RAID 0 (ストライピング)
RAID 0 は 2 つ (以上) のハードディスクを同時に稼動させることによって、ハードディスクの読み書き性能を向上させるために使用します。RAID 0 ボリューム内のデータは、並列して読み書きができるようにするために、複数のディスクにわたって交互に配置されたブロックに記録されます。この 技術は ストライピング として知られているもので、特に連続するデータを読み書きする場合、もっとも高速にアクセス可能な RAID レベルです。実際にRAID 0 を使用すると効果の高い作業には、画像編集アプリケーションでの大きなファイルの読み込みや、ビデオ編集ソフトウェアなどで編集した大きな動画ファイルの保存、オーサリングを伴う CD や DVD イメージの作成などが挙げられます。
RAID 0 ボリュームのハードドライブは、結合された単一のボリュームとして構成され、オペレーティング・システム上からは実質的に1台のハードドライブとして認識されます。たとえば、120GB のハードドライブ4 本で構成される RAID 0 アレイは 480GB の単一のハードドライブとしてオペレーティング・システムは認識します。
RAID 0 ボリュームには冗長性情報は保存されません。このことは、1 つのハードドライブが破損した場合に、両ハードドライブ上のすべてのデータを失うことを意味しています。RAID レベル 0 (冗長性がないことを示す) はこのように冗長性がないことを反映した名称です。このため、RAID 0 はサーバーなどの、データの保護を主目的とする環境では使用しないようにしてください。
RAID 1 (ミラーリング)
RAID 1 アレイは 2 つのハードディスクを使用し、リアルタイムに同じデータを書き込みます。すべてのデータは二重化され、オペレーティング・システムでは RAID アレイの最大使用可能容量はアレイ内のハードディスク 1 つの最大容量と等しくなります。2 つの 120GB のハードディスクを RAID 1 構成した場合には、オペレーティング・システム上では 120GB の単一のディスクとして認識されます。
RAID 1 ミラーリングの主な利点は、ディスクの 1 つに故障が発生した場合のデータの高信頼性 (保護性能) です。1 つのディスクが問題を起こした場合、すべてのデータはもう一方の鏡像ディスクに書き込まれ、データの完全性に問題が発生することがありません。ディスクエラーの場合でも、コンピューターシステムは十分に最大性能で動作します。
RAID 1 アレイのパフォーマンスは、元のディスクとミラーの複数のディスクから同時にデータを読み取ることができるため、ハードドライブ単体の場合よりも高速です。しかし、ディスクへの書き込み性能はデータをオリジナルのディスクとミラーのディスクと同時に書き込みを行う必要があることから、同様の利点はありません。
RAID 5 (ストライピング ウィズ パリティ)
RAID 5 アレイは、3 台以上のハードドライブを使用して、データを 「ストライプ」 と呼ばれる管理可能ブロックに分割します。RAID 5 の利点は、データ保護と容量の確保です。
パリティーは、単一のドライブから失われたデータを再作成するための数学的方法で、フォールトトレランスを向上させます。データとパリティはアレイ内のすべてのハードドライブに縞模様になっています。パリティ計算に関連するボトルネックを減らすために、パリティはローテーションシーケンスでストライプ化されます。
RAID 5 アレイは、アレイ内のもっとも小さいドライブのサイズを、ドライブ数から 1 減らした数で掛けた容量で作成されます。パリティ情報の保存にはハードディスク 1 台分に相当するものが使用され、RAID 1 に比べて容量減少率が 50% 未満でフォールトトレランスが向上します。例えば、120 GB のハードディスクを 4 本使用して RAID 5 アレイ構成している場合、オペレーティング・システム上からは 360 GB のハードディスク容量を確認することができます。
パリティがデータ保護に使用され、最大 75% のトータルドライブ領域を使用することを可能にしています。さらに、1 台のドライブが故障した場合、エラーを起こしたドライブを新しいドライブに置き換えた後で、データディスクのリビルドが実行可能です。ただし欠損のデータを計算するという余計な作業を実行する必要性から、リビルド中は RAID 5 の書き込み性能は低下します。
RAID 5 アレイの読み込み性能はデータを複数のディスクから同時にアクセスすることが可能であることから、ハードドライブ単体の場合よりも高速です。しかし、ディスクへの書き込みの性能はパリティ計算とすべてのデータへの書き込みという作業が必要とされることから、同様の利点を確認することができません。
RAID 5 の書き込み性能を強化するため、インテル® ラピッド・ストレージ・テクノロジー (インテル® RST) は RAID 5 ボリュームのライトバック・キャッシュとコアレッサを使用します。ライトバックキャッシュに使用するボリュームは、コアレッサの動作向上とデータのバッファの為に使用されます。このキャッシュは、デフォルトでは無効に設定されていますが、ユーザーがユーザー・インターフェイス上で有効に設定することが可能です。キャッシュを有効に設定する場合には、UPS 電源などの使用を推奨します。
コアレッサは書き込み要求をより大きな要求にまとめることが可能で、パリティ計算のための 1 書き込みあたりの I/O 数を減少します。コアレッサはデフォルトで有効に設定されていますが、この設定を無効に設定することはできません。
RAID 10
RAID 10 アレイは、4 台のハードドライブを使用して、2 つの RAID 1 アレイから RAID 0 アレイを形成することにより、RAID レベル 0 と 1 の組み合わせを作成します。
RAID 0 アレイ上のデータはすべて二重化されるため、RAID 10 アレイの容量は RAID 0 アレイ (論理ドライブ) の容量と等しくなります。たとえば、120GB のハードドライブ4 本で構成される RAID 10 アレイは 240GB の単一のハードドライブとしてオペレーティング・システムは認識します。
RAID 10 の最大の利点は、RAID 0 のハイパフォーマンスと RAID 1 のフォールトトレランス機能 (データの対障害性) ともに享受できることです。RAID を構成しているドライブのうちのひとつに故障が発生した場合でもデータを保護し、データの信頼性を維持します。ハードドライブのうちのひとつが読み取れなくなってしまった場合でも、ミラーを構成しているもう一方のドライブからデータを読み取ることができます。 このことにより、データの完全性には全く影響がありません。ディスクエラーの場合でも、コンピューターシステムは十分に最大性能で動作します。データの冗長性は、故障したドライブを交換することで回復できます。
RAID 10 アレイのパフォーマンスは、データを複数のドライブから同時に読み取ることから、ハードドライブ単体の場合よりも高速です。また 2 本のハードドライブで構成された RAID 0 と比較した場合、読み込みのパフォーマンスはミラーの双方からデータを読み込むため RAID 10 の方が高速ですが、逆に書き込みのパフォーマンスはアレイ上のディスクすべてへの書き込みを確認しないとならないため、RAID 10 の方が若干劣ります。
RAID 0 | RAID 1 | RAID 5 | RAID 10 | |
ドライブの最小 # | 2 | 2 | 3 | 4 |
利 | 高い転送速度 | 100% のデータの冗長性。1 台のディスクに障害が発生した場合でも、データには継続してアクセスできます。データの冗長性を維持するために、新しいディスクへの再構築が推奨されます。 | 使用可能な容量を多くし、高い読み込み性能とフォルトトレランスを実現しています。 | RAID 0 のハイパフォーマンスと RAID 1 のフォールト・トレランス性能をともに享受できます。 |
フォールトトレランス | なし。 1台のハードドライブが故障した場合は、すべてのデータを失います。 | 有り。ディスクのミラーリングが意味するように、あるディスク上にあるすべてのデータを他方のディスクで二重化しています。 | 有り。 パリティ情報はエラーを起こしたハードディスクを新しいディスクに載せ変えた後でデータをリビルドすることができます。 | 有り。ディスクのミラーリングが意味するように、あるディスク上にあるすべてのデータを他方のディスクで二重化しています。 |
アプリケーション | デスクトップおよびワークステーションにおいて、一時的なデータに対して最大限のパフォーマンスを要求される場合に適しています。 | 1 個のディスクの容量が十分である小さめのシステム構成で、非常に高い可用性を必要とするアプリケーションに使用されます。 | 大容量の重要データを保管しておくストレージとして有効です。 | ビデオ編集のような、データの保護を必要とするハイパフォーマンス・アプリケーションに適しています。 |
マトリクス RAID
マトリクス RAID では、単一の RAID アレイ上に 2 つの RAID ボリュームを作成できます。2 つのボリュームは、同じタイプでも異なっていてもかまいません。
例えば、インテル® I/O コントローラー・ハブ 10R (インテル® ICH10R) を搭載したシステムでは、インテル RST によって RAID 0、RAID 5、または RAID 10 を使用するマトリクス RAID 構成を作成でき、2 台のハードドライブで RAID 0 パフォーマンスと RAID 1 保護のメリットを引き続き提供できます。
ハードディスク 4 台上の RAID 0 と RAID 5 によるマトリクス RAID 構成は、RAID 5 ストレージのボリューム 1 つで 1 台のハードディスクの障害からデータを保護することができるため、RAID 0 に比べてデータ保護性能が向上します。同様に、マトリクス RAID は RAID 5 単体に比べて全体のストレージ容量が増加し、パフォーマンスが改善します。
RAID-Ready
RAID-Ready システムは、1 台の非 RAID SATA ドライブから SATA RAID 構成へのシームレスなマイグレーションを可能にする構成です。オペレーティング・システムを再インストールする必要はありません。
RAID-Ready システムは以下の要件を満たしている必要があります。