インテルのマイクロプロセッサーは、1971年11月に世界初のマイクロプロセッサー「4004 マイクロプロセッサー」 が登場して以来、絶え間なく進化を続けてきました。

ここでは、インテルのマイクロプロセッサーが歩んできた歴史を簡単に振り返りつつ、近年のマイクロプロセッサーを支えているインテル独自のテクノロジーについて解説します。

マイクロプロセッサーの進化を予測してきたムーアの法則

マイクロプロセッサーの心臓部は、膨大な数のトランジスターか ら構成されています。トランジスターひとつひとつは、スイッチの役割しか持たない単純で小さな素子ですが、これらを高度に組み合わせることで、さまざまな 計算をこなしたり、周辺パーツの制御を行ったりできるようになります。つまり、組み合わせるトランジスターの数が多くなればなるほど、マイクロプロセッ サーの処理性能や機能を高められることになります。

インテルが 1971年に発表した 4004 マイクロプロセッサーは、トランジスターの数がたったの 2300個でした。これが、40年以上の長い年月を経て、最新のマイクロプロセッサーでは 10億個を軽く超えるほどにまで増大しています。これにより、一昔前ならばスーパー・コンピューターでしか扱えなかったような高精細な写真、ビデオ、3D グラフィックスなどを家庭の PC でも手軽に楽しめる時代が訪れています。

インテルの共同設立者で元社長だったゴードン・ムーアは、1965年の時点で半導体チップを構成するトランジスターの集積度がほぼ一定の割合で着実に増え ていくことを予測しました。現在では、これを「ムーアの法則」と呼んでいますが、インテルのマイクロプロセッサー自身がこのムーアの法則をしっかりと証明 しています。

現在の PC の基礎を築いたインテルのマイクロプロセッサー

現在の PC を支える「インテル・アーキテクチャー (x86)」の出発点となったのが、1978年に登場した 8086 マイクロプロセッサーとその廉価版にあたる 8088 マイクロプロセッサーです。8086 マイクロプロセッサーは日本国産の PC として長らく活躍してきた NEC* PC-9801* シリーズの初代モデルで、そして 8088 マイクロプロセッサーは現在の PC の原型となる IBM* PC の初代モデルでそれぞれ採用されました。

Intel386™ マイクロプロセッサーまた 1985年には、32ビット処理をサポートした Intel386™ マイクロプロセッサーが発売されました。この 32ビットに拡張されたインテル・アーキテクチャーは、「IA-32」と呼ばれます。

Intel386™ マイクロプロセッサー以降の製品では、オペレーティング・システム (OS) 上で複数の仕事を同時にこなせる本格的なマルチタスク機能もサポートされるようになりました。

インテル® MMX® テクノロジー Pentium® プロセッサーインテルのマイクロプロセッサーは、16ビットから 64ビットへの進化とあわせて、マルチメディア処理を高速化する技術も次々と導入されてきました。その先駆けとなる製品が、1997年に登場したインテル® MMX® テクノロジー Pentium® プロセッサーです。こうしたインテル® MMX® テクノロジーの登場によって、家庭の PC でも音声や写真、動画、3D グラフィックスなどを快適に扱える時代が訪れました。その後は、浮動小数点データに対応したストリーミング SIMD 拡張命令 (SSE) 、より高度な計算処理に対応したインテル® アドバンスド・ベクトル・エクステンション (現在は第 2世代のインテル® AVX2) へと進化を遂げています。

さらに、より安全なソフトウェア環境を実現する目的から、マイクロプロセッサーのセキュリティー機能も強化されつつあります。そのひとつが、2008年に初めて搭載されたインテル® AES New Instruction (インテル® AES-NI) です。インテル® AES-NIは、政府機関でも採用されている世界標準の暗号化規格AES (Advanced Encryption Standard) の処理を高速化する命令セットです。ソフトウェア環境にAES-NIを取り込むことによって、SSLなどの暗号化処理が大幅に高速化され、優れたアプリケーション性能と高度なセキュリティーを両立可能です。

電力効率を大きく高めるマイクロアーキテクチャーとマルチコア技術の登場

従来のプロセッサー設計 (マイクロアーキテクチャー) では、マイクロプロセッサーの処理性能を高めようとすると、逆に消費電力や発熱が急激に増大する傾向にありました。このような問題を解決するため、命令の処理効率を優先したマイクロアーキテクチャーが新たに開発されました。こうしたマイクロアーキテクチャーの先駆けとなったのが、インテル® Pentium® M プロセッサー (2003年発表) 向けに開発されたモバイル・マイクロアーキテクチャーです。モバイル・マイクロアーキテクチャーは、数多くの高度な命令処理技術を導入することで、より少ないステップで命令を実行し、命令の処理効率を可能な限り高めています。また、マイクロプロセッサー内部で使用していない回路を積極的に止めることにより、マイクロプロセッサー全体の消費電力を最小限に抑えています。

そして、マイクロアーキテクチャーの刷新とあわせて積極的に取り入れられるようになったのが「マルチコア技術」です。マルチコア技術は、1個のマイクロプロセッサーに複数の実行コア (実際に命令を実行する回路) を収めるテクノロジーのことです。1個の実行コアを単純に高速化しようとすると消費電力が劇的に増加しますが、消費電力と処理性能のバランスがとれた実行コアを複数搭載すれば、マイクロプロセッサー全体の消費電力を増やすことなくトータルの処理性能を高められます。また、あらゆる仕事が複数の実行コアで分担して処理されることから、複数のタスクを同時に実行するマルチタスク性能も飛躍的に向上します。現在の PC 環境では、OS 上で複数の仕事を同時にこなすのが一般的ですので、まさに今の使い方に適したテクノロジーといえます。

マイクロプロセッサーに高性能グラフィックス機能を直接内蔵

インテルは、優れた処理性能と電力効率を、さらに高い水準で両立させたマイクロアーキテクチャーを次々と開発しています。モバイル・マイクロアーキテクチャーは、ノートブック PC のようなモバイル用途に特化して設計されましたが、次に登場するインテル® Core™ マイクロアーキテクチャーは、ノートブック PC に限定せず、デスクトップ PC やサーバー、ワークステーションなど、さまざまな分野向けに開発されています。その後、数々の改良を経て、2015年 5月時点で主流となるマイクロアーキテクチャーが、第5世代 インテル® Core™ プロセッサー・ファミリーやインテル® Core™ M プロセッサーで採用されているインテル® マイクロアーキテクチャー Broadwell** です。

近年のマイクロアーキテクチャーでは、マイクロプロセッサーの内蔵グラフィックス機能が強化されています。

PC のグラフィックス機能は、2D グラフィックスや 3D グラフィックスの高速処理、動画の再生や高画質化のための処理に使用されます。一般的には、3D ゲームやマルチメディア・アプリケーションなどで大きな効果を発揮しますが、このようなグラフィックスに対する厳しいニーズを、外付けチップやグラフィックス・カードがなくても実現可能にしたのがインテル独自のグラフィックス・エンジンです。

特にインテル® マイクロアーキテクチャー Haswell** やインテル® マイクロアーキテクチャー Broadwell** では、グラフィックス・エンジンが大幅に強化されています。上位モデルに搭載されるインテル® Iris™ グラフィックスは、最大構成のグラフィックス・エンジンが採用され、さらに最上位のインテル® Iris™ Pro グラフィックスでは、グラフィックス性能を最大限に高めるための特別な高速 DRAM (eDRAM) も内蔵されています。また、プロセッサーには最新のデジタル・インターフェイス (DisplayPort、eDP、HDMI) を提供する回路も標準で装備され、ウルトラ HDTV または 4K 解像度のディスプレイを接続可能です。最新のインテル® Core™ プロセッサー・ファミリーを搭載した PC なら、このような数々の特徴によって目を見張るほど鮮明で力強いマルチメディア体験をすぐ手に入れられます。

** 開発コード名

システム全体で省電力化を推し進めるインテルの省電力技術

モバイルデバイスの世界では、バッテリー駆動という限られた電源環境でも快適に動作することが求められます。このため、ノートブック PC 向けのプロセッサーには、高い処理性能を維持しながら、同時に消費電力や発熱を削減する省電力技術がいち早く搭載されました。その先駆けとなる製品が、1990年に登場した Intel386™ SL マイクロプロセッサーです。Intel386™ SL マイクロプロセッサーは、仕事していないときに周辺機器の電源をオフにすることでシステム全体の消費電力を削減する機能を搭載しています。

その後、デスクトップ PC やサーバーでも省電力に対するニーズが高まり、あらゆるプラットフォーム向けのマイクロプロセッサーに高度な省電力機能が搭載されるようになりました。近年のマイクロプロセッサーは、処理の負荷に応じて動作周波数と駆動電圧を調整する拡張版 Intel SpeedStep® テクノロジーや、負荷がないときにプロセッサーを積極的に休ませる多段階の省電力モード (C1 以上の省電力ステート) に対応しています。また、最新のプロセッサーには、限られた電力の範囲内で処理性能を最大限に引き出す機能として、必要に応じて自動的に定格の動作周波数よりも高速に動作させるインテル® ターボ・ブースト・テクノロジー 2.0 が搭載されるようになりました。

さらに、インテル® マイクロアーキテクチャー Haswell** 以降では、電源管理の新しいフレームワーク「インテル® パワー・オプティマイザー」も新たにサポートしています。インテル® パワー・オプティマイザーでは、マイクロプロセッサーだけでなく、PCI Express*、シリアル ATA、USB 3.0、DisplayPort* などで接続された周辺機器も電力管理の対象となり、システム全体で省電力化を行えるようになります。また、省電力ステートの時間を少しでも長く確保できるように、システム全体の振る舞いを最適化します。インテル® パワー・オプティマイザーに準拠する最新のモバイル PC は、こうした先進的な省電力設計によってバッテリー駆動時間がさらに延長されます。

これからの IoT 時代を見据えた超小型デバイス向けのマイクロプロセッサー

近年では、タブレットやスマートフォンなど、いつでもどこでも気軽に持ち運べるモバイルデバイスが急増しています。このような小型デバイス向けに開発されたマイクロプロセッサーが、インテル® Atom™ プロセッサーです。インテル® Atom™ プロセッサーは、PC の世界で長年培ってきた数々のテクノロジーに基づきながら、特に薄型・軽量の設計や長時間のバッテリー駆動が求められるデジタルデバイスに最適な内部設計をとっています。これにより、業界トップレベルとなる薄型・軽量の設計と長時間のバッテリー駆動を実現しながら、ウェブサイトの閲覧からビジネス・アプリケーションの処理まで、やりたいことをストレスなくこなせるパフォーマンスを達成しています。

また最近では、ウェアラブル機器をはじめ、人々を取り巻くデジタルデバイスのさらなる小型化が進んでいます。

そして、これらのデバイスは、インターネットへの接続機能を標準的に備えつつあります。インターネットに接続されるデジタル機器は、2015年に 150億台、2020年には 500億台にまでのぼると予測されています。これらの膨大な機器から生み出される情報を高度に解析することで、新たな価値・知見を生み出し、さまざまな分野で新しいサービスやビジネスを作り出せるようになります。これが、IoT (Internet of Things:モノのインターネット) と呼ばれる新しい世界です。

インテルは、こうした IoT 時代に向けて、超小型・軽量デバイスに最適化されたインテル® Quark™ プロセッサー・ファミリーを発売しています。インテル® Quark™ プロセッサー・ファミリーは、これまでインテルが手がけてきた性能重視のマイクロプロセッサーと異なり、徹底した低消費電力、低コストに視点を置いて設計された、まったく新しいタイプの製品ラインナップとなります。その最初の製品であるインテル® Quark™ SoC X1000 は、インテル® アーキテクチャー命令セットとの互換性を備えながら、実行コアのほか、さまざまな I/O インターフェイス、クロック生成回路、電圧レギュレーターなど、超小型デバイスに必要とされる多くの機能が 15mm 四方のパッケージに統合されています。

ユーザーの視点に立った製品開発にチャレンジしているインテル

インテルは、これまで最高の半導体製品を開発することに目標を置いてきました。この結果、インテルの半導体製品を搭載したさまざまな高性能デバイスが登場し、これらのデバイスによって新しい使い方も次々と生み出されてきました。その一方で、近年ではもっとユーザーの視点に立った製品を作りたいと考えています。これは、ユーザーのニーズを起点とし、それを実現する上で必要とされる半導体製品が何かを考えてから開発していくアプローチです。インテルは、このように従来とは逆の発想で技術開発を行うことにより、さらに多くのユーザーが心底欲しいと思える半導体製品を作ろうとしています。

インテル® RealSense™ テクノロジーは、そのような新しいアプローチを通じて開発された最新テクノロジーのひとつです。インテル® RealSense™ テクノロジーに対応したデジタルデバイスは、ユーザーが発しているサインをさまざまなセンサーで読み取り、あたかもデバイス自身が五感を持ち、ユーザーの姿を見て、声を聴いて、その様子を感じ取れるかのような、まったく新しいユーザー体験をもたらします。2015年 1月現在、インテルから提供されているのが、インテル® RealSense™ テクノロジー向けのカメラモジュールです。PC やタブレットに搭載されるインテル® RealSense™ 3D カメラは、フル HD (1080p) 対応カメラのほか、奥行きを認識できる深度センサーも備え、顔認識、エモーション・トラッキング、3D スキャン、背景抽出、10本指対応のフィンガー・ジェスチャー認識などを実現します。

インテル・ミュージアム


インテルは、世界最大の半導体メーカーです。主要な半導体製品として、コンピューターの頭脳 「マイクロプロセッサー」 を開発、製造しています。インテル・ミュージアムでは、そんなマイクロプロセッサーの歴史、動作の仕組み、最新技術などを取り上げていきます。

商標情報


Intel、インテル、Intel ロゴ、Intel Core、Core Inside、Xeon、Xeon Inside は、アメリカ合衆国および / またはその他の国における Intel Corporation の商標です。

* その他の社名、製品名などは、一般に各社の表示、商標または登録商標です。