インテル® IoT ユニファイド・エッジ・フレームワークのご紹介

ワークロードの統合を使用して産業用 IoT ソリューションを効率的に拡張

重要ポイント

  • インダストリー 4.0 と産業用モノのインターネットの台頭により、運用・制御技術 (OT) システムと情報技術 (IT) システムの統合が必須になりつつあります。

  • エッジデバイスの増加、データ量の増加、既存のインフラストラクチャーの制約を考慮すると、複雑さを軽減し、拡張要件の簡素化がとりわけ重要です。これらの目標を達成するための 2 つの重要な概念は、ワークロードの統合とオーケストレーションです。

  • これら 2 つの概念を組み合わせて、ユニファイド・エッジ・インフラストラクチャーを定義することで、組織はコスト効率よく IIoT を拡張し、設備投資を軽減しながら、セキュリティーを強化できます。インテルは、インテル® ユニファイド・エッジ・フレームワークを提供することで、これを簡単に実施できるようにしました。このフレームワークは、組織がエッジでワークロードを統合し、IIoT ソリューションを効率的に拡張できるように設計されています。

  • 織物、パルプ、包装材、建材、関連化学の世界有数のメーカーである Georgia Pacific (GP) はインテルとパートナーシップを結び、企業レベルでの IoT ワークロードの統合に取り組んできました。GP のエッジ構想はインテル® アーキテクチャー上で開発され、すでに複数の施設に導入されています。この GP アーキテクチャーは、コンテナーと仮想マシンを使用して IoT ワークロードを統合し、生産環境で複数の IoT ソリューションを並列実行することで、拡張性、メンテナンス、セキュリティーを向上します。

  • インテルのフレームワークを使用することで、次第に複雑化しコストのかかる数々の異種 IIoT ソリューションのサポートを継続するのではなく、エッジでワークロードを統合してオーケストレーションすることで、セキュリティー、パフォーマンス、信頼性を向上させると同時に、設備投資を削減し、総所有コストを削減できます。

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ワークロードの統合を使用して産業用 IoT ソリューションを効率的に拡張するインテル® IoT ユニファイド・エッジ・フレームワークのご紹介

エグゼクティブ・サマリー

産業用モノのインターネット (IIoT) と呼ばれるデジタル変革は、多くの産業に新しく複雑な課題を生み出しています。断片化されたソリューション、限られた規格、未成熟のセキュリティー・モデル、デジタル資産の不適切なメンテナンス手法は、企業が貴重な IIoT ソリューションを拡張することを妨げる障壁となっています。情報技術 (IT) 組織と運用・制御技術 (OT) 組織の連携やコンバージェンスも、ますます重要な成功要因となっています。

エッジデバイスの増加、データ量の増加、既存のインフラストラクチャーの制約を考慮すると、複雑さを軽減し、拡張要件の簡素化がとりわけ重要です。これらの目標を達成するための 2 つの重要な概念は、ワークロードの統合とオーケストレーションです。これら 2 つの概念を組み合わせて、ユニファイド・エッジ・インフラストラクチャーを定義することで、組織はコスト効率よく IIoT を拡張し、設備投資を軽減しながら、セキュリティーを強化できます。インテルは、インテル® ユニファイド・エッジ・フレームワークを提供することで、これを簡単に実施できるようにしました。このフレームワークは、組織がエッジでワークロードを統合し、IIoT ソリューションを効率的に拡張できるように設計されています。

この記事では、インテル® IoT ユニファイド・エッジ・フレームワークについて詳しく説明し、業界をリードする企業、Georgia-Pacific (GP) がこの革新的なアプローチをどのように適用して、どのような成果を達成したかについてケーススタディーでご紹介します。

機会のある分野

IIoT は、効率の向上、信頼性の向上、無駄の削減によって、OT が機能する方法を変革しています。クラウドは多くの OT ワークロードに対応できる強力なツールですが、IIoT のユースケースでは力不足なことがあります。コントロール・プレーンのレイテンシー、膨大な量のリモートデータ、コンテキストを維持したままのデータ集約といった問題には、補完する機能が必要です。エッジ・コンピューティングの継続的な進化によって、補完が可能になり、これらの問題を解決できるようになりました。それでも、解決する必要があるその他の重要な課題がエッジに存在します。

  • エッジスタックは複雑さを増しています。管理性の基準が欠如しているため、これらのシステムの管理に手動での操作が必要になることは珍しくありません。これは社内またはサードパーティーを通じて処理されることがよくあり、コストと複雑さを増大させながら信頼性を下げる非標準的なシステムアプローチにつながります。
  • IT / OT コンバージェンスも重要な課題です。これまでは、OT システムを閉回路として保ち、IT を統合しないことが一般的でした。これはもはや選択肢の 1 つではありません。今日の競争の激しい環境では、このような方法でインフラストラクチャーを複製することは理想的なソリューションではありません。

インテルは、業界トップ 100 企業の数社とパートナーシップを結び、これらの問題の解決を目標として、インテル® IoT ユニファイド・エッジ・フレームワークを制定しました。これは、実際にビジネス価値を提供するスケーラブルで管理性に優れた IoT ソリューションの導入に使用できる規律とガイドラインのリストで構成されています。

インテル® IoT ユニファイド・エッジ・フレームワークは、エンドツーエンドの IoT ソリューションを構築するための基盤を提供します。ビジネスニーズを支える適切なビルディング・ブロックを選択し、一貫性、拡張性、完全性を備えた企業全体にわたる IoT ソリューション・アーキテクチャーを実現するためのガイダンスが含まれます。このフレームワークには、お客様がお好みのビルディング・ブロックを使用して実装できるリファレンス・アーキテクチャーも含まれています。

最終的に、インテルのこのフレームワークは、各規律が標準化されていることの価値と利用可能なオプションをお客様が明確に理解し、情報に基づいてビジネスに最適なものを決定できるよう支援します。

ワークロードの統合の価値

この最新化の重要な規律の 1 つがワークロードの統合です。エッジ・コンピューティング環境の新旧システムの統合は、複数の目的に役立ち、さまざまな方法で総所有コストを削減できます。以下はその例です。

  • ワークロードのオーケストレーションを可能にするプラットフォームを活用することで、インフラストラクチャー・コストを削減し、システム機能の安全性とセキュリティーを確保し、システム管理を簡素化できます。
  • コンポーネントの数を減らすことで、運用を合理化し、生産性を向上させ、コストと複雑さを軽減することができます。
  • 保守のために手元に置いておく必要がある特殊なデバイスの数を大幅に減らし、トレーニングやサポートスタッフの関連コストを削減することで、設備投資 (CAPEX) と運用コスト (OPEX) の両方を削減できます。
  • システムの陳腐化に伴うコストの削減も、ワークロードの統合のメリットの 1 つです。1 台のデバイスで複数のユースケースをホストするようにワークロードを統合することで、将来的にアップグレードまたは交換するデバイスの台数を減らすことができます。

GP は、社内のデジタル変革を実現する初期パイオニアの 1 つとして、この構想に関してインテルと提携しています。

インテル® IoT ユニファイド・エッジ・フレームワークには、エッジ・コンピュート・インフラストラクチャーの一部として、図 2 の多層システム・オントロジーとして示される 2 つの主要コンポーネントがあります。

  • エッジ・コンピュート・デバイス: 一般的に IoT ゲートウェイと呼ばれるデバイスです。複数の IoT ソリューションをホストするのに十分な処理能力を備えています (それぞれインテル® Core™ i7 プロセッサー搭載システムを実行)。エッジ・コンピュート・デバイスは、センサーの近くに配置され、センサーから直接データを受信します。また、アクチュエーターと通信して、特定のアクションを実行します。エッジ・コンピュート・デバイスは、IT 部門によって標準化され、ハードウェアとソフトウェアの両方が含まれます。基本的に IT 部門は、特定のハードウェア・コンポーネントを搭載したデバイス、Ubuntu* オペレーティング・システム (OS) を含むデバイス、1 つまたは複数のユースケースを実行できるその他のソフトウェア・セットを選択します。
  • エッジサーバー: 多数のエッジ・コンピュート・デバイスから送られてくるデータの統合や、ビデオ分析などの負荷の高いワークロードの処理には、オンプレミスの処理能力の高いサーバー (インテル® Xeon® プロセッサーを使用) が必要です。これらのローカルサーバーはクラウド・プロバイダーから独立しているため、可用性の向上、レイテンシーの低減、データ転送量の削減を実現できます。

ワークロードの統合のメリット

前のセクションで説明したように、ワークロードの統合の主な目標は、総所有コストを削減し、次のようなメリットを実現することです。

  • システム機器の設置面積を縮小: ポイント・ソリューションごとに専用のエッジ・コンピュート・デバイスを用意する代わりに、リソースの豊富な 1 台のデバイスで複数の IoT ソリューション / コンポーネントをホストできます。
  • 導入と管理が容易: ポイント・ソリューションで使用されるデバイスの数を減らすことで、管理が必要なデバイスの数が大幅に減り、運用作業も少なくなります。
  • セキュリティーを強化: ハードウェア (HW)、ファームウェア (FW)、ソフトウェア (SW) を削減することで、ネットワークの攻撃可能面を最小限に抑えることできる可能性があります。
  • システム統合の複雑さとデータへのアクセスを軽減: さまざまなワークロードを同じデバイスに共存させるためのフレームワークが必要です。これにより、ソリューションの導入と統合が簡素化されます。エンタープライズ・データ・バスは、さまざまなソリューションから提供されるデータを受信します。
  • 基盤となるプロセス制御システムの信頼性を向上: データ要求の重複を最小限に抑え、重要な (しかし古い) 制御システムの負荷を軽減します。
  • ベンダーロックインを回避: お客様は各ソリューションからデータを取得でき、ベンダーはお客様が定義したハードウェアに適応する必要があります。
  • エッジで集約された計算力の使用率を最適化: デバイスごとに少数のサービスしか実行しないエッジデバイス・リソースの非効率的な利用を解消します。
  • IoT テクノロジーの導入を促進: 企業のデジタル変革を支援します。

ケーススタディー - Georgia-Pacific

Georgia-Pacific は、織物、パルプ、紙、梱包材、建材、関連化学の世界有数のメーカーです。GP では、変革構想を進めるため、デジタル・テクノロジーに積極的に投資し、北米全土で事業を展開している 150 以上の製造拠点で、生産効率、持続可能性、従業員の安全性、製品品質を継続的に向上させています。

テクノロジーの進歩により、さまざまな IIoT ソリューションが可能になり、適切な領域に適用すれば製造業務を変革できます。しかし、競争力を維持するには、これらのソリューションを迅速かつコスト効率よく拡張できる必要があります。さらに、産業分野を問わず IIoT ソリューションが急速に導入されたことで、市場の細分化が進み、さまざまなテクノロジーの選択肢が生まれています。多くのベンダー・ソリューションは、独自のエッジ・コンピュート・デバイスを使用する完全なエンドツーエンド・スタックを導入しています。その結果、いくつもの種類の異なるクローズドなソリューションを実行する設備となり、それぞれにデジタル・メンテナンス、インテグレーション、セキュリティー、およびサポートが必要になります。

Georgia Pacific は、当初こそベンダーの IIoT ソリューションに満足していましたが、この「サイロ」アプローチにより、IIoT 能力を拡大しようとしたときに、ソリューションの拡張が困難であることに気付きました。GP が発見したように、複数の異種の IIoT ソリューションをサポートすると、時間の経過とともにコストが高くなり、人手がかかる作業が増えていきます。長期的なサポートコストが急速に増え、ソリューション実装の促進要因が損なわれます。結果としてソリューションが複雑化すると、信頼性も低下し、生産制御システムなどのソースシステムが不安定になる可能性もあります。

GP は、インテルの支援を得て、リソースが豊富なエッジ・コンピュート・デバイスにワークロードを統合し、コンテナーと仮想マシンを使用して計算サービスをカプセル化することで、IIoT ソリューションのスイートを大規模に管理および展開できることを学びました。

ハードウェアの統合やワークロードを管理する効率的なアプローチの使用をせずに IIoT ソリューションを拡張しようとしても、非常に困難になる可能性があります。大規模メーカーのコンピューティング資産のメンテナンスとサポートは、すでに巨大事業となっています。高レベルのアップタイムとパフォーマンスを必要とするノードを追加するほど、タスクはさらに困難になります。

インテルと GP の合同チームは、マスコギーの GP 施設にインテル® IoT ユニファイド・エッジ・フレームワークを導入した経験に基づき、このフレームワークを活用して、IIoT システムの導入と保守に必要なリソース (労働力とハードウェア) の数を大幅に削減し、規模の拡大を可能にする方法を開発しました。

ローカルチームは、プロバイダー 3 社の 3 つの異種 IIoT ソリューションのコンピュート・ワークロードを 1 つの標準化されたコンピュート・スタックに統合することができました。これらのソリューションには、フィールド・ゲートウェイからのさまざまな I/O と、エッジサーバーの計算力が必要でした。

以下の統合ワークロードは、現在企業全体に導入されている典型的な IIoT ソリューションの代表例です。

  • コンピューター・ビジョンベースの異常検出サービス: 固定カメラを使用して、動作環境の変化を識別します。この機能の応用方法の例としては、資材を追跡して、正規の場所以外に置かれないようにしたり (死角や出口の閉鎖などの安全上の問題の原因)、機械を保護するシールドが損傷しているかどうかを検出したり、機械の動作が通常どおりか異常かを識別し、品質や信頼性に影響を与える可能性のあるイベントを早期に発見したりすることが挙げられます。
  • AI ベースの物体検出安全システム: さまざまな方法で安全リスクを低減します。例えば、AI を使用して移動式装置の交通量の多いエリアの歩行者を検出し、照明や自動ゲートで視認性を上げることができます。
  • 長距離環境センサーシステム: 以前はコストがかかり過ぎてネットワークに追加できなかった工場設備のセンサーを改修し、ネットワークに追加します。これらの資産は主な生産エリア外にあることが多いため、これらのセンサーからの情報によって運用パラメーターをより詳細に把握できるようになり、信頼性と効率が向上します。これら 3 つのワークロードは関連機能の代表例です。これらを組み合わせて適用することで、製造業の変革が可能になり、生産効率、持続可能性、作業員の安全、および製品品質の向上につながります。

初期導入から得た知識に基づき、チームは従来のアプローチと比較して次のようなコスト削減を推定しました。

節約が期待される項目 コストの削減 要因と備考
メンテナンスとサポート 30% 以上 トレーニングやトラブルシューティングの削減、インテグレーション、パッチ適用、アップグレードなどの簡素化
ハードウェア 30% 以上 5 ~ 7 年で交換する場合の初期費用
パフォーマンスとアップタイム 10% MTBF および MTTR の低下 (人件費のみ)
初期導入 (1 回) 40% 以上 イメージとワークロードの導入、ネットワーキング、設置、アクティベーション

これらのワークロードをサポートするために必要なすべてのデバイスは、IT 部門が通常の管理性ツールを使用して標準デバイスとして管理します。エッジ・コンピュート・デバイスにはセキュアな標準 OS イメージを使用し、エッジ・サーバー・サイドでは仮想化環境を使用します。これは IT / OT コンバージェンスに役立ちます。

データ管理に関しては、階層ごとに MQTT (Message Queuing Telemetry Transport) ブローカーがあります。GP はこれによって IoT ソリューションから情報を取得できるので、ベンダーロックインを回避できます。これにより、GP は、インサイトの生成に必要な集約された豊富なデータを生成できます。

また、ワークロードのオーケストレーションを支援するプラットフォームがあるため、GP は特定の時点で最も可用性の高いノードにワークロードを展開し、インフラストラクチャー・リソースを効率的に管理できます。

インテル® IoT ユニファイド・エッジ・フレームワークは、Georgia-Pacific のデジタル変革への取り組みに明らかに貢献しています。GP は、インテルのフレームワークを採用することで、持続可能性の高い方法で新しい IIoT ソリューションの導入を加速し、これらのソリューションの稼働施設全体へのスケールアップを簡素化しながら、この新しいプラットフォームの運用と保守のコストを最小限に抑えています。

まとめ

Georgia-Pacific の事例が明確に示すように、インテル® IoT ユニファイド・エッジ・フレームワークは、エンドツーエンドの IIoT ソリューションを作成して効率的に拡張するために必要な規律とガイダンスを提供します。インテルのフレームワークを使用することで、次第に複雑化しコストのかかる数々の異種 IIoT ソリューションのサポートを継続するのではなく、エッジでワークロードを統合してオーケストレーションすることで、セキュリティー、パフォーマンス、信頼性を向上させると同時に、設備投資を削減し、総所有コストを削減できます。

著者

Dave Nettuno
Georgia-Pacific
Enterprise IoT Architect

Kit Fennell
Georgia-Pacific
Technology Leader

Dalibor Labudovic
Georgia-Pacific
System Engineer

Marcos E. Carranza
インテル コーポレーション
Senior IoT Solutions Architect

Cesar Martinez Spessot
インテル コーポレーション
Engineering Director
Senior IoT Solutions Architect

Lakshmi Talluru
インテル コーポレーション
Sr.Director Digital Transformation

Jennifer Frieda
インテル コーポレーション
Account Executive