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Intel ISEF 2008
 
 
多様な関心を反映する Intel ISEF プロジェクト

毎年世界各地の科学フェアには、何百万人もの若いイノベーターが参加しています。しかしその中で、Society for Science & the Public のプログラムであり、高校生以下の生徒を対象とした世界最大のコンテストである、Intel International Science and Engineering Fair に選抜される生徒はごくわずかです。今年は 51 の国と地域から 1,557 名のファイナリストが選ばれ、ジョージア州アトランタに集結しました。約 400 万ドルの奨学金と賞金の獲得を目指して、独創的な研究プロジェクトの審査を受けました。

もちろんこの賞金も魅力ですが、これら若い科学者や数学者にとっては、研究テーマそのものが大きな動機付けになっています。疾病に対する処置や治療法の発見、代替エネルギー源や地球温暖化対策のアイデア、あるいは生活を向上させる多様な発見や発明などがテーマになります。

Intel ISEF 2008 の参加者の一部とそのプロジェクトを紹介します。

 

Frantisek Kolek
Vaclav Kocian

チェコ共和国、フルジム

Frantisek Kolek と Vaclav Kocian は、四肢の切断事故専用の応急処置用品の開発を研究のテーマとしました。

Tobias Maduro Noerbo
デンマーク、Ishoj

Tobias Maduro Noerbo は、子供のときに重い病気を患った経験をもとに、入院中の子供向けの安全な三輪車を作りました。ビデオを見る ›

Bradley Pieter Rautenbach
Sean Daly

南アフリカ、ヨハネスブルク

Bradley Pieter Rautenbach と Sean Daly は、廃棄されたタイヤからゴムを再生して屋根用タイルや農業用マルチを安価に製造するリサイクル計画を作成しました。ビデオを見る ›

Sarah Stahl
米国アラバマ州、ハンツビル

Sarah Stahl は、代替燃料に対する祖父の関心に触発されて、バイオディーゼルの生産コストを削減するための研究を行いました。

Morgan Walti
米国オレゴン州、ヒルズボロ

Morgan Walti は「ターミネーター」などの SF 映画から着想を得て、バイオメカトロニク (バイオニック) アームの作成に取り組みました。機能と強度に優れた義手を作ることを目指しています。
 
 
Frantisek Kolek、Vaclav Kocian
チェコ共和国、フルジム

工業や農業の現場での事故、交通事故、さらに戦争が、四肢の切断事故の主な原因になっています。このような外傷が発生した場合、元どおりに接合するには、本人と切断された部位の両方に対して、迅速かつ適切な医療処置を施すことが要求されます。しかし、特に大量の負傷者が発生したときには、処置が間に合わないことが多くなっています。このような状況を見て、Gymnazium Josefa Ressela の生徒である Frantisek Kolek と Vaclav Kocian は、四肢の切断事故専用の応急処置用品の開発を研究のテーマとしました。この研究の重要な要素の 1 つに、切断された部位を事故現場でパックにして、状態を保持したまま本人とともに医療施設に搬送する方法を見付けることがありました。そのために Kolek と Kocian は、水を入れると安定化する低密度のポリエチレン製シートで作られた特殊な容器と、尿素と水の反応による効果的な冷却システムを開発しました。この応急器具には、その他の医療用品も加えて 1 つのセットとしました。

この切断専用の応急処置用品はコンパクトで使いやすいため、ほとんどどこにでも持ち運ぶことができ、医療関係者はもとより、素人でも利用することができます。現在ではチェコ共和国の救命救急士によって試験的に使用されています。

Kolek と Kocian は、この応急処置用品によって、再接合手術の成功率が向上することを望んでいます。

 
 
 
Tobias Maduro Noerbo
デンマーク、Ishoj

Tobias Maduro Noerbo は、子供のときに重い病気を患った経験から、入院生活によって子供が受ける不自由をよく認識していました。Ishoj Technical High School の最上級生になった Noerbo は、この最も切実な関心を研究のテーマに選びました。Noerbo の指摘によれば、今年だけで 16 万人を超える子供がガンと診断され、そのうち 70% が身体的および精神的な副作用に苦しむとされています。このような副作用を効果的に和らげる方法の 1 つが運動です。特に治療過程の運動には高い効果があります。しかしほとんどの場合、ガンを患っている子供は、化学療法などの処置のために点滴装置につながれており、動くことが困難になっています。

このような状況にある子どもを助けるために、Noerbo は点滴装置を装着できる非常に安定性の高い三輪車を開発し、DripDrops と名付けました。入院中の子供はこの三輪車に点滴装置を装着して、自由に動き回ったり、エクササイズを行うことができ、結果的に副作用のリスクが軽減されるという効果が期待できます。何よりも、入院生活というストレスの多い環境で、わずかでも楽しみを見付ける手段になります。

現在、Noerbo が開発した DripDrop のプロトタイプが、デンマークの小児ガン病棟で試験的に採用されています。

 
 
 
Bradley Pieter Rautenbach と Sean Daly
南アフリカ、ヨハネスブルク

母国の南アフリカだけでなく世界中で見られる廃棄タイヤの山を見て、St. Johns College の生徒である Bradley Pieter Rautenbach と Sean Daly は行動を起こしました。廃棄タイヤは環境に悪影響を及ぼすと 2 人は述べています。山積みになったタイヤには雨水がたまり、病原体の媒体になる蚊の発生源になります。また火災が発生すれば、有害なガスが大気中に放散されます。これらの問題に対処するために、2 人の生徒は、廃棄されたタイヤのゴムを利用して屋根用タイルや農業用マルチを安価に製造するリサイクル計画を作成しました。

屋根用タイルの設計に際して、Rautenbach と Daly はタイルの形状、配置、角度に検討を加えました。さらに、ゴムに防火加工を施すテストを行い、最終的に燃焼遅延剤を利用することに決定しました。これには、可燃性を低減させるだけでなく、材料を強化する効果もあります。結果的に、安価な住宅に対するニーズに応える、実用的な屋根用素材ができあがりました。

このチームは、ゴムタイヤを細かく裁断して地面の被覆として利用する、農業用マルチを開発しました。このゴム製のマルチには、土中の水分が保持されるという優れた効果があることがわかりました。これは、農作物のために長い距離にわたって水を運搬しなければならない地域にある南アフリカの農家にとって、大きなメリットになります。

結果的に Rautenbach と Daly の研究は、タイヤのリサイクルを行い、環境上の危険性を軽減する方法を提供するだけでなく、その他の生活上の利点をもたらす可能性を持ったものになりました。

 
 
 
Sarah Stahl
米国アラバマ州

代替エネルギー源に対する関心の高まりを受けて、バイオディーゼル燃料の生成に注目が集まっています。しかし、既存のバイオディーゼルは製造コストが非常に高いという問題があります。このコストを削減する 1 つの方法として、Huntsville High School の生徒である Sarah Stahl が考えたのは、バイオディーゼル生成に伴う最大の副産物である粗グリセロールを、商品価値のある化合物に変換する方法でした。そのため Stahl のプロジェクトでは、グリセロールを分解できる天然の微生物を発見することがテーマになりました。

ハンツビルにある University of Alabama で行われた Stahl の研究では、結論は未確定ながら、この目的に沿うと期待できる、2 種類のバクテリアと 1 種類の菌が発見されました。

アラバマ州 Huntsville High School の最上級生である Stahl は、バイオディーゼルに関する研究のきっかけになったのは、祖父が農業分野における代替燃料に関心を持っていたこと、そして Stahl 自身が環境に対して懸念を持っていたことだと述べています。今後は、Intel ISEF の後もこの研究を継続し、またオハイオ州の Denison University で生物学と化学を学ぶと語っています。

 
 
 
Morgan Walti
米国オレゴン州

オレゴン州ヒルズボロの Liberty High School の最上級生である Morgan Walti は、「ターミネーター」などの SF 映画から着想を得て、バイオメカトロニク (バイオニック) アームの作成に取り組みました。これは、機能と強度に優れた義手を作ることを目指すものです。義手などの最近の人工装具には脳の機能によって制御されるものがありますが、その多くが目的の機能を果たすだけの強度に欠けていると Walti は述べています。この問題を解決するために、Walti は機械的に正確な人間の腕のモデルを開発しました。これは、アルミ製のフレームを骨格とし、電磁ソレノイドを人工筋肉として利用したものです。

地元の科学コンテストの前夜に抵抗器が爆発するなどの困難にも見舞われましたが、Walti は指や手首の動きを制御できるモデルの開発に成功しました。Walti はこの「内骨格構造を利用した最初のバイオニックアーム」によって、より精密な制御が可能な義手ができると考えています。さらにこのモデルは、各種の製造工程や危険を伴う作業現場で応用できる可能性があります。

学校の技術クラスで帯ノコを使うこともありましたが、Walti はこのプロジェクトの大部分を自宅の「大きな机」で「大量の瞬間接着剤」を使って完成させました。Walti は今後、Brown University で機械工学を研究する予定です。