クラウド最適化のニーズを理解する
企業は、競争力を維持し、顧客からの高まる期待に応えるべく努力していますが、同時に方向転換し、従業員不足、サプライチェーンの中断、ますます高度化するサイバー脅威など、新たな課題に対処しています。企業がソリューションを実装してこれらのニーズに対処する際、企業の IT インフラストラクチャーにかつてないほどの需要が課されることがあります。しかし、IT インフラストラクチャーに、新たなユースケースやワークロードを大規模にサポートするだけの装備が整っていない場合があります。
IT インフラストラクチャーへの負荷は、ますます増大するデータセットの在津、より堅牢なセキュリティー機能のニーズ、全体的なアプリケーションの複雑性、データ密度の急激な拡大により、AI 対応機能への依存度を高めながら、増加し続ける一方です。
世界中の組織が、パフォーマンスを向上し、柔軟性を高めるために、複雑なワークロードをクラウドに移行しています。
しかし、クラウド第一の戦略は、独自の課題を課す可能性があります。クラウド移行は、しばしば予期しない過剰コストの発生につながり、大きな不満が生まれたり、組織全体の目標が妨げられる可能性があります。実際、Flexera による 2024 State of the Cloud (2024年クラウドの現況) レポートでは、回答者の 39% が、移行後のクラウドコストの最適化をクラウド関連の課題のトップとして挙げられており、回答者の 59% が、クラウドコストの最適化を優先事項として挙げています。1
クラウドの過剰コストの一般的な原因は、過剰プロビジョニングまたはプロビジョニング不足によるリソースの誤配置に関連付けられています。
- 過剰なプロビジョニングでは、組織はクラウド・インフラストラクチャーで利用可能なコンピューティング・パワーをすべて活用することができません。クラウド契約には、未使用あるいは最適化されていない不要なコアやハードウェア機能が含まれているため、コストが無駄になります。
- プロビジョニング不足は、ワークロードがニーズをサポートしないハードウェアに割り当てられる際、クラウド・パフォーマンスの低下につながることがあります。リソース不足は、生産性を妨げ、顧客関係に損害を与え、セキュリティー保護を弱らせ、規制コンプライアンスを脅かす可能性があります。企業は、サービス障害を防止するために、割増料金を支払い、契約の再交渉ができるまで、補足的なリソースをオンラインで提供する必要があります。
これらの課題の多くは、クラウドの最適化、つまり組織のクラウド・インフラストラクチャーを適切なサイズにして、すべてのワークロードを最高のパフォーマンスと効率で実行するプロセス、および継続的なクラウドコスト管理により、克服することが可能です。
しかし、クラウド最適化だけでは、データセンターにおける時代遅れのテクノロジーによる欠点を完全に補うことができなかったり、またはライフサイクル全体でワークロード配置を制御する完全な柔軟性を提供できなかったりするということを理解しておくことが重要です。IT インフラストラクチャー全体の最適化と最新化は、大幅なコスト削減につながり、組織の効率の向上や、競争力の強化に貢献します。
クラウド最適化戦略を計画する
クラウド最適化へのいくつかのアプローチは、独立して、またはいつでも組み合わせて使用でき、特定の目標や求める成果を達成できます。最適化は、一度限りの努力ではなく、継続的な改善計画の不可欠な部分です。
クラウド最適化ツールで ROI を向上する
クラウド最適化は、移行前の計画から、成熟したクラウド・インフラストラクチャーのメンテナンスや成長まで、クラウドの取り組みのあらゆる段階で、大幅なコスト削減、効率性、パフォーマンスの向上をもたらします。また、ワークロードの配置と選択の有効性の評価にも役立ちます。
- 最適化プロセスを開始するには: まず、クラウド・テクノロジー監査を実施し、主要なビジネス目標を分析して、それらをアプリケーションとワークロードに適合させます。テクノロジーと容量の要件を検証して、今日のワークロードとユーザーをサポートし、将来の潜在的なニーズを検討できます。
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次のステップ: 専用のクラウド最適化ツールを採用して、クラウド・コンピューティング運用に関する詳細な評価と分析を行い、クラウドコスト管理戦略を提案したり、場合によってはクラウド導入を自動的に最適化したりできます。
クラウドの取り組みにおける組織の計画と進捗状況に基づいて、次のうちの 1 つまたは複数のクラウドツールを検討します。
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移行前の発見と計画は、すべてのクラウド導入、ワークロード、ユーザーに対する組織の目標と主な要件の評価から開始する重要なステップです。
Dr Migrate by LAB3 は、AI 対応フレームワークを提供し、包括的な移行計画でクラウド移行を簡素化するのに役立ちます。この計画は、組織の目標をサポートするのに必要なアプリケーション、ワークロード、接続、リソースのすべての要件の自動化された分析に基づいています。 -
移行中の効率は、インフラストラクチャーの最適化に依存します。インテル® クラウド・オプティマイザー by Densify は、マシンラーニングを介して組織のクラウド・ワークロードの範囲を自動的に分析し、ワークロードと、プラットフォームとサービスの組み合わせを最適に適合させます。
インテル® クラウド・オプティマイザーは、ワークロードとインスタンスのタイプ間で最も合う継続的な推奨事項によりクラウドコスト管理をサポートし、各インスタンスとベンダーの契約全体のコスト効率を向上するのに役立ちます。 -
クラウド・インフラストラクチャーの継続的な最適化は、インテル® Granulate™ ソフトウェアにより自動的に達成できます。インテル® Granulate™ ソフトウェアは、クラウド導入におけるパフォーマンスの向上とレイテンシーの削減を支援する AI 対応型の自動化ソリューションです。
例えば、SaaS ログ分析会社である Coralogix は、インテル® Granulate™ を使用してクラウド・インフラストラクチャーを最適化し、処理時間を 30% 短縮し、企業のクラウド・コンピューティングのコストを全体で 45% 削減しました。2
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これらおよびその他のインテル® クラウドツールとテクノロジーについての詳細は、当社の記事「最適化と管理向けのクラウド・コンピューティング・ツール (Cloud Computing Tools for Optimization and Management)」をご覧ください。さらに、クラウド最適化ツールの利点については、当社のホワイトペーパー「費用をかけずにクラウドを最大限に活用する方法 (How to Get the Most Out of Your Cloud Without the Expense)」をお読みください。
クラウド・ソリューションに直接最適化を組み込むには、インテル® Optimization Hub で、インテル® ハードウェアとクラウド・アクセラレーター向けに調整された、ワークロード固有のソフトウェア・ビルド、オープンソース・ライブラリーとドライバー、レシピ、ベンチマークをご確認ください。この貴重なリソースは、クラウドインスタンスやコンテナを現在および将来のニーズに適合させるのに役立ちます。
最適なクラウドインスタンスを選択する
主要なクラウド・サービス・プロバイダー (CSP) には、数百ものインスタンスのタイプがあります。インスタンスの説明は、類似しているように見えますが、基盤となるハードウェアの選択は、クラウド・インフラストラクチャーのパフォーマンスとコスト効率に大きな影響を与えます。最適化ツールによってサポートされた慎重な調査により、各ワークロードに最適なインスタンスを選択できます。
例えば、主要なデジタル・ビジュアル・エフェクト (VFX) サービスおよびテクノロジー・プロバイダーである Gunpowder は、第 4 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ファミリー搭載のクラウドインスタンスで Google Cloud におけるレンダリング・ベンチマークを、前世代搭載のインスタンスと比較して最大 52% 向上させ、パフォーマンスあたりのコストを改善しました。3
クラウド FinOps で戦略的目標をサポートする
クラウド運用管理は、多くの場合、分散化されており、クラウドサービスの選択は、より高度なレベルの調整や監督なしに行われます。これにより、プロビジョニングの過不足、サービスの重複、ベンダー間の競合、および重大なコスト超過が発生する可能性があります。
組織全体のクラウド・エンゲージメントでパフォーマンスとコストを最適化するには、総合的なクラウド FinOps フレームワークを採用することを検討してください。FinOps チームには、DevOps、IT、財務部門のリーダーが含まれており、クラウドポリシーと標準を含むクラウド管理のすべての側面における目標と責任を共有し、組織全体での意思決定を統合します。
共通のインフラストラクチャー・アーキテクチャーを選択して、柔軟性を向上する
クラウドは、その柔軟性で高く評価されていますが、将来的な移植性とスケーラビリティーを制限する、限定的なベンダー契約や独自のクラウド・プラットフォームに驚くほど簡単に縛られてしまいます。
例えば、多くの組織が、IT 運用全体をパブリック・クラウドに移行する目的でクラウドの取り組みを開始しますが、一部のワークロードはオンプレミスのデータセンターやプライベート・クラウドに残して規制要件に準拠したり、データ・セキュリティーを強化したり、あるいは主要なワークロードのパフォーマンスを向上させる必要があることに気づきます。パブリック・クラウドとプライベート・クラウドのプラットフォームに互換性がない場合、移行プロセスまたは送還プロセスが保留してしまうと同時に、ビジネスに重要なアプリケーションがリファクタリングされたり、置き換えられたりしてしまいます。
クラウドとデータセンターのインフラストラクチャーが、最新のプラットフォームとテクノロジーに基づいた共通のアーキテクチャーを使用することを確実にすることで、本質的に柔軟で高度にスケーラブルなハイブリッド・クラウドやマルチクラウド・モデルへの移行を簡素化できます。
例えば、オンプレミスのデータとアプリケーションを、最適化された最先端のクラウド実装とより簡単に組み合わせ、組織全体のガバナンスとデータ分析を簡素化できます。さらに、最新で最適化されたインフラストラクチャーは、新しいデータソース、アプリケーション、ユーザーを追加するタイミングで拡張する準備ができます。
データセンターの最新化でより大きな利益を達成する
クラウド・インスタンスの基盤となるハードウェアに対するより優れたインサイトを得て、共通のアーキテクチャーに移行するにあたり、データセンターに関する同様の最適化評価を行うことで、コスト、パフォーマンス、効率の観点から投資の価値を最大限に高めることができます。
データセンターの最新化 (特に、古いテクノロジーを更新または置き換えること) は、IT インフラストラクチャーの効率と費用対効果を向上させ、これにより最新のセキュリティーとサステナビリティーの機能を活用し、ますます高度なアプリケーションとユースケースを採用できるよう組織を準備させることができます。これらの利点と、柔軟で最新のインフラストラクチャーは、組織全体で AI を採用または統合しようとするあらゆるビジネスにとって重要です。
- 当社のホワイトペーパーを読むか、またはビデオをご覧になり、テクノロジーを最適化および最新化して、TCO を削減しながらイノベーションと成長を実現する、包括的な利点についてご確認ください。
- 最新のインテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー・ファミリーへのアップグレードまたは切り替えることの利点について詳しくはこちらをご覧ください。
インテルとのパートナーシップ
クラウドの最適化は、組織が成功し、効率的に成長すると同時に、運用コストを削減するのに役立ちますが、定期的に実施される必要があります。FinOps に発想を得たフレームワークによってサポートされ、継続的な最適化により、IT 運用の柔軟性とスケーラビリティーを向上させます。
また、最適化戦略は、データセンターまで拡張して、IT インフラストラクチャー全体で共通のアーキテクチャーを確立する必要があります。データセンター・ハードウェアを更新して、イノベーションとスケーラビリティーをサポートし、ハイブリッド・クラウド環境へのスムーズな移行を可能にします。
インテルは、当社の幅広いパートナー・エコシステムと連携し、比類のないテクノロジー、ツール、リファレンス・ライブラリー、市場対応ソリューションを提供して、クラウドの最適化、クラウドコスト管理、データセンターの最新化に対処して、コストを削減し、戦略的ビジネス目標の達成を支援します。
開始するには、インテル® Xeon® Processor Advisor Suite のインスタント・アクセスに登録して、特定のワークロード、ユースケース、構成向けの製品とソリューションの推奨事項を確認し、TCO および ROI 試算ツール、最新のインテル® Xeon® プロセッサーの仕様とベンチマークにアクセスできます。