躍進する公共安全テクノロジーで活躍する IoT

公共安全と人工知能を備えた IoT は、公共安全職員の現場での的確な判断、より安全でより回復力のあるコミュニティー構築の実現を支援します。

スマート公共安全テクノロジーの成果

  • 人々の安全維持を支援する人工知能および自律的テクノロジーは、街灯、交差点、建物へと拡張されています。

  • ファースト・レスポンダーと緊急事態管理者は、スマート IoT デバイスからの音声、ビデオ、その他のセンサーデータから即時にほとんどリアルタイムで報告を受け、方針決定やトレーニング、また継続的な改善に役立つ膨大な知識を得ることができます。

  • スマート公共安全テクノロジーは、通信を改善し、透明性を確立し、コミュニティーの非常事態への対応能力を強化し、より安全でより回復力の高いコミュニティーの実現を支援します。

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よりスマートな公共安全テクノロジーの必要性

公共安全の機関である法執行機関、消防署、EMS、緊急事態管理部門などは、黎明期の電信火災報知機から無線やドライブレコーダーまで、常に最新テクノロジーのアーリーアダプターです。今日において、スマートデバイスのネットワーク拡張や人工知能の台頭により、公共安全テクノロジーは、基本的なツールセットから、公共安全維持を支援する自律的なパートナーに革新しています。

すでに活用されているスマート公共安全テクノロジー

  • スマート街灯は、カメラ、マイク、センサーなどを搭載し、コンピューター・ビジョンを使用して、交通、事故、犯罪に関するインテリジェンスを収集します。非常時には、助けを呼んだり、安全のために人々を誘導したりすることが可能です。
  • スマート信号機は、交通状況を分析し、信号のタイミングを変更し、混雑を緩和して、アーバン・モビリティーの向上を提供します。緊急時には、自動的にファースト・レスポンダーに適切な指示を出すことが可能です。
  • スマート交差点は、交通のパターンを捉え分析し、リスクを検知し、間近に迫る事故に警告し、衝突や負傷を防ぎます。
  • スマート緊急車両は、ビデオ、音声、車両テレメトリーなどを捉え共有し、コーディネーターに現場のリアルタイムの状況を提供し、トレーニングやプランニングのためにはなくてはならないデータを供給します。
  • スマート・ビルディングは、ビルへのアクセスを監視し、ビデオ画像を審査し、環境システムを実行します。緊急時には、カメラからの画像や建物のデータを公共安全職員と共有することが可能です。

Juniper の調査では、スマートシティーにより、最大 15% の緊急時の対応時間の向上と、10% の暴力犯罪の防止が期待できるということです。

スマートシティーとインテリジェント緊急事態管理

スマートシティーは、一般的なフレームワークと共有データのプールを使用して、公共安全 IoT デバイスの統合を実現します。これにより、各機関は、一枚のガラスパネル上に、共有される現場状況の画像を展開することができます。また、ソーシャルメディア、ニュースフィード、スマート・ビルディング・システムなどの市民データへ公共安全テクノロジーを接続する API の使用が可能になります。

行政の変革にもたらされる利点

これらのインテリジェント・データに基づく公共安全テクノロジーは、行政がどのように情報を共有し、決定し、有権者を守るかを変革してゆくための青写真を作成します。

  • オープン・フレームワークと共有データの開放は、部門間のサイロを打破します。
  • 都市は、病院、ビジネス、また同意した市民のスマートフォンなどから、個人データを取り入れることができます。
  • 共有情報は一貫して代理店、部署、および市民に同一の情報を提供します。
  • この客観的データと AI 支援による分析は都市やその有権者に、より明確な理解を瞬時にそして長い期間にわたって提供します。
  • 政策担当者、企業、個人は、意思決定のためのより正確な情報が得られます。
  • 都市は、政策がより迅速に正確にコミュニティーに影響してゆく様子を確認することができます。
  • コミュニティーは、非常事態用の強力でインテリジェントな公開または個人のネットワークを実現できます。

ノースカロライナ州ウェイク群の保安官事務所は、この構想を使用して事務所を超えてデジタルサービスを拡張しました。そのシステムは、すべての郡の公共安全とその関連データを中央データのハブとして管理し、ほかの機関に対しては必要に応じてアクセスを可能にします。この安全なプラットフォームを通して犯罪司法や民事訴訟のデータを共有することにより、通信が迅速化され、ほかの行政機関の仕事が効率化されます。単一プラットフォームへ移行することで、機関ごとにソリューションを管理する必要がなくなるため、時間、労働、コストの削減につながります。1

スマート・テクノロジーと事故対応

緊急事態が発生すると、スマート公共安全テクノロジーはその対応における重要なプレイヤーとなります。近くのスマート街灯や個人の建物のカメラは、状況のさまざまな観点を提供します。ボディーカメラやスマートフォンは、ファースト・レスポンダーを音声、ビデオ、位置データのライブソースとして扱います。

この送られてくるデータは、事故処理の司令者に、リアルタイムの臨場レベルの所見と全体的なより正確な理解を提供します。また、司令者は、スマートシティー・テクノロジーを使用して、現場にいるファースト・レスポンダーにサポートができます。

  • スマート街灯は光で事故を明るく照らすことができます。
  • 光の色を変えたり、点滅させたり、メッセージを放送したりすることができます。
  • スマート信号機よるファースト・レスポンダーや迂回交通のための交通整理が可能です。
  • スマートキオスクとデジタルサイネージは、危険を警告し行動を指示することができます。

災害時の準備、対応、コミュニティーの回復力

山火事、ハリケーン、地震、テロ事件などの災害は長時間続き、日常の事故よりもはるかに多くの人々に影響を与えます。スマート公共安全テクノロジーは、大きなトラウマ的な出来事への準備、対応、そしてその回復を担う都市管理者を支援します。

公共安全 IoT とスマートシティー・デバイスからの日々の情報は、政策担当者にとって、問題の識別、公共安全の改善、より強固でより健全なコミュニティー構築に欠かせない客観的な情報となります。

非常災害事態では、スマートデバイスは、緊急事態管理者が正確な状況把握を維持し、情報に基づいて意思決定ができるよう支援します。人工知能は、莫大な量のデータを分析し、ノイズから最も重要な信号を分離することができます。人工知能は、重要な通信に優先順位をつけ、援助が最も必要な場所にピンポイントすることで、トリアージ対応の支援も可能にします。

災害後、スマート公共安全テクノロジーによって、どの近隣地域に水や救援物資が必要か、どの道路が移動には安全でないか、またどの建物が構造的に健全かを識別することができます。スマートシティー・テクノロジーは、再構築の優先順位化、保険請求の合理化、将来の構想決定などに必要なデータを提供し、回復の迅速化にも貢献します。

スマート公共安全テクノロジーが、コミュニティー回復力におよぼす影響は机上のものではありません。リオデジャネイロは、30 以上の都市機関からの情報を集約する中央司令センターを構築しました。共有情報により、都市機関は洪水および洪水関連の地滑りに関する高リスク領域を地図にし、早期警告と避難システムの構築を可能にしました。2

法執行機関の公共安全テクノロジー

客観的な情報は、現場の警察官には大変重要であり、コミュニティーには肝要な記録です。公共安全テクノロジーにより法執行機関や行政は、より多くの透明性の高いデータを提供できるようになります。これが、警察官、市民、意志決定者たちの結束を強め、真のコミュニティー警備を実現するための基盤となります。

人工知能の助けを借りて、ニューオーリンズ市内 325 台以上のカメラからの証拠を分析しています。システムは、関連ビデオや関連情報の提供、2,000 時間以上におよぶ手動労働時間軽減で、70% のケースにおいて警察官の支援に貢献しました。3

次世代の公共安全テクノロジー

エッジ・コンピューティング・パワーの驚くべき発達により、機能は拡張し人工知能はあらゆる領域に広がっています。独自に事態を検知し、反応し、介入ができる公共安全 IoT デバイスは、日常的な現実になりつつあります。

すべてを可能にする重要なテクノロジー:

公共安全の高性能な IoT
カメラ、街灯、交差点がスマートであるためには、極端な状況にも対応できる高性能なコンピューティングとネットワーキング・デバイスが必要となります。メーカーは、チップ (SoC)、モジュール (COM) コンピューターなど、また最も要求されるエッジ・アプリケーションに人工知能と自律的コンピューティングを提供できる目的特化デバイスなど、組込み工業用定格システムに対応しています。

5G エッジ・ネットワーク
4G と比較して、5G ネットワークは、レイテンシーを 10 倍短縮し、50 倍超の速度および 1,000 倍超の容量を提供します。4 緊急事態では、これらの数秒の余裕が人命の救助に役立ちます。このスピードと帯域幅の劇的な急増により、緊急時のサービスは事態発生のリアルタイムでの把握が可能になり、より迅速なコーディネイトと対応が実現します。

ディープラーニングと予測的公共安全
ディープラーニングは、パワフルなコンピューターがデータパターンを認識し学習します。都市は、犯罪データの分析および重要パターンの識別のためにディープラーニングを使用しています。

ニューハンプシャー州マンチェスター市は、都市マップに記載された犯罪統計、気象パターン、その他の情報による予測警備システムを作成しました。システムは、500 フィートの半径内での犯罪発生を予測します。平均して 60% の精度で、法執行機関は全体で 28% の犯罪を軽減できました。

人工知能、コンピューター・ビジョン、センサー・アプリケーション
ディープラーニングは、ほかのデバイスが物事の意味を理解するために使うモデルも作成します。例えば、データ科学者は、ガラスの壊れる音を認識するディープラーニングのモデルを訓練しました。スマート街灯は、これらのモデルを使用して事故や侵入を聞き分けることができます。スマート街灯は、ガラスの壊れる音を認知すると、光を赤に変え、点滅し、警察官を呼ぶことができます。全く人間は介入しません。

人工知能は、スマートシティーおよび公共安全テクノロジーに、検知、分析、そして行動の機能を備えます。

  • スマートカメラは、事故を検知して EMS を呼び出すことができます。
  • マイクは、銃声を識別してシューターの位置を三角測定し、その情報をファースト・レスポンダーに通達できます。
  • 自然言語プロセッサーは、会話から文字起こしして、その内容を証拠管理システムに入力できます。

銃声探知テクノロジーは、2017 年、カリフォルニア州フレスノ市近郊での銃複数発砲事件で、犯罪者の逮捕に貢献しました。警察官はほとんど瞬時に警告を受け、容疑者がその場を去る前に逮捕しました。5

オープン標準、共有データ、高強化セキュリティー
公共安全のデータは、ファースト・レスポンダー、司令者、地方自治体のリーダーがアクセスできなければ有用ではありません。オープン・ハードウェア標準、オープン・データ・フレームワーク、および共有データのプールの実現は、スマート公共安全テクノロジーの成功に不可欠です。

このようなデータの保有コストは高く付くものです。データを収集すると、機関はデータのセキュリティーを確保する責任があります。特に神経をつかう犯罪および医療データはことさらです。インテリジェント・テクノロジーが拡大する中で、行政は莫大な数の組込みデバイスの安全性を確保し、システムを通過するすべての公共および個人データを保護しなくてはなりません。

組織はハードウェア・ベースのデータ・セキュリティー対策と、人手を介さないリモートデバイス管理を併用して、攻撃者やマルウェアを阻止することができます。

公共安全向けインテル ® リファレンス・デザイン

自動車のコンピューター、インテリジェント・カメラ、スマート交差点は、スマート公共安全テクノロジーを実現するテクノロジーです。インテルはパートナーと共に、公共安全、アーバン・モビリティー、スマートシティー向けの幅広いハードウェアおよびソフトウェア・ソリューションを提供しています。インテルのエコシステムでは、事前検証済みのリファレンス・デザイン、リファレンスの実装、公共安全向けにすぐに実行できるソリューションを提供しています。

ロードサイド・ユニットのリファレンス・デザイン
ロードサイドにおけるエッジ・コンピューティング向けのリファレンス・デザインは、街灯やその他の設備に取り付けることが可能です。このロードサイド・ユニットは、リアルタイムのビデオ分析やその他のパフォーマンスを必要とするタスクに最適です。都市では、スマート街灯、スマート信号機、スマート駐車場、自動料金収受システムなどのソリューションの一部として、これらのユニットを導入することができます。ナンバープレートの検出、歩行者の検知、交通渋滞の監視に必要な処理機能を提供します。これらのエッジノードは、公共の Wi-Fi カバレッジを提供することもできます。統合セキュリティー機能を搭載したインテル® ビジョン・プロダクトがサポートする AAEON Atlas エッジ・コンピューティング・ノードは、このリファレンス・デザインに基づいた、すぐに導入できるソリューションです。

コンバージド・エッジ・リファレンス・アーキテクチャー (CERA)
CERA は、IoT とネットワーク・ワークロードの融合向けのプラットフォーム・アプローチです。このアーキテクチャーにより、インテルのパートナーは、センサー・モダリティーを処理し、センサー・フュージョンを実行するためのロードサイドの設備向けソリューションを設計することができます。これにより、5G ネットワーク機能とマイクロサービスをホストしながら、エッジにインテリジェンスをもたらします。このプラットフォーム上に構築されたソリューションを交差点やオンプレミスに設置して、複数の IoT デバイスに対して、ニアエッジ・コンピューティングやデータ処理を行うことができます。ソリューションは、OpenVINO™ ツールキットのインテル® ディストリビューションと OpenNESS ツールキットを使用して最適化することができます。5G 接続により、CERA は、エッジで異なる IoT デバイスが通信したり、クラウドにデータを送信したりするネットワーク機能を提供します。