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1.1.7. タイミングペシミズム
2つの異なる遅延値が同一のクロックパスに使用されると、最小および最大遅延にばらつきが発生する可能性があります。たとえば、単純なセットアップ解析では、ソースレジスターへの最大クロックパス遅延はデータ到着時間の決定に使用され、デスティネーション・レジスターへの最小クロックパス遅延はデータ所要時間の決定に使用されます。しかし、ソースレジスターへのクロックパスとデスティネーション・レジスターへのクロックパスが同じ共通クロックパスを使用する場合、タイミング解析中に共通クロックパスをモデル化するために最大遅延と最小遅延の両方が使用されてしまいます。最大遅延と最小遅延の両方を使用すると、2つの異なる遅延値となり、最大遅延と最小遅延は同じクロックパスのモデル化には使用できないため、過度に悲観的な解析結果となります。
セグメントAはreg1とreg2間の共通クロックパスで、最小遅延は5.0ns、最大遅延は5.5nsです。最大遅延値と最小遅延値の差は共通クロックパス・ペシミズム・リムーバル値と等しくなります。この場合、共通クロックパス・ペシミズムは5.0nsです。Timing Analyzerは、適切なスラック方程式に共通クロックパス・ペシミズム・リムーバル値を加算し、全体的なスラックを決定します。よって、この例では共通クロックパス・ペシミズム・リムーバルを持たないレジスター間のセットアップ・スラックが0.7nsであれば、共通クロックパス・ペシミズム・リムーバルを持つスラックは1.2nsとなります。
また、共通クロック・パス・ペシミズム・リムーバルを使用すれば、レジスターの最小パルス幅を決定することも可能です。レジスターによって認識されるには、クロック信号はレジスターの最小パルス幅の要件を満たしている必要があります。最小Highタイムはポジティブエッジがトリガーするレジスターの最小パルス幅を定義し、最小Lowタイムはネガティブエッジがトリガーするレジスターの最小パルス幅を定義します。
レジスターの最小パルス幅に違反するクロック・パルスは、データがレジスターのデータ・ピンでラッチされる妨げとなります。最小パルス幅のスラックを算出するには、Timing Analyzerは実際の最小パルス幅の時間から要求される最小パルス幅を減算します。Timing Analyzerは、レジスターのクロック・ポートをフィードするクロックへ指定したクロック要件から、実際の最小パルス幅の時間を決定します。Timing Analyzerは、最大立ち上がり時間、最小立ち上がり時間、最大立ち下り時間、最小立ち下がり時間から、要求される最小パルス幅の時間を決定します。
共通クロック・パス・ペシミズムを使用すれば、最大立ち上がり時間から最小立ち上がり時間を引いた値、もしくは最大立ち下がり時間から最小立ち下がり時間を引いた値から、どちらか小さい方の値の分だけ最小パルス幅のスラックを増加させることができます。この例では、スラック値は0.3 ns(0.8 ns – 0.5 ns)と0.2 ns(0.9 ns – 0.7 ns)の小さい方の値である0.2 nsだけ増加させることが可能です。