Sibos 2019: 正しいつながりを確立していますか?

テクノロジーは金融業界の未来の形成にどのように貢献しているか。

「すべての大手銀行がテクノロジー企業と化している」

テクノロジー・ライター、Libby Plummer 氏

ロンドンで初めて開催された Sibos* (SWIFT International Banking Operations Seminar*) の年次イベントに、金融部門のリーダーたちが集結しました。ExCel* 展覧会センターで開催された Sibos 2019 には、代表者 11,000 名以上、出展者 200 名以上が参加しました。

大規模なデジタル化とデータ主導の関係が金融機関にもたらす課題とチャンスを見すえた今年のイベントのメインテーマは「ハイパーコネクテッドな世界における繁栄」でした。このテーマは、新しいテクノロジーの影響を調べ、人と機械の両方の潜在能力を最大化するために企業が導入する必要がある文化、スキル、業務慣行を特定することを目的にしたものです。メインテーマのハイパーコネクティビティーとの関連で、Sibos 2019 ではいくつかのキートピックが浮上し、中でも注目を集めたのは「データ」でした。

データ

生成されるデータの爆発的な増加とともに、その品質は向上し続けています。問題は、価値を抽出するためにサイロに蓄積されたデータセットをまとめ、同時にプライバシーとセキュリティーを維持することです。銀行では、さまざまなサイロに内部データセットを格納するだけでなく、外部データにもアクセスしています。これら 2 つを組み合わせることで、顧客の全体像をより正確に把握できるのです。データを他の業界と共有するなど、新しい革新的な方法には大きな可能性があります。フィンテック・スタートアップ企業は、データに秘められた力の解放については時代を先取りしており、旧来の銀行組織にとって競合企業ではなくパートナーとなることが広く実証されています。これは、Sibos 2019 で多くの大手銀行がテクノロジー・アクセラレーターを展示したことでも明らかです。

セキュリティー

金融セクターが常にセキュリティーを重視してきたのは当然のことです。ところが、データ量が増え続ける状況では、サイバーセキュリティーの脅威に先手を打つことがかつてないほど困難になっています。Sibos 2019 では、金融犯罪や不正行為についてより詳細な洞察を得るために、さまざまな組織間でデータを安全に共有する方法について、活発な議論が行われました。銀行が顧客データで何をするかだけでなく、安全なネットワーク内でデータをどう共有すれば業務がもっと効果的になるかということも議題となりました。

オープンバンキング

オープンバンキング規制の到来は、セキュリティーに関する議論に大きな影響を与えました。今年の Sibos では、データや新しい規制、それらがもたらす機会にさまざまな地域がどのように対処しているかが発表されました。例えばオーストラリアは、消費者データ権の強化に向けて動きつつあり、大手 4 行は 2020年から第三者のフィンテック企業の要求に応じて顧客データを提供することになりました。また、銀行と第三者の間で共有されているデータに関しても、互恵的な要素があります。イベントのパネル・ディスカッションでは、銀行がデータをリアルタイムでスムーズに活用するためには API が重要であることが強調されました。

決済の高速化

Sibos では常に話題になるトピックですが、2019年は決済の高速化が特に注目を集めました。決済データの量は爆発的に増加しています。今や、決済トランザクションを開始するのは人間だけでなく、機械にまで広がっているためです。リアルタイム決済という目標に向けて業界が歩みを進めるにつれ、こうした決済の処理にかかる時間は短縮されています。高速化とセキュリティーのバランスを取ることが課題です。これは「デジタル・エコシステムの強化」というイベントのメインテーマの 1 つと結び付いています。例えば、SWIFT の gpi (Global Payment Innovation) プラットフォームの拡大により、迅速で透明性の高い決済が実現し、ユニバーサルな採用に向けて徐々に進んでいます。

銀行業のデジタル・エコシステム

イベントではエコシステムのテーマにも触れています。Sibos で幅広く話題になっていた問題は、中国とその銀行システムでした。注目されたのは、世界に 2 つの異なる財務フレームワークがあることが今後どのように展開するか、そしてそれが生み出す課題でした。また、エコシステムと標準化に関連して、Sibos 2019 ではブロックチェーンがある種の復活を果たしています。今や過熱したブームは下火になりましたが、このテクノロジーを現実世界のユースケースで効果的に使用する方法について多くの議論が交わされました。

AI の潜在能力

金融機関では人工知能 (AI) の利用が一般的になりつつあり、特定の業務用途にこのテクノロジーを活用できるようになりました。AI は、データの価値を最大化し、組織がより優れた意思決定をできるようにします。Sibos 2019 でその他に注目されたのが、AI を始めとする新しいテクノロジーを導入する際の人的要素の重要性です。AI は、特定のプロセスの効率を改善することで、時間のかかる作業で労働者に依存している状況を是正できます。

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス・アンド・ポリティカル・サイエンスのディレクター、Dame Minouche Shafik 氏は、イベントの開会本会議でこう語っています。「今後 10 年から 20 年の間に、AI によって仕事の半分以上が根底から変わってしまうでしょう。AI 革命の特徴として、私達は製造業での仕事の変化、つまり従業員が機械に置き換えられるという考え方に慣れているのですが、 AI 革命では、一般には自動化の対象とは思われていない仕事も変化するという点です。自動化によって補完されるのはどのような役割かを考え、次世代ではそのようなスキルを育成する必要があります。」

明らかなのは、金融機関がハイパーコネクテッドな世界で成功するには、強力なデジタル・インフラストラクチャーの導入が不可欠だということです。2020年に向け、焦点は責任あるイノベーションに移ります。テクノロジーを使用して銀行業務を改善すると同時に、セキュリティー、耐障害性、コンプライアンスを確立する必要があります。

インテルの金融サービス業界担当ジェネラル・マネージャー、Mike Blalock は述べています。「すべての大手銀行がテクノロジー企業に変わりつつあります。銀行がこれらのサービスを提供できるようにするには、テクノロジーの基盤が必要ですが、サービスを実現するためのブランド、信頼、顧客基盤があるため、銀行には大きなビジネスチャンスがあります。今年の Sibos では、この移行の重要性と、どのようにそれを加速させるのかが強調されていました。銀行業界は急速に進化しており、この変化の中心に必要なのはテクノロジーです。」

* その他の社名、製品名などは、一般に各社の表示、商標または登録商標です。