外部メモリー・インターフェイス Agilex™ 7 FシリーズおよびIシリーズFPGA IPユーザーガイド

ID 683216
日付 3/29/2024
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ドキュメント目次

5.2.1. キャリブレーション・モード

キャリブレーションはメモリーデバイスが初期化された直後に発生し、シリコンのPVTの変動、回路基板のトレース遅延、スキューをともなう到着時間などのハードウェア・システムにおける不確実性を補正します。 このような変動は通常、RTLシミュレーション環境では存在しません。そのため、2 つのシミュレーション可能なキャリブレーション・モード (デフォルトのSkip CalibrationモードとFull Calibrationモード) が利用可能です。

Skip Calibrationモード

Skip Calibrationモードでは、キャリブレーション・プロセッサーはPVTの変動、ボード遅延、トレーススキューがすべて0である理想的なハードウェア環境を想定しています。実際のキャリブレーション・ルーチンを実行する代わりに、キャリブレーション・プロセッサーは、EMIF IPの生成時に入力されたメモリー・レイテンシーの値に基づき読み出しデータの予想到着時間を計算し、シミュレーション時間を短縮します。Skip Calibrationモードはシステム開発時に使用することが推奨されます。これにより、コントローラーとの通信、およびメモリー・アクセス・パターンの最適化に集中できるため、短期間でのRTL開発が促進されます。

Skip Calibrationモードを有効にしても、インターフェイスはメモリーの初期化を一部実行し、DRAMのモード・レジスター・セット (MRS) コマンドを送信する、もしくはRDIMM/LRDIMMのレジスター・コード・ワードをプログラミングするコマンドを送信し、その後、通常の動作を開始します。これらの初期化コマンドは、メモリーモデルの動作とレイテンシーを設定するために必要です。

Full Calibrationモード

Full Calibrationモードは、メモリーデバイスの初期化直後にキャリブレーション・アルゴリズムのすべての段階をシミュレーションします。キャリブレーション・アルゴリズムは各データグループを順番に、また、各グループのそれぞれのピンを個別に処理するため、インターフェイスのデータピンの数が増えるとともにシミュレーション時間が長くなります。キャリブレーション・アルゴリズムがシステムのさまざまな遅延をどのように補正するかは、PCBデザインツールからのトレース遅延に基づき、独自のボード遅延モデルを組み込むことで確認できます。シミュレーションのオーバーヘッドが大きいため、IPコアの短期間での開発にFull Calibrationシミュレーション・モードは推奨されません。

VHDLのサポート

混合言語シミュレーターに対するVHDLサポートは、VHDLでコアの最上位ラッパーを生成することにより実装されますが、サブモジュールはすべてクリアテキストのSystemVerilogファイルで提供されます。

プリコンパイルされたデバイス・ライブラリーのセットが、QuestaSim - Intel FPGA Editionシミュレーターで使用するために提供されます。このシミュレーターは、 Quartus® Prime開発ソフトウェアに付属しています。クリアテキストのSystemVerilogファイルで通常提供されるサブモジュールは、QuestaSim - Intel FPGA Edition向けのIEEE Verilog HDL暗号化を使用して暗号化されます。