EDA のパフォーマンスとスループットの向上
電子設計自動化 (EDA) のパフォーマンスとスループットを向上させることは、インテルのシリコン設計エンジニアにとって非常に重要です。
インテルのシリコンチップ設計エンジニアは、かつてないほど小さくなったシリコンチップにより多くの機能を統合する、製品をより早く市場に投入する、そして設計エンジニアリングや製造コストを低く抑えるといった、継続的な課題に直面しています。設計エンジニアは、毎週 2 億 7,300 万を超えるコンピューティング集約型のバッチジョブを実行しています。各ジョブは、完了するまでに数秒から数日かかります。
設計の複雑性が高まるにつれて、計算能力の要件も同様に高まるため、サーバーやワークステーションを高性能のシステムにすれば、チップ設計をより迅速に行えるため、コスト効果が高く、競争上の優位性が得られます。古いサーバーを更新することによっても、データセンターのコスト削減を実現できます。新しい世代のサーバーではパフォーマンスと電力効率が向上するため、同じデータセンターのフットプリント内で処理能力を改善できます。これにより、高価なデータセンターの建設を避けられ、また電力消費の削減により運用コストの削減にも役立ちます。
エンジニアが求めるコンピューティング能力の要件を満たすため、インテルの IT 部門は、インテルの実際のシリコン設計ワークロードを用いて、スループット・パフォーマンスのテストを継続的に実施しています。このテストは、EDA ワークロードのスループットを測定し、パフォーマンス改善を分析するために役立ちます。そして、インテルの新しい世代のプロセッサーがもたらすビジネス上のメリットも分析できます。
インテルでは、インテル® Xeon® Platinum 8400 および Gold 6400 プロセッサー・シリーズを搭載した 2 ソケットのサーバーで、インテルのシリコン設計ワークロードを実行する、シングルスレッドおよびマルチスレッドの EDA アプリケーションを 113 時間超 (4日半) 動作させるテストを最近実施しました。その結果の一部を、以下に示します。
• コア当たりのパフォーマンスで、より高い周波数を実現。クリティカルパスの EDA ワークロードの場合、インテル® Xeon® Gold 6444Y プロセッサー (サーバーあたり 32 コア) のような高い動作周波数の CPU を選択することで、同世代のプロセッサーの、動作周波数が低くコア数が多い CPU と比較して最大 1.14 倍のコア当たりパフォーマンスを実現できます。
• スループットでは、コア数の多さが重要。ボリューム検証の実行の場合、インテル® Xeon® Platinum 8462Y+ プロセッサー (サーバーあたり 64 コア) のような、コア数が多い CPU で最適な周波数のものを選択することで、同世代のプロセッサーでコア数が少ない CPU (サーバーあたり 32 コア) と比較して、レジスター転送レベル (RTL) シミュレーションにおいて最大 1.75 倍のサーバーあたりのスループットを実現できます。インテル® Xeon® Platinum 8462Y+ プロセッサー (サーバーあたり 64 コア) は、前世代のインテル® Xeon® Gold 6346 プロセッサーを搭載したサーバー (32 コアのみ) と比べて、最大 2.17 倍高速にワークロードを完了しました。第 2 世代インテル® Xeon® Gold 6246R プロセッサー (サーバーあたり 32 コア) と比べて、新しいプロセッサーを搭載したサーバーは、古いプロセッサーのスループットを最大 2.40 倍上回りました。
パフォーマンスの評価と更新サイクルに基づき、インテルでは第 4 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ファミリー搭載のサーバーを当社データセンターに導入しています。これにより、EDA のスループット・パフォーマンスは大幅に向上して、EDA 設計サイクル全体の改善と、インテル® chips の市場投入までの時間の最適化を実現しました。