CPU ベンチマークの読み方と理解

重要なポイント:

  • PC を購入、構築、アップグレードする際には CPU ベンチマークを確認してください。

  • CPU 全体の力を評価するためには、合成テストが役に立ちます。

  • 一方、現実世界テストは、アプリケーション固有のパフォーマンスについての洞察を提供します。

  • ゲーム内のベンチマークで、オフラインプレイとライブストリーム・プレイ両方の FPS とフレームタイムを測定してください。

  • マルチスレッドのゲームやソフトウェアを評価する際には、マルチコアのスコアに特に注意してください。

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CPU の相対的パフォーマンスを評価する方法は いくつかあります。まずは記載されている仕様を比較すると良いでしょう。コア数がより多くより速い クロック速度の CPU は、通常、同じ世代の製品の中でもパフォーマンスが優れています。

しかし、数年前の最上位 CPU と、今年発売されたミッドレンジ CPU を比較したい場合はどうすればよいでしょうか。あるいは、新しい CPU が特定のゲームやアプリケーションに提供できる速度の向上を予測する必要がある場合はどうなるでしょうか。

CPU ベンチマークが必要なのはそのためです。

CPU ベンチマークとは何ですか?

ベンチマークによって、標準化された一連のテストでパフォーマンスを評価することで複数の CPU を簡単に比較できます。ベンチマークは次のような多くの場面で便利です。

  • 新しい PC の購入または構築時。購入する前に、ゲームやアプリケーションを実行するシステムの能力を測るため、ベンチマークのスコアを利用してください。Tom’s Hardware などのレビューサイトで、スコアの一覧表を見ることができます。
  • CPU をアップグレードする前。CPU のアップグレードを計画する際には、レビューサイト (あるいはベンチマーキング・ソフトウェア会社のホームページであればより良いのですが) でさまざまな CPU のためのベンチマークを比較してください。
  • CPU をアップグレードした後。主要なコンポーネントをアップグレードした後は、ユーザ体験のイメージを掴むため、ご自身のベンチマークを実行してください。
  • CPU のオーバークロック。オーバークロック後のパフォーマンスの向上を評価するため、インテル® エクストリーム・チューニング・ユーティリティー (インテル® XTU) 等のプログラムを使って、CPU のベンチマークを行ってください。

CPU ベンチマーク・テストとツール

CPU レビューアーは、CPU の評価のために、さまざまなベンチマークを使っています。これらは、合成と現実世界という 2 つのカテゴリーに分類されます。

合成ベンチマーク

CPU 同士の一般的な比較を迅速に行いたい場合は、合成ベンチマークを使用してください。

合成テストは、3D レンダリング、ファイル圧縮、ウェブ・ブラウジング、浮動小数点計算など、さまざまなタスクをシミューションするプログラムです。各タスクの CPU パフォーマンス・レベルを測定した後、数値に重みを付け、単一のスコアとして組み合わせます。

このスコアは、計算に使用するテストがシミュレーションのため、「合成」と呼ばれます。特定のアプリケーション (3D クリエイティブ・スイートやゲームなど) でプロセッサーのパフォーマンスをテストするのではなく、異なる状況でアプリケーションが CPU に与える可能性のあるワークロードのシミュレーションを行います。

つまり、合成ベンチマークはパフォーマンスを正確に予測するものではありません。むしろ、合成スコアは、CPU の相対的パフォーマンスを比較するのに広く使われています。例:

  • PassMark は、圧縮、暗号化、物理学関連のタスクで CPU のパフォーマンスに負荷をかける大量の数理計算を実行します。
  • 3DMark は、ゲーム用 3D グラフィックスを扱うシステムの能力を測定します。
  • PCMark 10 は、システムがビジネスワークフローや日常の生産性に関するタスクにどれだけ対処できるかについてスコアを出します。
  • インテル® エクストリーム・チューニング・ユーティリティー (インテル® XTU) は、オーバークロックして機能を監視することに加えて、CPU に負荷を与えるテストを行います。

これらのアプリケーションはそれぞれ、数多くの CPU についてランキング・スコアのデータベースを備えており、プロセッサーの相対的出力を一目で簡単に比較できます。

現実世界ベンチマーク

PC について具体的な計画があり、特定のアプリケーションのパフォーマンスの正確な表示が必要な場合は、現実世界ベンチマークをご利用ください。

これらのテストでは、現実のプログラムに重いワークロードを与えて完了までに必要な時間を測定します。その結果、同じ設定を使用する際のシステム・パフォーマンスについて信頼性の高いプレビューを提供します。

現実世界のベンチマークで一般に使用されるアプリケーションは、次のとおりです。

  • 7-Zip は、CPU のデータ圧縮と解凍の速度を測定します。
  • Blender は、CPU の 3D レンダリングの速度を測定します。
  • Handbrake は、CPU のビデオエンコードの速度を測定します。

ゲーム内ベンチマーク・ツールは、現実世界テストの一種です。これは一部のゲームで利用できる非対話型ベンチマークです。ゲーム内のベンチマークは、通常のゲームプレイ中やストリーム中に CPU の FPS (1 秒あたりのフレーム数) に対する影響を確認するためにご利用ください。

これらのテストは繰り返し可能なテスト環境を提供します。システム構成が同じである限り、ベンチマークは体験するゲーム内のパフォーマンスについて正確な読み取りを行います。

ベンチマーク統計情報の意味

さまざまなベンチマーク・テストについて見てきましたので、今度はスコアの読み方をご説明します。

合成テストでは、スコアリングのシステムがプログラムによって異なってきます。スコアは多くの場合、「マーク」(または別のプログラム固有の用語) で測定されます。より高性能の CPU ではスコアが高くなります。ただし、CPU はそれぞれ異なる目的のために設計されており、すべてがゲーム用ではないことにご注意ください。CPU の使用予定に合うテストをご利用ください。

一方、現実世界テストでは、さまざまな測定方法が使用されます。

  • ドロップフレーム。ストリーミング・ベンチマーク・テストでは、ドロップフレームはビデオをエンコードしている間に失われたフレームの数を数えます。ドロップしたフレームは視聴者側の再生が途切れる原因となる可能性があります。ドロップフレームの % は、低いほうが好ましいです。
  • FPS (ビデオ用)。ビデオ・エンコード・テストでは、FPS は CPU が 1 秒間にエンコードするフレーム数を数えます。値が大きいほど好ましいです。
  • FPS (ゲーム用)。ゲーム内のベンチマーク・テストでは、FPS は1 秒ごとにレンダリングされるフレームの数を数えます。通常、より高い FPS は洗練されたゲームプレイを意味します。(しかし、フレーム時間も考慮する必要があります)
  • フレームタイム (1% 低、0.1% 低)。ゲーム内ベンチマークテストでは、フレームタイム (またはフレームペース) はフレーム間のミリ秒数を数えます。理想的には、一貫した測定値になる必要があります。そうでない場合、フレームレートのペースが不均衡になり、スタッター効果が生じます。ミリ秒で測定した場合、数値は少ない方が好ましいです。平均 FPS と並べて表示するために FPS に変換した場合は、数値は高い方が良いとされます。
  • GB/s (1 秒当たりのギガバイト) 暗号化テストでは、GB/s はデータのスループットを測定します。値が大きいほど好ましいです。
  • MIPS (100万命令 / 秒)。データ圧縮テストでは、MIPS は CPU が毎秒実行する低レベルの命令数を測定します。より高いほうが好ましいものの、異なる世代の CPU を比較する場合は、命令の実行手段がさまざまなためスコアには注意が必要です。
  • レンダリング時間。レンダリング・ベンチマーク・テストでは、レンダリング時間は CPU が 3D 場面で形状、ライティング、テクスチャーをレンダリングする速度を測定します。時間が短いほど性能が良いです。

一部のプロセッサーは、特定の CPU ベンチマーク・テストで優れた成績を出すため、単一の数値に依存するのではなく、いくつかのベンチマークを確認することが推奨されます。

合成ベンチマークと現実世界ベンチマークは互いに補完できます。特定の CPU の強みに関する全体像については、合成ベンチマークをご確認ください。その後、CPU が日常の使用でどのように動作するかをより良く理解するために、現実世界ベンチマークを使用してください。CPU の性能を完全に理解するためには両方のベンチマークを活用してください。

例えば、ゲーム用に CPU を購入する場合は、CPU の全般的なパフォーマンス・レベルを評価するためにベンチマークのスコアを使用します。いくつかの候補に絞ったら、最近のゲームに関する FPS とフレームタイムを確認します。(または、まだ公開されていないゲームを想定して CPU を購入する場合は、同じエンジンと外挿法を使って構築されたゲームのベンチマークをいくつか確認することもできます)

シングルコアとマルチコアのスコア比較

ベンチマークは、シングルコアとマルチコアのスコアに分割されるることがよくあります。

シングルコアのスコアは、軽くスレッド化されたゲームやアプリケーションにとってより関連性があります。つまり、多くの命令 (すべてではなく) を単一のコアに依存して処理していることを意味します。

マルチコアのスコアは、スレッド化が進んだゲームやアプリケーションにとってより関連性があります。これは命令を複数のコアに分散することを意味します。

ゲームが軽くスレッド化されているか、またはスレッド化が進んでいるかを判断するにはどうすればよいでしょうか?

  • タスク・マネージャーを開きます。ゲーム実行中に、Windows 10 でタスク・マネージャー を開き (CTRL+SHIFT+ESC)、パフォーマンス・タブをクリックします。CPU 使用状況のアクティブ・グラフが表示されます。
  • CPU グラフを設定します。グラフを右クリックして、[グラフを変更 > 論理プロセッサー] をクリックします。これで、各 CPU のコアの負荷が個別に表示されます。
  • コア活動を比較します。軽くスレッド化されたゲームの場合は、活動の大半が1 つのコアに隔離されています。

フォートナイト2 など、かなり多くの人気ゲームは軽くスレッド化されていますが、より多くのコアを活用するゲームが増えています。アサシン・クリード・オリジンズ3 や バトルフィールド V4 などのスレッド化が進んだゲームでは、複数のコアに負荷を与えるところまで拡張することがあります。このようなゲームでは、複数のコアを備える CPU 上でより高い FPS となる可能性があります。

システム構成

CPU ベンチマーク は重要ですが、すべてのコンポーネントがシステム・パフォーマンスで役割を果たします。

  • CPU。複雑な AI、物理、グラフィック上のポスト処理を備えたゲームは、CPU 集約性が高い傾向があり、コア / スレッド数と動作周波数の高い CPU からより多くのメリットを得られる可能性があります。
  • GPU。一部のゲームは、より GPU に依存しているため、システムのゲーム・パフォーマンスを評価する際には、CPU ベンチマークに加えて GPU ベンチマークを確認してください。例えば、単体グラフィック・カードは 3D レンダリング作業のほとんどを扱うことができます。
  • メモリーとストレージ。これらのコンポーネントは、システムの応答性やロード時間に影響を与える可能性があります。
  • ソフトウェア。システム構成にかかわらず、パフォーマンスはゲームによって変動します。これは仕方のないことです。ゲームがどのようにプログラミングされたかに関係しています。プレイする際のグラフィックスの設定と解像度もパフォーマンスに影響します。

システムのバランスについての詳細は、ボトルネックを防ぐ方法についての記事をご参照ください。

ベンチマークスコアの向上

インテル® Core™ ブランドは、ハイエンドのゲーム、ライブストリーミング、または PC でのクリエイティブな、あるいは生産性の高い作業、いずれにも拡張できるパフォーマンスを備えた CPU を提供します。

ゲーム用 CPU の選び方に関する詳細は、こちらをご覧ください