インテル® エクストリーム・チューニング・ユーティリティー (インテル® XTU) によるオーバークロックのガイド

インテル® エクストリーム・チューニング・ユーティリティー (インテル® XTU) はオーバークロックを簡単にしてくれます。ここでは、この CPU オーバークロック・ソフトウェアを使用して、安定したオーバークロックを成功させるために知っておくべきことについて説明します。1 2 3 4

オーバークロックは、CPU (中央演算処理装置) の力をさらに引き出す実用的な手段です。

このプロセスは、プロセッサーをデフォルト仕様より高い動作周波数で動かすため、CPU の動作周波数を注意深く上げていき、動作周波数と電圧制御とのバランスを調整することで達成されます。正しく行えば CPU のパフォーマンスを向上し、その結果、PC 全体のパフォーマンスも向上する可能性があります。

このガイドでは、インテル® エクストリーム・チューニング・ユーティリティー (インテル® XTU) を使用して簡単に CPU をオーバークロックする方法について説明します。手動で安定したオーバークロックを実現するには、時間がかかりますが、この無料ソフトウェアを使えば、プロセスが大幅に簡単になります。

インテル® エクストリーム・チューニング・ユーティリティー (インテル® XTU) は、オーバークロックとその仕組みについて基本的な知識を持っている中級レベルのユーザーを対象にしています。基本的な知識がない場合は、オーバークロックを始める前にインテルのオーバークロック・ガイドを読むことをお勧めします。

このガイドでは、インテル® Core™ i9-9900K デスクトップ PC 向けプロセッサーとインテルの推奨を使用し、結果はそれを反映します。一部の設定は、同一モデルの CPU 間でも個体差があるため、使用しているプロセッサーによって変わります。同じようなハードウェアを使用していても、必ずしも筆者と同じ結果が得られるとは限りません。

動作周波数または電圧を改変すると、製品の保証が無効になる場合があり、プロセッサーや他のコンポーネントの安定性、セキュリティー、パフォーマンスや耐用年数が低下するおそれがあります。

Windows でインテル® エクストリーム・チューニング・ユーティリティー (インテル® XTU) を使用してオーバークロックする

長い間、オーバークロックは、オペレーティング・システムをロードする BIOS (Basic Input Output System) を使用して手動で行われてきました。今でもこの方法でオーバークロックすることはできますが、インテルは、Windows 内で使用できるソフトウェア・ソリューションを提供することで、このプロセスを合理化しました。

インテル® エクストリーム・チューニング・ユーティリティー (インテル® XTU) は、ユーザー・フレンドリーなインターフェイスを備え、最近のほとんどのマザーボード・ブランドおよびモデルに対応しているため、理想的なオールインワンのオーバークロック・オプションとなっています。

こちらから無償でインテル® XTU をダウンロードできます。

システムの監視

オーバークロックする際は、CPU の温度の監視が不可欠です。幸にも、インテル® XTU には、温度監視システムが組み込まれており、温度が危険なレベルに達したり、セーフガードが発動されたりすると、アラートで通知されます。

そのようなセーフガードの 1 つが、動的周波数スケーリングまたはサーマル・スロットリングと呼ばれるプロセスです。このプロセスは CPU 温度が設定した最大しきい値以上になるとトリガーされ、温度が下がるまでパフォーマンスを抑えて CPU を保護します。パフォーマンスの低下は、インテル® XTU ベンチマークの結果に反映されます。

このときインテル® XTU のインターフェイスでは、インジケーターが青 (OK) から黄色 (OK ではない) に変わります。

インテル® XTU を使用しているときに見られる予防手段はその他にもあり、オーバークロック中にそれらが発動されたときにそれが何であるかを知っておくことが重要です。

  • Power Limit Throttling (電力制限スロットリング)。この設定を使用すると、CPU が推奨仕様を超えてより多くの電力 (ワット) を消費するようにできます。
  • Current Limit Throttling (電流制限スロットリング)。[Processor Core ICCMAX (プロセッサー・コア ICCMAX)] スライダーを使用して、CPU に流れる電流制限を調整できます。この項目は、CPU から発生する熱にかなりの影響があるため、調整する前に、システムに十分に強力な冷却システムがあることを確認してください。
  • Motherboard VR Thermal (マザーボード VR サーマル)。マザーボードの VRM (電圧レギュレーター・モジュール) から流れる電力によって過剰な熱が発生したときに発動します。この問題を解決するには、マザーボードの最大配分温度を上げるか、冷却システムを再構成し、マザーボードの CPU 付近のエリアをより効率的に冷却できるようにする必要があります。

電力設定と温度を注意深く監視するのには理由があります。これらのパラメーターを調整するときは、電気部品の繊細さを忘れないでください。これらの変数を変更するときは、テスト間で大きな変更は行わず、適切な冷却ソリューションを使用してください。

詳細については、「消費電力と発熱量」を参照してください。

オーバークロック時に見られる安全パラメーターについて分かったら、オーバークロックの最初のステップを始めましょう。

ステップ 1 : ベースライン・パフォーマンス

セットアップに変更を加える前に、ベースライン・パフォーマンスの数値を確立しておくことが大切です。オーバークロックが成功したときに、パフォーマンスがどれくらい向上したか簡単に定量化できます。

ベースラインの確立には、インテル® XTU の 2 つのベンチマーク・オプションを使用できます。

Basic Tuning (基本的なチューニング): このタブでは、単純に [Run Benchmark (ベンチマークを実行)] ボタンをクリックします。システムのパフォーマンスがテストされ、スコアが表示されます。

Benchmarking (ベンチマーク): このタブにも同じく [Run Benchmark (ベンチマークを実行)] ボタンがあります。このセクションには、ベンチマーク中にプロセッサーが達した最大周波数や最大温度など、ベテランユーザーに役立つ詳細情報が含まれています。

ベンチマークが完了すると、ベースライン・パフォーマンスの指標となるスコアが表示されます。筆者のインテル® Core™ i9-9900K プロセッサーをテストしたときのベンチマーク・スコアは 3239 マークでした。皆さんのスコアは同じにはならないと思いますが、この数字は後で参照することになるので、必ず書き留めてください。

ステップ 2 : パフォーマンス設定の調整

パフォーマンス・スコアが分かったので、CPU の動作パラメーターを調整して、オーバークロックにチャレンジすることができます。

オーバークロックの基礎に関する詳細についてはこちらでご確認いただけます。なお、プロセスの基本は次のとおりです。最初に [CPU Core Ratio (CPU コア倍率)] を調整します。次に変更を適用し、Windows を起動します。起動したら、ベンチマークを実行し、スコアが改善されたか確認します。システムがクラッシュした場合、インテル® XTU に戻り、直近の動作することが分かっている設定に戻し、もう一度試します。設定をプロファイルに保存しておくと、このような場合に便利です。

オーバークロックに成功し、システムが安定する設定が見つかったら、インテル® XTU でプロファイルを保存し、動作することが分かっている構成を用意することができます。これはさまざまなテストを複製したり、成功したテストを保存したりするのに便利です。

プロファイルを保存するには、[Profiles (プロファイル)] タブに移動し、[Save (保存)] をクリックします。プロファイルに名前を付けて整理することもできます。

保存したプロファイルをロードするには、[Profiles (プロファイル)] タブに移動し、ロードするプロファイルを選択します。[Show Values (値を表示)] ボタンをクリックして設定をプリロードしてから (変更される値は黄色になります)、その設定を使用する場合は、[Apply (適用)] をクリックします。

インテル® XTU でオーバークロックを行う方法は、[Basic Tuning (基本的なチューニング)] と [Advanced Tuning (高度なチューニング)] の 2 つがあります。

Basic Tuning (基本的なチューニング)

その名が示すとおり、このオプションでは、調整できるパラメーターの数が限られています。オーバークロックが初めての場合にお勧めします。

このタブでは、[Processor Core Ratio (プロセッサー・コア倍率)] スライダーを調整して、1 倍単位でコア倍率を上げられます。倍率は一気に変えるのではなく、少しずつ上げ、再起動し、安定性を確認するのが最も良い手法です。

これは [Processor Cache Ratio (プロセッサー・キャッシュ倍率)] スライダーも同じです。このパラメーターは、CPU のうち、コアをプロセッサー・キャッシュに接続している部分の周波数を調整します。キャッシュ倍率の周波数をコア倍率より低くすると、パフォーマンスが低下します。オーバークロックが初めての場合は、両者をほぼ同じ周波数にしておくことをお勧めします。ただし、何が一番良いのか確認するために実験するのは自由です。

[Processor Core Ratio (プロセッサー・コア倍率)] と併せて実験したい場合は、片方ずつ倍率を上げ、変更を適用し、テストします。

変更と適用に成功したら、「ステップ 3: パフォーマンス向上の測定」に進みます。システムが不安定になり、フリーズしたりシャットダウンしたりした場合は、単純にシステムを再起動し、直近の動作することが分かっている設定を復元します。

Advanced Tuning (高度なチューニング)

[Advanced Tuning (高度なチューニング)] タブには、CPU の動作を細かく制御できる多くのオプションがあります。これはオーバークロックの原理をしっかり理解している上級ユーザー向けに設計されています。

ここでは、[Processor Core Ratio (プロセッサー・コア倍率)] を個々のコアごとに変更できます。全 CPU コアの倍率を一括変更するには、リストの最後のコアスライダーの右にある矢印を使用します。このセクションでは、[Processor Cache Ratio (プロセッサー・キャッシュ倍率)] の設定も細かく変更できます。また、「Basic Tuning (基本的なチューニング)」で説明したとおり、初めてオーバークロックするときは、これら 2 つを大体同じ程度に設定することをお勧めします。

もう 1 つのセクションでは Vcore (コア電圧) を調整できます。CPU を安定させたまま動作速度を上げるには、多くの電力が必要になるため、Vcore の調整が重要になります。システムが不安定になった場合に、コア倍率に合わせて Vcore を上げることができます。

デフォルトの Vcore が分からなくても Vcore を上げたい場合は、[Core Voltage Offset (コア電圧オフセット)] スライダーを使用できます。これは選択した値に現在の Vcore を加えます。これらの設定を変更するときは、変更幅が一度に 0.05V を超えないようにすることをお勧めします。

電圧の調整に関する注意:

  • CPU Vcore (コア電圧) を特定の値に変更したい場合は、単純にその値を [Core Voltage (コア電圧)] スライダーで選択します。
  • [Core Voltage (コア電圧)] スライダーと [Core Voltage Offset (コア電圧オフセット)] スライダーは適用時に合算されます。つまり、Vcore を 1.1V に設定してから、オフセットを +0.2V 追加すると、適用される Vcore は 1.3V になります。

[Advanced Tuning (高度なチューニング)] セクションには、いろいろ実験できる設定項目が多数ありますが、オーバークロックの初心者の場合、集中すべき主要な設定は、[Processor Core Ratio (プロセッサー・コア倍率)]、[Processor Cache Ratio (プロセッサー・キャッシュ倍率)]、および [Core Voltage (コア電圧)] です。他の設定をいじっても内蔵されている安全機能のおかげで、CPU を壊してしまう恐れはあまりありませんが、各設定がどのように CPU に影響するのかを正確に把握している場合を除き、これら 3 つの基本的な設定だけを調整することをお勧めします。

調整は常に少しずつ、一度に 1 項目ずつ行うことを忘れないでください。調整が終わったら、インテル® XTU インターフェイスの黄色い [Apply (適用)] ボタンをクリックします。

ステップ 3: パフォーマンス向上の測定

インテル® XTU 内で変更を終え、システムが安定することを確認できたら、今度は行った変更が CPU のパフォーマンスに良い影響を与えているか確認します。

確認するには、ベンチマーク・ユーティリティーを再度実行し、結果を前回のスコアと比較します。変更が適切であれば、ベンチマークで測定したパフォーマンスに向上が見られるはずです。この数字は、CPU の個体によって異なりますが、オーバークロック時は、一般に高い方が望ましい数字です。

納得のいくパフォーマンスの向上が得られた場合は、次のステップに進み、システムの安定性を検証します。納得できない場合は、システムのパフォーマンスが目標とするレベルに達するまでチューニング・プロセスを繰り返します。

この記事では、その目的上、インテル® XTU ベンチマークを使用して、CPU のパフォーマンスを測定しています。ビデオのエンコーディング、写真のバッチ処理、ゲーム内パフォーマンスなど、CPU の用途によっては、ワークロードをもっと正確に反映しそうな他のベンチマークを使用しても構いません。

さまざまなベンチマーク・オプションの詳細については、こちらを参照してください。

ステップ 4: システムの安定性とストレステスト

オーバークロック・プロセスの最終段階は、オーバークロックした CPU を使用しているときに、システムが安定した状態を維持できるか確認することです。シンプルなベンチマークを実行するだけでは、システムの全体的な安定性の確認には不十分です。ほとんどのベンチマークは、長期的な高ストレス CPU 使用環境を十分にシミュレートしていないからです。安定性を徹底的にテストし、負荷が重い状況でオーバークロックした CPU の動作を検証するには、比較的長時間のテストが必要です。

幸い、インテル® XTU には、ストレステストが組み込まれており、[Stress Test (ストレステスト)] タブから実行できます。テストするコンポーネント (CPU、メモリー、または内蔵グラフィックス) を選択し、テスト期間を決めます。期間は数秒から最大 30 日間まで設定できます。

テストすると有用な期間をいくつか紹介します。

  • 5 分 - クイック安定性テスト。休みなしの連続稼働のワークロードを反映してはいないかもしれませんが、インテル® XTU ベンチマークよりは厳しいテストです。
  • 30 分 - しっかりとした安定性を確立し、負荷がかかった状態での CPU の温度に関するインサイトが得られます。これは冷却ソリューションをテストする際でも確実な手法です。
  • 3 ~ 5 時間以上 - オーバークロックした状態での長期の連続稼働を検証します。

オーバークロックを簡単に

インテル® エクストリーム・チューニング・ユーティリティー (インテル® XTU) は、オーバークロックのプロセスをシンプルにし、そのメリットをすぐに安全に活用できるようにします。

このプロセスを満喫した方は、RAM のオーバークロックにもご興味があるかもしれません。オーバークロック対応ハードウェアをお探しの場合は、インテルのHow to Choose a Motherboardを参照してください。

免責事項

1インテル® テクノロジーを使用するには、対応するハードウェア、ソフトウェア、またはサービスの有効化が必要となる場合があります。実際のコストと結果は状況によって異なる場合があります。
2動作周波数または電圧を改変すると、製品の保証が無効になる場合があり、プロセッサーや他のコンポーネントの安定性、セキュリティー、パフォーマンスや耐用年数が低下するおそれがあります。詳細についてはシステムおよびコンポーネントの製造元にお問い合わせください。
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パフォーマンス・テストに使用されるソフトウェアとワークロードは、パフォーマンスがインテル® マイクロプロセッサー用に最適化されていることがあります。SYSmark* や MobileMark* などのパフォーマンス・テストは、特定のコンピューター・システム、コンポーネント、ソフトウェア、操作、機能に基づいて行ったものです。これらの要因のいずれかを変更すると、結果が異なることがあります。製品の購入を検討される場合は、ほかの製品と組み合わせた場合の本製品のパフォーマンスなど、ほかの情報やパフォーマンス・テストも参考にして、パフォーマンスを総合的に評価することをお勧めします。詳細については、http://www.intel.co.jp/benchmarks (英語) を参照してください。

4Intel、インテル、Intel ロゴ、その他のインテルの名称やロゴは、アメリカ合衆国および / またはその他の国における Intel Corporation またはその子会社の商標です。