2.4GHz、5.0GHz、および 6.0GHz の比較と理解
ワイヤレス接続のオプションの理解は、デバイス間が無線でデータを交換するために使用する電波、特に無線電波に関する話から始まります。
すべての伝播にはパターンがあり、これは波長 (パターンが繰り返す前に電波が移動する距離) と周波数 (特定の期間にパターンが何度繰り返されるか) で記述できます。
ワイヤレス接続について話す際、波長と周波数は、送信可能なデータ量、1 つのデバイスから別のデバイスへのデータの移動速度、およびデータの移動距離に直接影響を与えます。
数字が意味するものは？
無線電波は、特定の周波数の範囲で情報を送信し、これは RF スペクトルとも呼ばれます。通信では、RF スペクトル内の特定の周波数のグループ、または帯域が使用されます。これらの帯域は、さらにチャネルと呼ばれるさまざまな副周波数にグループ分けすることができます。Wi-Fi、TV、ラジオ、航空管制などの特定の用途向けの周波帯域とチャネルの使用は、政府機関によって規制されています。
2.4GHz、5.0GHz、および 6.0GHz という数字は、ライセンスを取得しないワイヤレスの使用向けに承認された特定の RF 周波帯域です。数字が小さいほど、経時的な電波のパターンの繰り返しが少ないことを意味し、範囲が長いと電波も長くなります。一方で、数字が大きいほど短い距離でより多くのデータを送信する電波の繰り返しが多いことを意味します。1 ヘルツ (Hz) は 1 秒あたり 1 回の繰り返し、1 ギガヘルツ (GHz) は 1 秒あたり 10 億回の繰り返しを意味します。
ワイヤレス接続を理解する簡単な方法は、各周波帯域を異なる種類の道路、チャネルを各道路にあるレーンの数と幅として考えることです。2.4GHz は、レーンが 1 つの一般道のようなもので、渋滞には適していませんが、荒野でも遠くまで連れて行ってくれます。5.0GHz は、一般道の代わりに一般的に使用される複数のレーンを備えた高速道路のようなもので、大規模なものでも混雑することがよくあります。そして最新帯域の 6.0GHz は、それよりはるかに大きく、より多くの高速レーンを持ち、最新かつ最速な車専用です。
チャネルに関する考慮事項
道路にある利用可能なレーン数とこれらのレーンの幅が、運転速度と移動時間に影響を与えるように、RF チャネルの特性は、RF 帯域内での接続速度とデータ転送レートに影響を与えます。
- 2.4GHz Wi-Fi スペクトルの幅は 70MHz であり、デバイスは通常 3 つの 20MHz チャネルに制限されています。
- 5.0GHz Wi-Fi スペクトルの幅は約 500MHz であり、デバイスは最大 6 つの大きな 80MHz チャネルを使用して高速な速度を実現できます。しかし、常にすぐに利用できるのはこの 6 つのチャネルのうちの 2 つのみであり、4 つのチャネルは天候または空港レーダーにより、時には使用できないこともあります。
- 6.0GHz Wi-Fi スペクトルの幅は約 1200MHz であり (2.4GHz と 6.0GHz スペクトルの倍以上)、最大 7 つまたはそれ以上の 160MHz チャネルをサポートします。これらのチャネルは、新しい Wi-Fi 6E デバイスのみにアクセス可能であり、ギガビット Wi-Fi 速度を有効にし、従来の Wi-Fi 干渉のない操作を可能にします。
最新仕様: 6.0GHz
新しい周波数の可用性は、主に新しい世代のテクノロジー全体の有用性を保証するために、政府機関によって規制されています。各国は、新しいテクノロジーが、老朽化するネットワーク上の古いデバイスとの競合によって妨げられることを望みません。2.4GHz 帯域は、デバイスが少なく、メールやウェブサーフィンなどより基本的な使用がほとんどだった Wi-Fi 初期の時代には、十分なパフォーマンスを提供していました。過去 10 ～ 15 年間は、デバイス数の飛躍的な増加、メディアの解像度とファイルサイズの劇的な増加、および用途が進化しより複雑になったことにより、5.0GHz 帯域が好まれてきました。
私たちは、より多くのビデオ・ストリーミング、ゲーム、およびクラウド・アプリケーションを集合的に実行しており、5.0GHz の渋滞がユーザー体験を制限することが多くなるところまで来ています。そのため、2020年の時点で、Federal Communications Commission (FCC) は米国内の新しいデバイス専用に 6.0GHz スペクトルを解放し、その他の地域政府もそれに倣っています。
2.4GHz、5.0GHz、および 6.0GHz の比較: 速度の違い
チャネル特性に加えて、一般的なデータ転送速度は、帯域を使用するその他のデバイス、物理的オブジェクト、または信号強度を低下させる壁、あるいはインターネット・サービス・プロバイダー (ISP) が課す制限などの要因に影響されます。
- 2.4GHz は、1 秒あたり最大 100 メガバイト (Mbps) までの一般的なワイヤレスの最大速度を実現できます。
- 5.0GHz は、1 秒あたり最大 1 ギガバイト (Gbps) を実現します。
- 6.0GHz は、1 秒あたり最大 2 ギガバイト (Gbps) を実現します。
介入、ネットワーク・クラッター、および信号の競合
2.4GHz は市場で最も長期間提供されているため、ほとんどのレガシーデバイスはまだこの周波数を使用し、多くのネットワーク・クラッターを生み出しています。これが、マンションのビル内のユーザーが、2.4GHz 帯域を使用する上で接続性の問題を体験することがある理由です。2.4GHz は、最長範囲と利用可能な帯域の壁貫通能力があるだけでなく、従来最も使用されています。
6.0GHz は、市場で最も新しい帯域ですが、新しく、一般的により高度なデバイス向けにのみ提供されています。6.0GHz 帯域で現在利用可能なデバイスが少なく、より利用可能なチャネルが多いため、ユーザーは従来の Wi-Fi デバイスからの渋滞や介入を体験する機会が少なくなります。
チャネル選択
では、速度と転送レートにおける介入、ネットワーク・クラッター、および信号の渋滞の影響をどのように軽減できるのでしょうか？良い点は、ルーターまたはデバイスの OS は、すでに最良のパスを見つけるために動いているということです。ルーターは、デバイス向けのチャネルを選択し、複数のルーターまたはアクセスポイントがある場合、デバイスの OS は、同じアクセスポイントまたはチャネル上にその他の複数のデバイスがあっても、最も強力な信号を持つ最も近いアクセスポイントを選択します。
アクセスポイントは、その他の隣接ネットワークによって占有されているチャネルを避けるよう試みますが、多くのネットワークがある場合、より小さなチャネルを選択して介入を回避する、または最悪の場合、それしか利用できない際には、ほかのネットワークと同じチャネルを選択する必要があります。
さらに、さまざまな周波帯域に接続するデバイスを選択して、より多くの接続とパフォーマンスのオプションを得ることが可能です。
2.4GHz、5.0GHz、および 6.0GHz と範囲のどれをいつ使用するか
一般的に、高レベルの精度または応答性と高速な速度を要求するリアルタイム・アプリケーションは、いずれも 5.0GHz および 6.0GHz などのより高い周波数から最も恩恵を受けます。多くの音声やビデオ通話に依存するゲーム、ホームシアター、ホームオフィスのアプリケーション向けには、5.0GHz および 6.0GHz 帯域の使用が推奨されます。
2.4GHz は、Wi-Fi 向けの「ベストエフォート型」ネットワークであり、長距離での少量のデータの送信に最適です。この低周波帯域は、高い周波数よりも広い範囲を持つことは事実ですが、範囲はごく小さいことがよくあります。ほとんどのユーザーは、5.0GHz および 6.0GHz 帯域を使用する家庭全体で、同様またはできる限りで最高の接続性を得ます。
最高の接続性とパフォーマンス向けに帯域を多様化
スマート・サーモスタット、スマートドアベル、インターネット・プロトコル (IP) カメラなど、家庭内で複数のモノのインターネット (IoT) デバイスを接続する際、2.4GHz 向けの実用的なユースケースがあります。この理由は、5.0GHz および 6.0GHz 帯域でのネットワーク競合を低減し、ゲームやストリーミングなどのより優先度の高いリアルタイム・アプリケーション向けにより多くのチャネルを解放することです。
2.4GHz、5.0GHz、および 6.0GHz におけるレガシー互換性
周波帯域が道路のようなものならば、Wi-Fi 信号はこれらの道路上の車のようなものです。道路に車両タイプの制限があるように、Wi-Fi デバイスが接続できる周波帯域もまた、デバイスが構築された標準に基づいて制限されます。
すべての Wi-Fi テクノロジーは、特定の Wi-Fi 規格に準拠しており、これらは接続できる周波帯域も指定します。2007年からの 802.11n 規格に準拠する Wi-Fi 4 には 2 つの異なるバージョンがあります。802.11bgn は 2.4GHz 帯域のみにアクセスでき、802.11agn はデュアル帯域で 2.4GHz および 5.0GHz 帯域に接続できます。802.11ac 規格に準拠する Wi-Fi 5 は 5.0GHz へのみ接続できますが、多くの Wi-Fi 5 製品もまた、レガシー Wi-Fi 4 802.11bgn を別モードとして使用して 2.4GHz 帯域に接続します。興味深いことに、Wi-Fi 生成を使用してデバイスに接続できる帯域を特定することはできません。802.11ax としても知られる Wi-Fi 6 の場合、規格は 6.0GHz 帯域が利用可能になる前に開発されました。Wi-Fi 6E のみがすべての 3 つのスペクトル (2.4GHz、5.0GHz、および 6.0GHz) にアクセスできます。
最新のワイヤレス速度を活用するには、6.0GHz 接続をサポートするアクセスポイント、ルーター、デバイスを取得する必要があります。良い点は、古いデバイスも、新しいトライバンド・ルーターのレガシー Wi-Fi 帯域に接続ができることです。
業界標準
Wi-Fi 4 から Wi-Fi 6E まで、毎日使用する Wi-Fi テクノロジーは、802.11 などの標準仕様と、業界グループが開発、テスト、認証するその多くの変更に基づいています。
Institute of Electrical and Electronics Engineers (IEEE)、Wi-Fi Alliance (WFA) および Wireless Broadband Alliance (WBA) を含むこれらのグループは、デバイス間の相互運用性と共通のユーザー体験の確保を支援します。インテルは、約 20 年間を接続プラットフォーム体験の向上に注力し、これらの産業機関の範囲におけるリーダーシップの役割を果たし、Wi-Fi テクノロジーの市場投入を支援して、今日人々が好むワイヤレスデバイスの多くが一貫して機能することを可能にしています。
インテルが、接続性に向けた最良の選択を提供
インテルは、2003年の初期のインテル® Centrino® プラットフォームから、今日のインテル® Evo™ ノートブック PC まで、優れたワイヤレス体験の実現に注力してきました。インテル® Wi-Fi は、広範なプラットフォームとエコシステムの検証により、競争相手と一線を画し、一貫性と信頼性の高い高速接続性を確保します。
最新プロセッサー搭載インテル® ノートブック PC
当社は、ユーザーがワンランク上のインテル® ベースのノートブック PC で優れたネットワーク体験を楽しむことができるよう、2022年以降のすべてのモデルのインテル® Evo™ およびインテル® vPro® ノートブック PC においてインテル® Wi-Fi 6E (Gig+) の搭載を必須としています。
ゲーム用インテル® Killer™ Wi-Fi
インテル® Killer™ Wi-Fi は、一部のインテル® 対応ノートブック PC で、またデスクトップ PC ビルド向けのスタンドアロン PCIe キットとして提供されており、特にゲームにおける接続を最適化します。この革新的なテクノロジーは、システム・アップデートなどのバックグラウンド・プロセスよりゲーム・データ・パケットを優先して、レイテンシーの低減を確実にします。
すべての Wi-Fi が同じとは限らない
ワイヤレス接続を当たり前のものと捉えることは容易ですが、インテルは当社のすべての PC プラットフォーム向けの Wi-Fi テクノロジーの改善を継続しています。ワイヤレス接続への日々の依存は、テクノロジーが進歩し、新しい体験と可能性を解放するにつれて増加し続けます。インテルは、その取り組みに伴い、Wi-Fi をできる限りシームレスかつパワフルにすることに専念しています。