産業用マシンビジョン
インテリジェント・ビジョン向けインテル® FPGA
マシンビジョンに使用されるカメラやその他の機器は、画像信号処理 (ISP)、ビデオ・トランスポート、フォーマット変換、解析などのさまざまなタスクを実行します。カメラセンサーのテクノロジーは進化のスピードが速く、アナログカメラからスマート IP カメラへの置き換えや AI ディープラーニングによるビデオ分析が進む中で、FPGA はビジョンシステムに求められる重要な要素の多くを満たすことが可能です。
- ワットあたりの高性能
- 低レイテンシー
- 確定性
- 柔軟性
次世代のマシンビジョン機器のアーキテクチャーの再設計に際し、インテルの CPU と組み合わせた FPGA ベースのアクセラレーター・ソリューションを活用できるようになりました。
ビデオ
DNN IP による地図画像セグメンテーション
Reflex CES のデモでは、DNN IP とインテル® Arria® 10 FPGA を使用して地図画像のセグメンテーションとDNN 推論を実現しています。このシステムによりビデオストリームが分析され、航空機、車両、船舶、倉庫、タンクやさらに多くのものが航空写真から識別できます。
マシンビジョン
マシンビジョン (MV) は、高速カメラとコンピューターを組み合わせ、デジタル画像取得・分析だけでなく複雑な検査作業も実行します。得られたデータはパターン認識、選別、ロボットアーム制御などに使用可能です。インテルの FPGA は、さまざまな画像センサーや MV 固有のインターフェイスに対応できるため MV カメラに最適です。FPGA は、エッジ・コンピューティング・プラットフォーム内のビジョン処理アクセラレーターとしても活用でき、MV データを解析するための AI ディープラーニングにおいても効果を発揮します。
主なマシンビジョン・アプリケーションとして、以下が挙げられます。
- 欠陥検出
- 計測
- 誘導、部品追跡、および識別
- 光学式文字認識 / 照合 (OCR / OCV)
- パターン認識
- 包装 / 製品 / 表面 / ウェブ検査
インテル® FPGA は、次世代の MV カメラ、フレームグラバー、ビジョン・コントローラーの実現において重要な役割を担っています。
- FPGA ベースの畳み込みニューラル・ネットワーク (CNN) 推論アクセラレーターを実装するための AI ディープラーニング・フレームワーク、モデル、およびトポロジーのサポート (インテル® FPGA ディープラーニング・アクセラレーション・スイートの詳細を参照してください)。
- 各種画像センサーおよび MV システムデバイスに対応するインターフェイスを備えた柔軟性。
- 高速処理: 欠陥ピクセル補正、ガンマ補正、ダイナミック・レンジ補正、ノイズ・リダクションなどの機能を備えた完全な画像センサー・パイプライン (ISP) Intellectual Property (IP) を搭載。
インテル® FPGA の優位性 – 性能、柔軟性、および接続性
下図のように、インテル® MAX® 10 や Cyclone® / Arria® デバイスファミリーなどの FPGA を使用することで MV 設計者は以下のようなことが可能になります。
- フレーム・グラバー・ボード (Camera Link などのプロトコルを使用) で高性能画像の前処理を実現して、リアルタイムに近いフレームレートを達成。
- ピクセル単位のゲイン・コントロール、欠陥ピクセル補正、ダイナミック・レンジ拡大などのリアルタイム機能をカメラシステムに統合。
- FPGA の柔軟性を活かし進化するカメラ・インターフェイスをサポート。
- PCI*、PCIe*、ギガビット・イーサネット、USB、CoaXPress などの各種バス・インターフェイスの実装。
- 画像取得、カメラ・インターフェイス、前処理、通信機能などの幅広い機能を 1 個の FPGA に統合。
- Cyclone® V SoC FPGA などのインテル® SoC FPGA を使用して、 ARM* A9 ハード・プロセッサー・システムが実行するマシンビジョン・アルゴリズムと画像信号処理パイプラインを組み合わせて、チップ上に完全なマシンビジョン・システムを構築。
- MathWorks の Simulink* と Embedded Coder* を使用して、Cyclone® V SoC FPGA 向け C/C++ コードを生成。このソリューションは、HDL Coder* のインテル® SoC サポートと組み合わせて使用することにより、シミュレーション、プロトタイピング、検証、および実装にわたるインテル® SoC のハードウェア / ソフトウェア・ワークフローに利用できます。詳細については、MathWorks のページを参照してください。
柔軟性 – FPGA がサポートする各種センサー / MV インターフェイス
GigE Vision*
GigE Vision* は、イーサネット・ネットワークを介した画像ストリーミングおよびデバイス・コントロールのためのオープンで高性能、かつスケーラブルなフレームワークを提供します。このインターフェイス規格は、クライアント / サーバー交換アーキテクチャーをベースにしたネットワーク・マシンビジョン・システムのための環境を提供し、複数のカメラを複数のコンピューターに接続することを可能にします。
GigE Vision* には以下の特長があります。
- Automated Imaging Association (AIA) が仕様を管理。
- イーサネット / IP / UDP 上でプロトコルを実装し、1Gbps (ギガビット・イーサネットの場合) から 10Gbps (10 ギガビット・イーサネットの場合) までの最大データ転送レートを実現。
- 銅線で最大 100 m のデータ転送距離。
- スイッチ、リピーター、または光ファイバー・コンバーターを使用してデータ転送距離を延長。
- 低コストのケーブル (CAT5e または CAT6)、標準コネクター、およびハードウェアを使用。
複数の GigE カメラを使用した GigE Vision* アプリケーションの例
提供: Pleora Technologies Inc.*
インテル® MAX® 10 FPGA、Cyclone® IV、Cyclone® V デバイスファミリーなどの FPGA を使用して GigE Vision* アプリケーションを実装すれば、以下をはじめとする多くの利点が得られます。
- 単一の FPGA デバイスへの画像取得、カメラ・インターフェイス、前処理、および通信の統合
- 各種カメラ・インターフェイスやバス・インターフェイスの進化に柔軟に対応可能。
- ボードサイズの縮小、部品点数の削減、およびハードウェアのリスピンの最小化による TCO (総所有コスト) 削減。
- FPGA の長いライフサイクルや最新 FPGA ファミリーへの容易な移行による退行リスクの低減。
詳細については、インテルの販売代理店またはパートナーまでお問い合わせください。
Camera Link
Camera Link は、ポイントツーポイントの自動ビジョン・アプリケーション向けに設計されたシリアル通信プロトコルです。Texas Instruments* 社 (旧 National Semiconductor 社) の Channel Link インターフェイスをベースとし、汎用 LVDS データ転送をサポートできるように拡張されたものです。
Automated Imaging Association (AIA) が管理する Camera Link 規格により、カメラデータの変換、および、通常は PCI* または PCIe* バスを介したコンピューターへの送信に使用するカメラ・インターフェイス、ケーブル、およびフレームグラバーが標準化されています。Camera Link インターフェイスは、マシンビジョン・システムやスマートカメラといったアプリケーションに利用されています。
Camera Link アプリケーションに FPGA を使用する利点
下図のように、Cyclone® IV や Cyclone® V デバイスなどの低コスト FPGA を利用して、高性能 Camera Link アプリケーションを構築すれば、TCO (総所有コスト) 削減や ROI (費用対効果) 向上を実現できます。さらに高い性能が必要な場合には、インテル® Cyclone® 10 FPGA、インテル® Arria® 10 FPGA、またはインテル® Stratix® 10 FPGA をご利用ください。
インテルの Cyclone® IV FPGA を使用した Camera Link アプリケーションの例
USB 3 Vision
USB 3.0 を使用する利点は、最新 PC に多数搭載された USB 3 インターフェイス、低コスト、最大 5Gbps の転送レート、低消費電力 / CPU オーバーヘッドのほか、最長 5 メートルのケーブル 1 本によってアクティブリピーター不要でデータと電力を伝送可能なことが挙げられます。
CoaXPress
CoaXPress は、最長 130 メートルのケーブルを使用して、ケーブル 1 本あたり最大 6.25Gbps の伝送が可能です。最近開発されたクアッドリンク・ケーブルを使用すれば最大 25Gbps の伝送が可能で、高性能カメラの非常に高負荷な広帯域幅接続にも対応します。クアッドリンク CoaXPress インターフェイス対応カードにより、シングル / デュアル / クアッド・カメラ・サポートを組み合わせて管理できます。
FPGA を使用すれば、以下が実現可能です。
- 画像前処理 (ピクセル単位のゲイン・コントロール、欠陥ピクセル補正、ダイナミック・レンジ拡大など) の高速化による、リアルタイムに近いフレームレートの実現。
- 単一の FPGA プラットフォームへの画像取得、カメラ・インターフェイス、前処理、および通信の統合。
- 追加のハードウェア不要で各種カメラ / バス / 通信インターフェイスの進化に対応できるデザインの開発。
- ボードサイズの縮小、部品点数の削減、ハードウェアのリスピンの最小化、市場投入期間の短縮、および製品寿命の延長による TCO の削減。
Camera Link インターフェイス規格に関する詳細は、インテルの販売代理店または産業機器パートナーまでお問い合わせください。
その他の動画
ヘルメットと手袋の検知
Basler* の SPS 2019 でのデモでは、従業員が指定エリア内で PPE を使用しているかどうかを検知するための、エッジに実装された AI による検知システムを紹介しています。デモでは、インテル® Movidius™ ニューラル・コンピュート・スティック 2 上で動作する学習済みのニューラル・ネットワークを採用しています。
エッジ・インテリジェンス・ソリューション
SPS 2019 でのビデオでは、インテル® Cyclone® 10 FPGA をIntel Atom® プロセッサーと組み合わせて、リアルタイムのエッジ分析向けに GigaSOM を生成する EXOR のエッジ・インテリジェンス・ソリューションを紹介しています。
リソース
関連リンク