ロボット工学の機能安全の概要

機能安全の基準とテクノロジーは、ロボットやその他の機械システム・アプリケーションを開発・実装する際に、信頼性の高い危険防止アプローチを企業に提供します。

 

 

重要ポイント

  • 人間とロボットのインタラクションは、さまざまな業界で必要不可欠なものとなっており、機能安全の必要性が高まっています。

  • 機能安全とは、システムが異常を検知して軽減することで、人々の安全を守るようにすることです。

  • インテルは、国際的な機能安全基準に準拠したロボティクス・ソリューション向けのセーフティ・クリティカル・アプリケーションの開発を合理化および迅速化するための機能安全対応製品を提供しています。1

  • インテルの機能安全対応テクノロジーは、セーフティ・クリティカル・アプリケーション、ワークフロー、ロボット工学、自律型システム、産業制御の開発を加速させると同時に、国際基準にも対応します。1

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機能安全とは

さまざまな業界の企業が協働型や自律型のロボティクス・テクノロジーをビジネスに取り入れるようになり、ロボットがより高度で有能になるにつれ、機能安全 (FuSa) 要件を満たすことの重要性が大きく高まっています。

機能安全とは、簡単に言えば「人々をテクノロジーから物理的に保護するべき」という考え方です。この考え方は、一連の基準と大規模な機械システムに実装されている自動安全システムに基づいています。これらの統合された自動安全システムにより、テクノロジーの異常の検出と軽減が可能になります。国際標準化機構規格 26262 (ISO 26262) では、FuSa を「電気および/または電子 (E/E) システムの異常に起因する不合理なリスクがないこと」と定義しています。

機能安全は、以下のような様々な異なる業種で実現できます。

  • 産業用オートメーションおよび産業制御
  • エネルギーおよび公益事業 
  • 自律オブジェクトおよびスマート・オブジェクト
  • 自動車産業
  • 輸送および車両事業

業界を問わず、FuSa の主な目的は、システム障害を軽減するための自動保護システムを確保することです。多くの場合、これらの障害は設計、製造、手順、ドキュメントの欠陥が原因で発生します。また、予期しない突然のハードウェア障害が原因で発生する場合もあります。

「FuSa は「電気および/または電子 (E/E)システムの異常に起因する不合理なリスクがない」場合に達成される」

ISO 26262

機能安全の利点とは

機能安全のアプローチを採用することで、企業にはいくつかの利点があります。

機能安全とロボット

テクノロジーが進歩し、ロボットと人間がより密接に連携するようになるにつれて、産業用ロボットの安全性に対するニーズがより一層高まっています。ロボットと人間のインタラクションの度合いに応じて、FuSa の役割や必要性がどのように変化するのか、下の図をご覧ください。

ロボットの安全性が重要な理由

人間とロボットの共同作業はますます一般的になってきています。そのため、人命に関わるような深刻な事態を避けるために、ロボットを安全に動作させる必要性が高まっています。

労働安全衛生は常に最優先事項ですが、ロボットの安全に関わる事故もまた、ビジネスに大きな影響を与えます。安全に関する規制要件への準拠、米国労働安全衛生局 (OSHA) やその他の国の同様の組織からの罰金、企業の評判への損害、負傷した労働者からの訴訟、長時間のダウンタイムは、ロボット安全性に関して深刻に考慮されるべき追加の懸念事項です。

FuSa とロボットの安全基準

FuSa とロボットの安全基準は、さまざまな業界、政府、消費者団体、専門家の代表からなる複数の世界的な管理団体によって策定されています。これらのグループは、安全基準を策定する際に、ハザードベースの安全工学手法を多用します。この手法により、「すべての危険源を特定し、人体へのエネルギー移動を低減または緩和するための措置を実施することで、安全に対する体系的かつ分析的なアプローチを取る」ことが可能になります。

国際的な安全基準は以下の組織により定められています。

  • 国際電気標準会議 (IEC)
  • 国際標準化機構 (ISO)

また、アメリカ合衆国、カナダ、イギリスなどの国にも独自の基準管理団体があります。有名な組織としては、以下のようなものがあります。

  • カナダ: CSA グループ
  • イギリス: BSI
  • アメリカ合衆国: ANSI

産業用ロボット・テクノロジーを具体的に設計する際には、3 つの主要なロボット安全基準を考慮する必要があります。

ISO 13849

国際標準化機構が定めた機械制御システムの安全規格である ISO 13849 は、ソフトウェアを含む安全関連部品を設計・統合する際の機能安全の実現を支援するものです。この規格は、機械制御システムに使用される特定の部品だけでなく、電気、機械、油圧などのさまざまなテクノロジーに適用されます。ISO 13849 に準拠することで、障害発生時に特定されたリスクを制御システムにより軽減できることを保証できます。

ISO 26262

国際標準化機構により策定された自動車用電子システムの安全規格 ISO 26262 は、システム的な不具合を回避できるようにするだけでなく、システムの誤作動の原因となるハードウェアのランダムな問題を検出、制御、軽減することを目的としています。

IEC 61508

国際電気標準会議が作成した IEC 61508 は、「電気、電子、プログラマブル電子 (E/E/PE) システムおよび製品のライフサイクル」に関する機能安全規格です。IEC 61508 では、自動安全機能を実行するシステムやデバイスのコンポーネントに含まれる潜在的なリスクや危険性を分析することが要求されます。この分析では、特定された潜在的な危険性とその影響が発生する可能性を判断する必要があります。また、IEC 61508 では、システム障害のリスクレベルを示す 4 つの安全度水準 (SIL) カテゴリーが提供されており、SIL の数値が高いほど障害の可能性が低いことを示しています。

インテルの FuSa ロボット・テクノロジー

インテルの機能安全対応テクノロジーは、セーフティ・クリティカル・アプリケーション、ワークフロー、ロボット工学、自律型システム、産業制御の開発を加速させると同時に、IEC 61508 (産業用) や ISO 13849 (ロボット制御機器) などの国際基準にも対応します。

インテルの FuSa 対応ソリューションは、4 つの柱からなるアプローチで構成されています。

  • FuSa に精通した専任エンジニアによる社内チーム 
  • インテルの機能安全ライフサイクル・プロセス。IEC 61508 に準拠した SIL 3 および ISO 26262 に準拠した ASIL D の外部認証を取得しています。
  • システム・オン・チップの安全性解析を標準化・自動化するソフトウェア・ツールと方法論
  • 技術資料、ソフトウェア・ライブラリー、およびハードウェア・ベースの診断ツール。これらを活用することで、高性能で機能安全に準拠したシステムを低価格かつスケーラブルに構築できます。

インテルのテクノロジーは、産業分野のお客様に求められる厳しい機能安全基準を満たすだけでなく、コスト削減や市場投入までの時間短縮にも貢献できるよう設計されています。
Intel Atom® x6000E プロセッサー・ファミリーは、据え置き型ロボット制御機器や AMR 向けアプリケーションの開発と導入を簡素化し、加速します。Intel Atom® x6000E プロセッサー・シリーズの一部の SKU は、認証機関である TÜV SÜD から IEC 61508 SIL2 と ISO 13849 の認証を取得しています。さらに、インテルのプロセッサーには、安全マニュアル、安全性解析、ユーザーガイドなどの技術資料も完備されています。
第 11 世代インテル® Core™ プロセッサー・ファミリーにインテル® Functional Safety Essential Design Package が追加されたことで、FuSa 規格に準拠する必要のあるミッション・クリティカルなアプリケーションの開発と認証を迅速に行うことができます。

開発のさらなる合理化、認証リスクの低減、市場投入までの時間短縮を図るため、国際基準管理団体と緊密に連携し、インテル® FPGA の FuSa 認証を取得しました。

成功事例

さまざまな業界の企業が、インテルの FuSA 対応テクノロジーとソリューションを活用して、ロボティクス・テクノロジーや自動化テクノロジーの導入認定プロセスを改善し、迅速化しています。

例えば、コンピューター製造会社兼ソフトウェア開発会社の SECO は、OEM が新しい認定ソリューションを迅速に開発できるように、SM-C93 SMARC モジュールを開発しました。SM-C93 は、Intel Atom® x6427FE および x6200FE プロセッサー・ファミリーをベースに開発されました。このプロセッサーは、FuSa 機能を統合したインテル初の IoT 向け強化プラットフォームであり、FuSa テクノロジーを Smart Mobility ARChitecture (SMARC) に実装する上で、モジュール式、柔軟性、小型デバイス化を実現します。
NexCOBOT は、インテル搭載の FuSa 対応 SCB 100 産業用 PC (IPC) ボードにより、ロボット導入を加速させています。SCB 100 製品は、ロボットメーカーとその顧客に、Cat 3 PLd のシステムレベル認証プロセスを促進するために必要なサポートとドキュメントを提供します。

人、製品、職場環境の保護を強化するための企業に対するインテルの取り組み

ロボット工学における機能安全の重要性は計り知れません。絶えず変化する規格、常に求められる安全性、そしてロボット工学とオートメーションにおけるコンピューティングの役割はますます重要になってきており、企業は柔軟で信頼性の高い革新的なソリューションを求めています。インテルの FuSa 対応テクノロジー、専門知識、確立された方法論、技術資料は、これらの企業のニーズを満たし、ロボット工学や自律型システムのための安全関連アプリケーションやワークフローの開発を促進します。さらに、安全性のニーズを満たし、それを上回る成果を実現します。

よくある質問 (FAQ)

よくある質問

OSHA によると、ロボット工学における安全性の問題の主な原因は、「人為的ミス、制御エラー、不正アクセス、機械的・環境的障害、電気・油圧・空圧の動力源」にあるといいます。

機能安全が重要なのは、人間やテクノロジーが動作する環境に対して危害および安全上のリスクを及ぼす前に、テクノロジーの不具合を特定・軽減するための適切な手段とシステムが確保されるようにするためです。

機能安全を中心としたアプローチの主な目的は、企業が国際的な機能安全基準を遵守していること、システム障害を予防、制御していること、システムの誤用を予防していること、設計の早期段階でリスク評価を完了していることを確認することです。

ロボットは、危険を伴う作業で人間を補助したり、人間に代わって作業を行ったりすることで、産業現場の安全性を高めることができます。ただし、ロボットにより人間の安全性を高めるには、まず企業が FuSa 規格を遵守し、ロボットに関する事故から人間を物理的に守ることが必要です。FuSa 規格は、ロボットのような機械のシステム障害を軽減するための自動保護システムが整備されていることを保証するものです。