A Beautiful receptionist at Hotel desk

インテル® vPro® プラットフォーム搭載 PC 活用事例: ワシントンホテル株式会社

インテル® vPro® プラットフォーム搭載 PC を 400 台導入したワシントンホテル株式会社の活用事例

  • PC のメンテナンス時は “2 種類の使われ方” を考慮する必要がある

  • インテル® AMT を活用して Windows* 10 の Feature Update に対応

  • 今後はインテル® EMA も活用して、さらなる運用の効率化を目指す

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ワシントンホテル株式会社は、現在、全国に 18 のワシントンホテルプラザと 24 の R&B ホテルを展開し、さらに館外レストランやゴルフ場レストランも運営しています。同社は Windows* 7 のサポート終了に備えて、全社約 400 台の PC を Windows* 10 環境へ移行する計画を進めました。その際に選択したのが、ネットワークセグメントを越えて電源管理を可能にする インテル® vPro® プラットフォームを搭載した PC です。

PC のメンテナンス時は
“2 種類の使われ方” を考慮する必要がある

1964年4月開業の名古屋国際ホテルからホテルの歴史をスタートさせた同社は、2019年10月に東京証券取引所および名古屋証券取引所の市場第二部へ新規上場を果たしました。2020年3月14日に仙台エリアで 2 店舗目となる R&B ホテル仙台東口を開業、2020年12月には名古屋エリアで 4 店舗目の R&B ホテルを、2022年には札幌市にワシントンホテルプラザを新たに出店する予定で、さらなる事業拡大を図っています。

同社では、PC は大きく分けて “2 種類の使われ方” をしているといいます。この点について、全社の PC とネットワークを統括する総務人事部 情報システム戦略室 マネージャーの成松 歩氏は、次のように説明します。

「1 つめはホテルのフロント業務で使われる PC で、こちらはお客様からのお問い合わせに対応できるように 24 時間、ほぼ電源がオンになったままの状態です。2 つめが本部やレストランなどで使われる PC で、こちらは業務開始時に電源をオンにし、終業時にオフにします。台数は前者が約 250 台、後者が約 150 台という内訳です」

こうした使い方の異なる PC のメンテナンスは、対応方法も当然異なります。

まず電源が常時オンになっている PC の場合、例えば各種パッチを適用する際には、作業の一部は現場のスタッフに依頼する形になります。

「我々が時間を決めて一斉にパッチファイルを配布して適用作業をしようとしても、その時現場ではお客様対応の真っただ中で、今まさに PC を使用しているかもしれません。配布後の適用作業の実施には一定期間を設け、タイミングは現場に任せ、資産管理ツールを介してバージョン情報をチェックすることで作業の進捗を把握します。期間内に未実施であった場合は作業を完了してもらうよう個別に依頼します」

一方、定時で電源がオフにされる PC の場合は、事前に “今夜メンテナンス作業を行うので、電源はオンにしたまま帰ってください” という告知をしておき、夜の作業に臨むことになります。

「しかし 150 台の内ある程度の台数は通常業務の流れの中で電源をオフにしてしまいます。そのため翌日以降にまた同じ告知をして夜に作業を実施する。この対応を繰り返し、どうしても残ってしまった PC については個別に連絡して都合の良い時間を聞いた上で、我々が遠隔操作で作業を完了させます」

このうち特に電源をオフにしてしまう PC のメンテナンス作業の問題をどのように解消するかが、同社にとっての課題でした。

「そこで インテル® vPro® プラットフォームを搭載した PC を採用し、インテル® アクティブ・マネジメント・テクノロジー (インテル® AMT) の機能を使って、遠隔操作で PC の電源をオン / オフできるようにしたいと考えました」

ワシントンホテル株式会社 総務人事部 情報システム戦略室 マネージャー
成松 歩氏 

インテル® AMT を活用して
Windows* 10 の Feature Update に対応

実は同社では、社内の PC 環境を Windows* 7 に刷新する 2014年3月のタイミングで インテル® vPro® プラットフォームを搭載したデルの PC を導入していたが、この時はまだインテル® AMT の機能を利用することができませんでした。

「Windows* 7 の導入以前に、Wake On LAN (WOL) の機能を使えば PC の電源を遠隔で起動できることは知っていましたが、WOL の機能だけでは管理 PC と異なるネットワークセグメントに存在する PC を起動することができません。現在社内には 50 以上のセグメントがあり、そのセグメントごとに管理用の機器を設置することも考えましたが、メンテナンスのためだけにそれだけのコストをかけることは到底できません。そこでインテル® AMT の機能を利用しようと考えたのですが、当時システム構築の協力を依頼したシステム・インテグレーターの担当者はインテル® AMT の機能について知識が浅く、残念ながら導入に至りませんでした」

同氏は悶々とした日々を過ごしていましたが、そのうちに Windows* 7 のサポート終了が見えてきたため、これをインテル® AMT を利用する機会の再来と捉えたといいます。

「Windows* 10 で半年に 1 回実施される Feature Update は、大きなものは GB レベルの更新プログラムが配信されます。ネットワーク帯域への影響も十分に考慮する必要がある。今までのやり方では運用の負荷はさらに高まることになります。Windows* 10 PC への更改のタイミングで、今度こそインテル® AMT を活用した運用を実現させたいと考えました」

今後はインテル® EMA も活用して、
さらなる運用の効率化を目指す

同社は 2019年1月に移行計画を立ち上げ、まず新たに導入する PC の比較検討に入りました。そしてホテルのフロントに設置する端末に重要な省スペース性とビジネス PC に必要なパフォーマンスを両立していることなどから、改めて インテル® vPro® プラットフォームを搭載したデルの PC を導入することを決めました。

「その後 8 月にデルから半ば強引にインテルを紹介してもらい、直接 インテル® vPro® プラットフォームや、インテル® AMT を利用する際の詳しい設定方法などについて話を聞くことができました。そこからさらにインテルから紹介してもらったのが、インテル® vPro® プラットフォームの豊富な知見を持つ NEC キャピタルソリューションでした。この機会を得られたことでインテル® AMT 機能を活用した運用が実現可能であることを確信できました」

今回同社では Windows* 10 への移行計画を委託するシステム・インテグレーターとして、新たに NEC ネクサソリューションズを選定していたが、そこにインテルの紹介で同じ NEC グループの NEC キャピタルソリューションが強い味方として加わった形になります。

そして 2020年1月13日、同社は新しい約 400 台の PC のアクティベーションを含めた設定と配布を完了し、インテル® AMT を利用した運用がスタートします。

「まず電源が常時オンになっている約 250 台の PC については、基本的に現場のスタッフにアップデート対応を依頼する形は変わりません。ただ Feature Update の更新プログラムは大容量になるので、今回ファイルサーバーをオール・フラッシュ・ストレージに統合し、そこにパッチファイルを置いてダウンロードしてもらう仕組みを構築しました。今後は インテル® vPro® プラットフォームの IDE Redirect (IDER) という機能を使って、我々からファイルを配布してアップデートするという方法を検討したいと考えています」

そして定時で電源をオフにする約 150 台については、まさにこれからインテル® AMT を利用した運用が始まることになります。

「インテルでは、インテル® マネージャビリティー・コマンダーという管理者用のコンソールを無償で提供していますが、これを利用することで、例えば現場のスタッフから “OS が立ち上がらない” など不具合の問い合わせがあった時も、インテル® AMT のリモート KVM 機能を使ってコンソール画面から相手の PC の状況を確認し、お互いに同じ画面を見ながら対応に当たることが可能になりました。本当に助かっています」

さらに成松氏は、今後2019年11月にインテルがリリースしたインテル® エンドポイント・マネジメント・アシスタント (インテル® EMA) も活用して、さらなる運用の効率化を図っていきたいと考えています。

インテル® EMA は、インテル® AMT を搭載した複数の PC を一元的に管理することのできるウェブ・アプリケーションで、インテル® AMT のプロビジョニングや設定変更、電源の遠隔操作などを可能にします。

このインテル® EMA を利用することで、ユーザー企業は社内ネットワークに繋がっていない PC のアップデート作業を行うことも可能となります。例えば営業担当者が PC を持ったまま直帰しても、PC が自宅の Wi-Fi* などインターネットに繋がる環境にあり、PC 本体が電源に接続されていれば、例え電源が入っていなくてもアップデート作業やトラブル対応を行うことが可能となるのです。

「これからモバイル PC の導入も検討していく予定です。その時にインテル® EMA は、我々にとってさらに有用なソリューションになると思います。今後もインテルの協力を仰ぎながら、引き続き インテル® vPro® プラットフォームの様々な機能を積極的に使い、より効率的に運用ができる環境を作っていきたいと考えています」

本記事は、2020年4月に日経クロステック Special に掲載されたコンテンツをインテルのウェブサイトにあわせて再構成したものです。