見を支援しています。これらの貢献は、自動化を促進し、効率を高め、ヘルスケアの最大の課題を解決するための継続的なイノベーションを支援しています。

よくある質問

医療分野で急成長している医療用ロボットの使用は、病院やクリニックの外科手術の精度を高め、効率化を実現しています。

医療分野のロボットは、いくつかの分野にまたがっています。例えば、外科用ロボットにより、低侵襲手術が可能になり、新しい外科医はキャリアの早い段階で複雑な手術を行うことができるようになります。自律移動ロボットが病院や診療所全体で使用されています。ロボットは事前に定義した通路の表面を清掃・消毒し、施設の中をセルフナビゲートして患者とやり取りし、医師によるリモートでの診察を実現します。

一般に、医療分野のロボットは日常的な作業で医療従事者を支援するために使用されています。ロボット支援は、研究所での繰り返しのタスクのオートメーションや、病院を自律的にナビゲートして病室にリネンを届けることから、患者が理学療法で所定の運動を行う際にフォームを監視することまで、幅広い範囲に及びます。

医療ロボットはヘルスケアを大きく変えています。ロボットにより、時間のかかるマニュアル・タスクをオートメーションを通じて過去のものとし、ヘルスケア研究を加速し、医師や看護師、その他の医療従事者が患者ともっと時間を過ごせるようにしています。手術支援ロボットは、手術室の外科医がこれまでにないスピードと精度を達成できるよう支援しています。自律型のソーシャル・ロボットは、社会的な関わりと監視を提供することで、患者の体験を向上することもできます。

ヘルスケアで使用される医療ロボットの主なタイプには、手術ロボット、モジュラー・ロボット、自律移動ロボットがあります。