クラウド上での HPC ワークロードの実行
HPC クラウド・コンピューティングは、パフォーマンス・レベルと可用性の点で大きな進歩を遂げました。HPC ワークロードを実行する必要がある組織は、クラウドサービスを活用して最も複雑で困難な計算およびストレージ負荷の高い要件に取り組むことができます。また、クラウドにおける HPC は結果にかかる時間を短縮するため、研究者はジョブキューを待つことなく、研究に時間を費やすことができます。さらに、オンプレミスでの HPC の導入を可能にするインテル® テクノロジーの多くも、HPC クラウドで利用できます。インテルは CSP と密接に連携し、主要なツールキットとハードウェア・ベースのセキュリティーおよびアクセラレーションを使用して、インテル® アーキテクチャー上の HPC ワークロードを最適化します。
クラウド HPC アーキテクチャーの考慮事項
クラウドでは、ユーザーは時間単位で支払い、結果にかかる時間に応じて予算の優先順位付けを行います。アーキテクチャーは、HPC ワークロードを所定の時間内に処理するために必要なパフォーマンスを提供する上で重要な役割を果たし、最終的にユーザーの利益向上に寄与します。インテルは CSP と協力して、HPC クラウドのインスタンスに最も影響を与える場所に高性能のアーキテクチャーを導入することで業界をリードしています。主要なフレームワークとテクノロジーには次のようなものが含まれます:
- インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ファミリーは、HPC クラウドサーバーの心臓部であり、最も演算負荷の高いワークロードに対応するパフォーマンスとメモリー容量を提供します。インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーのプラットフォームは、AI コンバージェンスを含む特定の HPC ユースケースを実現する、以下に列挙するいくつかの主要テクノロジーをサポートしています。まもなく主要な CSP HPC クラウドのオファリングに導入される予定の第 3 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーは、メモリー帯域幅の向上1 と旧世代のプロセッサーと比較してクロック当たりの命令数の向上2 を実現しています。インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ファミリーに搭載のインテル® スピード・セレクト・テクノロジー (インテル® SST) は、1 台のサーバーで複数の構成を可能にし、多様なワークロードのニーズを満たします。これらの機能強化により、ユーザーはパフォーマンスあたりのコストと結果が出るまでの時間を改善することができます。
- 一部のインテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ファミリーに搭載のインテル® ソフトウェア・ガード・エクステンションズ (インテル® SGX) は、クラウドで HPC ワークロードを実行し、安全性を確保するために最適な機能です。多くのセキュリティー・テクノロジーは、保存中のデータの保護に重点を置いていますが、インテル® SGX は重要な処理中のデータを保護します。また、マルチテナントの HPC クラウド環境では、インテル® SGX は、メモリー・エンクレーブを使用してコンテナーと VM を保護し、暗号化キーと転送中のデータを分離します。
- インテル® アドバンスト・ベクトル・エクステンション 512 (インテル® AVX-512) は、ベクトル負荷の高い計算ワークロードのパフォーマンスを向上させる一連のプロセッサー命令です。インテル® AVX-512 は、特に大規模なデータセットでベクトル / 行列の演算に適しており、インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ファミリーの競合他社製品との差別化要因となっています。研究者やデータ・サイエンティストは、インテル® AVX-512 を使用して AI/DL ワークロード、DNA シーケンス、シミュレーション、財務分析、および 3D モデリング向けのパフォーマンスの向上に役立てることができます。
- インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーのインテル® ディープラーニング・ブースト (インテル® DL ブースト) には、インテル® AVX-512 を拡張する新しい Vector Neural Network Instructions (VNNI) が含まれています。また、VNNI は、AI 推論に必要な畳み込み演算の数と複雑さを軽減することができ、その結果、HPC クラウドシステムに必要な電力やメモリーを削減することができます。3 インテル® DL ブーストは、畳み込みニューラル・ネットワークのループを加速し、HPC クラウドのインスタンスでの AI 演算処理を増加し、3.4 倍のパフォーマンスの向上を実現します。[f:“Today’s Top Clouds Are Powered by Intel,” (今日の主要なクラウドはインテル 搭載)” intel.com、2020年9月。]
- インテル® oneAPI は、ヘテロジニアス な HPC インフラストラクチャー向けに設計された統合プログラミング・モデルです。このモデルには、インテル® ディストリビューションの Python やインテル® MKL などの主要なパフォーマンス・ライブラリーが含まれており、インテルアーキテクチャー上の HPC ワークロードの最適化と高速化に役立ちます。インテル® MPI は、多くの CSP マーケットプレースで利用可能な差別化された製品であり、開発者は複雑なアプリケーションを複数のクラスターに簡単に導入し、コードを最適化して高いパフォーマンスを実現し、自動チューニングを使用して低レイテンシーと高帯域幅を達成することができます。ユーザーと CSP はこれらのフレームワークを使用して、HPC 投資から最大限の効果を得ることができます。
- インテル® HPC プラットフォームの仕様は、HPC インフラストラクチャーに必要な、コンピューティング、メモリー、ストレージ、ファブリック、および互換性のあるアプリケーションの最低要件をまとめたものです。ユーザーと企業は、HPC クラウド・サービス・プロバイダーの製品が、HPC ワークロードに適した高い品質基準を満たすことを保証するために、この仕様に頼ることができます。
インテル搭載の HPC クラウド・サービス・プロバイダー
インテルは、AWS、Google Cloud* Platform、Microsoft Azure、Oracle を含む主要な HPC クラウド・サービス・プロバイダーと密接に連携しています。各 CSP は、インテル® MPI 向けに最適化され、インテル® DL ブーストを内蔵したインテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ファミリーを強固な基盤として独自のクラウド・インスタンスを提供しています。さらに、各 CSP は、インテルとサードパーティーのソリューションを集めたマーケットプレースを用意しており、企業はインテル搭載 の HPC インスタンスを迅速に導入できるようになります。
- インテル搭載の Amazon Web Service インスタンス はインテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ファミリーを使用し、HPC 要件に合わせて容量を調整できるよう、複数の構成オプションを提供します。AWS ParallelCluster は、ユーザーが複数の AWS クラスターを統合された HPC クラウド・ソリューションに整理するのに役立つもう 1 つのサービス。また、インテルは、AWS による HPC クラウド・ソリューションに関するインテルの高い専門性のレベルを示す AWS HPC コンピテンシー・ステータスを獲得しました。
AWS とインテルのパートナーシップ について詳しく知る ›
AWS Electronic Design Automation (EDA) の導入事例を読む ›
インテル対応 Amazon EC2 インスタンスについて詳しく知る ›
ビデオ: クラウドにおける HPC シミュレーション効率の向上 › - Google Cloud Platform N2 と C2 のマシンタイプは、インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ファミリーおよびインテル® AVX-512 を使用して、クラウドにおける負荷の高い HPC ワークロードに対応しています。N2 インスタンスはインテル® DL ブーストを使用し、N1 インスタンスと比較して 2.82 倍の AI 推論性能の向上を実現しています4 Google Cloud は 2021年以降、自社のクラスターで使用するための、主要な最適化としてインテル® MPI ライブラリーを特長とする事前調整済みの HPC VM イメージを発表しました。
Google Cloud とインテルのパートナーシップ について詳しく知る ›
Google Cloud Platform でゲノム解析を開始する ›
インテルによる Google Cloud の支援方法について読む › - Microsoft Azure HC シリーズの仮想マシンは、最大 44 のインテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・コアとインテル® AVX-512 やインテル® MKL などの機能を備えています。また、Azure ではインテル® Arria® 10 FPGA を使用して、HPC ワークロード用の AI およびマシンラーニング・モデル・トレーニングを高速化しています。先日 Microsoft は、インテルを主要なパートナーとする Azure HPC and AI Collaboration Center を立ち上げ、HPC と AI のベスト・プラクティスの普及に努めています。
ブログ: Azure でのゲノム解析パイプラインの評価: インテル搭載の仮想マシン ›
ビデオ: Microsoft Azure HPC、EDA ワークロード向けに設計された新しい FX サービス仮想マシンを発表 ›
インテルと Microsoft Azure のパートナーシップについて詳しく知る ›
インテルと Microsoft Azure の HPC ガイドを読む ›
Azure のビジネス上の優位性について読む › - Oracle が提供するインテル対応 HPC クラウドサービスは、オンプレミス・ソリューションに匹敵するパフォーマンスを提供するとともに、クラウドの経済性とオンデマンドのリソースという付加価値を提供します。Oracle X9 Generation インスタンスに搭載された第 3 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ファミリーは、既存の X7 Generation インスタンスと比較して 42% のパフォーマンスの向上をもたらします。5
Oracle X9 のプレスリリースを読む ›
日産のエンジニアリング・シミュレーションの導入事例を読む ›
インテル搭載の CSP オンボーディングの簡素化
企業がインテル対応 CSP の使用を検討している中で、適切な HPC クラウドサービスを選択することは、複雑で途方もない作業となりえます。幸いなことに、サードパーティーのクラウドサービス統合パートナーを利用することができるため、企業は、最適なサービスを選択し、オンボーディング・プロセスを効率化することができます。通常これらのパートナーは小規模な組織であり、ワークロードの設定、非標準的な機能の有効化、豊富な UI ダッシュボードによる独自のインサイトの提供、さらにはオンプレミスの使用モデルと同じ方法でワークロードの処理を再現する方法の発見などを支援します。これらのタイプのテクノロジー・パートナーの主な例には、RONIN、Six Nines、および OnScale が含まれます。クラウドにおける HPC は、サービスの選択肢が非常に多く、多様性に富んでいますが、その選択肢は極端であり、適切なソリューションを選択することが難しくなっています。パートナーは、ガイダンス、専門知識、専門性を提供することで支援します。
HPC クラウドの導入事例
これらの導入事例では、クラウドにおける HPC ワークロードが質問に答え、大きな問題を解決するために必要なコンピューティング・リソースをクラウドの柔軟性と俊敏性を組み合わせて提供する方法を説明しています:
HPC クラウドの新たな可能性を開く
多くの IT の意思決定者は、インテルがオンプレミスの HPC アーキテクチャーを設計するための専門知識を提供する役割を担っていることを認識しています。しかし、インテルは、クラウドにおける HPC の信頼できるアドバイザーとしても、同じ役割を果たすことができます。HPC を開始する取っ掛かりを求めている組織は、まずインテルに連絡することで、CSP とテクノロジー・パートナーのグローバル・エコシステムから恩恵を受けることができます。