ディスクリート製造とは何ですか?
ディスクリート製造が行われる工場では、部品が作られて、サブシステムや完成品に組み立てられます。生産プロセスと組立プロセスは、どちらもディスクリート製造に分類されます。
ディスクリート製造で展開されるプロセスは連続的ではないため、各プロセスを個別に開始したり停止したりできます。多くの場合、生産全体に支障をきたすことなく、さまざまな速度でプロセスを実行できます。
ディスクリート製造から生まれる製品には、自動車、コンピューター、家具、電化製品、衣料品などが含まれます。これらの製品は、不要になったら分解して、部品を再生したり、再利用したり、リサイクルしたりできます。
ディスクリート製造にインダストリー4.0テクノロジーを導入し、インテリジェントなエッジ・ソリューションを実現することで、コスト削減、効率化、そして新たな優位性の発見が可能になります。ディスクリート製造が洗練度と自動化の度合いを高めるのに伴い、企業は業務全体のデータをより速く、より効果的に取得および分析し、それに基づいて行動するようになっています。
ディスクリート製造とプロセス製造の比較
製造プロセスは、ディスクリートとプロセスの2種類に分類されます。
ディスクリート製造プロセスには、個々の部品の生産およ最終製品への組み立てが含まれます。ディスクリート製造の例としては、自動車、電化製品、家電機器が挙げられます。
プロセス製造は、処方やレシピに関連しており、飲料、化学薬品、医薬品、およびトイレタリーや紙製品など一部の消費財の製造に使用されています。プロセス製造では、原材料を連続的または一括して組み合わせたり、精製したりします。
ディスクリート製造とは異なり、通常、プロセス製造で生産される商品はコンポーネント部品に分解することはできません。ただし、一部の最終製品はリサイクルできます。
バーティカル市場におけるディスクリート製造
ディスクリート製造では、驚くほど多様な製品が生産されています。主要市場には最も複雑な製品が含まれ、依存するサプライチェーンも複雑かつ多面的で、供給元は多国籍です。
以下の5つの主要市場では、ディスクリート製造および生産品質と効率を支える新技術に多額の投資が行われています。
- 自動車および自動車部品
- 電化製品およびコンピューター
- コンシューマー製品
- 航空宇宙、航空、および防衛
- 機械および重機
これらの各バーティカル市場は、産業用インテリジェント・エッジにより形作られています。その業務からは日々大量のデータが生み出されており。これらのデータは、ほぼリアルタイムで分析され、ビジネス成果を向上させる方法を見つけるために活用できます。
ある程度の組み立てが必要
ディスクリート製造には、部品そのものの製造と、組み立ててサブシステムや完成品にすることの両方が含まれます。
ディスクリート製造プロセスの中には、100年前にフォード社が確立した組立ラインのように、長い歴史を持つものもあります。今日の自動車産業では、依然として組立ラインが一般的ですが、組立作業のほとんどは、AIを搭載したロボットやその他の高精度なコンピュータ支援製造 (CAM) システムおよびツールによって完了するか、少なくともサポートされています。
Audi は、今日の自動車製造に関するアプローチの一例となっています。Audi のエンジニアや技術者と密に連携して、インテルは同社の自動化工場向けにスケーラブルで柔軟なマシンラーニング・プラットフォームを構築しました。これは将来のイノベーションの基盤として機能し、同社は効率性を高め、コストを削減できます。
農業機械の大手メーカーである John Deere は、インテル® AI とマシンビジョン・テクノロジーを利用して溶接プロセスを自動化し、溶接部に閉じ込められたガスによる溶接欠陥などの不具合を管理しています。
ディスクリート製造における IoT の利点
ディスクリート製造は、AI、マシンビジョン、リアルタイム・データ分析、クラウドやエッジでのハイパフォーマンス・コンピューティングにより実現されるオートメーションのレベルをメーカーが高めることで、急速に進化しています。
これらのテクノロジーおよびその他の先進テクノロジーが、IIoT を通じてデジタル世界と物理的なモノを融合させます。IIoT は、エッジでのデータの取得と分析を始め、第4次産業革命(インダストリー4.0)の中核となる多くの先進的な製造機能に対応しています。
このような新しいプラットフォームにおいて、情報技術(IT)と運用技術(OT)が融合することで、メーカーはデータをリアルタイムで運用システムに接続し、サプライチェーン、受注管理、配送機能を生産システムと同期させることができます。
IT と OT を融合するソフトウェア・デファインド・インフラストラクチャーを構築することで、これまでデータサイロに閉じこめられていた重要なプロセスを統合できます。これにより、品質管理の自動化による製品品質の向上、徹底したプロセス分析による無駄の削減、コストの最適化、クリティカルなデータをより多くの人が利用できるようにすることによる新たなビジネスチャンスの創出などが可能になります。
IIoTをはじめとするデジタル技術は、効率や生産性を高めるだけではありません。企業が大きな飛躍を遂げ、バリューチェーンのステップを排除し、新しい顧客ソリューション、新しい生産プロセス、新しいパートナーシップなど、新たな価値創造の機会を生み出すことを可能にします。」1
ディスクリート製造に関わるスマート・ファクトリーでは、AI、マシンビジョン、高度なロボット工学、リアルタイム・データ分析を導入し、部品の在庫や作業のスケジューリングから品質保証や検査に至るまで、あらゆるものが最適化されます。このスケーラブルで柔軟なアプローチにより、自動車会社は固定されたオプションパッケージではなく、完全にカスタマイズ可能な車両を提供し、マーケットプレースの需要や規制の要件に応じて迅速にイノベーションを起こすことができます。
オート・ファクトリー4.0は、依然として組立ラインを備えていますが、マス・カスタマイゼーションが可能になることで、革新的なビジネスが実現します。
運用技術のアップグレード
最近まで、ディスクリート製造プロセスでは、単一ベンダーから独自のインテグレーテッド・システムとして提供される運用技術に依存してきました。メーカーは、ベンダーのエクイップメントやソフトウェアに縛られ、高額なアップグレードやメンテナンス契約を、しばしば10年かそれ以上、そのベンダーに依存することになります。
これらのレガシーシステムの多くは、現在、インテル® テクノロジーに基づくスケーラブルなソリューションによって置き換えられるか、補完されています。例えば、インテル® プロセッサーを搭載した産業用 PC(IPC) は、スケーラビリティー、運用管理性、セキュリティーに特化した1台のデバイスで、さまざまな製造ワークロードを統合して実行できます。
エンタープライズ・リソース・プランニング (ERP) に対する、このオープンなコンバージド・アプローチにより、メーカーはマシンビジョン、人工知能 (AI)、リアルタイムデータ収集と分析などの最新技術を適用し、生産プロセスの加速、制御、および検証を行うことができます。
レガシーシステムからオープン・ソリューションへの移行の第一歩は、統合されたテクノロジー・スタックに対応するインフラストラクチャーの構築です。ソリューションが完全にテストされ、正当なビジネス上の問題に対処可能であることが証明された後、ソリューションを拡張するための詳細な計画をシステム設計に含める必要があります。時間をかけて、いくつもの単一目的のデバイスやシステムを、スケーラブルなシェアド・プラットフォームに統合することで、業務効率の向上、セキュリティーの強化、コスト削減、イノベーションを実現できます。
インダストリー4.0は、2025年に3.7兆ドルの潜在価値を生み出し、ディスクリート製造の次の産業革命を推進すると予測されています。しかし、現在、インダストリー4.0ソリューションの価値を大規模に獲得している企業は、わずか30%程度に過ぎません。」2
インテルとそのパートナー企業のエコシステムは、ファクトリーの過酷な環境に対応するために設計および構築された、事前認証済みのインテリジェント・エッジ・ソリューションを数百種類提供しています。インテルとそのテクノロジー・パートナー、そして顧客が力を合わせることで、最も複雑で厳しい要件のディスクリート製造業務でさえ、より高い効率性、生産性、革新性へと押し上げることができます。