AN 822: インテル® FPGAコンフィグレーション・デバイスの移行ガイドライン

ID 683340
日付 4/10/2020
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ドキュメント目次

1.5.1.3.1. シミュレーション結果

次の表は、この例で使用されているバッファータイプから得ることが可能な最小遅延および最大遅延を示しています。

表 24.  最小および最大のDCLK遅延
  • 記載されているデータは、シミュレーションの波形からの手動測定に基づくものです。
  • EPCQ-AデバイスのDCLKの負荷は6 pFであるため、9 pFの容量性負荷をシミュレーションのセットアップに追加し、バッファー仕様に想定されている出力負荷に一致させています。
ICコーナー 出力負荷、CL (pF) Cyclone® V DCLKからバッファーへの遅延 (ns) バッファーからEPCQ-AのDCLK遅延 (ns) VCC/2での合計DCLK遅延 (ns) 備考
Fast/Strong 15 -0.080 1.757 1.677 最小DCLK遅延
Slow/Weak 15 -0.371 5.562 5.191 最大DCLK遅延

データのセットアップ時間のスラックおよびデータのホールド時間のスラックは、IBISシミュレーションで取得した遅延を次の式に代入することで最終的に得ることができます。

システム・セットアップに想定されている内容

  • DCLK周波数: 50 MHz (20 ns周期)
  • Cyclone® VのASタイミング仕様
    • 最小tDSU : 1.5 ns
    • 最小tDH : 2.9 ns

この式は、データのセットアップ時間のスラックを計算するものです。

データのセットアップ時間のスラック = tDCLK tDSU – (最大DCLK遅延 + 最大DATA遅延)

データのセットアップ時間のスラック = 20 ns – 1.5 ns – (5.191 ns + 3.657 ns)

データのセットアップ時間のスラック = 9.652 ns

この式は、データのホールド時間のスラックを計算するものです。

データのホールド時間のスラック = (最小DCLK遅延 + 最小DATA遅延) – tDH

データのホールド時間のスラック = (1.677 ns + 2.042 ns) – 2.9 ns

データのホールド時間のスラック = 0.819 ns

次のシミュレーション波形で示すとおり、バッファーを追加したDCLK信号の品質は良好です。DCLK信号は、50 Mbpsのクロックパターンを使用してシミュレーションされています。

図 26.  Cyclone® V FPGAとバッファー間のシミュレーション結果
図 27. バッファーとEPCQ-Aデバイス間のシミュレーション結果

バッファー、DCLK、およびDATAの合計遅延がFPGAのtDSU tDH 、およびEPCQ-Aのセットアップとホールドのタイミング要件を満たす限り、市場の任意のバッファーを選択することが可能です。

バッファーを追加することで、DCLKおよびDATAのトレース長を可能な限り短くデザインすることが可能です。他のタイミング・コンポーネントも含め、バッファーによって追加される遅延は、 Cyclone® V FPGAで必要なデータの最小セットアップおよびホールド時間を満たすために有効です。

注: DCLKラインには、適切な容量性負荷を追加する必要があります。詳細は、バッファーのデータシートを参照してください。容量性負荷の追加は、バッファーからの必要な遅延を得るために不可欠です。追加する容量性負荷の値を決定するには、EPCQ-Aまたはサードパーティー製フラッシュの入力ピンの容量を考慮する必要があります。