パンデミックでのスーパーコンピューティング: さまざまな視点から COVID-19 に挑む科学界

スーパーコンピューターの裏では薬剤研究者と政策立案者のコロナウィルスの最も厳しい問題の解決に向けて専門家たちが支援しています。

重要なポイント:

  • インテル® テクノロジーを搭載したスーパーコンピューターは、COVID-19 とその原因となる新型コロナウイルスに関する重要な研究を支援しています。

  • 研究者たちはウィルスの原子構造から、アメリカの全人口を示す「デジタル・ツイン」まで、あらゆるものを研究しています。

  • インテルのスーパーコンピューター・センターと科学者たちとの連携により、アプリケーションのパフォーマンスと回答までの時間を最適化します。

author-image

投稿者:

スーパーコンピューターは登場以来、アインシュタインの重力波理論の確認から気候変動の影響の予測まで、最も大きく、最も複雑で、最もデータ処理量の多い課題に取り組んできました。

現在、科学者および政策立案者たちは COVID-19 とその原因となる新型コロナウイルスの緊急な課題を解決するためにこのようなハイパフォーマンス・コンピューティング (HPC) システムを活用しています。

テキサス大学 Texas Advanced Computer Center (TACC) のユーザー・サービス・ディレクター 、Tim Cockerill 氏はこう語っています。「COVID-19 は各方面から襲いかかってきています。」 「HPC システムはウイルスの理解と対応に役立つ非常に幅広い研究分野を支えています。HPC はコロナウイルス研究にとって非常に重要な役割を担っています。」

コロナウィルスのタンパク質のモデルが、 COVID-19 の新しい薬物治療を特定する上で役に立ちます。画像クレジット: Lorenzo Casalino、Zied Gaieb、Abigail Dommer、Rommie Amaro UC San Diego.

つまり、現場の治療で活躍する医療従事者、治療法を模索している研究者、そして新たな流行を防ぐための政策を立てる政策立案者などの背後には COVID-19 との戦いに挑む数千のコンピューター・サイエンティストと研究者が世界中で立ち上がっています。インテル® プロセッサーを搭載した多くのマシンを含め、世界で最もパワフルなスーパーコンピューターを活用して、小さなスケールから巨大なスケールまで、考え得るあらゆる角度からウィルスを研究しています。

COVID-19 はあらゆる方向から私たちに襲いかかってきています。HPC システムはウイルスの理解と対応に役立つ非常に幅広い研究分野を支えています。

Tim Cockerill、ユーザー・サービス・ディレクター、Texas Advanced Computer Center

原子レベルのインサイト

分子レベルでは、さまざまな研究チームが新型コロナウィルスの詳細なデジタルモデルを構築し、物理シミュレーションを通してウィルスの機構や分子構造のどこがワクチンや治療の潜在的なターゲットになるか調べています。

カリフォルニア大学サンディエゴ校 (UCSD) では、私たちが 20 秒間の手洗いで破壊しようとしているウィルスの外殻の完全なモデルを構築しています。また、殻を構成する 2 億個もの原子と原子間の相互作用のシミュレーションをする計画を立てています。

Frontera では、研究者たちが 1 時間あたりに 300,000 の配位子のシミュレーションを行っています。画像クレジット: Argonne National Laboratory

UCSD チームでは TACC にあり、それぞれが複数のデスクトップ PC 同等の性能を持つ 8,008 のノードを有する世界で最もパワフルな学術用スーパーコンピューター 1 でコードを実行しています。

米国エネルギー省の Argonne National Laboratory 率いる共同研究では、インテル® テクノロジーを活用して数百万の小さな分子を精密に調べ上げ、COVID-19 に最も有力な治療薬や予防薬を模索しています。

どちらのチームでもさらなる研究のため、研究結果を薬剤開発者や他の科学者と共有しています。

科学に基づいた戦略の基盤

マクロレベルでは、科学者や政策アナリストは COVID-19 がどのように広がり、どのような封じ込め戦略で疾患の流行経済の混乱の両方を最小限に抑えられるか理解しようとしています。疫学的シミュレーションにより、これらの問題に対する科学に基づいた答えをデータで支援します。

COVID-19 関連の疫学研究の中で最も大きな研究の一つ、バージニア大学の Biocomplexity Institute とそのパートナー機関で 80 人規模のチームを組み、米国全人口を詳細にモデル化した「デジタル・ツイン」を構築しました。このモデルを使用して、米国がパンデミック関連の行動の可能性をシミュレーションし、最も差し迫った「もしも」の質問に対する答えを提供しています。このモデルは毎晩 Pittsburgh Supercomputing Center で実行し、結果は連邦と州政府機関と共有しています。

コラボレーションで進展を加速

スーパーコンピューターは COVID-19 の取り組みにとって非常に重要なものであり、政府、産業、学術のトップが連携し、戦略的な研究イニシアティブに必要なリソースと専門知識にアクセスできるようにしています。インテルは、ホワイトハウス科学技術政策局主導の官民連携 COVID-19 HPC Consortium の一員として HPC リソースへのアクセスを提供しています。HPC センター、研究チーム、オープンソース・コミュニティーとの継続 的なパートナーシップにより、重要なツールやアプリケーションでのパフォーマンスを最適化して、進展を加速させます。

HPC センターは COVID 関連プロジェクトに向け、スーパーコンピューターの時間を解放しています。特に、ドイツの Leibniz Supercomputing Centre とサウジアラビアの King Abdullah University of Science and Technology は、インテル® プロセッサー搭載の HPC プラットフォームの時間を使用できるようにコロナウィルス関連の研究チームを招待しています。

石油とガス会社も動き出しています。BP は、産業規模の HPE Apollo スーパーコンピューターのサイクルを提供しています。イタリアの石油とガスのトップ企業 Eni は、スーパーコンピューティング・リソースと (通常は地震研究に使用される) 分子モデリングスキルを提供し、支援しています。Eni は、ミラノに本社を置くバイオ医薬品企業の Dompé と非営利研究コンソーシアムの Cineca と手を組み、COVID-19 治療への道のりを加速させています。

COVID-19 と闘い―次の世界規模の課題に立ち向かう

スーパーコンピューティングは COVID-19 との戦いに不可欠であり、科学界は課題に立ち向かっています。インテル® テクノロジーを活用し、科学者たちは専門知識と情熱を活かして病気、病気の原因、そしてその影響について世界的な理解を推し進めています。業界のリーダーは政府機関や大学と連携して研究イニシアチブを支援し、治療とワクチンの開発やデータに基づいた政策の根拠となる情報を提供しています。

これにより、大きな課題の解決に協力して取り組むモデルを提供しています。COVID-19 を理解する上で重要なアルゴリズムやソフトウェアを推進し、他の世界規模の課題と機会でも科学的な見解をより高速に、より深く提供できます。

このような知識と経験を活かして気候変動への取り組み、スマートシティーの創出、次の致命的なウイルスを打ち負かせるポスト・パンデミックの世界を見据えることができます。

###

COVID-19 の研究プロジェクトについて詳しくは Texas Advanced Computing CenterArgonne National Laboratory、および Pittsburgh Supercomputing Center の研究プロジェクトをご覧ください。