インメモリー分析によるビジネス・インテリジェンスの向上

組織がインメモリー分析を活用して新時代のデータ駆動型ビジネスで競争力を生み出す方法について説明します。

データ活用をより身近にするインメモリー分析:

  • データをシステムメモリーに保存して分析を高速化。

  • データ処理を加速して予測分析を実現。

  • ビジネスや小売データからリアルタイムでパターンを特定。

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インメモリー分析とは?

現在、データはあらゆる場所に存在し、その量、速度、種類は、あらゆる予想を超えて増加しています。データ分析の利用によって、すでに多くの大手企業が、従来のビジネス・インテリジェンスを超えるリアルタイム分析へと移行し、顧客に合わせたサービスを提供することで、効率の向上、リスクの回避、収益の増加を実現しています。分析ソリューションを使用してデータから価値を引き出すことに後れを取っている企業は、競争力の面で著しく不利な立場に置かれています。

分析に基づく意思決定をサポートできる IT インフラストラクチャーにとって、重要な要件はスピードです。意思決定支援ソリューションのビジネス価値は、ほとんどの場合、従来のソリューションより数千倍以上速く結果を提供できるかどうかで決まります。この極めて高い目標を達成するには、新しい処理方法である、インメモリー・コンピューティングが必要です。

インメモリー・コンピューティングの概念はシンプルです。従来のデータ処理方法では、データがシステム内のハードディスクまたはネットワーク接続のハードディスク上に存在します。データは必要なときに呼び出されてローカル・システム・メモリー (現在は RAM) に入り、そこから CPU に移動します。ディスク上に存在するデータを探すのに長い時間がかかる場合があり、このシーク時間がしばしばボトルネックとなります。

インメモリー・コンピューティングを使用すると、データはシステムメモリーに直接格納されます。このアーキテクチャーによる方法では、ディスク上のデータを探す時間がなくなり、データを CPU の近くで転送できるので、レイテンシーが劇的に削減されます。現状、インメモリー・コンピューティングは高価な DRAM メモリーに依存しているため、大規模データの処理ではコスト効率が課題となっています。しかし、パーシステント・メモリー・テクノロジーの進化により、大容量、手ごろな価格設定、DRAM に匹敵するレベルのパフォーマンスを組み合わせたソリューションを提供できるようになりました。

さらに、インメモリー分析は、ほとんどの場合、ソフトウェア性能を向上させる 2 つの重要な技術コンポーネントを備えています。

列指向データストレージ: インメモリー分析のデータは、従来の 2 次元のデータ構造 (行と列) ではなく、1 次元の線形構造です。

超並列処理: インメモリー分析では、マルチコア、マルチスレッドのプロセッサー機能を最大限に活用します。アクセス・レイテンシーが削減されると、この機能で自由にデータを処理できます。

成熟するビジネス・インテリジェンスのポートフォリオ

ビジネス分析は、ほかの多くの IT 構想と同様に、組織がソリューションの提供に関する経験を蓄積し、運用の成熟度を高めるにつれ、企業にとってさらに価値の高いものになる可能性があります。記述的分析、診断的分析などの従来の方法では、過去に何が起きたか、つまり「到達可能だったところ」ではなく「過去にいた場所」が分かります。

成熟段階における次のステップは、将来に目を向けた予測分析です。予測分析によって、勘と経験による方法を、統制のとれた、データに基づく意思決定に置き換えることができます。予測分析はリアルタイムで機能します。ほとんどの場合、最前線で現場レベルの意思決定 (どのパレットをどのコンテナーに積むかなど) を絶えず行っている人にも適用範囲を広げることができます。

このような小さな意思決定は、それ自体ではそれほど重要ではありません。しかし、全体としては、コストの回避または収益の増加により、最終損益に大きな差が出る可能性があります。予測分析によって、企業は徐々に、現在手動で行っている処理を自動化し、「コンピューターの速度」で実行できるようになります。

成熟度モデルの後半の段階では、処方的分析によって、もっと長時間の尺度で仮定のシナリオを調査し、可能な成果を推定します。例えば、処方的分析を使用して、小売店の新店舗として最適な場所を決定することができます。

このように将来を見通す方法では、必ず、組織内のデータだけでなく、場合によっては取引データも含み、サードパーティーの情報収集事業者から手に入る多様な形式のデータを利用します。

インメモリー分析ソリューションで、従来のデータ・ウェアハウスを置き換えることにはなりませんが、組織の意思決定を支える機能全体を強化することが可能です。ビジネスのプラットフォームを大規模に再構築する前に、インメモリー分析から着手することもできます。

分析のビジネス価値

ビジネス価値を有するデータのソースには限界がありません。工場のセンサー、複数の小売ルート、ソーシャルメディア、さらに気象衛星から取り込むデータに加え、サードパーティーが供給するデータまであります。スマートシティーや IoT など新しく開発される技術も、この負荷を増やす一方です。企業は競争力の維持に、こういったデータを無視できません。データを適切に分析すると、最も成功する確率の高いアップセルを予測して売上を増加させたり、輸送ルートや在庫管理のスマート化による物流コストの削減、根本原因を高度分析して製造コストを低減し品質を改善するなど、実現できることのリストもほぼ上限なく増え続けます。

この大量のデータから実用的な情報を引き出す道は、すでに発生したことの中にパターンを見つけるだけという方法しかない場合もあります。ほかの例としては、顧客体験の向上、マルウェアの侵入の阻止、クレジットカードの不正使用の防止などに、リアルタイムの結果が必要となる場合もあります。

分析を導入する障壁はどんどん低くなり、主要な IT ベンダーはすべて分析ソリューションを提供し、多くは垂直ソリューションにも対応しています。高度な分析の使用とサポートの両方に必要なスキルセットを備えたデータ・サイエンティストは増え続け、また多くの企業が、よりシンプルなインターフェイスと内蔵アルゴリズムにより、分析の利用を「大衆化」しようと取り組んでいます。実績のあるビジネス事例とあわせて宣伝することで、資金調達しやすくなっています。

肝心なのは、分析に明確なビジネス価値があるということです。数々の大手企業が、すでにインメモリー分析を使用して、収益の増加とコストの削減を図っています。この運用上の利点を追求しない企業は、競争上不利な立場に置かれるリスクを避けられません。

分析の実施例

インメモリー分析は、製造、サプライチェーン管理、人材、マーケティング、物流、財務など、現状のビジネスと組織管理のあらゆる側面に莫大な影響を与えている、実績のある革新的なテクノロジーです。

大半の企業にとってカギとなるインメモリー分析のメリットは、分析結果から得られる洞察が差別化要素として機能するのに十分なほど高速で大量のデータを処理できる点にあります。大規模データを取り込むパターン認識が軸となる利用方法です。例えば、IRS では、処理中に納税申告書を分析して、誤りや問題のパターンを識別します。その結果、IRS が誤って数億米ドルの払い戻しをする前に介入できました。

おそらく予測分析がインメモリー・テクノロジーの最も有益な適用方法です。UPS では、配送作業の予測モデルによって走行距離を減らしてコストを低減するとともに、会社全体の二酸化炭素排出量を削減しています。

予測分析は、特に小売業で効果的です。例えば小売企業は、対象を絞ったマーケティング・キャンペーンの実施やコスト削減を目的に、インメモリー分析プロジェクトを開始することができます。ほかの業界でも、同様の方法でメリットを得ることが可能です。

インメモリー分析を始めるための作業手順ガイド

インメモリー分析を始めるための 5 ステップのプロセスを紹介します。

  1. 課題を特定する。事業部門のリーダーと意見を交換して、既存のシステムでは解決できない、または解決が困難な課題のリストを作成します。このリストでは、既存の戦略に一致している項目、新しい洞察を見込める項目、IT 部門のスキル能力範囲にある項目、また確実なビジネス実績がある項目に基づいて優先順位をつける必要があります。何度か検討を繰り返すことで、最終的に、目標とそれを達成するためのリソースについての明確なリストが得られます。
  2. 市販の利用可能な分析ソリューションについて調査し、詳細を把握する。その知識を踏まえて、現在のインフラストラクチャーを評価してください。分析するデータをどこから取得し、その所有元と、データの品質とセキュリティーを確保するために必要な方法について理解することが重要です。
  3. チームに必要なスキルを特定し、育成する。必要に応じて、新しい人材を雇用するか、または一部のタスクをアウトソーシングする計画を立てます。ほとんどの場合、新しい従業員は、ニーズに合ったスキルセットを備えています。
  4. 現在整っている要件以外のテクノロジー要件を固める。インメモリー分析には、コンピューティング、ストレージ、ネットワーク・インフラストラクチャーなど、最新のハードウェアが必要です。また、求める結果を引き出すために生成する分析クエリーやアルゴリズムを判断し、その後、その出力結果をどうすれば魅力的に提示できるか決定する必要があります。ソフトウェアについては、大量の選択肢がありますが、独自ソリューションとオープンソースのソリューションの両方を検討します。
  5. プロジェクトの最終的なユースケースを作成する。使用するデータを決定し、データフローを綿密に計画します。その後、実機バージョンのテスト環境を整備してください。

インテルによる分析支援: ハードウェアだけではないサポートを提供

インテルは、業界の中で最も幅広く、インメモリー分析のプラットフォームを提供しています。ワークロードの増加に合わせた拡張機能も十分に備えています。リアルタイムのインメモリー・データベース、Spark* のスケールアウト導入、ハイパフォーマンス・コンピューティング (HPC)、マシンラーニングなど、多様な分析ワークロードをサポートできます。コンピューティング、ストレージ、メモリー、ファブリック、ネットワークのテクノロジーを組み合わせて、すべてが「連携するほど高度なパフォーマンスが発揮される」よう最適化しているので、全体として見ると各部の合計よりも優れたパフォーマンスが実現されることになります。

その結果、現在のニーズを満たすために必要なハイパフォーマンスを提供しながら、将来を見据えて信頼できる安定した基盤を形成し、内蔵セキュリティーを備えた、柔軟性の高いインフラストラクチャーが構築されます。

インテル® アーキテクチャーによって、インフラストラクチャー全体にわたる一貫したベースライン、長期的な分析構想の拡張に向けた予測可能な道筋、そして幅広い製品が IT 部門に提供されます。つまり、複数のアーキテクチャーに対応する必要がないということです。また、開発者向けの一貫したソフトウェア・プログラミング・モデルも提供され、開発者はパフォーマンスと機能の向上に集中することができます。

インテル® アーキテクチャーは、ハードウェアとソフトウェアのパートナー企業で構成される豊かなエコシステムで支えられています。インテルはすべてのパートナー企業と積極的に連携を続け、インテル® アーキテクチャー上で製品パフォーマンスを最適化できるよう取り組んでいます。

インテルを分析パートナーとすることで、オープンソースのソフトウェア・プラットフォーム、または、SAS、SAP、Oracle、IBM、Microsoft をはじめとした多くのパートナー企業が提供する業界トップクラスの商用プラットフォームから柔軟に選択することができます。

これまでの実績から、インテルには、インメモリー分析構想の成功に必要な豊富な情報が揃っています。

主にプロセッサーで知られていることから、大多数の人にとって、インテル® Xeon® プロセッサー・スケーラブル・ファミリーはインメモリー分析の代名詞です。しかし、詳細は非常に幅広く、もっとよく知る価値が十分にあります。ここをクリックして、インメモリー分析戦略の展開をインテルがどのように支援できるのか、詳細を確認してください。