電気自動車

概要

ハイブリッドカー (HEV) と電気自動車 (EV) の最近の発展により、モーター制御、電力変換、およびバッテリー管理システムのイノベーションと効率化が加速しています。ただし、これらのシステムを駆動するアルゴリズムは、継続的な改善を行って性能を向上させる必要があります。

開発サイクルが長すぎる ASIC ではこうした急速に進化する市場の要求に対応できず、今日のマイクロコントローラー (MCU) では増大する性能要求を満たすことができません。インテルの FPGA や CPLD は、絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスター (IGBT) のフェールセーフ回路や、モデルベース開発ツール DSP Builder による効率的なモーター制御アルゴリズムの開発・検証と、モーターのエネルギー効率改善、ノイズ低減、および信頼性向上を実現するハードウェア・アクセラレーターの実装などを支援します。

FPGA や CPLD は、AC/DC コンバーター、DC/DC コンバーター、バッテリー管理システム、モーター・インバーター・システムなどのデジタル信号処理による性能改善を必要とする、さまざまなシステムに使用できます。

インテルとそのパートナーは、さまざまな IP およびツールを提供し、最終製品の市場投入を迅速化し、設計生産性を向上させます。インテルのモーター制御 IP には、パルス幅変調 (PWM)、A/D コンバーターや R/D コンバーターのインターフェイス、カスタマイズ可能な磁界方向制御 (FOC) リファレンス・デザインなどがあります。  

HEV/EV システム

HEV/EV アプリケーションでのインテル® FPGA の利点

性能向上

  • より緊密な制御ループとより高速なスイッチング速度による効率化
  • アルゴリズムの継続的改善による性能向上

コストを低減しながら差別化を実現

  • モデルベースの開発メソドロジーを使ったカスタム・アルゴリズムによる、運転感覚と効率を改善
  • 機能統合によるコンポーネント数の削減

長い製品寿命と機能安全

  • 15 年を超える製品ライフサイクル
  • 確立された BCP (事業継続計画)
  • 2010 年から機能安全をサポート 

FPGA 使用事例

コストを低減しながら差別化を実現

  • 自動車システムのデザインにおいては、自動車の燃費とコストに直接影響する個々のコンポーネントの縮小化および軽量化が非常に重要です。
  • インテル® FPGA を使用すると、DC/DC 変換アプリケーションのスイッチング周波数を高速化できる (50 kHz) ので、モーターと外部コンポーネントを小型化、軽量化、効率化することができます。従来の MCU から FPGA にデザインを移行することにより、パッシブ・コンポーネント (インダクターとコンデンサー) のスイッチング周波数を 5 倍にすることが可能になり、サイズを 1/5 に縮小することができます。
  • 電動モーター制御では、より小型で高速回転のモーターを使用してシステムのコストを削減し軽量化を図るという業界のニーズを満たすため、より高速なスイッチング周波数によって、マイクロ秒単位でのモーター制御ループの更新時間を実現できます。

モーター・インバーターおよび DC/DC コンバーターのシステム

すべてのユーザー向けの設計フロー

ハードウェア・エンジニア向け:

インテル® Quartus® Prime 開発ソフトウェアは、CPLD および FPGA の性能と生産性の点でプログラマブル・ロジック業界有数の優れたソフトウェアです。このツールを使用すれば、デザイン作業を加速してコンパイル時間を短縮し、プラットフォーム・デザイナーでインターコネクト・ロジックを自動生成し、消費電力アナライザーで消費電力を最適化できます。ライセンスを必要としないインテル® Quartus® Prime 開発ソフトウェア・ライト・エディション (無償バージョン) は、インテルのオートモーティブ・グレードの FPGA および CPLD デバイスをサポートしています。

インテルと IP パートナーは、インテル® FPGA デバイス用に最適化されたコンフィグレーション可能な IP コアを豊富に取り揃えています。

アルゴリズム・エンジニア向け:

インテルの設計作業を効率化するモデルベースの開発フローを活用することで、VHDL や Verilog でアルゴリズムを記述する必要がなくなります。DSP Builder for インテル® FPGA 開発ツールによって、MathWorks の MATLAB*/Simulink* 環境でデジタル信号処理アルゴリズムが設計できるようになり、アルゴリズムのデザインサイクルを短縮できます。この開発ツールは、自動的に RTL コードを生成してインテルの開発環境に容易に統合できます。開発者は、システムのモデル化とシミュレーションを行い、複雑なアルゴリズムをハードウェアで実装し、ハードウェア / ソフトウェア要素を分割し、アプリケーションの正確なニーズに合わせて性能を最適化することが可能です。

ソフトウェア・エンジニア向け:

エンベデッド・システムに適したプロセッサーを選択した後は、インテル® SoC FPGA エンベデッド開発スイート (SoC EDS) で、ソフトウェア開発を迅速に開始できます。

インテル® SoC FPGA EDS は、インテル® SoC デバイスを使用したエンベデッド・ソフトウェア開発のための包括的なツールスイートです。開発ツール、ユーティリティ・プログラム、ランタイム・ソフトウェア、およびアプリケーション例で構成されており、SoC エンベデッド・システムのファームウェアおよびアプリケーション・ソフトウェア開発の迅速化を可能にします。

Nios® II エンベデッド・デザイン・スイート (EDS) が Nios® II ソフトウェア・デザイン用の包括的な開発パッケージとなります。Nios® II EDS には開発ツールだけではなく、ソフトウェア、デバイスドライバー、ベアメタル HAL (ハードウェア抽象化レイヤー) ライブラリー、コマーシャル・グレード・ネットワーク・スタック・ソフトウェア、およびリアルタイム・オペレーティング・システムの評価版が含まれています。

モーター・インバーター

統合 FPGA デザインフローによるモーター制御デザイン

このホワイトペーパーでは、インテル® FPGA が持つ適応性、可変精度デジタル信号処理 (DSP)、モーター制御デザイン用の統合されたシステムレベルのデザインツールを活用した、推奨されるデザインフローについて説明します。モーター駆動機器の設計者は、このデザインフローの性能、統合力、および効率性の利点を活用できます。

ホワイトペーパーのダウンロード >

モーター・インバーター・ソリューション

今日のパワー・エレクトロニクスは、ほとんどがマイクロコントローラー (MCU) で制御されます。その主な理由は、MCU のコストが低く統合レベルが高いことです。MCU は一般に C 言語やアセンブリー言語でプログラムされていて、MCU の能力を超えない速度で順次実行されるアルゴリズムに最適です。しかし、高速化したサンプリング・レートと複雑化したアルゴリズムをアプリケーションが求めるようになるにつれ、従来の MCU ベースのシステム設計者は新しい課題に直面しています。 

FPGA は、その速度、柔軟性、および統合デザインツールによって高性能パワー・エレクトロニクス・コントロール・システムに受け入れられています。これらのデバイスは、その並列アーキテクチャーと、ハードウェアで多くの複雑なアルゴリズムを同時処理する能力によって、可変電圧 DC/DC コンバーター (VVC) やモーター制御などの EV ドライブ・システム・アプリケーションに最適です。

 

FPGA は下記の利点を提供します。

  • 処理速度の向上: FPGA が持つプログラム可能なハードウェアでは、必要に応じてアルゴリズムの高速化と並列化が可能です。
  • インターフェイスの柔軟なデザイン: 例えば、並列 ADC インターフェイスと PWM 出力を必要に応じて追加して新しいインバーター・トポロジーをサポートします。
  • プログラミングの容易さ: 主制御ループコードを C で保ち、ハードまたはソフトのプロセッサーによって実行できます。ハードウェア・アクセラレーション用コードは、固定小数点または浮動小数点を使用し、C または MATLAB*/Simulink* で記述できます。
  • 統合の容易さ: 必要に応じて、エンコーダー / レゾルバー、シグマ - デルタ ADC、および外部通信のためのインターフェイスを FPGA ファブリック内に組み込むことができます。
  • コスト効率: 部品点数の削減、開発の合理化、およびプラットフォームのアップデートが基板スペースに影響を与えることなく実現できます。

モデルベースのデザインによる、FPGA を使用した IPM モーター制御

インテルは、モデルベースのデザイン (MBD) において、空間ベクトル変調アルゴリズムを使用したダイレクト・トルク・コントロール (DTFC-SVM) による、永久磁石内蔵型モーター (IPM) 制御のリファレンス・デザインを開発しました。シミュレーションの結果、フィールド指向制御 (FOC) アルゴリズムよりもトルクリップルが大きく減少したことがわかりました。また、並列処理技法を使用した FPGA の高帯域幅制御ループをハードウェアに実装したため、MCU ベースの DTFC-SVM 制御よりはるかに優れた利点も持っています。

トルクリップルの比較:

DTFC-SVM DSP Builder for インテル® FPGA リファレンス・デザイン

DSP Builder for インテル® FPGA ツールは、MathWorks* Simulink* デザインブロックと、HDL コードの自動生成機能を提供します。また、システムのシミュレーションに使用したものと同じモデルをエンジニアが FPGA に直接実装できるため、デザインプロセスが簡素化されます。さらに、設計者は、パワー・エレクトロニクス・コンポーネントの豊富なライブラリーを利用してテストベンチやシステム・シミュレーション・モデルを構築できるようになります。

DSP Builder for インテル® FPGA デザインフロー

詳細については、「FPGA を活用した電気自動車およびハイブリッド電気自動車向けパワー・エレクトロニクスの制御」というタイトルのホワイトペーパーを関連リンクからダウンロードしてください。

高周波 DC/DC コンバーター・リファレンス・デザイン

インテルは迅速な開発を支援するため、インテル® MAX® 10 FPGA 評価キット向けに最適化した HEV / EV 向け可変電圧制御 (VVC) DC-DC コンバーターのリファレンス・デザインを提供しています。このアーキテクチャーと理論の説明については、ホワイトペーパー「FPGA-Based Control for Electric Vehicle and Hybrid Electric Vehicle Power Electronics (FPGA を活用した電気自動車およびハイブリッド電気自動車向けパワー・エレクトロニクスの制御)」(英語) で説明されています。

このリファレンス・デザインでは、DSP Builder for インテル® FPGA アドバンスト・ブロックセットを使用して制御回路のシミュレーションと VHDL 合成を行います。VHDL はその後、BeMicro インテル® MAX® 10 評価キット (Arrow Electronics 社) に書き込む事で動作します。

Design Store からデザイン例をダウンロードする >

モデルベースのデザインフロー

  1. ご自身のアルゴリズムで開始できます。
  2. Matlab*/Simulink* モデルにアルゴリズムを適用します。
  3. モデルをシミュレートします。
  4. ライブラリーを使用して、DSP Builder for インテル® FPGA にモデルを適用します。
  5. デザインをコンパイルし、対象とする FPGA に実装します (VHDL コードが自動生成されます)。
  6. シミュレーション結果を検証します。

 

DSP Builder for インテル® FPGA デザインツール

DSP Builder for インテル® FPGA ツールは、MathWorks* Simulink* デザインブロックと、HDL コードの自動生成機能を提供します。そのため、システムのシミュレーションに使用したのと同じモデルを FPGA に直接実装できるようになります。さらに、設計者は、パワー・エレクトロニクス・コンポーネントの豊富なライブラリーを利用してテストベンチやシステム・シミュレーション・モデルを構築できるようになります。

電力変換の効率化に向けて

スイッチングを高速化すると、インダクタンスとキャパシタンスの値が低くても電圧と電流のリップルを同等に抑えることができます。しかし、スイッチングの高速化に伴ってトランジスターのスイッチング損失が増えるだけでなく、帯域幅の拡張が必要になります。これらはいずれも、IGBT を使用した MCU ベースのシステムには課題となります。

FPGA ベースの高周波可変電圧 DC/DC コンバーター (VVC) によって、低コストの小型受動部品や、今後普及が進む高速スイッチング SiC (シリコンカーバイド) MOSFET が使用できるようになります。

FPGA は下記の利点を提供します。

  • コスト効率: 低コストの小型受動部品や、高速スイッチング SiC (シリコンカーバイド) MOSFET を使用できるようにします。
  • 処理速度: FPGA ハードウェアでは、必要に応じてアルゴリズムの高速化と並列化が可能です。
  • スケーラビリティー: マルチレベル・コンバーターなどの高度なテクノロジーを実装できます。
  • 機能安全: セーフティー・ロジック (クロックチェッカーなど) を実装し、フェイルセーフ・デバイスとして MCU の状態を監視させる事ができます。

スイッチング周波数が 5 倍になるため、同じリップル電流と電圧を得るためのインダクタンスとキャパシタンスの値は減少します。この減少により、サイズとコストが縮小されます。

この帯域幅の拡張は、1 つのプロセッサーに複数の機能を実装する MCU ベースのソリューションでは課題になります。FPGA で制御すると、複数の制御機能を 1 つのデバイスに実装した場合でもこのような帯域幅を容易に得ることができます。 

FPGA システムのメリット = システムのサイズ、重量、およびコストの縮小

  1. 受動部品の小型化と応答の高速化
  2. コンポーネント数の減少
  3. コスト、重量、スペースの節約になり、
  4. 将来のシステム・アップグレードにも対応

VVC の 10 kHz と 50 kHz デザインの比較

項目

現在のシステム

次世代

サイズ削減

予想されるコスト削減額

インダクター (L)

200 uH

40 uH

5 倍

$200 ~ $100

コンデンサー (Chv)

2000 uF

400 uF

5 倍

$300 ~ $100

コンデンサー (Clv)

400 uF

80 uF

5 倍

$100 ~ $50

IGBT での損失

500 W

1100 W

-

-

SiC MOSFET での損失

150 W

250 W

2 倍

高コスト (今後低減)

BMS リファレンス・デザイン

インテルは、ピサ大学と協力して、最初のバッテリー管理システム (BMS) のリファレンス・デザインとアプリケーション・ノートをリリースしました。このリファレンス・デザインは、システムインループ・モデルにおいて、インテル® MAX® 10 FPGA でデュアル拡張カルマン・フィルター・アルゴリズムを使用して充電状態 (SOC) を推定する、FPGA の複雑な並列コンピューティング機能を実証します。これにより、よりスマートな BMS を開発し、複雑なアルゴリズムをプログラマブル・ハードウェアにオフロードすることで、SOC のオンライン測定を実現し、ほかの重要なタスクのために CPU を確保できるようになります。

› リファレンス・デザインとアプリケーション・ノートのダウンロード

バッテリー管理システム・ソリューション

バッテリーは電気自動車において最も高価なコンポーネントであり、 走行可能距離は主にバッテリー容量で決まるため、そのコストが車両の価格に直接的な影響を及ぼします。バッテリーのセルに蓄えられたエネルギーを最大限に利用するとともに、セルの電気的な損傷によってバッテリーのサイクル寿命を短縮しないように、バッテリーを効率的に管理する必要があります。 

基本的な制御機能には低コストのマイクロコントローラー・ユニット (MCU) で十分ですが、バッテリーのセル数と機能上の安全性要件が増えるにつれ、バッテリーの制御方法とアーキテクチャーを改善してシステムコストと厳格な安全性基準を満たすというニーズが高まっています。FPGA は、そのようなデザイン上の課題に最適なソリューションです。

FPGA は下記の利点を提供します。

  • 性能向上: より高度なアルゴリズムを高速かつ並列に実行して、パフォーマンスを向上させます
  • システムコストの削減: コンポーネントを統合して、複数のシリアル・インターフェイスでより多くのモジュール / セルを監視します
  • スケーラビリティー: 現在の MCU とは異なる、最新の高度なインターフェイス・プロトコルをサポートします
  • 安全性: ハードウェアによるフェイルセーフ・ロジックを実装します

 

インテル® MAX® 10 FPGA を使用すると、バッテリー管理システムに独自の機能を実装できます。

  • システム電源制御: インテル® MAX® 10 FPGA のスリープモードでは、1 ミリ秒以内でスリープ状態から復帰できます
  • デュアル・ブート・イメージ: デュアル・ブート・イメージで、ユースケースに応じて動作モード (駆動モードと充電モードなど) を変更します

2 つのアーキテクチャー・アプローチ: マスターとコンパニオン

インテルでは、2 つの異なるアーキテクチャー・アプローチをサポートすることで、システムを強化しながら、プログラマブル・ロジックの利益を最大限に確保しています。

  • インテル® MAX® 10 FPGA をシステムマスターとして使用し、同時にロイヤルティー・フリーの小型のリアルタイム・プロセッサー、Nios® II ソフトコア・エンベデッド・プロセッサーを使用します。インテル® MAX® 10 FPGA と Nios® II プロセッサーを併用するメリットを確認するには、ここからホワイトペーパーをダウンロードしてください。
  • アーキテクチャーを大幅に変更せずに、性能と柔軟性を最大化します。インテル® MAX® 10 FPGA は、優れたコンパニオン・ソリューションとして、既存の CPU から複雑なアルゴリズム処理をオフロードできます。例えば、カルマンフィルターを使用すると、BMS における SOC の精度を大幅に改善することができます。カルマンフィルターをインテル® MAX® 10 FPGA にハードウェア・アクセラレーターとして実装すると、メインのプロセッサーを変更することなくシステム性能を向上できます。 

車載機器ソリューションの参照リンク

関連情報

アプリケーション別ソリューションを活用し、デザインの課題を解決する方法を紹介します。

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重要なワークロードの高速化を可能にし、規格の進化または要件の変更への適応を支援するカスタマイズ可能なデバイスです。

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