第 11 世代インテル® Core™ CPU は、新しい Cypress Core アーキテクチャーに構築され、プラットフォームの多くの改善でゲームおよび日常のパフォーマンスを向上させます。最新世代のプロセッサーは、以下を追加することでゲームのパフォーマンスを強化します。
- ゲーム内で FPS を改善するクロック速度を向上します。
- サイズ変更可能な BAR により、GPU パフォーマンスを強化します。
- リアルタイム・メモリーのオーバークロックおよび柔軟なオーバークロック・ツール。
- 新しいストリーミング・フォーマットをサポートするビデオ再生を向上します。
- 新しいグラフィックス・カードおよび SSD 向けの PCIe 4.0 サポート。
お使いのビルドに最適な第 11 世代インテル® Core™ CPU を探す中でさまざまな新しい機能を見つけてください。これらの機能について一度にすべて読むことにはやや圧倒されてしまうかもしれません。一部のより複雑なトピックについて詳しく説明しましょう。
IPC 19% 改善が意味することは?
デスクトップ向け第 11 世代インテル® Core™ CPU は、前世代に比較して IPC が 19% 優れています6 しかし、これは何を意味するのでしょうか。
IPC の大幅な増加は、プロセッサーがより多く動作しているのではなく、よりスマートに動作していることを意味します。各クロックサイクルでより多くの作業をこなすことができ、ゲームではより高い FPS を、アプリケーションではよりスムーズなパフォーマンスを実現します。IPC は誰にでも親しみのある測定値ではないかもしれませんが、第 11 世代の CPU がゲームに優れている理由を理解する方法の 1 つです。
最新の CPU は毎秒数十億のサイクルを実行します。例えば、インテル® Core™ i9-11900K の動作周波数は 5.30GHz で、毎秒 53 億サイクルを意味します。
各サイクルで、CPU は算術のような低レベルの演算である指示を読み込んで実行します。これらの基本的な指示が早く実行されるほど、プログラムの実行が速くなります。
IPC は、「サイクルごとの指示」(または「クロックごとの指示」)を意味します。サイクルごとの平均指示数を測定することで、CPU のパフォーマンスについて知ることができます。
クロック速度と IPC はどちらも、ゲームやその他のソフトウェアのピーク・パフォーマンスにとって重要です。クロック速度はサイクル数を示し、IPC はサイクルごとにどれだけの作業が行われるかを表します。
IPC 19%の改善はどこから来ていますか?デスクトップ向け第 11 世代インテル® Core™ CPU の新しい Cypress Core アーキテクチャーの改善点は、ハードウェアとソフトウェアの両方を対象にするものです。プログラム実行にともないマシンレベルの指示が実行される正確なタイミングにより、CPU のベンチマークはインテル® Core™ i9-11900K が第 10 世代インテル® Core™ i9-10900K を 19% 上回るパフォーマンスを実現します。
CPU を数世代更新していない場合、これらの増加が累積的であることに注目してください。テストでは、デスクトップ向け第 10 世代 CPU 自体がデスクトップ向け第 9 世代 CPU と比較してで最大 30% 高い PUBG 、また 5 年前のデスクトップ CPU と比較して最大 56% 高い FPS を提供していました。7。
このすべてが、数年前のデスクトップ PC 向け CPU から最新のものに移行した場合、速度と効率についてクロック速度などのスペックでは完全にはとらえきれない大きな飛躍が明らかであることを意味します。
アダプティブ・ブーストとは?
第 11 世代インテル® Core™ CPU では、いくつかの異なるブースト・テクノロジーで、瞬間的にパフォーマンスを追加するためにより高い動作周波数に到達することができます。その 1 つが、インテル® アダプティブ・ブースト・テクノロジーによる全コアブーストです。これはインテル® Core™ i9-11900K および インテル® Core™ i9-11900KF で使用できます。
ブースト・テクノロジーが連携して、CPU のさまざまなワークロードへの応答性を高めます。例えば、インテル® Core™ i9-11900K は、インテル® ターボ・ブースト・マックス・テクノロジー 3.0 およびインテル® サーマル・ベロシティー・ブーストを採用し、多くのゲームで FPS につながるシングルコア速度を高速化します。複数コアで拡張されるマルチタスクとアプリケーション向けに、インテル® アダプティブ・ブースト・テクノロジーはコアを前世代のマックス・ターボ動作周波数より 3 ~ 8 スロットル高速化します。
さまざまなブースト・テクノロジーのそれぞれの詳細については、インテルの完全ガイドを参照してください。
サイズ変更可能な BAR とは?
第 11 世代で新たにサポートされた サイズ変更可能な BAR は、一部のゲームのゲーム内パフォーマンスでフリーブーストを提供する PCIe 機能です。CPU と GPU の連携方法を変化させ、追加の FPS を数パーセント・ポイント向上できる可能性があります。これは CPU が一度により多くのデータにアクセスできるようにすることで実現します。
ゲーム中、CPU は ゲーム内環境をレンダリングしながら GPU と常にコミュニケーションを取っています。サイズ変更可能な BAR がない場合、CPU は GPU の限られた 256MB のメモリー (VRAM) をいくつもの小容量に分けて転送します。これはゲーム内アセットのサイズが大きくなったため、潜在的な障害となっています。
サイズ変更可能な BAR は、GPU の 256MB のメモリーで動作するかわりに、あらゆるサイズのアセットを CPU がリクエストできるようにします。サイズ変更可能な BAR を有効化することで、CPU はフレームバッファー (画面に映し出される次のフレームのデータ) 全体にアクセスでき、また一度に複数のリクエストを出すことができます。実環境のパフォーマンスへの影響は常に劇的であるとは限りませんが、重要となる場合があります。
最悪のケースでは、サイズ変更可能な BAR は効果がないか、あるいはマイナスの影響があることもあります。そのため、GPU ドライバーはテスト結果によってサイズ変更可能な BAR を自動的に有効化または無効化します。それによって、パフォーマンスに役立っていない場合にも実行されることを心配する必要がありません。
DDR-3200 RAM サポートとは?
第 11 世代はメモリーからより多くを獲得するのに役立ちます。マザーボードは現在、RAM 速度を最大 3200MHz まで正式にサポートしており、メモリーを調整するために役立つ高度なオーバークロック・オプションを提供します。
RAM 容量を増やすことで、より多くのプログラムを一度に実行する (またはメモリーを多く必要とする AAA ゲームの要件を満たす) ことができます。一方、より高速な RAM へのアップグレードは、CPU がメモリーからデータを取得する速度を向上させます。
2933MHz RAM (第 10 世代がサポート) から 3200MHz へのステップアップにより、ゲーム内 FPS ブーストの提供が可能です。ただし、これはゲーム、システム、およびグラフィックスの設定により異なります。
また、第 11 世代ではメモリーをより細かくコントロールすることも可能です。現在サポートは、ハイエンドの Z590 マザーボードでのオーバークロックに加え、H570 および B560 ボードに拡大されています。実環境でのメモリーのオーバークロックは、RAM の動作周波数を臨機応変に変化させることができ、現在エキスパート・ユーザーには Gear 1 および Gear 2 メモリーモードの切り替えオプションが提供されています。
簡単なオーバークロックには、インテル® エクストリーム・メモリー・プロファイル (XMP) を実行してプロセスを自動化できます。詳細については、インテルのオーバークロック・ガイドを参照してください。
より高速の RAM を選択することは、GPU または CPU をアップグレードした時にみられるような大きな影響はありません。しかし、ハイエンドなシステムを構築または購入する場合、より高速の RAM は一部のゲームを高速化し、メモリーがボトルネックとならないようにできます。
PCIe 4.0 とは何ですか?
PCIe 4.0 サポートは、次世代の GPU と SSD に向けて準備ができていることを意味します。
PCIe は、グラフィックス・カード、NVMe SSD、およびキャプチャー・カードなどの周辺機器をマザーボードに接続するために使用する拡張バスです。第 11 世代インテル® Core™ CPU は PCIe 4.0 をサポートしており、PCIe 3.0 の 2 倍の帯域幅を提供します。
PCIe 4.0 のサポートは、テクノロジーが成熟するにつれて、最新の第 4 世代 SSD または GPU にアップアップグレードする用意ができていることを意味します。また第 11 世代インテル® Core™ CPU は、最大 20 の CPU PCIe レーンを提供しており、CPU、GPU、NVMe SSD 間のより直接的な接続を実現します。
PCIe 4.0 が重要な理由、および CPU PCIe レーンとチップセット・レーンの違いについての詳細は、インテルの記事全体をご覧ください。
AV1 とは?
強化されたメディア再生は、第 11 世代のもう 1 つの特長です。新しいビデオフォーマットとハイビットレート HDR ビデオに対応することで、インテル® Core™ i7-11700K などの CPU は、より簡単に臨場感のある詳細なコンテンツを楽しみ、自作を可能にします。
強化された視聴体験を提供するために、第 11 世代インテル® Core™ CPU は、12 ビット HEVC デコードと 10 ビット AV1 デコード向けのハードウェア・サポートを特長としています。12 ビットと 10 ビットの色は HDR (高ダイナミックレンジ) に対する異なる規格であり、HDR モニターで表示される場合に鮮明な色合いと、深みのある黒レベルを実現します。
HEVC (または H.265) と AV1 は、ビデオコーデック、あるいはエンコーダー / デコーダーです。エンコード中に、将来のフレームを予測するといったテクノロジーにより、ビデオファイルのサイズをインテリジェントに縮小します。ファイルが再生されると、プロセスを逆転してデコードします。
AV1 向けハードウェア・デコードは、第 11 世代プラットフォームのエキサイティングな追加機能です。テストにより、AV1 が VP9 などの一般的に使用される他のコーデックよりも遥かに効率が高いことが示されています。AV1 は、より高い解像度での拡張に優れているため、少ない帯域幅で 4K と 8K ビデオをストリーミングできます。
実際に YouTube ビデオでは、アカウント設定でサイトが VP9 よりも AV1 を優先するよう設定できるため、AV1 が実際に動作する様子を見ることができます。また、Netflix (Android 上) でテストし、Twitch は、1440p、144fps AV1 ストリーム向けプランを発表しています。
ハードウェア・デコードでは、AV1 の広範な採用への壁の 1 つ、ソフトウェア・デコードのパフォーマンスの影響を取り除くことができます。最新のブラウザーで AV1 ビデオを再生することは可能ですが、特にウルトラ HD ビデオでは、ソフトウェア・デコードによって古い PC の CPU への使用負荷が高くなる可能性があります。それに比べて、ハードウェア・デコードは、非常に効率的な内蔵型ソリューションを提供します。
AV1 サポートにより、お気に入りのストリーマーをこれまで以上に高品質で視聴視聴し、鮮明な色の 8K ビデオをストリームし、限定帯域幅でも詳細を見ることができます。
第 11 世代のゲームへの影響は?
最大 5.30GHz の動作周波数、8コア、16 スレッドを搭載した主力のインテル® Core™ i9-11900K に、上記のすべての機能が集まり、ゲームプレイやストリーミング体験を強化します。
- IPC アップリフト。内部では、アーキテクチャーの改善により IPC が 19% 向上して、プロセシングの効率性とゲーム機能が大きく進歩したことを示しています。
- インテル® アダプティブ・ブースト・テクノロジー。ブースト・テクノロジーにより、プロセッサーは少数スレッドとマルチスレッドの両方のワークロードをこなし、全コアで拡張するゲーム、およびシングルコアの速度に主に依存するゲームのパフォーマンスを加速します。
- サイズ変更可能な BAR。この機能を有効化すると、CPU の VRAM へのアクセスにさらにフレキシビリティーが与えられ、一部のゲームで FPS に「フリー」ブーストを提供します。
- DDR-3200 RAM サポート。一部のゲームでもっと多くのフレームを入手できます7 — またオーバークロックしてパフォーマンス向上をさらに強化します。
- AV1 サポート。リッチメディア再生により、高品質なビデオへの PC のアクセスを提供する一方、少ない帯域幅を使用することにより、主要なプラットフォームでストリーマーやゲームコンテンツをより明瞭に視聴できます。
第 11 世代は、前世代のプロセッサーよりもより能力が高く、柔軟です。しかし、1 世代または 2 世代スキップし、最新の PCIe 4.0 デバイスを近い将来活用する予定の人には、さらに強力なアップグレードになります。