2.3.3.2. 差動ペアのP/Nデスキュー方法
差動リンク上の高速データは、デスキューして、最大のアイ開口を達成し、モード変換を回避する必要があります。さまざまな方法で差動ペアのデスキューができます。例えば、ビア・アンチパッド領域またはトレースで行う方法です。
トレースのデスキューには次のようなシグナル・インテグリティーの問題がいくつかあります。
- インピーダンス変動 (不連続性) の問題 : 密結合差動トレースの場合、P/Nレッグの1つにあるデスキュー・トロンボーンによって疎結合セクションが作成されます。ただし、このセクションのインピーダンスがレイアウトで調整される場合は例外です。
- モード変換の問題 : 片方のP/Nレッグのデスキュー・トロンボーンは、他のレッグの直線トレースと比較して、単位長あたりの遅延が少ない可能性があります。詳細については、http://www.sigcon.com/Pubs/edn/serpentine.htmを参照してください。
ビア・アンチパッド領域内でのデスキューには、次のようなシグナル・インテグリティーの問題もあります。
- トレース遅延は、ビア・アンチパッド領域では小さくなります。これは、リファレンス・プレーンへの結合が少ないためです。
- ビア・アンチパッド内部の長さの不一致によるトレース・インピーダンスの不連続によっても、信号インテグリティーの問題が起きる可能性があります。
図 16. ビア・アンチパッドの内側/外側の歪みの除去
- シングルエンド・ブレークアウト配線を使用したデスキューの場合、グランド・レファレンスのないアンチパッド内部のトレースの平行性により、NEXT効果が発生します (次の図を参照)。ただし、写真の左の画像で示すように、NEXT効果は、1 mmのピンピッチのビアと短い結合長では重要ではありません。
図 17. ビア・アンチパッド領域での平行性、クロストーク、およびデスキュー
次の図で示すのは、トレースのデスキューによるインピーダンスの不連続の例です。差動ペアのP/Nレーンのスキューを除去する最も一般的な方法は、トレース・トロンボーン・コンフィグレーションの使用です。図中のトレースのTDRパフォーマンスからわかるように、差動ペアのインピーダンスは、トロンボーン領域の不連続性が原因で変動します。この例では、差動ペアは、最上位レイヤーに配線され、P/Nレッグ間で密結合を備えています。つまりZodd << Zevenです。TDRパフォーマンスの曲線には、4オームのZdiffバンプが見えます。これは、最終的にリターン損失ペナルティーの原因となります。
図 18. トレースデスキューによるインピーダンス不連続の例
次の図では、トレースデスキューによるモード変換の例も示しています。この例では、PとNのレッグ間の遅延差と、測定トレース長エンドツーエンドでは、レイアウトツールでは同じです。ただし、シミュレーションにより、Pレッグ遅延は約17度、つまりナイキスト周波数 (12.9 GHz) でのNレッグ遅延より3.5 ps長くなります。PレッグとNレッグの遅延差は、周波数が高くなると大きくなります。コモンモードから差動モードへの変換は約 -20dBです。
図 19. トレースデスキューによるモード変換例
次の図で示すのは、インピーダンスの不一致とモード変換の両方を回避するための、トレースデスキューの配線に関する推奨事項です。
密結合差動ペアに対するトレース・デスキュー・トロンボーンに関する考慮事項
疎結合のP/Nレッグでトレースセグメントを広げると、インピーダンス補正に役立ち、その領域のインピーダンスが減少します。次の図示しているのは、トレース・デスキュー・トロンボーン・コンフィグレーションの適切な実装です。
図 20. トレース・デスキュー・トロンボーン・コンフィグレーションにおけるインピーダンス・マッチングの改善
差動ペアのトレースデスキュー長マッチングに関する考慮事項
より多くのデスキュー・トロンボーンを使用してレッグに余分な長さを追加すると、デスキュー改善のためのトレース遅延の補正に役立ちます。ただし、レイアウトに必要な追加の長さを決定するには、シミュレーションまたはラボでの測定が必要です。次の図で示しているのは、長さが追加されたNレッグです。コモンモードから差動モードへの変換は、上記のトレースデスキューによるモード変換の例で示している例と比較して、12.9 Ghzで19 dB、1 GHzで25 dB向上します。
図 21. トレース・デスキュー・トロンボーン・コンフィグレーションでのモード変換の改善