エグゼクティブ・サマリー
実績のある中規模の法律事務所である Ropers Majeski は、AI ベースのソリューションでさまざまなデータ処理タスクを自動化し、業務の合理化を図り、同時にデータのセキュリティーおよびコンプライアンスを確実にしました。同事務所は、インテル、Activeloop、ZERO Systems と協働で、優れた性能の第 4 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーによる多層 AI システムを開発しました。このソリューションにより、データのセキュリティーを確保し、従業員の生産性が大幅に向上しました。
課題: データを迅速かつ安全に処理
Ropers Majeski 法律事務所は、70 年以上にわたり世界中のクライアントに質の高い法的アドバイスを提供しています。同事務所は、文書作成、ファイリング、時間管理、保存、情報取得などのタスクを自動化する方法を探していました。勤務するナレッジワーカーは、これらのタスクを通常手作業で実施せざるを得ず、結果として正確さを欠いたり、高度なトレーニングを受けた人材が貴重な時間を料金請求対象外の作業に費やしていました。
ソリューションの自動化において、速さと信頼性、そして大量のデータを処理する能力が、法令の遵守には必要です。また、機密性の高いクライアント情報の取り扱いについて、セキュリティー要件を満たすことも必要です。例えば、すべてのデータは社内に保管しなければならず、ベンダーが機密文書にアクセスできないようにする必要があります。
Ropers Majeski は、インテル、Activeloop、ZERO Systems と連携し、先進のハードウェアおよびデータストレージと、大規模言語モデルによる生成 AI とを組み合わせ、高性能かつ信頼性の高い、安全な AI ソリューションを開発しました。
ソリューション: 多層 AI アプローチ
Ropers Majeski は、インテル、Activeloop、ZERO Systems と連携し、先進のハードウェアおよびデータストレージを、カスタマイズされた大規模言語モデル (LLM) による生成 AI と組み合わせて、高性能かつ信頼性の高い、より安全な AI ソリューションを開発しました。ZERO Systems 独自の AI エンジンである Hercules は、クライアントの機密資料のラベル作成、ファイリング、インデックス作成を行う AI アプリケーションの強化に加え、電子メールなどのコンテンツの生成を助けます。
セキュアなエンタープライズレベルのストレージには、AI 向けデータベースである Activeloop の Deep Lake を利用しました。これにより、何百万もの機密文書の埋め込みおよびマルチモーダルの両方のデータ保存が可能になり、ZERO Systems のソリューションに先進の役割をベースにしたアクセスのコントロールが提供されました。
「このような戦略的パートナーシップは、生成 AI を法曹界やその他の規制の厳格な業界に組み込む第一歩です」— ZERO Systems、Co-founder and CTO、Gevorg Karapetyan 氏
第 4 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーはその性能により、顧客を高価な独自ソリューションへの投資から回避させることができます。AI 推論向けに最適化されたこの CPU は、ディープラーニング以外のコンテキストやアプリケーションで使用されるベクトル演算を助けるインテル® アドバンスト・ベクトル・エクステンション 512 (インテル® AVX-512) や、AI アクセラレーションを内蔵ハードウェアでサポートするインテル® アドバンスト・マトリクス・エクステンションなどの、組み込みのアクセラレーターにより、パフォーマンスと効率を大幅に向上させます。
Activeloop や ZERO Systems との連携は、インテル® Disruptor Initiative を通じて実現しました。これは、技術提供やマルチチャネルの市場参入活動により成長を促し、メンバーをサポートする取り組みです。
AI の力を活用し、事業全体のアプリケーションを加速。インテル® Xeon® プロセッサーのパワーにより、AI どのように貢献するのか紹介します。
結果: より速く生産性を向上
多層システムの稼働により、Ropers Majeski ではナレッジワーカーの生産性が 18.5% 向上が見られ、それは平均してユーザーあたり 1 日 75 分間の節約です1。電子メール処理、文書のファイリング、レポート生成などのタスクを自動化し、このソリューションは文書取り込み速度を 2.3 倍に向上させました1。
ほぼリアルタイムの情報やインサイトの取得など、効率の向上により、スタッフは正確さを犠牲にすることなく、請求可能な業務の時間に集中できるようになりました。さらに、AI システムは、従業員がインターネットにアクセスできない場合でも、従業員の行動に基づいてタイムカードを作成し、電子メールや文書のプロファイル作成を助けます。
「インテル® Disruptor Initiative のチームは、すべてのパートナーに対してきちんと個別の対応をしてくれます。他社との提携ではあまり見られないことなので、たいへん感謝しています。実際、大企業とのパートナーシップでは、スタートアップ企業には最適ではないアドバイスをよく耳にします。しかし、インテルは例外だと断言できます」 — Activeloop 社 CEO、Davit Buniatyan 氏
インテル® AVX-512 により、第 4 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーは、クロックサイクル毎により多くの処理を詰め込むことができ、Activeloop の Serverless Tensor Query Engine のクエリー検索速度は 100 倍向上しました2。その結果、法務テクノロジーのような規制の厳しい環境に不可欠な、厳重なセキュリティー要件を満たすことができます。
「インテル® Disruptor Program における ZERO Systems と Activeloop との協業により、最終顧客である Ropers Majeski に多きな価値を提供できることを嬉しく思います」と、インテル コーポレーションの Arijit Bandyopadhyay、CTO of Enterprise Analytics & AI、Head of Strategy Cloud and Enterprise – CSV は説明します。「インテル® AMX などのシリコン上の AI アクセラレーターを活用する、インテルの最新世代の CPU によるパフォーマンスおよび TCO の最適化、そしてほかの IA ベースのソフトウェアやハードウェア資産が、一貫したメリットと安全な製品をソリューション全体に提供します。」
「インテルの CPU が輝くのはまさにここです」と、Activeloop の CEO である Davit Buniatyan 氏は語ります。GPU の可用性が限られている場合、インテルのプロセッサーは、LLM の実行および調整の演算リソースを提供します。「Deep Lake の高性能データローダーおよび Tensor Query Engine により、ZERO のような先駆的企業は、画期的な生成 AI 製品をインテルの CPU 上にわずかなコストで開発できます」と同氏は付け加えています。
「さらに、企業は高価な新しいハードウェアに投資することなく、すでに使い慣れた既存のアーキテクチャーを使用できます」と ZERO Systems の CTO である Gevorg Karapetyan 氏は述べています。「CPU 上へのソリューション導入は、効率と費用対効果を大幅に向上し、顧客は簡単に、待たずに導入できます」
Ropers Majeski の Director of IT、Maks Agamir 氏は、「既存のインテルのシステムを活用できることに非常に満足しています。また、今後も先進の AI テクノロジー活用により運用を合理化できると期待しています」と語ります。
反復的タスクを自動化により、インテル、Activeloop、ZERO Systems 間の連携が実現した AI ソリューションは、Ropers Majeski の経験豊富なナレッジワーカーのパフォーマンスを向上させる一方だと Agamir 氏は説明しました。「当事務所の主要な業務はテクノロジーではなく、法律です」と同氏は言います。「弁護士や法律の専門家は、満足しています。一日の終わりに、座ってすべての電子メールや文書をプロファイルする代わりに、見て OK を出すだけですから。すべて AI が済ませてくれました。」