クロック周波数とは?

重要なポイント:

  • CPU の速度は、プロセッサーがサイクルごとに実行できる計算数により決定されます。

  • 動作周波数は、ギガヘルツ (1 秒あたりの 10 億単位のサイクル数) で表示されます。動作周波数が高いほど、より高い熱が発生します。

  • インテル® ターボ・ブースト・テクノロジーにより、プロセッサーは通常の動作制限を超えて動作周波数を安全かつ効率的に増加させることができます。

  • CPU のオーバークロック1により、大幅なパフォーマンス向上が可能になりますが、より多くの電力が必要になり、より多くの熱が発生します。

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PC の「脳」である CPU のパフォーマンスは、プログラムの読み込み速度やスムーズに実行する上で大きな影響があります。プロセッサーのパフォーマンスを測定する方法はいくつかありますが、クロック周波数 (「動作周波数」または「クロックレート」) は最も重要なものの 1 つです。2

PC に搭載されている CPU のクロック周波数を確認するには、Windows OS が搭載された PC であれば、[スタート] メニュー (または Windows キー) の側にある検索ウィンドウに「システム情報」と入力してから「システム情報 アプリ」をクリックします。搭載されている CPU のモデルやクロック周波数が、[プロセッサ] 項目に表示されます。

動作周波数とは?

一般的には動作周波数が高い場合、CPU も高速になります。しかし、その他の多くの要素も影響する可能性があります。

CPU は、毎秒異なるプログラムからの多くの命令を処理します。これらの命令の一部には、単純な演算が含まれるものもありますが、その他はより複雑です。動作周波数は CPU が 1 秒に動作する回数を測り、単位は GHz (ギガヘルツ) です。

この場合、「サイクル」は CPU の速度を測定する基本単位です。各サイクルにおいて、プロセッサー内の数十億ものトランジスターが開閉します。これが、CPU が受信する命令に含まれる計算を実行する方法です。

以下に記されている通り、周波数は一定時間内の動作の多さです。

CPU の動作周波数が 3.20 GHz の時は 1 秒間に 320 億サイクルが実行されています。(旧型の CPU の場合、速度はメガヘルツ、つまり 1 秒あたり百万サイクル単位で表されます)

複数の手順が 1 回のクロックサイクルで完了する場合があります。また、1 回の手順が複数のクロックサイクルにまたがる場合もあります。CPU の設計はさまざまであるため、動作周波数は同じブランドや同世代の CPU で比較するのが良いでしょう。

例えば、新しいアーキテクチャーの方がより効率的に動作するように、5 年前には動作周波数が速かった CPU でも新しい CPU と比べてパフォーマンスが劣る場合があります。

インテル® スレッド・ディレクターなどの最新機能により、最新世代のインテル® プロセッサーは複数のコアにワークロードをインテリジェントに分配できます。これが、同様の動作周波数であるにも関わらず、新しいプロセッサーがベンチマーク・テストにおいて古いプロセッサーのパフォーマンスを上回ることが多い理由の 1 つです。

同じ世代の CPU 同士で比較すると、多くのアプリケーションで動作周波数が高いプロセッサーの方が動作周波数が遅いプロセッサーよりもパフォーマンスが優れています。このため、プロセッサーを同じブランドや世代で比較することが重要です。たとえば、インテル® Core™ プロセッサーの K シリーズは、アンロック対応でオーバークロックを可能にする一連のチップを搭載し、同世代の同様のプロセッサーよりも高い動作周波数を達成できることを示しています。

命名規則によるインテル® Core™ プロセッサー・ファミリーの解釈方法について詳しくは、インテルのガイドをご覧ください。

クロック周波数が高いほうがよい理由

クロック周波数は数値が高いほど、同一の処理をより短時間で完了できます。そのため、より高いクロック周波数で動作する CPU は、次の処理をより早く開始できるため、同一の時間内であればより多くの数を処理できることになります。ゲームであれば CPU のクロック周波数が高いほうが、より快適でスムーズなゲーム体験ができることになります。

クロック周波数がゲームに与える影響とは?

マルチコア CPU が登場する以前、動作周波数はシングルコア・プロセッサーを比較する上で重要なスペックとみなされていました。今日、これは次のようなその他の多くの要素とともに考慮されています。

  • CPU に含まれるコア数
  • CPU キャッシュのサイズと効率
  • CPU が消費する電力量

個々のゲームにおける動作周波数の影響はゲームのエンジンとツールにより異なります。例えば、FromSoftware の Elden Ring は、シングルコアのパフォーマンスに大きく依存する独自のゲームエンジンを使用しています3。一方、Infinity Ward の Call of Duty: Modern Warfare 2 はコアのマルチスレッドを最大限に活用するように設計されています。このように、動作させるのに十分な数のコアがあれば、古くて遅いプロセッサーを使用していても、ゲームは素晴らしいパフォーマンス・ベンチマークを達成できるようになります。

これらの例では、特定のベンチマークが、特定のゲームエンジンにおいて CPU のパフォーマンスにアクセスする最善の方法であることを示しています。しかし、動作周波数は、依然として、製品ファミリー内のプロセッサーの相対的パフォーマンスに関する一般的なガイドとして優れています。

ターボ周波数とは?

インテル® プロセッサーの仕様は、ターボ時最大周波数とプロセッサーの基本動作周波数を掲載しています。プロセッサーの基本動作周波数は CPU の通常動作ポイントを示し、ターボ時最大周波数はプロセッサーがインテル® ターボ・ブースト・テクノロジーを使用することで達成できる最高速度です。

インテル® ターボ・ブースト・テクノロジーは、動作周波数を動的に強化し、負荷の高いワークロードに対応します。ユーザーによるインストールや設定は必要ありません。テクノロジーは、システムが耐えうる熱量と使用中のコア数を判断し、動作周波数を最大限の安全レベルに高めます。

プロセッサーの基本周波数とターボ時最大周波数は、2 つのコア・パフォーマンス指標であり、異なる用途のシナリオを示します。負荷の高いゲームにおいては、ターボ時周波数が、より重要な指標です。この数値は、適切に冷却されている環境で、CPU に最も負担をかけるゲームタイトルにおいて、高度に詳細な環境を移動したり、戦略ゲームで敵の番における AI の行動を計算するなど、高負荷のゲーム・ワークロードを処理する際に CPU が動作する速度です。

CPU のクロック周波数を調整するオーバークロック

「オーバークロック」とは、CPU の動作周波数を高速化して処理能力を増やすことです。前述のように、名称に「K」のついたインテル® CPU には、アンロック対応の「マルチプライヤー」が備わっており、オーバークロック対応のマザーボード・チップセットと組み合わせた場合、容易なオーバークロックが可能です。

オーバークロックは、最新世代のインテル® Core™ プロセッサー・ファミリーのようなハイエンド CPU 向けにも、FPS の改善をもたらします。インテル® Speed Optimizer は、すべてのインテル® プロセッサー向けにワンクリックでのオーバークロックを可能にします。これは、エキスパートでも初心者でも、オーバークロックのパフォーマンスを安全に最適化できることを意味します。

CPU マルチプライヤー (「CPU 比率」と呼ばれることもあります) は、CPU のパフォーマンスを CPU のベースクロック (または BCLK) 速度のマルチプライヤーとして表します。例えば、CPU マルチプライヤーが 46 でベースクロックが 100 MHz の場合、動作周波数は 4.6 GHz です。システムの BIOS 設定の BCLK はインテルの仕様で言及される「プロセッサーの基本動作周波数」と同じではありません。後者はインテル® ターボ・ブースト・テクノロジーが有効でない場合の CPU の動作周波数全体を指します。

BCLK は CPU だけではなく、メモリー、PCIe バス、CPU のキャッシュその他の速度も決めます。オーバークロッカーにとって、CPU マルチプライヤーを調整する方が BCLK を変更するよりも簡単です。BCLK の変更では多くの要素が同時に変更されて動作が不安定になる場合があります。

クロック周波数を重視するポイントとは?

CPU のクロック周波数は、プロセッサーの全体的なパフォーマンスを示す指標の 1 つとして良く使用されます。PC ゲームや動画のエンコードなど、シングルタスクのアプリケーションで高い数値を出すのは、最高の動作周波数を有する CPU であるなど、スムーズかつ快適にゲームを楽しめることを示しています。一方で、ビデオ編集やストリーミングなどのマルチタスクが重要なアプリケーションは、マルチコア・パフォーマンスに依拠しています。

また、クロック周波数は、同世代のプロセッサー・モデルを比較するにも有用な指標です。新しいゲーミング PC に搭載する CPU を選ぶ際にも、最新世代のインテル® Core™ プロセッサー・ファミリー など同一ラインナップにおける製品のパフォーマンスを比較する際の分かりやすい情報として使用できます。