スマートインフラのインタラクションを表す線で結ばれた通信とデータのシンボルを重ね合わせた都市の四差路交差点のオーバーヘッドビュー

スマート・インフラストラクチャーから始まるスマートロード

スマートロード・テクノロジーにより、市内施設へのアクセスや生活の質を向上し、全体にとってより安全で持続可能な交通機関を可能にします。

スマートシティー・ロードの特長

  • マルチモーダル・センサーとエッジ・コンピューティングは、リアルタイム処理で交通の流れを高速化し、渋滞と排出量を削減に役立ちます。

  • スマートロード・テクノロジーは、トラフィック・フローの最適化と道路状況の管理を支援し、都市内でより持続可能な環境を創り出すことができます。

  • マルチアクセス・エッジ・コンピューティング (MEC) のエッジサーバーを使用したスマートロード・テクノロジーは、4G/5G 携帯ネットワークを活用して、リアルタイムの安全性とトラフィック・データを改善します。

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スマートロード・テクノロジーとは?

都市においては、道路や高速道路をより効率的に開発しなければならないという新たな重圧が加わっており、スマート・インフラストラクチャーは近代化に不可欠です。IoT と情報通信技術 (ICT) を搭載したスマートロードは、都市や交通局がデータの収集と分析を行い、日々のトラフィック管理を向上することができます。また、スマートロード・インフラストラクチャーは、都市が持続可能な交通ニーズを長期的に適応するために役立ちます。IoT センサー、カメラ、レーダー、5G 対応のテクノロジーを使用することで、データはほぼリアルタイムで分析され、渋滞を緩和して交通の流れを効率化するために使用されます。また、データをクラウドに送信して長期的な分析を行うことで、CO2 排出量の削減などの取り組みに重要な洞察を得ることができます。

エッジ・コンピューティングは、スマートロードおよびコネクテッド・ロード向けに多くの可能性を開きます。適応型交通信号機および統合化された道路など、スマートロード・インフラストラクチャーを支える分析や人工知能 (AI) の低レイテンシーを実現します。例えば、センサーのデータに基づいて、自動的にタイミング調整を行う信号機は、交通量を増加させたり、危険なドライバーから道路上の歩行者を保護するために信号を切り替えたりすることができます。

スマートロードとスマート・インフラストラクチャーの特長

スマートロード・テクノロジーを実現するデバイスには、速度センサー、音響センサー、IP CCTV カメラ、スマート信号機、状況や気象の監視システム、デジタルサイネージなど、多くの種類があります。これらのデバイスにより、ほぼリアルタイムでデータが収集され分析されると、都市は、さまざまなメリットを得ることができます。

  • 道路の渋滞緩和。米国の一般市民の場合、毎年渋滞による損失時間は 99 時間、1,377 米ドルのコストがかかっています。1スマートロード・テクノロジーは、交通状況に基づいて車両を追跡し、信号機を調整することで、交通渋滞の解消に役立つことができます。
  • 道路交通と歩行者の安全性の向上。過去 10 年間で、歩行者の死亡者数は 46% 増加しました。他のすべての交通死亡事故が 5% 増であることと比べて、驚異的な増加となっています。2交差点に設置された沿道のスマート設備は、歩行者、自転車、オートバイなどの交通弱者の安全性を高めるアラートを提供することができます。
  • 交通インフラストラクチャーとともに拡張された接続性。ロードサイド・ネットワークの導入により、以前は接続されていなかった道路や交通網での公共 / プライベートのワイヤレス接続やインテリジェント交通システム (ITS) アプリケーションの使用を拡大し、向上することができます。その結果、カバレッジが広がり、道路で発生している動きや出来事へのインサイトに、ほぼリアルタイムにアクセスすることが可能となることで、問題のある箇所に事前に対応し、応答時間を短縮し、全体的な道路の安全性を向上することができます。
  • パーキングと自動料金収受システムの機能拡張。自動料金収受システムは、ナンバープレート認識と車両追跡を使用して、車両を停止したり、減速したりすることなく自動的に高速道路および橋の通行料金を徴収することで、渋滞を緩和します。

選択したデータをクラウドに送信して経時的に分析することで、トラフィック管理、道路整備、サステナビリティーなどの継続的な改善を進めることができます。また、都市はデジタルツイン技術を活用して、実際のデータを使用した仮想シティーモデルを作成し、現在のインフラストラクチャーを継続的な評価と改善を行い、全面的に投資を行う前に新しい技術のテストを行うことも可能です。スマートロード・テクノロジーにより、都市は次の方法で支援を行うことができます。

  • サービスと緊急事態対応の向上。インテル® テクノロジーを搭載したデジタル・ツイン・エンバイロメントを構築することで、沿道のインフラストラクチャーが車両やその他の道路利用者にオンデマンドの商用サービスを提供し、緊急救援隊員に事故を警告することができます。
  • 道路レイアウトと舗装の状況の改善。道路状況モニタリング・ソリューションにより、都市計画家は衝突事故やニアミスの発生率を分析し、道路や舗装の状態を評価することができます。これにより、必要な道路レイアウトの変更と舗装の改良を先を見越して検出することができます。改善が遅れることで、都市のコストが最大 150% 増加 (レーン /km/ 年ごと) する可能性があります。3
  • 持続可能な輸送手段。スマートインフラストラクチャーはトラフィック・フローの最適化と EV チャージのネットワークの標準化を可能にし、低燃費の車両の活用と日常交通の二酸化炭素排出量の削減を支援します。

大都市は、世界中のエネルギーの 3 分の 2 以上を消費し、世界の温室効果ガス排出量の 70% 以上を占めています。4

世界中の使用事例と導入事例

スマートロード・テクノロジーは未来的な概念ではありません。すでに世界中で実施されており、今日では多くの都市や国がそのメリットを経験しています。

インテルの顧客とパートナーが、交通関連の課題に対処し、市民生活を向上するために開発したスマートロード・テクノロジーのイノベーションをご覧ください。

  • インテリジェント・トラフィック管理。Mayflower は AAEON Technology と提携し、地方政府や交通管理団体が道路インフラストラクチャーの改修を決定する支援を行います。軽量で導入が容易な光学センサーにより、Mayflower Smart Control Insite Sentinel センサーはどこにでも取り付け可能で、必要なときに移動できます。
  • 自動料金収受システムとスマートパーキング。ST Engineering Electronics の Smart Car Park Platform は、クラウドベースの駐車場管理ソリューションで、すべて駐車場の運営と保守を一元化しています。このソリューションは ANPR とモバイル決済アプリを活用し、効率的で利用者に負担をかけないシームレスな駐車サービスを提供し、駐車場の運営者とオーナーに運用効率とコスト削減を実現します。
  • Digital twin とセンサー・フュージョン。ドイツの工業製品メーカーは、Providentia ++ (P++) プロジェクトにおいてインテル・ラボと協力し、インフラストラクチャー・ベースのセンサー・フュージョンを使用することで自動運転を向上させました。プロジェクトの目標を達成するために、このチームはハードウェアと OS レベルで、インフラストラクチャーと自動運転の車両の間の計算負荷に関して自己組織化するオーケストレーションを活用しました。
  • スマート・コネクテッド・ロード。市当局と交通ソリューション・プロバイダーの 5G ネットワークとエッジサービスを活用したスマートシティー・アプリケーションの実装を支援するために、Capgemini Engineering とインテルは協力して、Capgemini Engineering’s ENSCONCE MEC プラットフォームを介して、スマートシティーと交通技術に関する障害を簡略化する Capgemini Engineering Smart 5G RSU ソリューションを生み出しました。
  • スマート・コネクテッド・ロード。イタリア、トリノでは、5G エッジ・ネットワークを通じてほぼリアルタイムで道路の危険な状況を通知できるドライバーと歩行者のための新しい安全技術に関する国際的なライブトライアルを開催しました。5G Automotive Association (5GAA) により組織化されたこの官民の連携では、コネクテッドカーのコンセプトが、高速コンピューティングとエッジ・コンピューティングのテクノロジーを IoT とともに使用し、車両センサーや歩行者のスマートフォンと通信する方法を示しています。
  • スマート・コネクテッド・ロード。スペイン、カステロリにある Cellnex Mobility Lab は、車両、トラフィック管理、道路インフラストラクチャー向けの 5G ベース、持続可能で、接続された、自律的なモビリティー・ソリューションを開発することに専念しています。この研究を実施するために、高解像度カメラ、セルラー・ビークル・トゥー・エブリシング (C-V2X) ワイヤレス・ネットワーク、コンバージド・エッジ・アーキテクチャーを使用して、Circuit Parcmotor Castelloli のレース施設をスマート・モビリティー、コネクテッドカー、自動運転車に関するリビングラボにデジタル的に転換しました。
  • EV 充電。Imagen Energy と EV 充電の大手 OEM は、インテル® テクノロジーを活用して、より効率的かつコンパクトであり、柔軟な構成が可能なコスト効率に優れた次世代の EV DC 急速充電ソリューションを生み出します。この次世代の充電器は、インテル® FPGA とインテル® CPU を組み合わせて、エッジにおいてリモート管理、デジタル広告、エッジ・ネットワーキングなどの高度な機能の使用を可能にし、さらに業界トップレベルの電力効率を提供しています。
  • インテリジェント・トラフィック管理。人工知能とエッジ・コンピューティングを活用する、交差点における Wipro ビジュアル・インテリジェンス (Wipro Visual Intelligence in Traffic Intersection、VITI) ソリューションは、既存 / 拡張されたビデオ・インフラストラクチャーを使用して、交差点のライブ映像をキャプチャーします。これにより、市当局と ITS プロバイダーは、費用のかかるカメラの設置を避けることができます。インテル® ディストリビューションの OpenVINO™ ツールキットにより最適化されたこのソリューションを使用すれば、ほぼリアルタイムの交通管理や事故の検知など、複雑な交通状況の把握や異常検出が可能になります。

インテリジェント・ロード・インフラストラクチャーに関するインテル® eBook を読んで、都市と交通局のリーダーがスマートロード・テクノロジーで達成したポジティブな成果について、詳細をご確認ください。

スマートロードの未来

2050年までに世界の農村人口を超えると予測される都市人口は、1交通インフラと環境に大きな影響を与えると予測されています。未来の都市を実現する道路の使用事例について、こちらのビデオで詳しくご覧ください。

インテリジェントな交通政策の推進に向けて

都市交通に IoT テクノロジーを導入するには、政策および標準化が重要です。インテルは、世界中にセルラー・ビークル・トゥー・エブリシング (C-V2X) のようなデジタル・インフラストラクチャーを導入するために、5GAA のメンバーとして、政策立案者、自動車メーカー、デバイスメーカー、インフラストラクチャーのオーナー・オペレーターと提携しています。この 5G 規格に準拠したテクノロジーは、車両、インフラストラクチャー、その他の道路利用者を確実に接続して、安全に作動するようにします。またインテルは、技術団体の現行メンバーであり、協調的認識、操縦調整、誤作動検出の規格開発に貢献しています。

スマートロード向けインテル® テクノロジー

センサー、AI、インテリジェント・カメラは、スマート・インフラストラクチャーを実現する IoT テクノロジーの推進役のいくつかの例です。インテルと当社のパートナーは、スマートロード・テクノロジー向けエッジとクラウド・コンピューティングをサポートするためのテクノロジーとハードウェアを開発しました。インテルは、道路インフラストラクチャーを最新化するソリューションを実現する検証済みのリファレンス・デザインとリファレンス実装を提供しています。

ロードサイド・ユニットのリファレンス・デザイン

インテル® Reference Design for roadside edge computing は、街灯やその他の設備に取り付け可能なユニットを強化します。このロードサイド・ユニットは、リアルタイムのビデオ分析やその他のパフォーマンスを必要とするタスクに最適です。都市では、スマート街灯、スマート信号機、スマート駐車場、自動料金収受システムなどのソリューションの一部として、これらのユニットを導入することができます。ナンバープレートの検出、歩行者の検知、交通渋滞の監視に必要な処理機能を提供します。

コンバージド・エッジ・リファレンス・アーキテクチャー (CERA)

CERA は IoT とネットワーク・ワークロードの融合向けのリファレンス・アーキテクチャーです。このアーキテクチャーにより、インテルのパートナーは、センサー・モダリティーを処理し、センサー・フュージョンを実行するためのロードサイドの設備向けソリューションを設計することができます。これにより、5G ネットワーク機能とマイクロサービスをホストしながら、エッジにインテリジェンスをもたらします。

このプラットフォーム上に構築されたソリューションを交差点やオンプレミスに設置して、複数の IoT デバイスに対して、ニアエッジ・コンピューティングやデータ処理を行うことができます。ソリューションは、インテル® ディストリビューションの OpenVINO™ ツールキットIntel® Smart Edge Open ツールキットを使用して最適化することができます。5G 接続により、CERA は、エッジで異なる IoT デバイスが通信したり、クラウドにデータを送信したりするネットワーク機能を提供します。カメラ、レーダー、その他のさまざまなセンサーからの情報を処理します。

リファレンス実装

インテル® Reference の実装は、サンプル・アプリケーション全体の事前構成済みのソフトウェアを提供します。インテルのインテリジェント・トラフィック管理向けリファレンス実装は、IP カメラを介して交差点を監視し、交通の流れを最適化するように設計されています。インテルのワイヤレス・ネットワーク対応のインテリジェントなトラフィック管理リファレンス実装は、5G RAN をホストするために必要なすべてのソフトウェア・スタックを含む Smart Edge Open でホストされています。

さらにインテルは、低レイテンシーかつ効率的な接続を実現するその他のテクノロジーのポートフォリオを提供します。

スマートロード・テクノロジーで拡張

すでに世界中でスマートロード・テクノロジーが導入されていますが、スマート・インフラストラクチャーの未来は、スタートしたばかりです。今日の都市は、交通渋滞の緩和、公共安全の向上、CO2 排出量の削減などの恩恵を受けています。最新世代の IoT テクノロジーにより、都市計画家は、効果を発揮するスマートロードテクノロジーに自信を持って投資することができます。

よくある質問

スマートロードは、スマートロード・テクノロジー、スマートロード・インフラストラクチャー、さらに IoT と ICT 対応デバイス、エッジとクラウド・コンピューティング、AI などのその他のコンピューティング・ソリューションを活用して、都市と道路のデータを収集し、分析します。都市と交通局はこのデータを使用して、日々のトラフィック管理を改善し、長期的で持続可能な交通ニーズを評価・計画し、環境への影響を低減して、市民生活を向上することができます。

ほぼリアルタイムでデータを収集し分析するスマートロード・デバイスにアクセスすることで、都市は道路渋滞を緩和し、交通の流れを管理し、歩行者の安全性を向上させることができます。スマートロード・インフラストラクチャーでは、都市が問題となる区域を特定し、舗装状況を改善し、緊急時のサービスをより効果的に行い、二酸化炭素排出量の削減を可能にし、さらに持続可能な交通事業に情報を提供するといった支援を行います。